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架空対談 勝海舟VS西郷隆盛

2015 APR 27 6:06:27 am by 西 牟呂雄

西郷(以下西)「勝先生、お久しぶりでごわす。」
勝「いやー、西郷さん150年振りぐらいじゃねェですかい。」
西「いやはやオイは最期戦死しもしたっで。お暇も言わずに失礼しもした。」
勝「きょうは一つ本当の事を喋っちまいましょうや。」
西「ようごわす。やはり江戸無血開城からやいもんそか。」
勝「あんときゃ上様が大阪からいきなり帰って来たんでそりゃおったまげた。こちとらまさか鳥羽伏見で負けるとは思ってなかったですからね。」
西「あんユッサ(いくさ)は実んところ幕軍が勝手に退いただけ。幕府歩兵部隊はロクに弾も撃っちょいもはん。慶喜公が勝手に腰砕けになるのは長州征伐の時点でわかっちょいもした。」
勝「水戸のご出身だからねぇ。尊皇攘夷の卸元のおつもりだから賊軍にされるのは耐えられなかったんでしょうな。錦の御旗が上がってしまったそうじゃないですか。」
西「あいは戦場ではたいした効果はあいもはん。第一幕府歩兵であん旗を見て『錦旗』だとわかった者はおいもはんじゃろ。しかも当日は物凄い北東の風が吹きもした。前線の歩兵銃隊は身を屈めておってロクに目を開けてもおられんじゃったはず。しかもそれまで錦旗など何百年も無かったものどうして認識できたのか、ご存知か。」
勝「決まってらぁ。どっかの小藩にもぐりこませた薩摩系の息のかかった連中が『あれは錦の御旗だ』と触れ回ったんだろうよ。」
西「ご明察。後方攪乱を岩倉どんが言い出したのでごわす。」
勝「おっと西郷さん。あんたの発案じゃねえかい。江戸の騒ぎだって益満休之助を使ってわざわざ江戸藩邸を焼き討ちして見せた陽動作戦だったんですからね。」
西「先生らしい勘繰りでごわそ。益満どんの件ではお世話にないもした。山岡さぁと一緒に現れたときはびっくりしもした、ハハッ。」
勝「ふっふっふ。まあいいでしょう。その後はオイラも一肌脱いで三田での会談になる訳だ。世間で言うほどすんなりは行かねぇでしたな。」
西「勝先生こそ巷間伝わっているのとは違って、切り札と大義名分を持っちょいもした。」
勝「大政は奉還してる、恭順の意は示す、それでもどうしても戦争やるってなぁどうにも無理筋でしょう。」
西「暗にエゲレス国に通じているような言い方でごわした。勝先生は変幻自在ごわすから江戸御府内に引きずり込まれて退路が断たれるのはかないもはん。幕府艦隊も健在でありもしたし。それよりおいがいなくなった後に『氷川清話』やらでやたらと二人の腹で決めたんごと触れ回るのはいただけもはんな。」
勝「(頭を掻いて)ヘッヘッヘ、西郷さん、その辺はお互いにね。話は変わるがオイラの弟子の坂本龍馬が見廻組に切られたでしょう。あれあんたの意を汲んだ中村半次郎あたりが居場所をチクッたってえのは本当ですかい。」
西「そいは・・なか。じゃっど坂本さぁは公武合体派であん時点ではもう時代に取り残されていもした。」
勝「時代じゃねぇでしょ。長州でしょ。桂さんが収まらなかったのでは。」
西「確かに小五郎どんは熱くなっちょったもんせ。ですが気持ちは分からんでもなか。京都から締め出されてから後、蛤御門やら何やら最も血を流しておりもした。特に新撰組に一番やられたのは長州ごわす。会津憎し、幕府憎しはとても抑えられもはん。」
勝「当時は薩長同盟は公にはなってない。しかし大政奉還は上様が言っちまったから、あのまんまじゃ幕府とは共存しちまうことも可能だったはず。その年の4月に高杉(晋作)が結核でこの世を去って、さぁ残った長州の大物は桂だけ。早いところ公武合体派を潰しとかなきゃカッコウがつかねぇ。長州からは動けないとすると・・。龍馬がやられたのは11月だったっけ。当時の薩摩も主導権の主流の奪い合いはピリピリしていたし。別に西郷さんがやったとは言いませんがね。新撰組に見せかけてみたり、十津川藩士の噂を流したり・・・。」
西「おいは知りもはん。」
勝「ところで何だって最後はあんな戦争になっちまったんですかい。西南戦争のせいで一部には戦争狂だったって言うのもいますぜ。」
西「そいは誤解でごわす。あいは桐野どんの戦(ユッサ)ごあんど。」
勝「何も賊軍になってまでやるこたなかった。」
西「そいを言わるっと心が痛みもす。天皇陛下には申し訳も立たん。じゃっどんおいも手詰まりでどげんもこげんも。」
勝「おいらは体のこともあって今で言うプッツンじゃなかったかと睨んでますがね。鹿児島に帰る時はには随分体調は悪そうに見えた。確かに桂(木戸孝允)が死んだ後の長州にゃロクなのがいなくなった。伊藤・山県があんな大物になるなんざ思いもよらなかった。」
西「私腹は肥やす女は囲う、あれだけ人が死んで新政府が出来たかと思ったら何じゃ!こいはっちゅう気持ちでごわした。そもそも皆長いこと外遊に出てもした。その間おいが朝鮮に『幕府はもう無くなったから新政府と国交を結ぼう。ついでにあなた方も開国してはどうか』と伝えに行こうとしたことを征韓論とか言われて。」
勝「いや、板垣・後藤といった土佐の連中はやる気でしたぜ。」
西「しまいに岩倉どんにいいようにあしらわれて。公家は好かんごわす。そいで鹿児島に帰ることになったが桐野どんや篠原どんが一緒に鹿児島に来てしまうとは思わんかった。」
勝「そこがあんたのいいところなんだろうが、桐野なんかオイラの見る限りでは物なんか考えてなかった。明るくて面白いヤツなんだが戦争以外じゃ役に立つまい。あんたについて行った時からもう一丁ってなもんだろう。」
西「川路どんあたりに薩摩兵を引き取ってもらえば良かったじゃっどん、一蔵どんとも気まずくなっちょって。おいは鹿児島で開拓をばしちょいもした。」
勝「私学校を甘く見たんでしょう。それと大久保さん・・・。」
西「本当に天子様に一言申上げたいだけでごわしたが・・・。一蔵どんはおいの暗殺を・・・。もう、ここいらでよか。」

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