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IMF レガルド専務理事との思い出 

2012 OCT 14 4:04:50 am by 安岡 佳一

IMFレガルド専務理事との思い出

実はレガルドさんとは一度お目に掛かった事がありまして、その時にこの方の人となりを垣間見る事が出来て思い出深いミーティングになりました。
その経験をメンバーの方々に共有したいと思います。

それは、約3年程前に親しくしているNYSE(NY証券取引所)の幹部の一人から、今度フランス史上初の女性財務相がNYSEにいらっしゃるのだけど、朝食会に出るかと言う誘いを受け、何の気無しに面白そうだから行く旨を伝えました。

私は当初ゲストは100人以上来ていてその内の一人だろうと高を括って行ったところ、案内されたのは意外と小部屋で中央に丸テーブルが一つ、
客席は約10席弱、そこにナイフ、フォーク、グラス等が恭しく並べてあり、既に何人かゲストと思しき人たちが壁際に立っていました。 そこに、私の友人が現れ恭しくゲストに挨拶をし、レガルド財務相は数分後に到着する旨を伝えました。 私は直ぐに彼を捕まえて、ゲストはこれだけかと誰がゲストとして来ているのかを聞いてたところ、彼は胸ポケットから紙を取り出しそっとリストを見せてくれましたが、非常に驚きました、ゲストにはアメリカンエクスプレス、ファイザー、ユナイテッドテクノロジー、P&G,スターウッド等々の何れもCEOです。 どう言う訳か、アジア人では私一人、当時は私は三菱UFJ証券USAの副社長をしておりましたが、どうひいき目に見ても役職他全てに於いて馴染めないメンバーです。 私は、当友人に対してどうして事前に教えてくれなかったのかと小さい声で抗議すると、「No Problem」の返答でした。 ドキドキしていると、レガルド財務相が登場しゲスト一人一人と握手と簡単な挨拶を交わし、私と挨拶を交わすときは「コンニチハ」と来たものですから、「ボンジュール」と答えたのを憶えています。 一通り挨拶を終え、ホストのNYSEのダンカン社長が皆の着席を促し、朝食会が始まりました。 最初に、ダンカン社長がレガルド財務相の略歴を紹介し、なぜ本日NYSEにいらしてこの朝食会を行うか等の主旨を説明し、バトンがレガルド財務相に手渡されました。 この時、やっと本日の主題は、米国企業をフランスに誘致する事とNYSEと合併しているパリのユーロネクスト証券取引所への上場勧誘が目的である事が分かったと言う、何ともお粗末な状況でした。 そこに、どうして私がと思ったのは、当友人がMUFGはNYSEに上場しているがユーロネクストには上場していない、米国企業だけでなく異色の日本企業も入れて置いた方が良いだろうと言う非常にアバウトな考えから、誰にしようかと考えていたところ当友人と共にダンカン社長とも面識がかなりある安岡と言う判断に成ったようです。 経緯は兎も角、当朝食会ではレガルド財務相に圧倒されました。 先ずはあの独特のアクセントがあるフランス人であるのにあまり癖の無い英語で流暢に話せる事。何でも米系の大手弁護士事務所のパートナーの経験が長かった様で、米国英語とアメリカ人の気質を知り尽くしているとの事の様でした。 話のポイントが非常にクリアな事。 今回はフランスが如何に労働環境が変わってきたかを強調し、昔の様な超長期のバケーションは無いとか、1週間の労働時間制限は伸ばしたとか、フランスに進出した場合研究費は1億ドルは税額控除にする事、そして一番驚いたのはユーロネクストに上場する場合は、NYSEに上場している限り非常に簡便な審査だけで終わり、株式をオファーする際の目論見書は英語で良いと言う事です。  あの文化意識が世界一高いとされるフランスの財務省が英語で米国企業の誘致に熱弁を振るい、且つフランス語に対するプライドは勿論世界一拘っているフランス政府のトップの方から、英語の目論見書で良いと言う言葉を聞き、正直耳を疑いました。 レガルド財務相は当たり前の様な顔で熱弁を振るっていました。 又、ひとりひとりのゲストに対して御社はフランスで云々の活躍をされていますね等々の話をされて、充分下準備をされている事がよく分かり又俄か勉強で無い事もよく分かりました。 例えば御社の誰々と先週会ったとかの下りも結構あり、外資系の民間企業にも頻繁に会って意見交換している事がよく分かりました。 何だか自分の番になるのが恐ろしくなってきましたが、レガルド氏はMUFGの事はよく知っており例のリーマンショックではモルスタ救済の決断は見事だったとのお褒めのお言葉と何と私とダンカン社長の間柄の事までご存知で、この様な日本人が今後の日本の国際化の時代に必要だと褒め殺し状態で恐縮したのを覚えています。 この朝食会中は、お付きの人とか官僚が横からサポートをする様な野暮な事は一切無く、彼らは壁際に静かに座っていただけでした。 帰り際には、ひとりひとりに対してNYSEから土産としてレガルド財務相と朝食を共にしたと言う記念のメダルをレガルド財務相から直々に頂き、お見送りした次第です。 その後、部屋に残されたCEOの方々は私が感じた様な感想を持たれた様で、脱帽だと言っており、将来必ず彼女はもっと上の位、フランスの大統領にも充分に成り得るだろうと話していたのを覚えています。 何とも凄いスーパーレディーで、今週行われていたIMF総会でもリーダーシップを発揮されていると思います。

以上

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