Soner Menbers Club No43

Since May 2014

クラシック音楽バー「ヴァルス」

2018 MAR 4 23:23:11 pm by 吉田 康子


2/17ライヴ・イマジン39でお世話になった調律師の齋藤 勉さんに教えて頂いたお店「ヴァルス」に行ってきました。
齋藤さんの三男の容平さんがオーナー兼バーテンを務めていて、音楽の友社のサイト「オントモビレッジ」でも紹介されました。

目黒の権之助坂沿いのビルの二階にあり、14席のカウンターだけのシンプルな作り。壁面には凝ったデザインのラベルの酒瓶と綺麗に磨かれたグラスが並びます。カウンターの両サイドにあるブロッドマンという名前のスピーカーから流れていたのは、フォーレのノクターン。重厚で柔らかくなめらかな響きがすると思ったら、あのベーゼンドルファー社由来のメーカーとか。スリムな形で表面がピアノのような美しい仕上げに合点がいきました。

夕方6時の開店間もない頃に到着しましたが、カウンターの隅には女性の先客がひとり。常連さんらしく何か書きものをしながら、時折カウンター越しに齋藤さんと話をしていました。

「ここはツイッターか何かでご覧になったんですか?」と容平さんから尋ねられ、「実は」と経緯をお伝えして、ライヴ・イマジン39のプログラムを渡しました。お父様の面影がある風貌と穏やかな語り口で和やかな雰囲気を醸し出しています。

「音楽が大好きで、お酒が大好きで始めた店」とお父様に伺った通り、並んでいるお酒ひと瓶ずつにも拘りがあって、お酒に疎い私にも解りやすく説明して下さいました。中でもKOVALという初めて聞く名前のお酒には特別の思いがあるようです。全てオーガニック原料から生産していること、経営者のプロフィールや日本での取り扱い店など詳しく伺いながら私は香水瓶のように綺麗な形をした瓶の琥珀色に見とれていました。

私がお願いしたのは、あっさりとした口当たりのカクテル「ダイキリ」。容平さんは鮮やかな手つきでシェーカーを振って細身の綺麗なグラスに注いでくれました。素敵な気分に酔いそう♪

齋藤容平さんの祖父にあたる齋藤義孝さんは、日本の調律師の草分け的存在。義孝さん関連の写真や書簡をまとめたアルバム目当てに来店する人も多いそうです。戦後に来日した外国人演奏家のコンサートの調律の殆どを担当して第一線で活躍していました。アルバムには、コルトー、バックハウス、アラウ、デムス、ケンプ、ルビンシュタイン、シフラ、ヴァン・クライバーン、ミケランジェリ、アルゲリッチなど超有名演奏家と並んで立つ写真や、直筆のメッセージが並んでいて、歴史を垣間見るよう。
 

コルトーの手紙は、滞在していた帝国ホテルの便せんに美しい手書きの文字で詩を読んでいるような気持に。山口県にある「孤留島」という島の名前もあります。バックハウスも一般的な写真でなくリラックスした感じで義孝さんと並んでいて、違う一面をみたようです。
 
アラウやデムスはとても若くて誰だか判らなかったり、大好きなフォルデスやルビンシュタインとの写真も。コンクール優勝8年後のヴァン・クライバーンのメッセージも印象に残りました。
  

そんな話をしている間に新たに来店されたのは、京都から来たという和服の女性。そういえば少し前にお店までの道を尋ねる電話がかかってきていました。ツィッターでお店の事を知り、初めて目黒駅で降りてわざわざ訪ねて来たそうです。

その方は、新造船の「シンフォニー」という名前に惚れ込んで初夏に地中海クルーズを予定しているとか。声楽を勉強しにモーツァルテウムまで行き、ヴァイオリンも弾くそうです。ふと見るとその方の和服は、黒地に白でヴァイオリンの柄で染め抜いてあるもので帯はチェンバロの鍵盤の柄でした!「筋金入りの音楽好き」とお見受けしてお話に仲間入りさせて頂きました。

