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I(アイ)教授の訃報

2018 APR 1 21:21:04 pm by 西村 淳

日ごろアイ教授、と呼んでいた国立音大教授、礒山雅さんが2月22日に亡くなったことをコンマス・前田さんからのメールで知り愕然としてしまった。今年の1月27日、雪の日に転倒し、外傷性頭蓋内損傷、71歳とのこと。
日本の、否世界のバッハ研究の第一人者であり、特に「マタイ受難曲」への思い入れは部外者たる私のところにもその空気は届いていた。また2006年、国立音大での鈴木秀美さんのチェロ、平井千絵さんのフォルテ・ピアノによるベートーヴェンのチェロソナタ第1番が演奏された。秀美さんの素晴らしい演奏が終わった後で、最前列に座っていた礒山教授が感極まって大泣きしたのを思い出す。これが生前、唯一の接点であったが、その柔らかな語り口と類まれな感受性は独特の音楽観を伝えてくれた。
2月17日のライヴ・イマジン39の公演ではバッハのピアノ協奏曲二短調もプログラム冒頭に置いていた。事前準備には礒山さんの「J.S.バッハ」(講談社現代新書)を読んだりもしていたし、あまり馴染みのなかったバッハ作品の羅針盤にさえなってくれた。まさかそんなこととはつゆ知らず、この日、バッハの力強い音楽はホールに鳴り響いた。
まだブログはそのまま公開されているが、その中のおススメ本に「神坐す山の物語」浅田次郎著(双葉文庫)があったので今日早速丸善で買い求めた。I教授の余韻を噛みしめながら読み進めよう。

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