Sonar Members Club No.36

カテゴリー: 2021年の安寧

今更何だ!

2021 JAN 15 0:00:21 am by 西 牟呂雄

『マスクで感染を防げるというエビデンスはない』
 なるほどそうかも知れない。それでは何故マスクをすることが推奨されるのか。不思議だと思いませんか。
 それが最近分かった(推定だけど)。
 このところの感染拡大は人が人とマスクを外してメシを食いながら大声で会話することがマズいのだと喧伝されている。相手が症状が軽い感染者だから広がるのだと。そういうキャリアが任意の人に移りにくくする効果はある、従って『あなたも陽性かもしれない。マスクを着用して感染が広がるのを控えてください』と言えばいいのだ。大体これ以上医療崩壊が進んだら結果は『命の選択』をせざるを得なくなる、重症患者で高齢者より若い人を優先するような。私は前期高齢者である。
 ではなぜそう言わないのか。
 そんなことを言ったら感染者と発表している、東京で言えば一日千人を超える人数の何倍もの陽性がいるのが大ぴらになるから。するとバカがパニックを起こして何をするか分からない。野党が恐ろしく下らない追及を始めるとか、都知事が「国の管理が云々」などと後出しジャンケンみたいなことを言い出して政治問題になる。
 そもそも国がやるべき対策はワクチン開発とか水際の入国管理を強化すること、後は食えなくなりそうな人へのカネのバラまきくらいしない。これ、役所の事務手続きの手間を考えれば前にやった10万円一律のようにやるしかなかろう。どこぞの知事のように『国が緊急事態宣言を出してくれ』と責任転嫁するくらいならその前に『歌舞伎町を封鎖する』とでも言って本当にやっておけば喝采した。
 筆者の見立ては風俗店とキャバクラ・ホストクラブがクラスターの2大温床で、最近の家族感染はこっそり行った者が経路不明と称して広めているに決まっている。誰もはっきり言わないが。

大晦日

 大晦日に1000人を超えた。その晩の北東に上がったのがこの真っ赤な月だ。
 勝負の三週間をやってこれだ(といっても他国に比べればはるかに少ないが)。政府がどうしたも何もなかろう。第一波の時のモデルを忘れたのか、接触を減らしまくるしかなかろうに。それも言われてやるのではだめで、自分で考えていい具合に接触を減らす。後は極端に言えば自己責任とか運が悪かったといった範疇でしか無かろう。
 そしてついに緊急事態宣言に至った。すると1都3県は施行の前に飲食店の時間短縮を発表する。横取りして自分の功績に見せようというのがミエミエで実にやり方があざとい。4人でやらなきゃできないのかよ。
 宣言が出された日には2000人越え。
 この日の野党のコメントがまた一段とひどかった。「国会答弁に総理が出てこないのは政府の緊張感が感じられない」だと。総理はお前の下らない質問に答えてるヒマなんかないんだよ。

 ワクチンが行き渡り集団免疫ができるまでは元に戻らない。それがいつになるのかは分からない。そしてそのことを覚悟しなければオリンピックなんかできない。筆者はオリンピックに限って言えば実行可能だが、今の根性では難しいという考えだ。すなわち、陰性の選手しか参加させない、観客も検査する、又は無観客でやるくらいの対策を徹底させる。それでもオリンピックの価値・選手の誇り・開催国の威信は保たれ、経済効果も少なくはない。非難轟轟だろうがそれでもやる覚悟はあるのか。
 また、今後も変異し続けるウィルスに開発中のワクチンが効果をもつものかの検証は未知の領域とも聞く。
 緊急事態は首都圏だけでなく栃木県と中京地区、関西地区、福岡県にまで広がった。
 やれ「Go To」を止めるの続けるの、営業時間を伸ばすの縮めるの、遅すぎるの早すぎるの、今更何だ。マスコミが反対意見ばかり煽るのはいかがなもの、それどころか政権内部でも足の引っ張り合いの兆しがあるのは亡国の黄色信号点滅に見える。あちら立てればこちらが立たず。ガタガタ言ってないで断固自分のことは自分で守れ。そもそもお上に頼まれてやることじゃない!覚悟を持って長期戦に備えよ!
 ついでに言っとくけどそこらをウロウロして足を引っ張る輩、中国みたいになりたいのか?少しは医療関係者の迷惑考えろ!

 ところで、その覚悟が出来ないワーク・スタイルそのものは近い将来滅びていくのではないか。春先の緊急事態宣言時に比べてはるかに緩んでいる現状を見ると何年かかるのか。
 それだけではない。AIを駆使したデジタル化に乗り遅れ、テレ・ワーク、リモートにソフトランディングできなければ生産者ですらまともに生きていけなくなるかもしれない。誤解を恐れずにあえて言えば年金生活者の子供世代、即ち団塊ジュニアがニートや引きこもりだった場合は、絶対に中産階級には戻れず政策の手を借りなければホームレスだ。
 一方そういった「覚悟」をした場合のライフ・スタイルはどうなるかというと、意外と非合理的なものになると思われる。お手軽で安易で容易なものではないものが人々、特にオジサン・オバサンに定着する。筆者自身が好むところだとも言える。オジサン道とでも言おうか。そういえば既にこういうことを書いている。

おじさんが遊んで暮らす十ケ条


 要するに直ぐ出来てしまうモノとかコトではない、なるべく手間ヒマかかることを少しづつやる。楽しみは後に取っておくようなスタイルになっていくのではないか。無論すべての人には当てはまらない。
 しかしこのスタイルのいい所は、上記団塊ジュニアの一部にもなじみやすいことである。若い方々は知らないだろうが、嘗てはヒッピーと称して何もしないでヘラヘラしているのがいた。このグループは最終的にはヤマギシ会に行ったり帰農したりして社会に溶け込んでいった。もともと引きこもりなんだからコロナが収束するまでジっとしていてくれればいい。みんなで慎ましく暮らすわけだ、便利な暮らしから効率の悪さを楽しむというシフトだ。
 しかしねぇ、若い人には無理だろうな。
 アッ、ネットとかでガツガツ稼ぎたい人はどうぞ。そういう人はオジサン道とは遠い人ですから、ご自由に。