フランス音楽の話から「ショーソンが好き」という話題になり、詩曲やコンセールの話で大いに盛り上がりました。ドビュッシーやラヴェルならともかくショーソンを語れるなんて!と容平さんも嬉しそう。早速にP.ロジェとイザイQのコンセールのCDをかけてくれました。

ちなみに容平さんはデュカスのピアノ曲も大好きだそうです。どんどんディープな話に進展していきました。

クラシックの音楽バーというと一般的には「音楽を専ら聴くだけの人」が集まってウンチクを語り合うイメージがありますが、ここは演奏する人、調律する人、教える人など様々な立場からプロとして、アマチュアとして音楽に関わる人達が集っているようです。美味しいお酒と料理があり、味わいのある響きの音楽が流れる空間は、音楽好きにとって特別な居心地の良さを感じました。容平さんとお客さんが織りなす雰囲気の魅力に惹かれて、私は早くも再びここに来る機会を考えていました。次回7/7の「ライヴ・イマジン40」のチラシが出来上がったら、何人かを誘ってまた訪れてみようと思っています。

「小劇場」での調律

2018 FEB 27 1:01:29 am by 吉田 康子

ライヴ・イマジン39の本番会場は、落語や踊りの会といった和風の催しの為の舞台でした。1年前の抽選で音楽用のホールにことごとく落選してしまい、演奏に不利なのを承知の上でやむを得ずの選択でした。公演開催については、会場ありき、が大前提で背に腹は代えられない気持ちでした。

今回の会場は「小劇場」という名前の通り、舞台の上下左右全てに反響板が無く音が四方に散ってしまう仕様、要するに音響については配慮されていない作りでした。しかも楽屋は舞台袖の延長上の廊下の両脇にあって仕切りの扉さえありませんでした。上演中に楽屋出入りの物音まで舞台に筒抜けになる状態。それなのにトイレの奥には使われないようなシャワー室までありました。また舞台上に仮設される反響板も衝立のような気休め程度、舞台の演奏者同士の音が聞き取りにくい状態でした。

そしてピアノは開館以来使われているヤマハの30年前のフルコン。しかも保管がピアノ庫ではなくて空調の無い物置のような舞台脇の倉庫。大道具小道具と一緒に仕舞われている状況を見て、これでバッハの協奏曲を弾けるのだろうか?と不安を感じ何としても調律を頼まなければ使い物にならないかもしれないと心配になりました。家のピアノを調律して下さる齋藤さんにお願いしたのは、半年以上前だったと思います。幸いにも齋藤さんの予定が空いていたので、状況を伝えて調律をお願いしました。快く受けて下さったものの、申し訳ないやら心配やら。

当日会場入りしてピアノを舞台の本番位置に置いて貰ってすぐに取り掛かって貰いました。2時間弱の間で見違えるほどの音に仕上げて下さいました。後は本番まで沢山弾いて自分の音にして下さいと言われて、時間の許す限り弾いていました。ライトの熱や舞台の空気に馴染んで弾いているうちに少しずつピアノが鳴ってきたのが感じられて嬉しくなりました。

バッハの協奏曲はピアノを斜めに置いて、左側後方にヴァイオリンとヴィオラが立ち、右側手前にチェロとコントラバス、という位置で演奏します。ピアノや反響板の位置でも響きが変わってくるので、客席でバランスを聞いてもらいました。実際にピアノ位置40cmほど動かしただけで随分と聞こえ方が良くなりました。反響板をもっと前方に、というアドバイスも戴きましたが、リハーサル時間が無くて出来ないままになってしまいました。

大抵の音楽ホールでは顔パス出来るくらいの信頼と実績のある齋藤さんも、今回のような音楽が主流でない会場は初めてでした。古い運営体質のスタッフは「ハンマーでピンを回すのが調律作業」という認識があるのか、それ以外は認めないらしく逐一見張っていて、とても窮屈でした。

譜面台のレール上で手前を開ける位置にすると私自身が自分の音を聴き易くなる、といことで譜面台両側の裏に滑り止めのテープを貼ってくれました。通常よくある事で演奏後に跡を残さずに剥がせるテープでしたが、見張っていたスタッフの辞書には無い事だったのでしょう、「ピアノの塗装が剥がれる」と認めて貰えませんでした。

