Sonar Members Club No.36

Since July 2013

『言葉』は言葉であって真実ではない

2023 DEC 25 20:20:56 pm by 西 牟呂雄

 これは何も病的な嘘つきやハッタリ屋のことを指しているわけではなく、日本人並びに日本語の特徴についてである。要するに書いたり喋ったりしていることと現実が大きく乖離してしまうことを言いたい。
 その話をする前に、最近読んだ本で知ったことを少々。最新の脳科学の研究によると、例えば右手を伸ばしてコップを取る行動をとる場合、脳が指示を出す信号のほんの少し前から行動は始まっているということが計測されたというのだ。AIが文章を作る際にある言葉の次にはどういう言葉が最も整合性があるか、で文章を紡いでいくそうだが、人間の行為もそれに似ている。先にどういうことをするのがフィットするかを脳よりも早く反応している。
 一方で、フランスの哲学者ジャック・デリダはそういった科学的検証とは別に、自由に発想した考察は必ず時間的な反芻(私の造語。デリダは英語ではdifference と表記)があるはずだ、とした。即ち完全な自由意志といえどもそれは後付けである、と喝破した。
 これは虚言壁というようなよく口が滑る人、ハッタリや自慢話の多いオヤジのことを想像してみると分りやすい。ああいう人は自分の願望を述べているので、自分が嘘つきという自覚はない。
 私自身はどちらでも構わないが、それはそうだろうと腑に落ちるところがある。そういった事象に普段から囲まれているという感覚はある。

 例えば憲法九条。1項はいいとして、いつももめる2項は完全に現実と乖離しているのは誰が見ても明白。にもかかわらず自衛隊がなければ尖閣などアッという間に取られてしまうのも明らか。フィリピンの島しょ部を見よ!一方で護憲派は議論の土俵にも上がらずに断固反対で現実には目を向けない。
 今日明らかになった拉致問題を『北〇〇が拉致などする理由がない』と言い放った公党の女党首が当選し続けた。その国会議員は被害者に謝りもしなかったし罰せられなかった。
 マスコミは大騒ぎするパー券のちょろまかしはせいぜい政治資金規正法とかいう微罪か税金申告漏れの類で、大問題のような言い方が蔓延るが税金を使ったわけでもなければ不利益を被った人さえいない(利益を享受した人もいないのだから賄賂にすらならない)。ヒステリックに毎日ニュースになるから自由意志を持たない一般人も洗脳されて憤る。利権という言い方もあるが、実態はない。チンピラがくすねる程度のミミッチイイ話しに過ぎない。まっ、次の選挙はヤバいかも知れないが、年が明ければ違うだろう。
 『聞く力』と総理は言うが、本当の声を聴くセンサーの問題だ。街頭インタヴューなんぞいいかげんなもので、マイクを向けられればイチャモンを言い出すのは自由意志を持たないバカばかりだからマスコミの誘導に従ってつまらん文句を言い、そうでないものはカットされる。
 大騒ぎの末に不愉快な駐日米大使の外圧まで加わりLGBT法ができた。マトモな人は行ったこともないだろうが新宿二丁目のその道のプロ達は喜んだのか。ゲイもビアンも『バカじゃないの?ほっといてよ』と言っていた。業界人はひっそりとやりたいのだ。筆者はその昔悪い仲間とその界隈で散々飲み散らしたが、実に面白い連中ではあったが『オニーさんはノンケね』と言われて相手にはされなかった。あのバカな法律で恩恵を被るのは売名行為に走るごく一部と弁護士なのだ。LGBT法違反の裁判まで始まったらそれは喜劇だろう。

 そこで冒頭の話に戻る。法律はそれを『文章』として書いた人と、それを執行する人の間でのみ有効で、大きなお世話だと思う連中には効果はない。人間は自由意志もないにも拘らず社会生活をするために決めごとは必要となると文章は作る。だが声に出して読んだ奴はいるのか。目で見るだけならばあいまいさが抜けはしないのだ。
 僕は日本国の愛国者ではあるが『日本国憲法』はその成立のいかがわしさも含めて、ロクに読みもせず実践もせずに不自由がない。言葉・文章は日本では現実を反映しなくてもいいのであれば、十七条憲法と五か条御誓文で十分。後はコモンロウでいいではないか、どうせ解釈はいくらでもできるのだから。法曹関係者の方には理解不能だろうが(できても、そうだ、とは言えないだろうが)後付け自由意志でいいと思っている僕には通用しない。
 せめて日本人としての矜持を持てるだけの憲法改正に反対意見を言うのは自由だが、日本の曖昧力を台無しにしないでくれ。あなたがたこそが『いつか来た道』を助長しているのですよ。

 「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」

Categories:言葉

▲TOPへ戻る

厳選動画のご紹介

SMCはこれからの人達を応援します。
様々な才能を動画にアップするNEXTYLEと提携して紹介しています。

ライフLife Documentary_banner
加地卓
金巻芳俊