「ライヴ・イマジン45」やります!
2020 JUL 2 18:18:31 pm by 吉田 康子
2020年7月24日(金祝)13:00開場 14:00開演
豊洲シビックセンターホール
モーツァルト レクイエム ニ短調(弦楽四重奏版)抜粋
ベートーヴェン ピアノ協奏曲 第1番 ハ長調 Op.15 (弦楽五重奏伴奏版)
ベートーヴェン 弦楽四重奏曲 第12番 変ホ長調 Op.127
内田 明美子、山田 洋子(ヴァイオリン)内田 吉彦(ヴィオラ)
西村 淳(チェロ)北村 隆男(コントラバス) 吉田 康子(ピアノ)
この日は、本来であれば東京オリンピックの開会式の筈でした。オリンピックに全く興味が無い私は1年前の抽選で当選したのを単に「ラッキー」だとしか思っていませんでした。後になってビックリ!どうりで倍率が低かった訳だと納得。しかも会場は選手村の近くの豊洲。交通規制がかかるかも、なんて心配を先送りにしているうちにオリンピック自体が延期という想定外の事態に。
振り返ってみれば前回の「ライヴ・イマジン44」も2/8でしたから、コロナ禍前のギリギリでした。その後の急転直下ともいうべき状況の悪化は現実の事とは思えないほどです。タイミングも運のうち、かもしれません。
緊急事態宣言中は練習場が閉鎖され、楽器を持って出かけられない重苦しい空気でした。「開催出来るのだろうか?」それさえ不確かな中、最終決断は6月末と決めました。とにかく「やる方向で準備をしよう」と個人練習を重ね解除を待ちわびていました。今回は特にイケイケの前向きメンバーであったことも良い方向に作用しました。またリモートワークに移行した人は通勤時間が無い分だけ練習時間を確保出来たという思わぬご利益も。
そんな折の5/2にヤフーニュースに掲載された作家 平野啓一郎さんの文章に背中を押して貰ったような気分になりました。
作家・平野啓一郎が見通す「新型コロナの2020年代」
音楽や演劇など、芸術・文化への深刻な影響も懸念されています。
「芸術とは何のためにあるのか?」「大して役に立たない」と言う人もいますが、いまほど、多くの人々が熱烈に「コンサートに行きたい」と言っている瞬間もないでしょう。芸術・文化が社会に不可欠だと骨身に染みている。守らなければいけないし、そのための補償を、政府は責任を持ってするべきです。
僕は、コロナ明けに行く生のコンサートは、どんな音楽でも泣く自信があります。1曲目から最後まで泣き続けているかもしれない。演奏家も泣いていると思う。いま想像しただけで涙ぐんでしまう。
これは、早いもの勝ち、やったもの勝ちでしょう。やはり新鮮に感じて頂けるうちに皆さんに聴いて欲しいと思いました。2011年東日本大震災の1ヶ月後のライヴ・イマジン14を彷彿とさせるような今ならではの特別な付加価値を感じます。
今回は、演奏以外にも緊急事態宣言明けという特別な時期ならではの対応に迫られました。ようやくステップ3に移行したところなので、会場の定員300名の半分150名しか入場出来ません。いつもなら出来るだけ多くのお客さんにいらして頂きたいのですが、今度は事情が違います。150名を絶対に超えられないだけに、いかに人数を調整するかが大きな課題でした。
先ずは出演者の知人を最小に抑えて前回公演に来場してアンケートに住所氏名を書いて下さった方を最優先に。その後ブログと演奏会情報掲示板「コンサートスクエア」に公演案内を掲載。
やはり待っていた方々がいました。掲載して2日で次々と応募があり、あっという間に予定数に達して締め切りにせざるを得ません。既にご案内を出したお客さんの中には都合で来られない人もいるでしょう。その分だけ是非聴きたいという方をと思いましたが、予想が出来ないだけに苦渋の決断を迫られました。応募締め切りと書いている最中にも滑り込みでの申し込みがあり、待ったなしの状況でした。
応募された方々からは「難しい時勢にあって、コンサートを実施される志、素晴らしいと思います。音楽ファンとして素直にうれしいし、心強く思います。」「ずーっと中止で、火が消え失せたような毎日でした。再開本当に嬉しいです。楽しみにしています。」「久しぶりに生の音楽を聴くことができれば、こんなに嬉しいことはありません」こんなコメントを添えて頂き、大いに励まされました。
ホールスタッフとの打ち合わせも早めに済ませました。感染拡大防止策として何を要求されるんだろう?と戦々恐々として身構えて行きましたが、拍子抜けするほどの緩めの雰囲気。江東区文化コミュニティ財団の施設利用に関する要請はステップ2から更新されていないままでした。仰々しい文章に、検温、マスク着用、手指の消毒、換気、ソーシャルディスタンスなどに加えて、来場者の記帳も義務付けられていたために開演時間を早めましたが、ステップ3になったので記帳不要とのこと。「消毒液も在庫が無いので」を言い訳に「必要ならそちらで用意して」と言い出す有様。何とも責任回避で利用者に丸投げ状態に「こんなんで大丈夫か?」と逆に心配になってしまう程でした。今の公の機関の実情を象徴するような気がしています。
7月に入り、感染者が日々増加しています。都知事選までは政治的にこのままで行くでしょうが、その後が気がかりです。無事に本番を行いたいという祈るような気持で日々練習を重ねています。
Categories:ライヴ・イマジン
西村 淳
7/3/2020 | 5:54 AM Permalink
このコンサートは色々な意味で特別ですね。違う空気の中、やはり音楽を聴きたい人たちに精一杯のプレゼントが出来ればと思います。
偶然にしてもこの日がオリンピックの開会式だった・・レクイエムがオリンピックのためではなく、コロナへのものとなりますように。
西牟呂 憲
7/3/2020 | 9:13 AM Permalink
勇気ある決断に敬意を表します。パチパチパチ。
こういう時に文化を大切に伝えられるかが、国の根性を測る基準じゃないですか。
様々なご苦労があろうかと思いますがあと3週間、全力疾走してください!
東 賢太郎
7/3/2020 | 1:07 PM Permalink
吉田さん、いま仕事が目いっぱいで行けませんがすばらしいご決断ですね、プログラムもこれまたセンス抜群でさすがです。生演奏の灯を消してはいけませんし、コロナに負けない勇気まで与えてくれるし、きっと特別な演奏会になると思います。
吉田 康子
7/6/2020 | 3:34 PM Permalink
皆様、力強い励ましのお言葉をありがとうございます。7月に入りポツリポツリとプロのコンサート情報も聞こえてきます。ようやく空気が前向きになってきたのかもしれません。ご案内葉書の水色は医療従事者への感謝を表す青色を意識しました。そして学校の音楽室にあるような肖像画は、一目で演奏曲が判るようにと思いました。
「こんな時に都内へは感染が怖くて行けない」という方と「こんな時だからこそ是非とも行きたい」という方、それぞれ音楽に対する温度差を感じます。
私は1曲だけの参加ですが、他の奏者の方々は毎週末に朝から晩まで昼食もそこそこに寸暇を惜しんで合奏練習に明け暮れています。無事本番を迎え、この熱い思いを届けられますように。