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With コロナ2021

2020 SEP 13 13:13:57 pm by 西 牟呂雄

 第2波は2020年7月末に来ていたとか。それで8月は検査数も増して感染者の数字が跳ね上がった。現在は東京で言えば100人台、もはや感覚が麻痺してきて、収束に向かっているように見える。
 しかも医療関係者の懸命の努力で死に至る患者さんは少ない。
 この病気の恐ろしいところは、感染力もさることながらその死の直前には呼吸困難になり、病床で溺れ死ぬように最期を迎えることだ。しかもウィルスは次々にその性格を変え勝手に進化してしまう。
 一方、卸元である中国の様子は先日プールでのイベントの映像が流れ、抑え込んだのか隠し倒したのか共産党幹部もマスクをしないで出てきて不謹慎極まるものであった。また、アメリカは世界一感染者が多いのに相変わらずデモだ選挙だでもう過ぎ去ったことのような振る舞い。罹ってもそう簡単に死なない、という開き直りが蔓延し世の中は狂って行った。
 まぁ、第二波に至る経緯は、自粛を真面目にやったので我慢できなくなりキャバクラ・風俗に押し寄せてクラスターを作ってしまい、そこで働く女性がホストクラブに蔓延させた、といったところではないか。仮に歌舞伎町を封鎖したところでソノ手の需要はなくならないから周辺に分散しただけだったろう。
 2021年、東京で毎日100~200人位の新規感染者が出て、大規模イベントはなくなり、オッサンも若者もウジャウジャと居酒屋で飲んだくれるような光景は廃れ、テレワークやデジタル化が加速する一方で、文化的な生活はガラリと変わった。
 例えばオーケストラを(演奏者が)オール・リモートでやり、その音源を自宅のネットで鑑賞する。イベントもスポーツ観戦も好きな席のチケットを買い、自宅でのバーチャル鑑賞になる。すなわち席に設置されたカメラを画像で見るのだ。観光でさえ現地に行かないで味わえることになって人は移動しなくなったのである。
 深刻な問題は男女の関係であった。
 どちらかがコロナ陽性で肌を合わせられなくなった恋人同士がガラス越しに接しているうちに、互いを傷つけあって最後には相手を破滅させてしまう事件が後を絶たない。
 気の毒なケースもあった。ウィルス対策の最前線で戦う医者に重症化した患者が二人運び込まれると、少女ともう一人は自分の妻だった。命の選択を迫られた医者は葛藤の末、既に意識のない妻よりまだ若い少女の方を選び、そのことで心に深い傷を負ってしまう。少女は一命を取り留め退院するのだが、医者の方は自分を攻め続け酒に溺れ身を持ち崩す。フラリと寄った風俗店で出会ったのは彼が妻の代わりに救った少女だった・・・(ヨーロッパでは医療崩壊に伴い実際に高齢者施設でトリアージ(命の選別)が行われたらしいことを今月号の文芸春秋で宮下洋一氏がレポートしている)。
 1月半ば、ノーベル物理学賞・医学賞受賞の二人の学者が共同でネイチャーに論文を発表する。日本人の死亡率の低さを科学的に証明したと難解な理論を駆使し、ニューロンの波動を受けると毒性が緩和されると言いきった。そしてニューロンの波動を増幅するのは日本人が神社で打つ柏手(かしわせ)でこれがファクターXである、ヨーロッパでも医療関係者を励ますため、時間を決めて窓を開け一斉に拍手をするようになると治まった、柏手によって日本はあの程度の対策で先進国最低の死亡者数だった、とした。
 するとある男の打つ柏手が効くという噂がネットで流れ、その男が教祖の怪しげな宗教団体に信者が殺到する。どうやらネットで入信できるという触れ込みで、会費1万円で信者になれるとか。
 令和三年の建国記念日の早朝、教祖を名乗る二死牟呂夫(にし・むろお)という男が突然『これから都内某所で悪霊退散の柏手を打つ』とツイッターした。物見高いテレビはどこなのか慌てるが、場所はわからない。すると朝方の午前7時、靖国神社に約千人はいると思われる正体不明の白装束の集団が現れた。集団の中心には背中に真っ赤な日の丸を染め抜いた羽織の男がいて、その男を中心に参道を進み門をくぐったあたりでその大集団が一斉に二拍の柏下を打つ。周辺にいた人々はその拍手の迫力に圧倒された,その光景は居合わせた人達の動画がYouTubeにアップされたが、見るからに胡散臭かった。
 ところが、その日から感染者数は東京でゼロとなり、本当に効いてしまったようなのだ。味をしめた二死一派は調子に乗って名古屋の熱田神宮・大阪今宮戎神社・博多櫛田神社に突然姿を表し大袈裟な柏手を打って歩いた。彼らは別々にワラワラと集まって来てはその場で白装束に着替え、柏手を打つと移動している間に10人20人と着替えてたちどころに街に溶け込んでしまう。
 かくしてコロナ騒ぎは収束し、菅政権はついに入国制限を撤廃した。すると疫病退散を目指した外国人は来日し靖国神社に詣でるのが大ブームとなり、経済はインバウンド効果でV字回復した。勢いがついて東京オリンピックは大成功、日本の未来は明るく開けるのだった。

 その後の二死一派は、疫病退散ツアーと称してインドのガンジス川のほとりやロシアの赤の広場で柏手を打つ映像が投降されるのだが、不思議な事に現地でそれを見た者はいない。CGの画像ではないかとの疑惑が生まれた。そしていつのまにか姿を消してしまう。
 更に感染者ゼロも、政府がPCR検査を操作して全て陰性とすべくデータを改ざんした、との内部告発があったのだが、マスコミはスルーした。
 一部の良心的マスコミが二死一派の調査をしたところ、実態はスーパー・マインド・コントロールSMCという得体の知れない合同会社で宗教法人でも何でもないことが分かったのだが、後の祭りとなった。景気浮揚を狙った菅政権が官房機密費を使ったヤラセ疑惑も持ち上がった。
 浮世の真実は一体何なのか、誰も分からなくなって2021年は暮れようとしている。

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厄災後のパラダイムシフト

2020 MAY 6 10:10:39 am by 西 牟呂雄

 人が動かない。物が買えない。ブツが作れない。所得が落ちる。
 格差は広がる。グローバル化が止まる。
 ストレスはたまる。
 厄災が去った後の世の中はとんでもない不況だろう。2~3年は低迷が続くのではないだろうか。失業者は増え、消費は増えない。ただ、世界同時進行のため、為替は安定して推移する。そこに猛烈な金融緩和と財政処置がなされるため、株価は終息後にジワジワ上がるが元に戻るのはもっと先。

