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お勧めの日本の戦争関連映画

2013 SEP 5 15:15:35 pm by 中村 順一

先日、映画の「終戦のエンペラー」を見た。第二次大戦直後の日本の戦後処理を描いた米国製作映画である。米軍の知日派ボナー・フェラーズ准将と日本女性の”あや”との恋愛を絡ませるフィクションが入っているが、全般的には、日本に対しても昭和天皇に対しても、好意的な映画なので、ほっとした。皆さんにも是非見ていただきたい映画である。

ところで、以前ヨーロッパの戦争関連映画のお勧め作品について書いたが、日本の関連は書いていないので、今回「終戦のエンペラー」以外で、私のお勧めする映画を挙げてみます。

 

1:「硫黄島からの手紙」

クリント・イーストウッド監督の2006年公開の米国製作映画。昭和20年の2月から3月末までの硫黄島に於ける日米激戦を、日本軍の指揮官、栗林忠道陸軍大将(演ずるのは渡辺謙)を中心に描いている。米軍は、硫黄島への上陸前に「作戦は5日間で終了する」と豪語していたが、栗林の地下陣地を活用する持久戦に悩まされ、戦闘は36日間続き、結果的に戦死者6821人、負傷者21865人を出し、死傷者の数の合計では勝者の米軍が敗者の日本軍を上回ってしまった。栗林は米国駐在の経験がある戦略家で、当時、突撃玉砕を繰り返した日本軍にあって持久戦を導入、米軍上陸部隊司令官のホーランド・スミス海軍中将は「硫黄島は、過去海兵隊が出会った最も苦しい戦闘の一つ、栗林は太平洋で戦った敵の指揮官中、最も勇敢であった。」と戦後回想している。

クリント・イーストウッドは、絶海の孤島で孤立無援、しだいに追いつめられていく日本の男たちを「日本だけでなく、世界中の人々に彼らがどんな人間であったかを是非知ってほしい。」という考えで映画を製作しており、軍人である前に、家族思いの夫であり、子煩悩な父としての栗林を描いている。

 

2:「二百三高地」

ちょっと古くて1980年の東映映画。出演は仲代達矢(乃木将軍役)、あおい輝彦、夏目雅子、丹波哲郎(児玉源太郎役)、森繁久彌(伊藤博文役)等である。日露戦争の旅順、203高地の日露両軍の攻防戦を描いた作品。東京での、あおい輝彦と夏目雅子の恋愛、出征したあおい輝彦の演ずる一兵卒の死、テーマソングの「愛は死にますか」が

印象的である。乃木を手厳しく描写しており、司馬遼太郎の「坂の上の雲」からの引用が多い。

伊藤博文が、金子賢太郎(天地茂)を、米国が日本に対し好意的になってもらうべく交渉させるために米国に送り出す場面、児玉が乃木を説得して第3軍の攻撃主要目標を203高地に変更させる場面、などはかなり感激的。僕は、この映画のビデオを何回も見て結構泣いています。最近NHKで放映された「坂の上の雲」に繋がる映画で、今は亡き夏目雅子も本当に綺麗でした。

 

3:「太平洋の奇跡の作戦  キスカ」

これはもっと古く、1965年の公開の東宝映画。昭和18年(1943年)に日本海軍によって行われたアリューシャン列島、キスカ島からの撤退作戦を題材にしている。当時、アリューシャン列島は日本軍が侵攻していたが、昭和18年5月には米軍は大挙してアリューシャン列島のアッツ島に上陸、日本軍守備隊は玉砕していた。アッツ島の傍にあるキスカ島の日本軍は孤立、制空権は完全に米軍、キスカ島の玉砕も時間の問題となった。海軍はキスカ島守備隊5200名を撤収させる為、木村昌福少将率いる第一水雷戦隊をキスカ島に派遣、見事に全将兵の救出に成功する。木村少将役は映画では三船敏郎であったが、僕が、太平洋戦争時の海軍で最も好きな司令官の一人である木村少将をリアルに演じていた。私事だが、この映画は今はいない僕の親父と一緒に見に行ったのをよく覚えている。僕の父方は海軍一家で親父も海軍の大尉だった。親父とはほとんど映画に一緒に行ったことなど無いし、厳しい親父だったのだが、この時はキスカ湾に入港する日本艦隊を見ながら、親父が泣いていたのを鮮明に覚えている。

親父は、海軍士官だった兄も弟も戦争で失っており、万感迫るものがあったのだと思う。

太平洋戦争は、日本軍が負けていくシーンばかりなので、元気が出ないが、この映画は作戦が成功することもあり、後味はいい。僕にとっては親父の思い出という特別な意味がある映画なのだが、円谷英二による霧の中を進む艦隊のリアルな特撮や、団伊玖磨による音楽も当時評判になっており、皆さんにもお勧めできる。

 

戦争は、ある意味で人間の究極の状態であり、人間の良さや浅ましさが露骨に出てきやすいのである。我々が生きていくうえでも参考になることが実に多い、と常々考えている。その人間の究極の姿を描くものとして、戦争関連映画は見るに値する、と僕は思っている。

 

 

 

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