話芸の間 Ⅲ 三遊亭歌太郎さん真打昇進
2020 FEB 1 3:03:28 am by 西 牟呂雄
今月の厳選動画(各ページの一番下)は落語家の三遊亭歌太郎さんです。ただし私は生の高座は見ていません。
最初に動画を見た時は口上のキレがチョット、と思ったものです。喋りが終わった後の間といいますか、声の止め方。スイマセン、あたしゃ下町ですんで。
話はズレますが、下町の江戸弁は頭が「ヒ」の場合「シ」になるのは良く知られています。作家の浅田次郎さんは私の生まれたところのすぐ近所ですが、うまいことを書いてました。「朝日新聞」と言わせると分かるんです。おれっちゃー「あさっしんぶん」つーんだな、これがよ。
それで歌太郎さんですが、実に生意気なんですよ、言い草が。
「水に合わせる」「お客様を引っ張り込んで」「しくじってなんぼ」
なかなか言うじゃねーか。
しかしよく言えば伸び盛り。そして今年の3月に晴れて真打に昇進して「三遊亭志う歌」を襲名します。
生意気上等、おまいさん芸の方はでーじょぶかい。ヨシ、見に行ってやらー。
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ギランバレー症候群の漫画家 たむらあやこさん
2020 JAN 4 10:10:34 am by 西 牟呂雄
今年初めての厳選動画(各ページの一番下)はギランバレーに罹りながらも作品を発表している漫画家のたむらあやこさんです。ギランバレーは以前パラリンピアンを目指す久保大樹さんのインタヴューを載せましたが、本当にある日突然発症して身動き取れなくなる悲劇的な病気で、たむらさんは『墜ちる』と表現していました。そして完治はしない難病です。
始めは全身麻痺で、次第にリハビリにより多少回復するのですが、下半身には障害が残りました。
失うと見えてくるものがある。たむらさんの場合はこれからどうすると煩悶していると『描きたい』という思いが沸いて来たようです。
そしてこの闘病記を漫画に、それもギャグ・マンガにします。発想を転換したのですね。題名が何と「ふんばれ・がんばれ・ギランバレー」。これには参った。また、そこに至る自問自答を「脳内会議」と表現しています、独特の感性の持ち主なのでしょう。
発表すると「読んで励みになった」という反響により、人の役にたっている、という実感が湧いてくる、いい話ですね。
ところで、体の利かないたむらさんの助けになっているのはデジタル技術。これは本当に素晴らしいことで、今後の技術の進歩が多くの弱者をサポートしていく期待が膨らみます。たむらさんも「もっとリアルな人間を描きたい」と夢を語る、楽しみです。
もう一つ、絶望していたたむらさんを支えたものは・・・、本編でご覧ください。
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二次元の彫刻 切り絵の福井利佐さん
2019 NOV 30 0:00:06 am by 西 牟呂雄
今月の厳選動画(各ページの一番下)にアップしたのは切り絵作家の福井利佐さんです。
この人の作品は人の表情の捉え方に独特のものがあります。勿論「切り絵」という手法を用いるからですが、最初に見ると、これが顔?というほど細かく曲線が掘り込まれています。
絵画を鑑賞する作法に、その背景となる時代・思想・歴史といったものを作品を通して「見る」という姿勢が望まれます。従って描く側もそれなりの気迫といいますかコンセプトを背負っていることになりますから、創作者と作品の間にはある種の緊張感があってしかるべきです。
人の顔を描くとは、それはその人の人生でもあり、作者の方は時間的・立体的に、被写体(または創造体)の個性・歴史の厚みを2次元に表現していく。
切り絵にも幾つかの手法があるらしいので、一概には言えませんが、福井さんは掘り込むように表情を造り上げているようにみえました。
蛇足ではありますが、絵画というのは画風は変わらないもののテクニックやテーマの変遷に従って、あれっ同じ人の作品? となるような変貌を遂げることがあるそうです。
御覧の作品などは顔の切り絵ですが大分趣が違いますね。もっとも、案外ご自身がモデルなのでしょうか・・。