 しかし日本は他国に比べてみればまだ救いはあるのではないか。
 九月入学というシステムが話題に上がっている。かねてからそのメリットが言われていたが、政策の俎上に乗ることはなかった。あるいはテレ・ワークを導入するインセンティヴは殆ど無かったが、否応なくせざるを得なくなった。
 一種の外圧によってアジャストする羽目になったが、日本人はそれをきっかけに成長のバネに変えるのに長けていた。維新、敗戦・・。
 具体的には先進国最低のホワイトの生産性の上昇になるかもしれない。私はこの生産性の低さは幹部が機関決定をするためにセレモニーとして行われる会議の異常な人数と長さだと考えている。関係ない人間まで集めるため時間がかかりすぎている、すなわちコストが高くついているのだ。しかも会議前段の世間話に毛が生えたような前振りがハンパないのである。
 無駄な会食、意味のない挨拶、訪問が仕事だと思っている営業、本質と関係ない質問、行かなくてもいい出張。テレ・ワークが一般化すると今までいかに無駄が多かったかに気付くはずだ。
 一方でAIは厄災にも不況にも関わらず発達する。人は余る一方だ。企業も役所もどんどん減らしていくことになる。失業者は増えるのか、さにあらず。
 日本は労働人口が今後減り続けるのだ。
 厄災脱出の暁には、ホワイトが兼業をするようになる、むしろそれを勧められる。普通のサラリーマンが自宅で複数の仕事をこなす、そんな働き方ができるようになる。企業側は単価を落とすことができ、個人は収入が若干上がる。ただ、機密保持や知財の扱いが問題になるので透明性をいかに管理するかの課題はある。同業他社との兼業禁止といったルールは必要になる。
 そもそも農耕民族と考えられている日本人の集中力が突然飛躍的に上がることなどない。天候を気にし、水に気を使い、それでも毎年のように災害に襲われながらシコシコやってきたのだから。企業の競争力があったのも、世界中でそんな民族はいないから異常な生産性(特に事務方の)の低さにもかかわらず低コストと規模拡大ができたからだと思う。様々な圧力により休日を増やさざるを得なかった所以であった。
 一方でグローバル化も進展していく、いかざるを得ない。今日の経済活動水準からみて止めることは不可能だ。それにしても厄災以前とは違ってくる。
 中国発の風土病が瞬く間に広がるのを何度も経験すれば、さすがにリスクは分散しなければ。そしてその中国は一帯一路に血道をあげ南シナ海の野心を隠そうともしない。その中国にセッセと投資してきた日本の企業に限って言えば、競争力を確保するため安い労働力を求めて殺到したのだ(2000年代)。それからもう20年も経って現在では意外と安くはなくなっている。
 中国の立場は決定的に悪くなった。
 観光産業の打撃は計り知れなく、当面回復もない。しかし京都などは押し寄せる観光客で市民の生活に支障があるくらいだったではないか。どうであろう、厄災後の立ち上がりの際には思い切って値上げしてはどうなのか。無論人数は減るが売り上げはそれなりのものになり、落ち着いた観光が甦ると考えては。価格競争はもうしない、と。
 サラリーマンはこのチャンスに短時間で働き、兼業に精を出し、無駄にウロウロするようなことを止める。東京一極集中も緩むだろう。不況を横目に巨大IT企業は空前の利益を稼ぎ出すが、納税というスタビライザーとは無縁のため、便利ではあるが少しも豊かにならない。
 それどころかこの調子で格差はどうにもならないところまで拡がりそうな勢いだ。いささか厭世的な気分で、行くところまで行かなければ先の展望も開けないとさえ思う。先述の通り、日本は維新・敗戦といったものをバネにした。
 問題は拡がったがった格差により中流から転落しそうなゾーンがどういう意識か、だと見ている。この差が政策だの何だのでは手が付けられないほどになった時、調整機能は戦争か革命であった、とピケティは数字により実証してみせた。20世紀まではそうだったのだ。
 それでは日本はどうなるのか。今更革命でもあるまい。金融戦争では既に負けている(アメリカに、だ)。上記『転落しそうなゾーン』の投票行動はあまり当てにならない。
 ただ、今後はそういう輩も『稼ぐ力』よりもっと内に向かっていく方向に舵を切るのではないか。いくつかの前提があるのだが、少しそれを整理して考えてみたいと思う。日本はまだ救いがある、と書いたのはそのあたりのことなのだが、まだ練られた言葉にならない。
 ところで『お前はどうなんだ』の声がする。僕?僕は普段と何も変わらない。

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ペニンシュラ・クライシス

2020 APR 22 9:09:49 am by 西 牟呂雄

2021年某月某日
『おい、この頃兵力が少なくなってないか』
 板門店に常駐する米軍のリエゾン・オフィサーであるロバート・ワイマン大尉が同僚につぶやいた。
『そうか?別にいつもと変わらんと思うが』
『いや。傍受している通信数が激減してるんだ』 
 異変は昨年のコロナ騒ぎが収束した年末あたりから始まった。
 当局は感染者はいないと発表し続けたが、感染者数は百万人で数万人が死亡していた。そして感染は軍にまで蔓延し、長期化した貿易遮断によって餓死者も出る有様だったのである。指導者の動向が報じられなくなってもう二ケ月が経っていた。

 ある日突然、最近は滅多に顔を見せなかった名物アナウンサーの李春姫(リ・チュニ)氏がテレビに登場した。キム・ジョンイルの死去とともに引退したと思われたが、あの独特の抑揚で高らかに読み上げた。
「無敵の我が共和国は、疫病の流行を完全に跳ね返し勝利した。更に疲弊した民族を助ける為に今後38度線の国境を開放する計画で、アーリーマースー」
 一体何のことか誰も想像がつかない一方的なリリースだった。
 韓国の反応は二分される。大統領周辺は直ぐに『共に手を携えて民族の苦難を載り越えて行く準備ができている』と反応したが、ネットではその反対の言説が飛び交った。『今更何を言ってるんだ』『頭を下げて養ってくれ、と頼むべきだ』と激しい反発を招く。
 軍部は更に強硬で、しばしばちょっかいを出されては犠牲者も出ているから無理もない。現役将官は殆どが信用できない、といった反応だったらしい。
 ところが、38度線では両手を挙げた北の兵士が一人、又一人、と丸腰で鉄条網に迫ってくる。
 対峙している精鋭の通称白骨部隊の兵士達は拡声器を使って『チョンジ(止まれ)チョンジ!』と威嚇するが、その場で両手を挙げて白旗を翳す。
 そして、近づいてくると『我々は武装を解除した。気兼ねなくこっちに来て見てくれ』と声をかけて、座り込んだりタバコを吸ったりしている。そういった光景が国境全体に繰り広げられた。
 一方その反対の鴨緑江では、国境警備が以前より厳しくなってきていることが確認された。38度線の警備を放棄した残存部隊が北上していることも偵察衛星で分かってきた。
 翌日、再び李春姫氏はテレビに姿を現したが、世界は驚愕した。
「昨年来、疫病との闘いで常に最前線に立ち人民を指導してきた偉大なる国防委員長はその戦いの中で倒れられました。金正恩委員長の病床からのお言葉を伝えます」
 画面が変わると、その妹である金与正が映し出される。
「朝鮮人民を心から愛し指導した金正恩委員長はこう仰いました。『朝鮮人民よ、道を誤るな。南の傀儡政権の過ちを許し、共に手を携えよ』このお言葉を着実に実践することこそが我々の使命です」
 文大統領は舞い上がった。お見舞いを述べるところを祝電を打とうとした、という話まで伝わる始末であった。
 しかし、その後『お言葉』が再び発表されるにあたり、大統領は顔色を変えた。李春姫氏は二日後にまたテレビに現れ伝えた。
「正しき朝鮮人民が手を携える時、余計な仲介者面した出しゃばりの出る幕ではない。正しき認識により団結し真の友を離さないことだ。それは日本でありアメリカである」
 韓国世論は割れた。疫病騒ぎと意味のない反日にうんざりしていた真面な韓国人は大賛成、旧来従北主義者は反対となってしまった。するとなぜか『文大統領退陣』のプラカードを掲げたデモ隊が首都ソウルに出現した。
 初めは半信半疑だった38度線の白骨部隊だったが、連日の北の兵士の丸腰デモンストレーションにすっかり弛緩してしまい、次第に胸襟を開く。初めはタバコをやったり談笑する程度だった。しばらくすると今度は南の方からも国境までやってくる人達が押し寄せてきた。どうやって連絡したのか分からないが、長い間交流できなかった親族と抱き合う家族の姿までが見られた。