また鳴りが悪いFの音があったので、本来ならばピアノアクションを全部引き出してハンマーを削って調整をすれば解決出来たのに、やらせて貰えませんでした。こういう会場でスタッフの想定外の作業で押し切ってしまうと後々私達に迷惑がかかることを懸念して作業を諦めたようです。二短調の曲の主和音の1つであるFはよく出てくる音なので残念でした。

今回のピアノは20日間くらい空調無しの物置倉庫に入りっぱなしで使われていなかったこと、移動に際しては舞台スタッフの手が足りずピアノの扱いが素人である出演者に手伝って貰っていること、「1か月前に年一回の大々的な調整をしたから良いコンディションだ」という認識だけがあって実際の整音し過ぎ状態を理解出来ていないこと、などが実際のピアノの状態にどういう影響を与えているかを全く考えていない様子でした。

公共のホールではよくありがちの現実です。使用料金が安いのは管理運営のクオリティの低さも含みなのかと思ってしまうくらいです。開館当初は建物や楽器を含む備品に税金を投じて立派なものを揃えますが、運営を丸投げ委託してしまう為に生じるお役所仕事の典型です。

以前に世界の三大ピアノが自慢のホールで、そのうちの一台をロビーに放置したままになっていて真新しい本体に大きな傷がつけられていたのを見かけたことがあります。またピアノ庫が無くて舞台上の日当たりの良い片隅に常時置かれていたり、需要の無い人里離れたホールに最新の最上機種の高価なピアノを導入して殆ど使われない状況であったりと、枚挙にいとまがありません。哀しいかなカルチャーの差でしょうか。

会場のヤマハはフルコンといえど、素人管理のせいか鳴りの悪い響きの少ないものでした。バッハには合っていたかも?と多少前向きに考えることが出来ますが、やはり分が悪いです。ピアノ弾きは自分の楽器を持ち歩けないだけに、会場の楽器を最大限に使いこなさなければならないのは、大変なものだと改めて実感しました。

当初は午前中の調律のみの予定でした。1曲目のバッハ演奏後のピアノ移動までを手伝って下さる心づもりだったようですが、最後のアンコールでピアノを使うことを知って公演が終わるまでと考えられたようです。結局夕方の終演まで立ち合って下さいました。

「コンサートの仕事は必ず何か勉強させて頂きます。立会というより勉強させて頂く時間です。益々音楽の奥深さを求めご活躍下さい」との言葉を戴き頭が下がる思いでした。

ラストスパート

2018 FEB 22 13:13:08 pm by 吉田 康子

ライヴ・イマジン39終了から3日後に手首に入ったプレート除去の手術を受けました。担当医は「30~40分くらいの短い手術だから」と軽く言っていたせいか、私も気軽に考えていました。当日は緊急手術が次々と入ったようで私の順番は後回しに。午前10時の予定が午後になり、結局はお腹が空いて待ちくたびれた夕方からになりました。

歩いて手術室に行くと、担当医、もう一人の医者、看護師4名が待っていました。張りつめた気配で「いやいや、やっぱり短くても手術には違いない」という実感がひしひしと。今回は肩から指先までの部分麻酔。なまじか意識があると緊張も高まります。手術台の上に乗るとまさにまな板の上の鯉の気分。ドラマに出てくるような照明を「数日前は舞台のスポットライトだったのになぁ」と思いなが眺めていました。

歯を抜く時と同じで麻酔の最初に痛みがありましたが、すぐに無感覚に。手術中も切ったり、ボルトを抜いたりの感覚だけで不思議な感じでした。「プレート持って行く?」と訊かれたので「記念にください」と。麻酔が効いている腕は自分のものではないみたいに重くて「死体の腕ってこんなもんかしら?」という感じ。一晩眠っているうちに徐々に自分の腕が戻ってきてようやく安心しました。

貰って来たチタン製プレートです。思ったより小さくて重さを測ってみたら全部で5g。これが私の腕を支えていたんだなぁと感慨深いです。レントゲン写真を見ながらパズルのように組み合わせてよく見えるように容器の蓋に載せてみました。一週間後に消毒、その一週間後に抜糸です。完治までもう一息です。