インタヴューとオリジナルの作品をお楽しみください。
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フリースタイル・バスケットボール BUGさん
2019 NOV 13 0:00:43 am by 西 牟呂雄
バスケット・ボールを使ったブレイク・ダンスです。
競技もあって、ステージで音楽に乗せて互いに時間内でパフォーマンスして競い合うバトルです。
今月の動画(各ブログの一番下の厳選動画)はその日本チャンピョン、ピエロの仮面BUGさん。ただ、インタヴューの前に『ウリースタイル・バスケットボール』或いは『BUG』で日本選手権の迫力を鑑賞してからの方がインタヴューの味わいが出ますよ。
中学卒業後、偶然出会ったフリーバスケにのめり込みます。そして腕が上がるにつれ、夢も行動も『世界へ羽ばたく』という方向にスケール・アップ。
いきなりほぼ無一文でパリに飛んで行き、ホームレスをやっていた、というのも私達NEXTYLE好みのエピソードですね。
ももいろクローバーZのステージに呼ばれて3万5千人の前でパフォーマンスした時、新たな境地に至ったと語ります。Bリーグのハーフ・タイム・ショウでもパフォーマンスし、選手達と交流を深めました。
いずれはNBAへ、東京オリンピックへと夢は広がります。
印象に残ったBUGさんの一言を。
フリースタイル・バスケは ボールを通した自己表現。
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フットバッグを知っていますか 石田太志さん
2019 OCT 2 7:07:10 am by 西 牟呂雄
画像をみると一目瞭然ですが、お手玉のような小さいバッグをサッカーのリフティングのように足で捌くのがフットバッグです。小さくて軽いからリフティングよりもコミカルで早い動きになってみるのは面白いのですが、まさかその技を競う競技があって、そのプロが日本にいるとは知りませんでした。
今月乗せた動画(各ページの一番下)の石田太志さんは、この競技にのめり込むあまりに全く英語が喋れないのにカナダに行ったとか。その時に職を見つけるエピソードはある意味で笑えますよ。
2018年に世界大会でアジア人初の世界一位になり、日本人でただ一人のプロになるのですが、これ恐らく世界でもプロはいないんじゃないでしょうか。
興味深いのは、この競技ではスポンサーも賞金も、ましてや契約金もない。それでも石田さんは覚悟とプライドを賭けてプロを名乗るのです。
そして小中学生にフッドバッグの魅力を伝えながらも、子供たちから学ばされると言います。
NEXTYLEが取り上げる人はこういう人が多く、そして彼・彼女等らは必然的に平気で日本を飛び出します。
ラップでもかけながら多彩な技を楽しむのはオジサンには無理かな。
エピソードは5つまで収録していますので、お楽しみください。
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ジェラートにかける情熱 柴野ブラザーズ物語
2019 SEP 1 1:01:26 am by 西 牟呂雄
皆さんジェーラートお好きですか。最近では大変人気のあるメニューですが、これただのデザートではないのですな。奥が深いですよ。
今月の厳選動画(各ブログページの一番下に貼ってあります)は、そのジェラート・マエストロに挑戦し続ける柴野兄弟のインタヴューです。
2017年、イタリアのパレルモで『Sherbeth Festival 2017』というコンテストが開かれ、お兄さんの代わりに弟さんが参加して総合優勝という快挙を挙げました。
翌年には『Coppa del mondo della gelateria』という大会に揃って出場し(これは5人一組で参加する競技)、ガストロノミー・ジェラート部門1位になりました。但し、総合優勝でないことを悔やんでいました。
これ、食材が凄いんですがそれは動画を見てのお楽しみに。少しだけバラしますと『****のエグ味を』というくらいの素材を使うんですね。
それどころか『ジェラートはもうデザートではない』『そのうち肉や魚を使ったジェラートができる』とまで言います。