『大変だ!38度線全体に渡って北の防衛体制は機能していない』
 ワイマン大尉が早朝のモニターを見ながら叫んだ。同時に米国司令部へのホット・ラインを掴んだ。このホットラインは日本の厚木にある連合軍司令部に直結していて、カウンターのジョー・ナッシュ大尉が出た。
『ジョー、変だ。ノースの防御線が崩壊している』
『部隊は北の方に移動している。それどころじゃないロバート、もう直ぐアラーム・グリーンが発令される』
 アラーム・グリーンとは要人の前線視察のことで、トランプ大統領が板門店に登場した際にも発令された緊急即応体制のことである。
『何!だれが来るんだ』
『俺達も知らされていない。イワクニあたりからオスプレイが飛んだ』
『韓国軍は知っているのだろうな』
『そこまでは分からん。とにかく頼む』
 その日の午後には編隊を組んだオスプレイが板門店に飛来した。領空に入った時点では国籍不明機だったにもかかわらず、韓国空軍は即応しなかった。
 オスプレイから降り立ったのはCNNのテレビ・クルーと一人の青年だった。
 青年はトランプ大統領とキム・ジョンウンが握手した国境線に向かう格好で、即ち北に向けてマイクを通して語りだした。無論世界中に中継されている。
「北の同胞達、そして南の国民の皆様、私はキム・ハンソルです」
 なんと殺害されたキム・ジョンナムの息子であった。
「1989年に東西に分断されていたドイツで、国を隔てていたベルリンの壁が人民の手によって崩されました。それから30年も経つのにわが民族はこの国境を突き崩せないでいる。多くの人達の望むことができないのは、一部の教条主義者がそれぞれを統治していたからです。今から私が南の同胞を引き連れてピョンヤンに向けて行進します。心ある人達よ、私と一緒にピョンヤンを目指そう。ソウルを囲む100万の仲間達。平和の行進に参加しようではないか。国境を警備していた白骨部隊の兵士達。武器を置いて私に続け」
 すると一人の女性が建物からゆっくりとにこやかな笑顔で歩み出てきた。そしてキム・ハンソルに近づくとガッチリとハグをしたのだ。
 ワイマン大尉はモニターを見て驚きの声を上げた。
『あれはキム・ヨジョンじゃないか!』
 そう、キム・ジョンオンの妹である。そして今度は南に向かう格好でCNNのカメラに話し始めた。
「南の同胞達。ウィルスとの戦いの最前線に立っていた我が兄は入院治療中で明日をも知れない死線を彷徨っています。現在、南の同胞も多くがこの戦いで傷つき倒れました。我が民族は一致団結してこれを乗り越えなければなりません。この国境を超えるのです」
 一方首都ソウルでは大統領退陣断行の100万人にまで膨れ上がったデモが激しさを増し、当初青瓦台は静観していたが、機動隊を大規模に導入してこれを弾圧しようと動き出すところだった。
 すると突如検察が動き、大統領側近を逮捕したのだ。何の容疑かは情報が錯綜してはっきりしない。政権中枢はパニックを起こし、疑心暗鬼と裏切りで統治機能を失い始めた。
 それに合わせる様に、何故か100万のデモ隊は北上を開始し、38度線に向かい出したのだ。プラカードはいつの間にか『祖国統一』になっていた。
 一週間もしないうちに国境はフェンスや地雷が両軍兵士により取り除かれ、往来自由になった。抱き合って喜ぶ親族達の姿が見られ、南から物資を運ぶトラックの車列などが現れ、一気に商流ができた。その間治安は韓国陸軍の兵士が当たっている。なぜか北の公安機関は全く姿を消した。どうやら中国国境に張り付いたままのようなのだ。

 ことの真相は、コロナ肺炎の蔓延によりまず北の人民軍が機能を失い、最高指導者も感染してしまった。それを極秘のヒューミントにより、謎の情報機関シークレット・メソッド・センター(略称SMC)が掴んで仕掛けた工作のようだった。
 実際に動いたのは主にCIAのヒューミントらしいが、極秘ルートでキム・ヨジョンとキム・ハンソルを協力させることに成功したとか。無論アメリカの狙いは体制保証をエサに核の破棄を促せる相手と豊富な地下資源や労働力であり、中国とも離反させることで東アジアを安定させることである。また、目指す所のハッキリしない南の体制転換もついでにできれば王手飛車取りが完結する。
 その頃日本から在日韓国・朝鮮人が帰国し始め、その数は50万人にものぼる。すると、何故か「民族統一委員会」なる名称の組織がSNSを通じて立ち上がり、いつの間にかその組織の四者会談が行われることになるとの発表が一方的にネットで流される。場所は板門店、出席者は北からキム・ヨジョンとキム・ハンソル、南は大法院裁判長の金命洙(キム・ミョンス)と国会議長の文喜相(ムン・ヒサン)とのことだった。

 四者がにこやかに会談している様子が、ネットに流される。その場ではついに民族の悲願、祖国統一宣言が発表された。
 ところがその後、全くブリーフィングがなされない。暫くは情報が漏れてこなかった。どうやら民族統一会議は初めから揉めに揉めているようなのだ。
 次第に争点がわかってくるが、驚いたことに旧北側の提案した親日・親米路線に対し、南の二人が強硬に反日・反米を主張していたのだ。北の方は竹島を返して拉致問題も最終決着をつけると言い、南が中国と安全保障条約を結ぶとまで言い出したらしい。
 そして米・中・日・露が猛烈にロビー活動を繰り広げ始める。実は半島に渡っていった在日の人々が旧北側に猛烈にアプローチしたのが相当功を奏したようで、その黒幕は安倍総理周辺だと噂されている。
 更にはこの政治的混乱の中、朴槿恵(パク・クネ)元大統領が出獄してきた。その裏には中国の圧力があると囁かれた。
 話し合いは以前の北と南が入れ代わったような主張を繰り返し平行線のまま。アメリカは米軍の韓国領からの撤退を示唆し、沈黙を守るプーチン大統領がどう動くのか不明。朝鮮人民軍は鴨緑江に張り付いたまま。韓国軍も38度線の守りを放棄した。
 国名をどうするのか、一国二制度になるのか、米韓同盟は破棄されるのか、習近平は何を言い出すのか、北にある核はどうなるのか。そして何よりも、噂の域を出ないが仕掛けたとされる正体不明の組織、SMCの狙いは何だったのか。
 いずれにせよ、優れて全てはコリアンの力で問題解決に当たらなければならない。

 全て混沌とする中、延期された2020東京オリンピックが開催されようとしていた。

委員長のダブル(影武者)

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タオイズム(道教)は難し Ⅲ

2019 AUG 26 6:06:19 am by 西 牟呂雄

 大変腑に落ちる話ですが、生まれたての人間の赤ん坊ほど無防備な生き物はいません。魚でも動物でも生まれた途端に泳いだり歩いたりします。ですが人間の赤ちゃんはあてがってやらなければ自分でミルクも飲めません。
 そこで周りが寄ってたかって世話をするわけですが、それにより能力や運動神経が後天的な要素にのみ支配されるということにはならないらしいのです。
 むしろ多くの遺伝的因子がDNAに組み込まれていて、人間という”意識”が受け継がれていくことになっているという論説が流行っています。
 但し、実験的にそういう環境を施すことはできないため、あくまで”統計的”にそう言えるというだけですが。同じ環境・教育水準・人間関係で、ということです。
 余程特殊なケースを除けば、人間は自然に言語を持ち表情があり死を怖れる。動物は全てない。感情は持ち合わせているにしても、ほぼ生存本能の命じる範囲でしかありません。
 そして「言葉を持つ」という非常に学習密度の高い訓練を、長い「子供」の時期を通じて身に着ける訳ですから、後天的に備わる部分は大きいでしょう。言葉が無ければ考えることはできません。