オリ・ムストネンの印象

2018 FEB 11 17:17:18 pm by 吉田 康子

 
オリ・ムストネン ピアノリサイタル  
2018.2.10(土)14時開演 
すみだトリフォニーホール

■シューマン:子供の情景 op.15
■プロコフィエフ:ピアノソナタ 第8番 変ロ長調「戦争ソナタ」op.84
■ベートーヴェン:ヴラニツキーのバレエ「森のおとめ」のロシア舞曲の主題による12の変奏曲 イ長調 WoO.71
■ベートーヴェン:ピアノソナタ 第23番 へ短調「熱情」op.57

オリ・ムストネンのピアノリサイタルに行ってきました。彼の名前はピアニスト・作曲家として知っていました。また友人であるチェリスト、スティーヴン・イッサーリスの共演者という存在でもありましたが、演奏を聴くのは初めて。
彼の写真はいつも口を一文字に結んで何か言いたげにこちらを見ているものばかりでしたが、実際にステージに現れた様子は笑みを浮かべて穏やかな表情。

最初の曲、シューマンの子供の情景のは、私も弾いたことのある曲でしたが、美しい旋律を期待していた気持ちは冒頭部分から裏切られました。出だしの音が聞こえないくらい微かなものだったのに比べて3つ目の裏拍がアクセントごとく強打されてビックリ。わずか1ページの短い曲に本来知っていた旋律が違うフレーズと色合いを持っての演奏。腕を大きく回したり、手首をヒラヒラさせながら中に浮かせる様子に客席は戸惑いの空気が漂い、それとは対照的に彼はどの音も確信を持って弾き13曲から成るこの曲集を全く違ったものに聞かせました。

「聴き慣れた作品に新たな光を与えるもの。即興性と刺激に満ち、鋭敏な完成が隅々まで息づき、作品が今生まれたようなみずみずしさを放つ」という評論家の言葉がチラシに添えられていましたが、なるほど上手い事を言ったものだと感心。

続くプロコフィエフは、彼のアプローチがピッタリとハマる感じで鋭利なリズムや複雑な和声が説得力を持って迫ってきました。強靭なタッチと繊細なフレージングは十分な技巧と沢山の音のパレットを持っているのが伺われ、それを存分に駆使しての構築に圧倒されました。

後半のベートーヴェンの変奏曲と熱情ソナタは、もはやベートーヴェンに聞こえない、という印象。これが試験やコンクールだったら?と考えるのは野暮な話なのでしょうか?天才鬼才としての定評があれば、何でもアリで許される?結局のところ彼にとってこれらの作品は、作曲家の意図を汲んで表すものではなくて、自分の表現に置き換える素材でしかないのでは?と思い当りました。そういえばイッサーリスも「彼はいつも新鮮なアイデアを提供してくれる」とは言うものの、ベートーヴェンやショパンを一緒に演奏することは無さそうです。

演奏に際しては、楽譜持参で譜面台に楽譜を置き、しかも脇には譜めくりの人までずっと座っていました。アンコールのバッハも知らない曲に聞こえて不思議な感じがしました。先に読んだ本のランランとは全く違った世界を歩む人として特異な存在であることを強く印象付けられました。

ライヴ・イマジン39のご案内

2018 JAN 29 0:00:42 am by 吉田 康子

ご無沙汰しているうちに年が明け、いよいよ2月の本番が迫ってきました。大曲ばかりを並べた渾身のプログラム。弾きごたえ、聴きごたえたっぷりです。

また私にとっては昨年夏の骨折からの復帰公演でもあります。手術の痕は随分と目立たなくなりましたが、まだ左手首には骨折の際のプレートが入ったままです。チタン製で7本のボルトで固定してあります。「金属が入っていたら重厚な音がするかも・・」と冗談を言う人もいましたが、そういう恩恵があるかどうか・・・いずれにせよ今は手首が硬いものの弾く時には支障ありません。演奏については今迄の公演と同様、私の努力と練習次第ということになります。この公演の3日後にプレート除去の手術を予定しています。2週間後の抜糸から2週間あとに生徒の発表会があるので、とてもタイトなスケジュールです。

