Soner Menbers Club No43

Since May 2014

6番の本番終わりました。

2019 APR 15 21:21:29 pm by 吉田 康子

4月13日(土)にライヴ・イマジン42が終わりました。詳しくはこちらをご覧ください。http://liveimaginemusic.blog91.fc2.com/

先の記事の通り、この日はモーツァルトピアノ協奏曲第6番変ロ長調K328の本番でした。
モーツァルトの音楽に酔い、舞って歌って存分に楽しみました!

この曲は本番1か月前にレッスンを受けました。ここまで仕上がって来ないと師匠のアドバイスを活かせないという自分の判断は正しかったことを確信出来ました。基本的な点での指導でなくプラスアルファが欲しかったので、大きな収穫がありました。師匠はいつもスコアから初見でオケパートを弾いて下さるのですが、それだけで我を忘れて耳が持って行かれそうになることも度々。

独奏の冒頭部分から音の出し方や余韻の残し方、和声の変わり目やフレーズなど沢山の事を教えて頂きました。私と同じように楽譜を見ているのに、何故これだけ沢山のものを引き出せるのだろう?とあまりの大きな違いにタメイキが。

その後のメンバーとの合奏練習は全て録音して聴き直しました。自分の演奏を聴くのは、現実を目の当たりにするので辛いものがありますが、そのままお客さんにも聞こえる事を考えれば、少しでも早く修正しないと、という気持ちが勝りました。

それと同時にもう一度参考にしていたCDも聴き直しました。何がどう違うのか、どうやったら1ミリでも近づけるか、実際に弾いて聴きながら練習を重ねました。内田光子の左手は何故よどみ無くレガートに聞こえるのだろう?シフの溌剌とした右手のタッチはどうやったら?と。他の演奏も聴きましたが、細部に至るまで神経の行き届いた演奏には遠いものばかり。この2人のトップクラスの実力をまざまざと見せつけられた感じでした。

1楽章のカデンツァで内田光子のように美しいアルペジオを入れたいと思っていました。こういう変奏は密かに仕舞っておいて本番だけにやるものだ、という師匠の言葉に頷きながらも、本番だけ弾けるのだろうか?という心配も。

本番前のリハーサルの出来は最悪でした。私によくありがちですが、その場の空気に馴染めない、楽器の勝手が判らない、という点が相まって普段間違えないようなところも引っかかってボロボロ。自分の情けない有様に驚くほどでした。

ピアノの場合はその日にそこにある楽器で演奏しなければならないので、「時間の許す限り弾いて自分の楽器にして下さい」と以前に調律師の方に言われた事を思い出し、他の曲のリハーサルが終わった時間を見計らって舞台でずっと弾いていました。

ファッツィオリは相変わらずの美しい透明感のある音色で応えてくれましたが、以前に比べて輝きが褪せて、音の伸びが少なくなったように感じました。やはりこのホールの管理の悪さが露呈したようです。徐々に楽器の劣化につながっているように思えて、何ともやりきれない気持ちになりました。

そうは言っても楽器のせいには出来ないし、言い訳になりません。腐っても鯛、スタインウェイがベンツならファッツィオリは、潜在能力を秘めたフェラーリです。

開場時間直前まで弾き続けて、ようやく自分の手の内に取り戻した実感を得られました。あとは本番に臨むだけです。

協奏曲の冒頭部分から自分のソロが始まるまで、オケの演奏を聴いているのは何事にも代えがたい高揚感があり幸せです。アレグロ・アぺルトの表示の通り溌剌とした輝くような明るさに酔いそうでした。弾きながらもトリルが遅いとか、レガートが足りないとか自分の実力の足りなさに情けない思いをしながらも、持っていないものは出せないし今ある力を精一杯・・という思いで弾き切りました。

自分の演奏に「満足」というのはきっといつまでも無いのでしょうけれど、今の時点での「納得」を得られた本番でした。

(写真の上でクリックして下さい。大きな写真がご覧いただけます)

Categories:ライヴ・イマジン

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