 私は『いきものばんざい』から『ダーウィンが来た』に至るまで、NHKの動物モノを楽しんでおりますが、究極的には本能に従って弱肉強食と子孫繁栄の営みを続けていることが良くわかります。NHK的には「恋の季節」などと上品に表現しますが、単なる繁殖で、動物にはLGBTなどいない。例えば作り笑いをするようなコミニュケーション・ツールもありえない。
 「自然に帰れ」「本当の自分を見つけろ」こういった言い方は昔からあって、古くはヒッピーやフーテンが盛んに煽りました。その行き着くところは「自分探しの旅」でしょうか。あれは功成り名遂げた高名なサッカー選手が引退し、やることが無くなってブラブラしているのを咄嗟に形容した言葉です。本人はインタビューなんかを見ても、なかなか頭のいい人のようですからああいう旨い表現になったに過ぎないと思っています。しかし結果としてその旅で自分を見つけた人っているのでしょうか、寡聞にして知りません。
 閑話休題。
 そうして後天的に刷り込まれた『意識』というものが、強く集団として作用するのが宗教ではないかと思います。欧米のクリスチャンは食事の前に家族で祈りを捧げているシーンなどを見ますと、いもしない神様という者が漠然と存在するような刷り込みがされて行くでしょう。神様の姿が見えないので、マリア様やキリストの像に祈ります。イスラム教は偶像崇拝を禁じている代わりに一日五回も礼拝します。神道も神様のカタチはありませんね。
 一神教と多神教は後者の方が原始的に思えますが、一神教の絶対神も仲介者としての審神者(さにわ)としてモーゼ・キリスト・モハメッドが伝えなければ信仰にはならなかったはずで、古代においてはどちらもドロドロとした土俗的な”信仰”だったことでしょう。その後イスラム教やキリスト教は一神教として洗練されました。
 仏教についてはお釈迦様はカミ様についてどうこういったのではなく、解脱のノウハウを伝授して後継者たちが体系化していきます。そして大衆化していくに従って様々に具象化され、これはインド以東のアジア全般の多神教的な風土と良く馴染みました。
 ここで個人的な話です。私の家は浄土真宗でお寺にお墓参りに行きます。ところが母方は神道で、お葬式や法事に当たるお祭りにはお経の代わりに神主が来て祝詞をあげます。亡くなると命(ミコト)になってしまい、その際には一瞬照明を落とすのです。焼香はしないで玉串奉奠(たまぐしほうてん)、榊の枝を捧げるだけ。葬儀に清々しいとは多少違和感があるでしょうが、確かにそうなりますよ。
 一方で、最近ハマっているタオイズム(道教)は『無為自然』を説きます。

 おわかりでしょうか、生まれたままで好き放題なまけていればいい、とはなりません。人間などはそのまま一人では生きていくことさえできないのです。言葉を覚え集団で暮らしてこそ進化することができたはずです。
 ここからもう一捻りして、本能を鍛える訳です。思考し、格闘し、煩悶し、懊悩する、そこから生き物”人間”としての本能を呼び覚ます。その共通の思念の流れがそれぞれのエリアの民族を形作ると考えるのが自然でしょう。
 それでは日本とは?但し、近代の日本は様々な思想・宗教を内包しているため、一筋縄ではいきません。天皇親政が一番自然ですか?それはないでしょう。
 昨今の東アジア情勢を見ても、エリアで括ることは(同じ黄色人種であっても、モンゴロイドであっても)不可能に思えます。
 福沢諭吉は『脱亜入欧』と言いましたが、どうも最初から日本は『非亜抱欧』だったような気がするのですが。アメリカ人は一概に言えませんが正義が単純に好きですが、英国のシェークスピアは『マクベス』で魔女にこう言わせています。「きれいはきたない、きたないはきれい」なんとも薄気味悪い響きですが原文はと言えば「Fair is foul, and foul is fair」。解釈によっては「公正は不正、反則は正当」とも訳せてタオイスト風じゃないですか。
 これ、日本人の気質にも通づるように思えてなりません。

 ところでタオイズム本家の中華圏ではあやしげな現世利益宗教に成り果てたのはどうしてでしょうかね。

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タオイズム(道教)は難し

タオイズム(道教)は難し Ⅱ

 

令和という近未来 悪い方のケース

2019 MAY 11 6:06:53 am by 西 牟呂雄

 オリンピックも終わり、安倍総理の退陣と同時にアベノミクスが根底から崩れる。この時を待っていたかのように、満を持して海外機関投資家が猛烈なカラ売りをかけて株は大暴落。同時に財政は危険水域を越えたため、安全資産でもなんでもなくなった円も売られ180円/$まで一気に下がる。輸出産業は競争力を増すどころか原料価格の大暴騰で軒並み合わなくなる。インフレまでが起こる。政府も企業も、何もできずに指を咥えている始末で、EUも全然ダメ、中国はバブル崩壊、韓国もメチャクチャ、中東は新冷戦の最前線、アメリカもさっぱりと、世界中が不況を輸出し合っている様相を呈し始める。

 私的シンク・タンクであるSMC(スーパー・メタリック・クラブ)が令和の時代の五大危機を発表した。
 ① 円の下落によるインフレーション ② 金利上昇 ③ 国債の暴落 ④ 社会保障コストの増大 ⑤ 消費税15%  の五つである。 
 深刻なのは、就職氷河期と言われた時代に成人した層で、行き場を失って久しい。
 SMCは5G時代にそういったグループが地下コミュニティーを形成するのではないか、との警鐘を鳴らしている。
  突発的な騒乱や殺人事件、宗教的カルト問題が頻発するだろう。日本では以前から不登校だ、引きこもりだ、ニートだといった層が将来の社会コストとして顕在化する心配はあった。
 それに加えて、5G時代になると紙媒体はおろか、画面もなく伝達・交流が可能になる。利便性は確かに上がる。しかし一方で地下コミュニティーによる非組織的犯罪が起こり、暴走する危険を予見したのだ。
 突発的、非連続的な犯罪は、捜査において動機とか物証や情報の流れと言った記録が取りにくい。更に事件の要因となる社会不安、或いは経済状況といったバックグラウンドが冒頭に述べたような混乱状況なので、ほとんどが迷宮入りしてしまう。
 
