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アンコールやるの?

2021 OCT 5 20:20:19 pm by 西村 淳

ようやく街に楽器を携えて歩いている人たちが戻ってきた。このまま忌まわしコロナが収束に向かってくれるなら一気に音楽も息を吹き返すだろう。まだまだ音楽は死んでなんかいない。
このところライヴ・イマジンではアンコールをやらない、というかやれないでいる。この会を始めた時から常にアンコールまで含めたプログラミングを工夫していたし、実際、アンコールでは出演者全員が舞台に再度立てるように、ということを試みていた。要は○○ちゃんが出ているから・・というスタイルの上にあったわけだが、やれない理由は出演者よりもプログラムの一貫性に重きを置くようになってきたことが大きい。
アンコールを含めたプログラミングの成功例として「ライヴ・イマジン46」を挙げる。このプログラムは曲の持つ意味と出演者のPRの両面を生かしたものである。この時のアンコールはソプラノの髙山美帆さんに再登場を願い、リヒャルト・シュトラウスの「明日!:Morgen!」を前半のピアノ伴奏とは別にヴァイオリンの前奏が泣かせるピアノ五重奏編曲の別ヴァージョンで企画。時節柄コロナの終息を願い、明日につなぐという願いを込めて。この美しい歌曲は大変良い評価をいただいた。

【ライヴ・イマジン46 プログラム】
:2020年12月27日 豊洲シビックセンターホール

リヒャルト・ワーグナー(1813~1883) 
■ 楽劇「トリスタンとイゾルデ」より前奏曲と愛の死(弦楽四重奏版:コーエン・シェンク編曲)

リヒャルト・シュトラウス(1864~1949) 
■ 歌曲
・ セレナーデ Op.17-2 Stänchen
・ 献呈 Op.10-1 Zueignung
・ 夜に Op.10-3 Die Nacht
・ 若い魔女の歌 Op.39-2 Junghexenlied
・ 明日! Op.27-4 Morgen! 

セザール・フランク(1822~1890) 
■ ピアノ五重奏曲 ヘ短調

★ アンコール 明日! 
  
(ピアノ五重奏伴奏版)

では、本来アンコールはどうあるべきなのか?アマチュア、プロの違いはお客様からお金を頂いているかどうか。人の心は弱い。お金が絡んでしまうと、「NO」は演奏者の側からはなかなか言えなくなる。“アンコールは是非「ラ・カンパネラを!」”そう、この決定権は奏者というよりはプロデューサーにある。
ウィーン・フィルが来日すると、必ずヨハン・シュトラウスの「美しく青きドナウ」をアンコールにやっていた。皆が待ち望んでいるものだし、それがベートーヴェンのあとであってもウィーン・フィルの名刺代わり。無論、指揮者が望んでいたとは思えないが。一方、奏者も大物になると口を挟めなくなることもあるようで、キーシンは興が乗ると10曲以上1時間を超えるアンコールをするし、ルドルフ・ゼルキンはバッハの「ゴルトベルク変奏曲」を全部弾いたとか。一方、偏屈な人もいて、アファナシエフやリヒテルは上手く演奏できなかったからそれをもう一度なんてこともあるようだ。もしかするともっと下手になるかもしれない。だったら3回目をやるのか?阿呆な奴だと思う。
いつもお世話になっている田崎瑞博先生の古典四重奏団はアンコールはやらない。どうして?と尋ねると全身全霊を込めた演奏の後は、その響き、「想い」を持って帰ってほしいからと。これは目が覚めた発言だった。アンコールが一貫性のプログラミングの延長線上に置かれたものであればさらに「想い」は強く届けられるかもしれないが、「想い」を打ち消してしまっては何にもならず、企画者の腕の見せ所である。

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