Sonar Members Club No.36

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前期高齢者 緊急事態宣言下のゲレンデに立つ 

2021 JAN 25 0:00:12 am by 西牟呂 憲

月光仮面?

 密を避ける。喋らない。接触しない。マスク。サングラス。コサック帽。完全武装でスックとゲレンデに降り立った我が雄姿は、日露戦争時の日本騎兵とも見紛う凛々しさだった。
 首都は戒厳令下だが、一足早く喜寿庵に脱出していたのでこうしてスノボを楽しむことができた。
 去年、前期高齢者デビューしたものの、コロナの波状攻撃により結果として1年間というもの雌伏せざるを得なかった。そして今年も未だに厳しい状態が続いているものの、このままで終わらせてなるものか。
 しかしながら非常事態である。絶対にコロナに罹ってはいけない、みんなに迷惑がかかる。次に転倒してはならない、この年では骨折しかねない。するとバカにされる。最後に疲れてはいけない、去年しみじみ味わったが抜けないのだ。たまらずマッサージを受けたくらいだ。
 非常事態宣言が出されたこともあるし、ゲレンデはガラガラかと思いきやこれが結構な人出だった。もっとも考えてみればスキーヤーもボーダーもそもそも防護服みたいなウェアであるしゲレンデはオープン・スペースなのでリスクは小さい。

 しかし驚いたのはそれだけではない。リフト券売り場、ゲレンデの端っこでは新たに観光に来たはずもないアジア系の言語が飛び交っていて、こいつらはマスクなんかしていない。帰国できずにそのまま居続けているのか、いずれにせよのんきなもんだ。それも2~3人というレベルじゃない。
 誠に不謹慎とは思うがオリンピックの聖火リレーの際に、どこから湧いて出たかと肝を潰した某国の赤い国旗がウジャウジャしていたのを思い出した。コロナの本家のくせにデカい面すんな、な~んてことは言いませんよ、ヘイトになっちゃいますからね。
 で、一応シーズン初めなのでけがしないようにチョロッと滑ったが、やっぱり脚力は衰えていると言わざるを得ない。メイン・クアッドの長い中級ゲレンデを4本でワン・セットにしていたが、情けないことに2本で息が切れた。
 14か月前に癌の手術を受けたが、その後何故か体重は5kg近く増えた。人からは『コロナ太りですか』と聞かれるが、普段から何もしていないから関係ない。飲み会が無くなって酒の量が減ったかと言えばそうでもない、家でガブ飲みしてむしろ切れ目がなくなった。要するに圧倒的な運動不足なのだ。よーし、今シーズンは元に戻すまで鍛えるぞ!
 (1月11日時点の決意です)
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今更何だ!

2021 JAN 15 0:00:21 am by 西牟呂 憲

『マスクで感染を防げるというエビデンスはない』
 なるほどそうかも知れない。それでは何故マスクをすることが推奨されるのか。不思議だと思いませんか。
 それが最近分かった(推定だけど)。
 このところの感染拡大は人が人とマスクを外してメシを食いながら大声で会話することがマズいのだと喧伝されている。相手が症状が軽い感染者だから広がるのだと。そういうキャリアが任意の人に移りにくくする効果はある、従って『あなたも陽性かもしれない。マスクを着用して感染が広がるのを控えてください』と言えばいいのだ。大体これ以上医療崩壊が進んだら結果は『命の選択』をせざるを得なくなる、重症患者で高齢者より若い人を優先するような。私は前期高齢者である。
 ではなぜそう言わないのか。
 そんなことを言ったら感染者と発表している、東京で言えば一日千人を超える人数の何倍もの陽性がいるのが大ぴらになるから。するとバカがパニックを起こして何をするか分からない。野党が恐ろしく下らない追及を始めるとか、都知事が「国の管理が云々」などと後出しジャンケンみたいなことを言い出して政治問題になる。
 そもそも国がやるべき対策はワクチン開発とか水際の入国管理を強化すること、後は食えなくなりそうな人へのカネのバラまきくらいしない。これ、役所の事務手続きの手間を考えれば前にやった10万円一律のようにやるしかなかろう。どこぞの知事のように『国が緊急事態宣言を出してくれ』と責任転嫁するくらいならその前に『歌舞伎町を封鎖する』とでも言って本当にやっておけば喝采した。
 筆者の見立ては風俗店とキャバクラ・ホストクラブがクラスターの2大温床で、最近の家族感染はこっそり行った者が経路不明と称して広めているに決まっている。誰もはっきり言わないが。