 実はシミュレーションでは識字率が落ちるからだ。先進国中ダントツだったはずが100%から99%になる。同時に、はっきりと数字に表れない就学拒否をする親の存在が大問題に。教育現場ではいち早く対策を打たねば、の声が上がる。
 これらは通信機器の進化によって全く”文字”を必要としないイヤホーン着けっぱなしのライフ・スタイルが定着するから。一例を挙げると翻訳機能のおかげで多言語コミニュケーションできる。外国語を学ぶ必要がなくなる。他言語を学ぶという刺激的な営みを放棄するようなレベルでは日本語も怪しくなってしまう。
 日本人の白痴化が進んでいく。
 一方で、この不気味な世相に一番鈍感なのは大会社や官僚という組織だ。大学もそう。部門にまたがる事業体の集合であるため、統一された処理をするのにもコストがかかり過ぎ、組織的合意が為されなければ事務機器一つ動かせない。そのため日本の『生産性』は今でも先進国の中で最低だが、更に落ち込む、という予想も発表された。消費税の増税で消費も沈む。
 かくして社会不安を煽るような不連続・非連続の集団犯罪の発生頻度は高くなり、どうやらそれを起こす『集団』は、いわゆる縦型のような組織形態を取っていないので正体がわからない。
 高校生がウランを精製した事件があったが、互いに面識の無い者同士がSNSで連絡を取った。その他特種詐欺・突発暴動などは表に組織が全然見えて来ない。

 因果関係も動機も狙いも不明な病んだ事件は現在でもある頻度で発生するが、不連続性・非連続性に法則がないか、SMCの研究者は様々なモデルでアプローチしてみた。
 すると、驚いたことにこれらの地下集団を操ってある程度のコントロールを施すと、大衆を統治する国家システムが機能しやすくなってしまうらしい。挙句の果てに、格差が広がろうが多くの人は何も考えず、字も読めず、ケータイ握り締めているだけの人間に飼いならされた後なのだ。
 教条主義者と宗教団体にはスパイを張り巡らせ、後はガス抜きしてシアワセにしてしまえばそれで事が足りる。
 SMCが出した結論は、令和20年にまでにその国家システムが構築される。
 即ち、ある意思の下で不連続・非連続の集団犯罪を煽動すると統治のコストが安くなるのだ。

 怖くなってきた。その時の総理こそ小泉新次郎ではないのか!

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将来型適正コミニュケーション限界 

2018 NOV 29 0:00:41 am by 西 牟呂雄

 フレックスは当たり前、在宅勤務どころか勤務地ですら自由、AIの進化で生産性はアップ、行きつくところは、一日2~3時間働いて後はご自由に、となるかな。
 その仕事も、例えば現代アメリカ小説家であるリチャード・パワーズは部屋の壁にバカでかいディスプレイを架けてベッドに転がりながらキーボードをカチャカチャやって執筆しているとか。そうしてモノを書くと『自分の身体があるような無いような、世界とつながっているような切断されているような』気分なのだと言っている。ちなみにこの作家は大変頭のいい秀才で、難しい文章を書ける人だから仕事ぶりは真似はしない方がいい。
 しかし、こういう話は必ず後になってダークな部分がクローズアップされてしばしば大騒ぎになる。一つ心配になったことがある。この際賃金は下がらない前提で考える。

 それは、いくら(賃金が下がらずに)時間が余っても『もっと遊ぶ』とはならない、ということだ。なぜなら、今でさえロクに働かない奴はヒマを持て余しているし、遊ぶ奴は忙しくても遊んでいる。『もっと遊べ』というのは上からやってもダメで、これは消費には結びつかない。プレミア・フライデーなどあっという間に跡形もなくなった。
 一方で本業が楽になると、もっと稼ぎたいとばかりにアルバイト的に仕事を増やす人も出てくるはずで、こういうのは概して優秀かつ貪欲、専門性の高い人だろう。通信手段はどんどん安く便利になり、すべてが『居ながらにして』できるようになれば、そういう人達はジャンルを問わずに兼業するのも当たり前。極端な例を言えば時差のないエリアでは国境を越えて日本ー東南アジアで兼業する。3時間の範囲を許容するならインド・ロシアのウラル地方まで可能だ。
 すると新しい遊び方がでてくるのか、オジさんには見当もつかない。
 先日はある報道で遠く離れている同好の人達がスカイプでそれぞれの顔を見ながらビール等を飲む”仮想飲み会”があることを知った。5人くらいでやっている人達は、それなりに楽しそう。しかし僕がやるとしたら相手は誰だろう。
 結局そういう相手は思い浮かばない。僕の世代まではそうまでして一緒に飲まない。そういう飲み会ができる人達はコミュニケーションの物理的距離とは切り離されているのだろう。
 僕は定期的に集る「会」を幾つか持っているが、エリアと密接にかかわっている。僕達旧世代は遊んだり飲んだりする際もそう簡単に空間を飛び越えられないことが分かる。
 これからの老境に差しかかって、たった一人では暮らせないことは確かだが、居心地の良いエリア・コミニュケーションは、一体どの位のスペース人数が適正なのか不安だ。

 閑話休題、人間の社会的対応識別能力は150人なのだそうだ。
 ちょっと逸れるが、どのくらいの人数と付き合ってきたか考えてみよう。僕の小学校は1学年200人以上。同じ学年で仲良く遊んだことのある奴は学年ごとに5人くらいか。そのペースで行くと学生時代に『親しくつきあう』というような間柄が100人?その後は仕事にもよるが転勤有りで想定すると、単に挨拶をするだけではなく何度も酒席を共にする程度のお付き合いをした相手は300人で。合計400人。その他親族等全部ひっくるめて500人を超えることはないだろうと思う。
 前述の150人という識別数は、京大の山樫総長の試算、及びイギリスの人類学者であるロビン・ダンバーによって導き出された個人の対応可能な社会の個体数だ。ざっと50年で500人とつきあい、そのうち150人が都度『親しく』し、『最後に残る』くらいか。それが目下の僕は150人も頻繁には合う人はいない。試しに数えてみると、近い親族を含めても100まで達しなかった。むしろ『あのときああいう奴がいた。会うこともないだろうが二度と顔も見たくない』ような奴ばかりを5人も思い出して気分が悪くなった。

 またまた話が飛んでいくが、今日のロボット技術の発達により将来着ぐるみ型の自走式介護スーツのようなものができるとする。寝たきりにはならず、立って歩け、骨折もせず、シモの世話も自動化・衛生化されてしまうと一層ボケが進む。するとこれから識別できる人数は確実に減っていき仮に毎年1/√2(ルート二分の一)づつ減っていくと10年以内にヒトケタ(家族は除く)。昔話ばかりすることになると十人の顔はアイツとアイツか・・・。
 そういう輩が集団で暮らすとすると、それなりの嗜みが身に付くのだろうか。いじめをしない、とかね。予言めいたことを言えば『常識』に従って暮らし、日本が昔から大切にしてきた『慎み深さ』が大事になるのではないか。どっちにしたって誰かに管理されなければ生きてはいけないのはどこかで既に述べた。

 普段暮らす街はデパート・ターミナル駅まで10分。この利便性でマンションの車保有比率は半分以下。
 一方、山荘喜寿庵は歩ける範囲にコンビニはない。ゴルフ場や温泉まで車で10分、お弁当を買うHot Motto は車で5分。近所の車は一家に最低2台といった具合で、車で5分の距離を歩くことはなくなるようだ。歩いているのは散歩のオジサン・オバサンがせいぜい、従って人通りは益々少なくなり夜は歩いている人は滅多にいない。
 いよいよ体も効かなくなってしまえば所詮”見るだけ”で個人も社会も希薄な空気の中で漂ってしまう。
 そのとき東京と喜寿庵のどちらにいた方がバランス良くくらせるのだろう。

 ところが、だ。20年後にどんな通信手段が発達して便利さは増すものの、コッチの頭脳は桃源郷に遊ぶ頃。半径10m以内の世界で事足りる。わー!