そのためには日々が研究とか・・・。仮に同じ素材でやっても人によって出来栄えは違うと。
そしてこう言い切りました。
『ジェラートは生き物です』
『素材と向き合うのは自分と向き合うこと』
ご覧ください。
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東京オリンピックをあきらめるな 森本麻里子さん
2019 AUG 4 9:09:33 am by 西 牟呂雄
今月のNEXTYLE(各ページ下段の動画)で紹介するのは森本さん、女子三段跳びの日本選手権優勝者です。
三段跳びと言えば、かつての日本のお家芸だった種目で、SMCの仲間だった故中村順一君がブログで書いています。
また、日本女性初のメダリスト(800m銀)人見絹江さんが当時世界最高(現在非公認)を記録したこともあります。
その昔、中学の体育の授業でホップ(踏切)とステップが同じ足で跳ぶということを初めて知り、やってみるとステップまでの時間が短くてえらく難しかった記憶があります。
検索してみると、古代アイルランドで水溜まりをいかに少ない歩数で渡りきれるか、という遊びが競技化したと出ていました。なんか危なそう。
それはともかく、動画の森本さんは小さい時から陸上が好きで足の速い女の子だったそうです。
森本さんは中学の顧問の先生に走り幅跳びを勧められ、全国大会に行きます。その時は優勝には至らず悔しい思いで高校、そして大学と打ち込みました。そこでスランプに陥ったところで三段跳びに出会いました。
卒業後、社会人になってからも競技を続け、今年の日本選手権で見事優勝(昨年は2位)!
実は、瞬発力を買われて”氷上のF1”ボブスレーの2人乗りでWカップにも出場し、ピョンチャンオリンピックも目指してもいました。今後とも二刀流で行って欲しいものです。
ただ、どんな競技でもそうですがベラボーに強いアスリートはどこにでもいます。全国の高校に野球部があってどこでも猛練習をしていても、甲子園で優勝するのはただ1校、そこからプロに行けるのはそのチームでも1人いるかいないかです。
陸上の女子三段跳びのオリンピック標準記録は14m15で、森本さんの自己ベストは13m26。日本記録でさえ20年前に出た14m5なのです。
「もっと上を目指して13m50を跳んで14mとステップアップしていきたい」
NEXSTYLEはそういったアスリートを応援します。
あと1m。一足30cm伸ばして東京オリンピックを目指せ!
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目差せパラリンピアン 久保大樹さん
2019 JUL 8 6:06:36 am by 西 牟呂雄
来年に迫った東京オリンピック。私の周りでチケットをゲットした人は一人もいない。だが私に焦りはない。開会式とか陸上の決勝とかメチャクチャ込み合う競技はテレビで見たほうがいい。狙い目はそういった超人気のスポーツではないのだ。
その作戦で行けば、当日でも見られるものは必ずある。そしてその競技に全身全霊と国の威信をかけて闘う選手の情熱は、たとえ観客が少なくとも決して引けをとるものではない。それにオリンピックの続けて同じ会場を使ったパラリンピックもあるではないか。
今月動画(ページの一番下の厳選動画)で紹介するのは、ギランバレー症候群と戦いながら水泳に打ち込む久保大樹さんです。
ギランバレー症候群とは検索してみると大変な病気で、体の一部が麻痺してしまう、久保さんに関しては初めは手で、現在は足首から下が利かない。
学生時代は競泳に打ち込んで、その後学校の先生になった後発症した。半年余りの入院後、長いリハビリをしながら障害者水泳に出会う。自身よりも重い障害を抱えているアスリートの姿に衝撃を受けたそうだ。
ご本人の語り口は『病気に教えられた』と極めてやわらかいが、その迫力は動画をご覧ください。
ただ、実際に来年のパラリンピックに出場できるにはまだハードルがあり、2019世界パラ水泳選手権大会への日本代表選手の中には入っていない。競技者として来年のパラリンピックを目指すのは当然なのだが、色々と検索するとどの選手も等しく応援したくなる。