大晦日

 大晦日に1000人を超えた。その晩の北東に上がったのがこの真っ赤な月だ。
 勝負の三週間をやってこれだ(といっても他国に比べればはるかに少ないが)。政府がどうしたも何もなかろう。第一波の時のモデルを忘れたのか、接触を減らしまくるしかなかろうに。それも言われてやるのではだめで、自分で考えていい具合に接触を減らす。後は極端に言えば自己責任とか運が悪かったといった範疇でしか無かろう。
 そしてついに緊急事態宣言に至った。すると1都3県は施行の前に飲食店の時間短縮を発表する。横取りして自分の功績に見せようというのがミエミエで実にやり方があざとい。4人でやらなきゃできないのかよ。
 宣言が出された日には2000人越え。
 この日の野党のコメントがまた一段とひどかった。「国会答弁に総理が出てこないのは政府の緊張感が感じられない」だと。総理はお前の下らない質問に答えてるヒマなんかないんだよ。

 ワクチンが行き渡り集団免疫ができるまでは元に戻らない。それがいつになるのかは分からない。そしてそのことを覚悟しなければオリンピックなんかできない。筆者はオリンピックに限って言えば実行可能だが、今の根性では難しいという考えだ。すなわち、陰性の選手しか参加させない、観客も検査する、又は無観客でやるくらいの対策を徹底させる。それでもオリンピックの価値・選手の誇り・開催国の威信は保たれ、経済効果も少なくはない。非難轟轟だろうがそれでもやる覚悟はあるのか。
 また、今後も変異し続けるウィルスに開発中のワクチンが効果をもつものかの検証は未知の領域とも聞く。
 緊急事態は首都圏だけでなく栃木県と中京地区、関西地区、福岡県にまで広がった。
 やれ「Go To」を止めるの続けるの、李行時間を伸ばすの縮めるの、遅すぎるの早すぎるの、今更何だ。マスコミが反対意見ばかり煽るのはいかがなもの、それどころか政権内部でも足の引っ張り合いの兆しがあるのは亡国の黄色信号点滅に見える。あちら立てればこちらが立たず。ガタガタ言ってないで断固自分のことは自分で守れ。そもそもお上に頼まれてやることじゃない!覚悟を持って長基線に備えよ!
 ついでに言っとくけどそこらをウロウロして足を引っ張る輩、中国みたいになりたいのか?少しは医療関係者の迷惑考えろ!

 ところで、その覚悟が出来ないワーク・スタイルそのものは近い将来滅びていくのではないか。春先の緊急事態宣言時に比べてはるかに緩んでいる現状を見ると何年かかるのか。
 それだけではない。AIを駆使したデジタル化に乗り遅れ、テレ・ワーク、リモートにソフトランディングできなければ生産者ですらまともに生きていけなくなるかもしれない。誤解を恐れずにあえて言えば年金生活者の子供世代、即ち団塊ジュニアがニートや引きこもりだった場合は、絶対に中産階級には戻れず政策の手を借りなければホームレスだ。
 一方そういった「覚悟」をした場合のライフ・スタイルはどうなるかというと、意外と非合理的なものになると思われる。お手軽で安易で容易なものではないものが人々、特にオジサン・オバサンに定着する。筆者自身が好むところだとも言える。オジサン道とでも言おうか。そういえば既にこういうことを書いている。

おじさんが遊んで暮らす十ケ条


 要するに直ぐ出来てしまうモノとかコトではない、なるべく手間ヒマかかることを少しづつやる。楽しみは後に取っておくようなスタイルになっていくのではないか。無論すべての人には当てはまらない。
 しかしこのスタイルのいい所は、上記段階ジュニアの一部にもなじみやすいことである。若い方々は知らないだろうが、嘗てはヒッピーと称して何もしないでヘラヘラしているのがいた。このグループは最終的にはヤマギシ会に行ったり帰農したりして社会に溶け込んでいった。もともと引きこもりなんだからコロナが収束するまでジっとしていてくれればいい。みんなで慎ましく暮らすわけだ、便利な暮らしから効率の悪さを楽しむというシフトだ。
 しかしねぇ、若い人には無理だろうな。
 アッ、ネットとかでガツガツ稼ぎたい人はどうぞ。そういう人はオジサン道とは遠い人ですから、ご自由に。

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令和三年 滋養神社お告げ

2021 JAN 7 0:00:17 am by 西牟呂 憲

 昨年のお告げでコロナ禍を全く予言できなかった。今年は遠慮しようかとまで思った。しかし元日の厳かな日の出に向かって祈りを捧げていると聞こえて来るではないか、更に見えて来るではないか。それこそ我が滋養神が私に訴え広めよと告げる令和3年の未来。以下伝えずにはいられない。