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委員長のダブル(影武者)

2018 MAY 18 7:07:41 am by 西 牟呂雄

 もうすぐシンガポールで史上初の会談が行われる。どのような結果になるのか予断を許さない。
 アメリカもイスラエル大使館の移転で火が着いたらマジメにこっちをヤル気は薄まる、アジアの話は票にならないから。
 それを見据えて強気になったのか、親分(大陸)にケツを叩かれたのか、やるのやらないのとグズグズ言い出した。閣僚会談をすっぽかされた方はいい面の皮で気の毒でさえある。容認していた米韓演習が気に入らないなどは後付けに決まっている。
 もっとも関係者はかの国の手は読めてるのではないかな。。散々ゴネた後で理解を示したように振舞って好感度を上げるか、親分の力を借りて人のせいにして決裂するか。 
 だから日本は(水面下はともかく)ドッシリと構えていればいいのだ。蚊帳の外と揶揄する報道は全て工作と見て間違いなかろう。向こうも核実験場廃棄の取材に日本を入れないとか言ってくれてるんだからお手並み拝見。
 特に拉致問題に引っかけて接触を図るあやしげな輩は断固排除だ。

 それはさておき、ある時に気が付いた。これ、生え際が違うのじゃないか。
 眼鏡のアップの映像が出た時にも思った。にこやかな表情の時は眼鏡をしていなくて(実験成功で幹部と喜び合ったり、韓国芸能人を歓迎している時)逆に眼鏡をしている時の視線が鋭い(会議で演説している時や要人と会談している時)。
 これは・・・、と思って検索すると、本当かどうか知らないが影武者説は随分出回っていた。
 オヤジと違って時々演説するので声紋を取られているから喋りが入る時、即ち会談をする時は本物。手を振ったりする時は影武者ではなかろうか。その名も『斬首作戦』を発動されたら絶対に助からないから信憑性はある。
 現代の整形技術を以てすれば輪郭の似ている奴を同じ顔にするぐらいは可能だろう。そう考えるとヴェールを脱いだ時からあの不自然な太り方や特殊な髪型は、本物と影武者の見分けをつけにくくする工作だったりして。
 
 そこで考えたのだが、良く似ている東洋人を太らせ整形し刈り上げると影武者を量産することができるのではないだろうか。密かに100人位仕立て上げた贋物を送り込んで突如軍駐屯地に出現させ『今から首都に進軍演習をする』と言わせれば大混乱に陥るかもしれない。或いは『核を廃棄せよ』と宣言させる。国境に立たせる。第三国で秘密会談をしている映像を偽造して電波ジャックで流す。いや冗談ですよ、冗談。
 そもそも建国時からお爺さんが伝説のパルチザンを名乗ったが、これが戦勝国の仕掛け人GPU(ゲーペーウー)が仕込んだ替え玉だったという説は昔からあった。
 それが何を吹き込まれたのか戦争が始まって仕掛け人がドン引きしたため昔の親分を頼った。
 そのうち仕掛け人と親分が仲たがい始めるとその両者の間でしたたかに振る舞う構造が定着して「振り子理論」が確立したと見ている。ただし自身は不幸にも分裂したままになってしまったが。

 同じようなことがヨーロッパでも起こっていた。しかしその国が分裂した時に国民同士が戦争はしなかった。その余力すらなかったからだ。従って統一の際にも割とスムースに行ったが東アジアではそううまくいくだろうか。
 体制保障といっても一体何を保証するのか。〇〇連邦共和国となったとしても、まさか選挙でいきなり去就は決められないだろう。
 今更統一後も社会主義体制を保証しろも何もなかろうに。今まで国民の幸せなんか考えたこともないのだから、この場合の保障とはファミリーの生命・生活のことでしかない。兄貴もやっちゃってるし。
 ああまで露骨に世襲をしたからには、連邦共和国のあかつきにはいっそのこと元首にでも祭り上げてロイアル・ファミリーにしてしまう。そして余計なことをさせないでおくのはどうだろう。
 すると元々北と南は仲が悪いから派閥争いが始まって反日に拍車がかかったりして。

 それはそうと、そうなった時に影武者は失業するか消されるか。物真似芸人というのも考えられるが、成り立つとも思えない。喜び組はアイドル・グループとして芸能界デヴューがあるけれど。

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『ソサエティ5.0』とは

2018 MAR 17 16:16:09 pm by 西 牟呂雄

 閣議決定され内閣府が発表している『科学技術基本計画』のことである。

ソサエティ5.0(クリックして下さい)

 内容はネットで閲覧できます。狩猟時代・農耕時代・工業時代・情報時代に次いでやってくる超スマート社会を目指す、という構想だ。
 先日、さる講演を聞いたところ大量データ処理やデジタル経済の周辺技術は全地球規模で加速度的に発達していることに驚いた。アメリカばかりじゃなく至るところで開発が進む。インドのIT産業の凄さはたびたび現地入りして肌で感じているが、そのほかにもロシア・ベラルーシといったところからホットなイノベーションが次々に起きている。
 それらが、ヴェンチャーを通じ更に機能・付加価値を増やす事は誠に結構であるが、それを社会インフラとして発展させるのは我が国が最適な社会なのではないだろうか。
 第1にこれからの高齢化社会が「超スマート」社会を欲している。これから高齢者になり将来の衰えが目前にせまっている身としては切実にわかる。体は効かない目も悪くなる耳も遠くなる、の状況でも最低限の生活をする際には、このコンセプトの便利さは必要だ。
 昨年さる知り合いが長期に入院をされたが、看護師さんたちの猛烈な忙しさと入院患者の要望の多様さのギャップを目の当たりにした。こういうところに集中して投資することで社会コストが大幅に下がるだろう。
 第2に、この「ソサエティ5.0」社会では既存の農産物・工業製品の在庫が減るだろう。いらないものは作らないで済む、ビッグ・データにより消費の予測精度がはるかに上がる、また産物・製品の歩留まり向上する。従って無駄が著しく減らせるはずだ。しかもこれは日本人が一般的に持っている「もったいない」の精神にピッタリと平仄が合う。そしてコスト削減に効く。
 すでに十分安くなっている通信費をはじめ、あらゆるモノ・サーヴィスの価格が一段と破戒される。在庫の削減はそれぐらい大きいのだ。
 第3には、これらのデータを充分に活用し得る社会インフラがほぼ整っている。サーヴィスを受けるにはその公平性が必ず問われることになるが、都市部と過疎地の利便性の差はよほど極端な例を除けばそう大きくない。山の中や離島でドミノ・ピザが30分以内に来ない、と怒ってもしょうがないたぐいである。
 むしろ「ソサエティ5.0」社会においては、最近見られる田舎への移住や働き方改革によって東京への一曲集中が緩和されていくものと思われる。普通のサラリーマンが日本中どこででも仕事が見つけられ、通勤を伴わずに執務できるようなイメージが湧く。性差・年齢差もなくなっていくだろう。
 第4に現状様々な非効率を引き起こしている現象が避けられるようになる。卑近な例では災害の対処、救助手段、被災者の病院への搬送、交通事故対応、犯罪の予防、治安の安定といった諸問題の解決スピードが飛躍的に上がるはずだ(犯罪予防は難しいか)。
 それだけではない。役所の手続きや病院の待ち時間なども短縮される。或いは渋滞が減る、混雑が緩和される、といった日常の利便性にまで影響がある。
 そういった事象は今後労働人口が減り続ける我が国にとって経済的にも大きく貢献するはずだ。
 最期に、実現時点では確実にヘロヘロの老人になる筆者にとって有難いのは、その超スマート社会が極めて安心感をもたらすだろうことである。
 後顧に憂いが無くなるとでも言うのだろうか。
 あらゆるコストが劇的に下がれば、もうそんなに長くもない将来に思い悩むことはなくなる。
 一方でその頃の若者は、無償化した教育によってかえって多様化していくだろう。勉強しない奴は昔からしないが「ソサエティ5.0」には落ちこぼれは存在しない。妙な話だが、行きたくもない学校だったら行かなくて済むのでだ。
 AIのおかげで外国語が喋れなくともグローバルに活動もできる。