このエネルギーを目の当たりにすると『気の毒な』障害者、という見方がいかに手前勝手な思い上がりであるかよくわかる。
蛇足ながら動画中の久保さんの言葉をどうしても記しておきたい衝動が抑えられなかった。
『失ったものを数えるな』
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人魚になったアスリート 山階早姫さん
2019 JUN 5 9:09:35 am by 西 牟呂雄
フィン・スイミングという競泳は知りませんでした。足ヒレを付けるのですが、モノというクジラの尾ビレのような形状です。
今月アップした厳選動画で紹介している山階さん、自由形でロンドンオリンピックを目指して『泣いたり吐いたり』するほど練習をしても代表にはなれず、その後しばらくは水に入れなかったと言います。
これは大変現実的な話で、血を吐くほど練習しても大谷のような二刀流で活躍ができるのはまずいない(ベーブ・ルースでさえピッチャーをやったのは3シーズンだけ)。数えきれないほどの若者が厳しい稽古に耐えても関取になれずに土俵を去ります。
私などは元々『見る側』としてスポーツを楽しむクセが子供の頃からついてしまった。駆けっこは遅いし球技は下手。従って『血を吐く』ようなハードな訓練はやったことがない。だからいいところまで行って挫折したアスリートの心境はいかがなものか、想像もつきません。
それを乗り越えるというか、新たな道を探り当てた山階さんのインタヴューは迫力に満ちています。
それはそうとしてこの競技、シュノーケルを付けて顔を水中に漬けたまま泳ぐので、相当に脚力と腹筋を鍛える必要があるでしょう。私なんかがトライしたら・・・・。
動画は水中から山階さんの泳ぐ姿も映っていますが、しなやかで大変に美しい。昔『イルカに乗った少年』という歌がありましたが(60才以上限定)、まさに競技は『イルカになった女性』いや『人魚になったアスリート』です。
そして(見た所まだお若いですが)こういうことをおっしゃったのが印象に残りました。『むやみにやるより年齢に合わせた頑張り方がある』、そしてその方法を模索するのにパーソナル・トレーニングの門を叩いたと。
これは我々還暦過ぎには身に染みる、まぁ、私としては何をやったところで何かがこれ以上上達するということはないのですが。
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アドベンチャー・ランナー 北田雄夫(たかお)さん
2019 MAY 6 12:12:34 pm by 西 牟呂雄
NHKのBS番組に『グレート・レース』というシリーズがあって、面白いので良くみています。山中や砂漠を何日もかけて何百キロも走り続ける過酷な競技です。チームでやったりバイクやカヌーがあることもあって迫力満点。しかし見るたびにエントリーする人はどんな心境で参加するのかと思っていました。
今月アップした厳選動画(各ページの一番下にあります)は、難関コースを走り続けるアドベンチャー・マラソンのプロとして参加し続ける北田さん。
何日も孤独である事。そして孤独だからこそ気付けることがある、と言い切っています。ぶっ通しで17日間も走り続けるって想像つきますか。
そして興味深いことに『技術』を磨くという表現をされていて驚きました。
僕は船に乗るので何となく分かるのですが、山岳地帯やマイナス40度のアラスカを走るという危険なレースを完走するのは、早ければいいという物ではないのでしょう。
そのチャレンジ精神は、いろんな周りの人を元気づけられる走りをしたい、という心境にまで達していて、やはり一芸を極める人は求道者のようになっていくのですね。イチローとか王貞治なんかもだんだんそういうことを言う様になっていきました。
要するに一流のアスリートというのは一種のエンジニアなんでしょう。
しかし、初マラソンは4時間超え、ウルトラマラソン(100km)はタイムオーバーの失格からのスタート。
北田さんは仕事を止めてこの競技に打ち込んでいます。そして今頃は世界7大陸全てのレースをこなされているはずで、勿論日本人ではただ一人ではないでしょうか。
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