グレン・グールドとの接点が出来た
2022 JUL 14 14:14:10 pm by 西村 淳
グレン・グールドとなるとちょっと苦手だ。彼の得意なバッハも手強いし、生来のへそ曲がり故、みんなが「いい、いい」となると「ほんとうか?」になる。フルトヴェングラー然り、そしてこのグールド然り。カラヤンは生前はもしかするとアンチのほうが多かったので大好きだったが。
軽い気持ちで読んでいた『半藤一利と宮崎駿の「腰抜け愛国談義」:文春ジブリ文庫』。教養豊かで歴史にきちんとした視点を持つ賢人二人の対談だ。夏目漱石の話題で、こんな記述にびっくり!かく言う私も「草枕」は無人島に持っていく一冊だ。
(H:半藤さん、M:宮崎さん)
H:グレン・グールドという音楽家は漱石の大ファンなんですってね。
M:みたいですね。なんでも「草枕」の大ファンだそうです。
H:死の床の枕元には、清書と、そしていっぱい書込みの入った「草枕」があったといいます。そのグールドが20世紀の最高傑作に上げたのが「草枕」とトーマス・マンの「魔の山」だというんです。「この二つだけ読めばいい、あとはいらない」と言っていたとか。「半藤さんも「草枕」は20世紀最高の小説と思いますか」と新聞記者に訊かれたことがあって困っちゃった。私は何度も言っている通り、小説読みじゃないんでねえ。でも考えてみると、最高傑作かもしれませんね。
グレン・グールドに親近感が急に湧いてきた。手始めにブラームス(この人も苦手だが)あたりを聴いてみようか。ちなみにとても情景の美しい「草枕」、言葉が古くて難しいから英語で読めなどとオソロシイことが書いてある。グールドも英訳を読んだ筈だが日本人だもの、私は日本語で。
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ST
7/27/2022 | 2:55 PM Permalink
暑い日に、外でブラームス1番を聴きましたら拷問のようでした。好きな4番でもわたしは夏には聴きたくありません。ところが日が沈んで空が蒼くなってきたころに、外を歩きながらグールドの Intermezzo を聴くと涙が出ました。ピアノの音はとてもプライヴェートなかんじがします。
来月、自宅から徒歩圏内でN響の藤森さん(とピアノ:村沢さん)の小規模なリサイタルがあるので申込んでみました。チェロを近くで聴くとどんなかんじがするのか、楽しみです!
西村 淳
8/6/2022 | 8:29 PM Permalink
STさん
更新をさぼっていまして、気づくのが遅れてしまいました。申し訳ありません。
晩年のブラームスはケンプもバックハウスも寄り添いました。功成り名を遂げた芸術家が人生を慈しむように。こうなるとピアニストがとても羨ましくなります。
バッハの無伴奏チェロ組曲があるじゃないか、贅沢言うなと叱られそうですが、あまりインティメットな雰囲気が無いのです。