1.日本オリジナルのコロナ対策
 テレビの前に現れたのはあの小保方氏である。コロナの対処法を開発したというベンチャー企業『STAP』の社長として復活したのだ。コロナに罹った患者の細胞にストレスを与え抗体を人工的に作り出すことに成功した、と発表したのだった。しかしこの方式だと各人ごとに対処せざるを得ず、そのための装置は量産する目処は立たない。しかも患者本人にしか効かないため国民全体に抗体を与えるのに何年もかかる。一人一回百万円という高額のため政府が実施するのか全く分からないと言うオチでした。

2.英国TPP加入
 EUを離脱した英国は積極的に日本に接近する。実は香港でメンツを潰された腹いせに原子力空母クィーン・エリザベスを極東に回航させ中国に圧力をかける狙いもあった。EUとは喧嘩別れになって経済的にお先真っ暗の現状を打破するため、何が何でもTPP入りしようと日本に貸しを作る国策でもある。水面下では核
搭載の原子力潜水艦バンガードが極秘に来る計画があるとか。その際の母港が函館と佐世保ではないかと噂に上がっている。

3.衆議院解散
 諸説あったものの、菅総理はオリンピック前の都議会議員選挙の時期に衆議院を解散する。公明党は嫌がったが、菅政権はスキャンダルのある自民党の議員の立候補を取り下げ、公明党の候補を与党統一候補とするエサで何とか説得した。
 結果は与党の大勝利。おまけに都議会選挙も都民ファーストが惨敗して小池知事は与党を失う。自民党は単独過半数を獲得し、ほかに維新の会も躍進。憲法改正の世論が盛り上がる。
一体公明党はどうするのか、学会内でも議論が起こり騒然とする中で〇田〇作の訃報が伝えられる。

4.東京オリンピック・パラリンピック大成功
 規模を縮小したとはいえ、満を持した開催に世界は称賛の嵐だ。
 特に世界が目を見張ったのは、無観客で行われた開・閉会式の厳かさ且つ鮮やかな演出。開会式ではブルー・インパルスの描く五輪の下で大相撲の力士100人による四股踏みから横綱土俵入り。閉会式は歌舞伎役者100人の連獅子による毛振りが大反響となった。
 日本は連日メダル・ラッシュ。水泳・陸上・体操・柔道・空手・バレーボール・ゴルフと大活躍。オリンピック・バンザーイ!

5.朝鮮半島新体制
 全く国民の支持を失った文大統領はもはや統治能力を失った。例によって逮捕されるのは時間の問題(何の罪か知らないが)。北は北でコロナによる千万単位の死者を出し、国家の体裁も何も、軍の反乱の兆しが見えだした。
 一方で年初から、かのキム・ハンソルによる『統一朝鮮』というビデオメッセージがネットで流されていた。若きキム・ハンソルは「朝鮮人民である私は38度線を越えて同胞と握手する」と言い切った。どうやら韓国国内で撮影されたようなのだが詳細は不明。
 ついに38度線が崩壊するのか、だがそれは今年ではなさそうだ。

6.某内親王殿下結婚
 日本中がいぶかしがる中、某内親王殿下は婚姻届けを出してアメリカに旅立った。結婚式も何も無しにである。この大胆な行動に世論は概ね『公務をほったらかして何だ』と非難の嵐。お相手はすっかり悪者にされて日本に帰れなくなる。するとさらにマズいことにお相手の母親も渡米して同居を始める。途端に周りに怪しげなタカリ目当ての取り巻きが集まってきて、たまらず元内親王殿下は帰国してしまう。さて、どうなるのか。

7.バイデン大統領暗殺未遂
 いまだに『実はトランプが勝ったのだ』という一派がいる。実はオバマ大統領が誕生した後も、随分長い間『オバマはアメリカ生まれではない』という都市伝説を言い立てて無効を主張した『バーサーズ』というグループがあった。今度は『選挙は無効だ』と主張しているプラウド・ボーイズで、連中は武装している。
 秋口、ついにバイデン大統領の演説中に一発の銃弾が空を切り裂いた。西海岸と南部でBLMとプラウド・ボーイズが銃撃戦を繰り広げる。

8、矢沢永吉 二日連続武道館コンサート
 ミスター武道館。スーパー・スターYAZAWAが新機軸を打ち出す。さる大物とのジョイント・コンサートを打つ、という発表があった。武道館で2晩連続やるというのだが、ジョイントの相手は極秘ということでだれも分からない。関係者の口も固い。