先週事前検査で病院に行ってきました。時間が経つにつれて目先の事に紛れていた入院時のことがフラッシュバックしてきました。それと同時にここまで回復出来た今に感謝する気持ちも。しかもバッハの協奏曲でカムバック出来るなんて幸せなことです。精一杯の準備をして本番に臨むつもりです。皆様、どうぞお越し下さい。

ライヴ・イマジン39
2018年2月17日(土)13:30開場 14:00開演
江東区深川江戸資料館 小劇場

バッハ ピアノ協奏曲 第1番 ニ短調 BWV1052
ショスタコーヴィチ 室内交響曲 ハ短調 Op.110a
メンデルスゾーン 弦楽八重奏曲 変ホ長調 Op.20

ヴァイオリン 前田 秀 玉城 晃子 亀井 葉子 小川 敦生
ヴィオラ   内田 吉彦 吉水 宏太郎
チェロ    西村 淳 金田 千畝 
コントラバス 櫻澤 有紀子
ピアノ    吉田 康子

入場無料(要整理券) 未就学児童の入場はご遠慮下さい。

入場整理券をご希望の方は、下記の問合せ先アドレスに
お名前 ご住所 電話番号 年齢 職業 コメントを添えて
「ソナーブログを見て整理券希望」とご記入下さい。
折り返し上記の葉書(入場整理券)をお送りします。
お問い合わせ  liveimagine@yahoo.co.jp

バッハを弾くということ

2017 DEC 25 18:18:49 pm by 吉田 康子

なんて偉そうな事は何も書けないのですが、とにかく今は2月本番のバッハのピアノ協奏曲第1番に没頭しています。
バッハの演奏ということで私の中で振り返ると、2013年1月のライヴ・イマジン23でのバッハ特集での室内楽曲が思い出されます。協奏曲については、ブランデンブルグ協奏曲第5番第1楽章の長いソロに憧れて10年ほど前に仲間内の発表会で弾いたことがあるくらい。今回プログラムの構成上、バッハの協奏曲のいずれか、という提案をされた時に6曲全部を聴いて検討した結果、一番立派で完成された感のある第1番に決めるのには迷いはありませんでした。自分の実力を顧みず、やはりその時に一番良いと思われるものを選ぶという「ショートケーキはイチゴから」のポリシーは変わりません。大変ですが、得るものも大きいかと。

とまぁ前置きが長くなりましたが、このバッハで夏の骨折からの復帰を目指しています。それだけに並々ならぬ意欲で取り組んでいますが、譜読みからして音符が多いこと!しかも殆ど休み無し。とにかく音符を音にするだけでも精一杯の状態で弦楽器と合奏の日を迎えましたが、解らない事だらけ。「バッハの作法」とでも言うのでしょうか。自分の無知を痛感しました。年内最後の合奏練習の前に何とかしたい、何らかのアドバイスをお願いしたいとピアノの先生と田崎先生にレッスンをお願いしました。

ピアノの先生は初見でオケパートを弾きながらのご指導。現役で演奏活動をなさっている方だけあって、ご自身が弾き振りをした経験についても具体的に教えて下さいました。音の出し方、音色、指使い、手や腕の使いかたなど、それぞれが強い説得力を持っていました。

そして、それを自分のものにする間もない数日後に田崎先生のレッスン。開口一番の「この曲をどんなふうに弾きたいのか?」という想定外の問いにしばし言葉を失いました。バッハに限らず、音楽で大切なのはフレージング。それを決めるのは和声。バッハの和声は明確でわかりやすい。和声を理解した上で、それをどう表現するのか。様々な方法を駆使して伝える自由を奏者に(特にこの曲の場合は独奏者に)委ねている。

とここまで言われると、おバカな私に弾けるのだろうか?と茫然自失。やはり賢くないと音楽は出来ないと改めて痛感。数学、天文学に並び称された音楽。あまりに崇高なところにあって、私にも手が届くのだろうか?とさえ思えてきました。