 ところで、オカミはこういう資料を丁寧に書くと『仕事』が終わったと思ってしまいがちだ。あとは予算を付けてオシマイ、民間でどうぞ、ってそうじゃないだろう。
 こういう社会が実現するには継続的な政策の後押しと、さらにその時点での政治にも十分な透明性・正統性があり、広く国民の声を聴き周知徹底する体制がなければ。単なるノリのポピュリズムや極端に偏ったものでないことも求められる。
 現時点ではいささか観念先行なのは仕方がない。ここで一旦地に足をつけなければ、単なる『儲け話のエサ』になりかねない。
 「ソサエティ5.0」は社会も変動させる。
 昨今の世界情勢をみるにつけ近未来でグローバリズムはそんなに普遍的な概念ではなくなるかもしれないのだ。EUの末路を見極めたい。
 考えても見て欲しい、自由だグローバルだと言っても国境が無くなった途端にデモクラシーそのものが霞んでしまうだろう。
 更に高齢者(近未来の私達)は本当は何を望むのか。誰がどうやって各種のそういった意見を掬い上げられるのか。
 又、技術的には達成されるとしても、高齢者が使いこなせるシステムでなければ我々は奴隷化する。
 そしてその前提として高度な安全保障体制が緻密に組まれた平和が確保されなければならない。 
 
 そうなってこそモラルの高い「ソサエティ5.0」社会が実現するだろう。

2025年 AIを国民のベーシック・アセットに

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最近困ったあべこべの話

2018 FEB 5 22:22:58 pm by 西 牟呂雄

 討論番組で大嫌いな評論家が偉そうに「安倍さんに会ったら」「自民党の幹事長に会ったら」などと喋っていて不愉快になりつつ一点不安に駆られた。
 アメリカが憲法改正を言って来なくなったと言う。
 何しろ最近のアメリカはシリアにミサイルを撃っただけで、中東でも存在感は出せていない。エルサレムに大使館を持って行っても別にどうってことはない。未だに移転する時期は後ろずらしにしている。
 更に言えば、御存じとは思うがイスラエルは何百発もの核を持っているのだ。このモデルを東アジアで見立ててみると、恐ろしい話が現実味を帯びる。歴史・人口学者エマニュエル・トッドは『核は分散すれば誰も使えない。日本も核武装したらいい』と言った。 

 狂った国の指導者が本当に戦争を始めて、見せしめ的に核を日本に向けて発射した場合は米軍は即座に反応するだろう。但し全面戦争に巻き込まれかけた時点で、核の傘が日本を守ってくれない可能性は高い。外交力でどうなる話ではなかろう。
 憲法改正の論議は深まるだろうがまさか核武装まではできまい。国民のアレルギーが強すぎる。公明党も連立を離脱するだろう。
 米・中・露の核大国は三竦みのように、世界中でどこかが退くとどこかが刺さり込んで来る。シリアはロシアが仕切るだろうし中央アジアは中国とロシアがせめぎ合う。中国の海洋進出に蓋をするような位置にある日本は今のところアメリカの縄張りということだ。
 ひょっとして、アメリカは真っ当に日本が憲法改正をするのを望まないのか。それでいて『中国の膨張は自分で止めろ』等と言い出されたらどうする。苦し紛れの安倍総理の加憲案や閣議決定の解釈集団的自衛権や安保法制だけではいささか心許ない。おまけに半島にはもう核があり、核武装でもしなければ防衛力に不安が残る、となれば右翼もつらいのだ。
 自主独立の悲願は当然としても、一国だけで安全保障は確保できる環境にはない。『私の机の上に核のボタンがある』とまで言ってのけて威嚇した。

 話は変わって、EUのドイツ一強その他全滅はもう懲りただろう。
 スペイン・カタルーニャが独立騒ぎを起こす一方で、国民投票までやったスコットランドの独立熱は冷めていると言われている。その理由は北方油田の価格の値下がりにより経済が良くなっていないからなのだそうだ。カタルーニャはスペインの中では豊かで、スペインその他地域の若者の失業率35%とは大違いだから、いつまでもこいつらを税金で養うのはかなわん、という理屈だ。その”取り残された”上記『多弱』の方が(移民問題もあり)右派を支持している。
 ここで不思議な逆転が起きていると筆者は考える。従来のイデオロギーの左右対立がはなくなったために(旧西側では)保守ー革新の構図が変わってしまった。
 これはどうも移民問題で苦しむEUの極右はさておき、我が国に於いてはそっくりそのまま新自由主義ーリベラルの対立構図に入れ代わったのだ。
 ところが、右とされる安倍政権は岩盤規制をこじ開けて『規制緩和』する、移民は受け入れる、TPPは推進する、要するにグローバル化を進めている。真摯に議論に参加してそれなりにプロの対応をしているリベラルは(与党内議論ではあるが)公明党ぐらい。
 するとこれらに全部反対する野党は国粋主義のナショナリスト党になってしまう。これでは私のような保守派は困る。いつのまにかリベラルはいなくなってしまい、充分に与党内リベラルの意見を吸い込んだ安倍一強が成り立っているではないか。
 希望と民進は一瞬くっつきそうになって一晩でオジャン。小沢一郎は見る影もなし。

 目下のところリベラルを標榜するならば反新自由主義の思想が確立されなければならない。それはおそらく大きな政府の元、職能にあった高い雇用と福祉を充実させるべく平等感のある文化国家といった概念か。筆者は想像たくましく江戸時代がそれにあたるように思えてならない。江戸期はヨーロッパで起こったようなブルジョア革命を醸成しないような安定社会だった(維新はブルジョア革命ではない)。

 さあ、困った!

 民進党は大塚代表が気の毒なくらい苦労が偲ばれるが、党大会でついに「新しい党」と言い出した。何をどう新しくするのかは分からない。原点回帰でも詠ってはいかがか。

もしも江戸時代が続いていたら

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