架空ライヴ 矢沢永吉 VS 謎の大物

架空ライヴ 矢沢永吉 VS 謎の大物 Ⅱ

9.石破新党発足
 派閥会長を退いたのはいかにもあざとい。誰が見てもサバイブするには竹下派に潜り込むことしかないのに、この御仁は肝心の所でいつも間違える。
 実は国民民主の前原とは『鉄っちゃん』仲間で気脈を通じていたのだ。衆議院選挙後、頃合いを見て派閥ごと国民民主党に合流しようとしたが、ついてきたのは一人だけというお寒い話。これで総理のメは完全になくなった。
 水面下で小沢一郎が暗躍したらしいが、もはや誰も相手にしなかったらしい。

10.北方領土2島返還
 ロシア全体ではコロナの被害は日本の10倍だった。しかしあまり気が付いていない人が多いが人口は日本と大して変わらないのだ。日本1億2千万人、ロシア1億4千万人である。極秘情報であるが、医療体制の十分でない歯舞・色丹で爆発的に感染が広まり人口が激減していた。もはや無用の無人島となった両島を、国後・択捉2島への巨額投資を条件に日本に返還するとプーチンが言い出した。色丹島からの国後・択捉への自由往来というエサが付いた。
 ところがその直後、プーチン大統領は変異型コロナに罹ってしまい意識不明に陥る。

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林森北路(リンシンペィルー)に消えたジョニー 

2021 JAN 1 0:00:38 am by 西牟呂 憲

 早速キャシーに名刺を頼りにアポを取らせて訪ねて行く、台北郊外のウークー地区の雑居ビルだった。
 受付で名乗ると何故か男の秘書らしい者がエレベーターで降りてきて階上の立派な応接に通された。しかし案内してくれた男は浅黒い小柄な、明らかに中華系ではない精悍な男だった。そしてエレベーターを降りたところにもカウンターがあり、そこにも同僚と思われる同じような男が鋭い目付きで立っていた。応接室に行く途中で執務フロアが見えたのだがおよそ台湾人には見えない男達ばかりなのでちょっと違和感を感じた。
 応接に通されお茶が運ばれ、しばらく待っているとドアが開いた。
「オーゥ、懐かしい。何年ぶりだよ。訪ねてくれてシェーシェー。シン・クゥ・ラ(ご苦労様)いきなりの連絡でびっくりしたよ。よくここがわかったね」
 あのジョニー古入の顔だった。
「いや~、噂を聞いて飛んできましたよ。お元気ですか」
「マーマー・フーフー(馬馬虎虎、まあまあだ、くらいの意味)」
 懐かしい会話が弾んだ。
 その後、勤めていた会社から外資系にヘッド・ハンティングされ、数年をアメリカ・で暮らしたそうだ。更に勃興する東南アジアで仕事をしたらしいが、マニラ・シンガポールあたりでは結構ニアミスしていたことがわかって互いに驚いた。
 しばらくしてこちらから切り出した。
「リン・シン・ペイ・ルーではだいぶ活躍されているみたいですが、あんまり目立つとあそこは結構ヤバいところですよ」
 すると敢えてその話をスルーした。
「ところでこのコロナのご時世に一体どうやって入国したんだい。どうせまともにイミグレ通ったわけじゃないだろ」
「(ギクッ)エヘヘヘ、蛇の道はなんとやら。それでなにしてるんですか」
「せっかく来てくれたんだから教えてもいいが、そちらの御婦人は席を外してもらえないか」
「彼女は私のエージェントで秘密は守れますが」
「聞いてしまうとヤバくなるよ。いいのかい」
「あたしはそれじゃ外にいます」
 二人になるとジョニー氏はこう切り出した。
「香港がえらいことになっているのは知ってるよな。国際金融センターのポジションを失いかねない。一番困るのは誰だと思う」
「マフィアとかアジアの金持ちですかね」
「ジェット君もまだまだだな。一番困るのは金融以外にすでに産業競争力のない英国だよ」
「へえ、そうなんですか」
「雨傘運動とか民主化活動がタダでできると思ってるのか。ちゃんとスポンサーはいるのさ」
 ここでジョニー氏はさらに声を潜めた。
「僕はMI6の依頼を受けて動いている。香港はもうエージェントは置けないから台湾から情報を取る。それが仕事だ」
「MI6って!007を操っているようなアレですか」
「シッ、声がでかい。英国人ではもう情報が取れないからな。ガードマンがいただろ、この建物に」
「あの色の黒い連中ですか」
「あれらはMI6が手配しているロイヤル・グルカ・ライフルズ、すなわちグルカ兵のOB達だ」
「グルカ兵って何ですか」