見かねた田崎先生が手を差し伸べるかのように、第1楽章の冒頭部分を題材にして具体的なアドバイスをして下さいました。それはピアノの先生の指導内容とも同じ方向を向いていて、やはりこれが正しい方向だと確信できるものでした。

演奏者がフレーズを理解した上で演奏しなければ、切れ目も抑揚も無いものになってしまう。そうなるとお客さんは聴いていて訳がわからなくなって、退屈して寝てしまう、のだそうです。そうそう、と妙に納得出来ます。それにしても、全曲をきちんと見直さなきゃ、と膨大な宿題に眩暈がしそうな気分でした。

で、昨日がメンバーとの合奏練習日でした。レッスンの内容を皆に伝えて、弾きながらアイデアを出し合っていきました。皆で共有することで骨格がしっかりしてきたように感じました。そして最後に田崎先生のアドバイス通りの配置で、立って演奏してみました。ピアノの周りに弦楽器奏者が取り囲むように立って弾くと、各自が弾いている音が明確に伝わり、音楽に包み込まれるような感じがしました。この心地良さは病みつきになりそうです。立って弾くだけでこんなに違うなんて!目からウロコ状態でした。

また各奏者の立場からも私の様子がよく見えること、良い姿勢で良く響く音が出ること、ピアノ自体に弦楽器の音が共鳴して深い響きになること、などなど良いことづくめでした。「立って弾くのは子供の時の発表会以来だ」とか「しっかり立っていられるように足腰を鍛えなきゃ!」と誰かが言い出して「筋トレでもするか?!」みたいなご意見も。和やかなうちに練習を締めくくりました。

ようやく大きく一歩前に踏み出しました。本番の2/17までもう2ヶ月を切りました。まだまだ課題山積ですが、また新たな気持ちで取り組んでいきます。

代官山コンサートシリーズ 第6回 ラインハルト・オッペル作品の試演と後期ロマン派様式

2017 DEC 5 23:23:10 pm by 吉田 康子

ライヴ・イマジンの演奏会で度々ご一緒して頂いているヴァイオリンの前田 秀さん、薫さんご夫妻が年末に行う演奏会のご案内です。
 ■平成29年12月29日(金)19:00開演  
  代官山教会 東京都渋谷区代官山町14-3  (詳細はチラシをご覧ください。)

前田秀さんは、2015年10月ライヴ・イマジン32でR.シュトラウス「メタモルフォーゼン」を演奏するにあたり、資料を調べていて北テキサス大学のジャクソン卓越教授とお知り合いになりました。そのご縁がきっかけでオッペルの弦楽四重奏曲第4番に取り組むようになったと伺っています。以下、前田さんの文章を引用させて頂きます。

北テキサス大学のジャクソン卓越教授からのご依頼により、ラインハルト・オッペルの弦楽四重奏曲第4番の蘇演に取り組んで参りましたが、この度、雁部一浩先生のご尽力によりコンサートを開催することになりましたので、ご案内させていただきます。
 オッペルは、19〜20世紀のドイツの作曲家であり、フルトヴェングラーも強い影響を受けたハインリヒ・シェンカーの弟子です。ナチスに批判的だったせいか、その作品は日の目を見ないまま現在に至っております。今回、おそらく日本初演となると思われます作品群は、いずれも後期ロマン派の第一級のものであることは間違いありません。また、今回主催されておられます雁部先生の作品や、ほぼ同時代であるR.シュトラウスやM.レーガーの作品を併せて演奏することにより、オッペルの作品の特徴が分かりやすくなるのではないかと思われ、皆様に貴重な機会をご提供できますことを大変嬉しく思います。

この会についてのお問い合わせ先は、 concertoppel@gmail.com です。
ソナーメンバーズのブログをご覧になった旨お書き込み下さい。ご招待させていただきます。

前田 秀

■チラシの上でクリックすると拡大画像がご覧いただけます。

発表会の選曲

2017 NOV 29 13:13:32 pm by 吉田 康子

来年3月に生徒の発表会を予定しています。私はいわゆる「街のピアノの先生」で、近所の子供たちにピアノを教えています。
今は、幼稚園の年中組(5歳)から大学2年生(20歳)までの生徒10数名。毎年友人のピアノの先生と一緒に発表会をして、次回が18回目。その前に別の場所でも2回おさらい会をしているので、はや20年になります。会場は近くの300名定員のホールでベヒシュタインのセミコンサートグランドがあります。

地域によってはコンクールやグレードなどの格付けに熱心で、その成績がそのまま先生の評価になるという所もあるようですが、私は興味がありません。楽器を演奏するにあたっての基本的な技術や知識の習得をした上で音楽の楽しみを伝えられたらと思っています。音楽がそれぞれの子にとって長くお付き合いできる友達になれたらいいなと。日本ならではのお墨付き願望でしょうか、昔のソロバンから始まって習字やスイミングに至るまで○○級というようなランク分けが幅を利かせているように思います。何かの競技会で勝てるタイムとか受験の為の偏差値獲得など、明確な数字と目標のもとに評価できるものであれば、客観的な指針となると思います。音楽の場合もプロとしてやっていくならコンクール優勝みたいな「勲章」が必要でしょうけれど、楽しみで続けている生徒を他人の評価に委ねる気持ちはありません。

そろそろ発表会の曲決めの時期になり、大変な手間暇がかかるものの楽しみでもあります。それぞれが独奏と連弾を弾くので結構な数を選び出さなければなりません。年々増えていく楽譜の整理を兼ねて目を通していると、自然と「この曲はあの子に」みたいに顔が思い浮かびます。
私が子供の頃に習っていた先生は、先生自身の数少ないレパートリーの中から順列組み合わせ的に生徒達に与えていたので、毎年似たような曲ばかりだったのが不満でした。
発表会は公の場での生徒の勉強成果を披露する場ですが、それは同時に指導者の勉強の成果の発表でもあると思います。私の「先生」としての名刺代わりみたいなつもりで、毎年総入れ替えで前回とは違う曲を選ぶようにしています。

そして最後に先生の演奏、ということでもう一人の方との連弾が恒例です。20回もやっていると主だった連弾曲には挑戦済みですが、前回はなんとメンデルスゾーンの弦楽八重奏曲を作曲者がピアノ連弾用に書き直したものを見つけ、終楽章のプレストを弾きました。こちらもまだまだ楽しみが沢山ありそうです。

切手の世界

2017 NOV 17 22:22:28 pm by 吉田 康子

目白にある切手の博物館に行ってきました。実家から古い切手帳を預かり、処分を頼まれたのがきっかけでした。一体どうしよう?と思いましたが、知人から郵趣協会に訊いてみたら?というアドバイスを戴きました。
http://yushu.or.jp/index.html
早速電話をして相談すると2か月に一度のオークションに出品してくれるとのこと。お値打ちものは無いですが折角集めたものを捨てるには忍びない、そんな状況を一気に解決してもらった感じでした。HPを見ると、ブラームスについての展示をやっているとのこと、折角の機会ですから足を運んでみた、という次第です。

博物館は目白駅から学習院大学に沿って徒歩5分ほどのところ。入口にはストライプのポスト、中に入ると切手を販売しているコーナー。それが外国と国内のものだけでなく年代、図柄の種類によって分類されて展示されていました。もちろんコレクター向けの雑誌、切手帳やピンセット、ファイルまで。
催し物の掲示板には「昆虫切手の研究会」とか「世界のキノコ切手展示会」のお知らせや、押印技能講習会、各地での切手交換会など、切手にまつわる催し物がこんなにあるのかと驚きました。


お目当てのブラームスの展示の部屋では、音楽関連の切手を所有する各コレクターのご自慢の切手やスタンプ、現地撮った写真などが初日カードに添えられて、パネルに沢山展示されていました。ブラームスだけでなく、ベートーヴェン、ワーグナーなど一つのテーマに沿って多岐にわたる音楽切手の世界が展開されて、なんだか思いがけずディープな世界を垣間見た気がしました。そういえば1963年の映画「シャレード」にも切手が出てきたっけ、と思い出しました。

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