グルカ・ナイフ

「ネパールの山岳民族の傭兵だよ。イギリス陸軍が正式に編成している傭兵。強いぞ」
「本当の話なんですか」
「腰に付けている逆反りのナイフがその証拠だぜ」
「すごいですね」
「MI6は香港の情報を喉から手が出るほど欲しがっている。それも自分達の目の届かないところをな。先に条件を出しておくが年3千万円プラス必要経費全額で香港に行ってくれないか」
「なっ何をやるんですか」
「香港の不動産王、李嘉誠(リ・カーシン)の次男リチャード・リーにインタヴューしてほしい。そしてもう一人、マカオのカジノ王、スタンレー・ホーの娘で歌手のジョシー・ホーに近づけ」

ジョシー・ホ

「そんなんで3千万も貰えるんですか。まさか命がけなんて無理ッス」
「それは心配ない。インタヴューして共産党とうまくやっていけるだろう、という事をにじませた記事をここに送ってくれればいいだけだ。ジョシーは大変な美人だから大ファンだという触れ込みなら接触可能だろう。イザとなればMI6がなんとかしてやる。君は台湾にいたからミンナン語が喋れるだろ」
「カタコトの挨拶だけですよ」
「それがいいんだよ。ここに台湾のパスポートがある」
 出されたパスポートは私の写真の入った物だった。名前は黄欽明、偽造パスポートだ。何でこんなものが用意されているんだろう。
「向こうではこれを使ってくれ。ジェット・ホァンになるんだ。香港の連中は日常広東語だけどインタヴューなんかは英語でやればいい。君はマンダリン(北京語)なんかダメだろうから英語にミンナン語が混じるくらいがちょうどいいんだ。間違っても日本語はダメだぜ。リチャードもジョシーも日本語ができるから」
「これ偽造パスポートですよね」
「当り前じゃないか。君ここには密入国だろ入国の記録がないから正規ルートで出国できないじゃない」
「ですから一度日本に帰って」
「それではこの話はナシだね。3千万をフイにするとは大した余裕だねえ」
「イヤッ、やります。やりますよ」
「別に無理にとは言わないよ。せっかく訪ねてきてくれたから、タマタマいい話があったんでね。実は今週末に高雄(カオシュン)からマカオに出る船があるからそれに乗ってくれ。そこから香港発フリーだ。3千万は日本の口座に振り込むから必要経費はこのアメックスのカードを使ってくれ。黄欽明、ジェット・ホァン名義だ」
「あのー、一つ聞いていいですか」
「なんだい」
「こんなことしてて地元のスー・ハイ・パンは大丈夫なんですか」
「そっちの心配をしてるのか。MI6が付いてるんだよ。紅幇(ホンパン)も青幇(チンパン)も戦前から英国と繋がっている。もっとも現在は実態はないにも等しいがね。戦前はその両方に加えて日本軍も一部はアヘンの流通でしのぎを削っていたから。戦時中の中華系抗日ゲリラなんかみんな英国の手下だったよ」
「あんまり怖いこと言わないでくださいよ」
「君はスー・ハイ・パンと繋がってるつもりなんだろ」
「えっ!・・・まさか」
「ふっふっふ、まぁいいや。よし、話は決まった。飲みに行こう」
「はあ」
「さっきのお嬢さんもつれてリン・シン・ペイ・ルーにでも。あっ、それから李嘉誠(リ・カーシン)は広東語ではレイ・カーセンだからね」

エピローグ

「ジョニーさん、ウチのボス確かに船に乗せました」
「シェーシェー、キャシー。見事に引っ掛かってくれた」
「最初に相談された時はMI6からのオファーとは言わなかったじゃないですか。びっくりしました」
「ヒヒ、あれは全部嘘だよ」
「ウソッ、うそなんですか。だったらを提示したギャラは払わないんですか」
「払うさ。まぁ聞いてくれ。MI6が関心を寄せているのは本当だよ。ただしカネを出したりはしない」
「だけどあのグルカ兵はどうしたんですか」
「キャシーも騙されたか。あれはフィリピンから出稼ぎにきた奴らを集めただけでもういない」
「そんな手の込んだことしたんですか。で、本当のスポンサーは」
「香港の金融機能が失われるとしたらどこがそれに取って代わるか」
「常識的にはシンガポールでしょうね」
「それを阻止するとすれば」
「多少無理筋ですけど東京ですか」
「目下、菅政権は日本の福岡に持ってこようと猛烈なロビー活動をしている」
「福岡!」
「そう。そのために香港の金持ちの動向をぜひ探りたいわけだ」
「だけどウチのボスがオベンチャラ記事を書いたところで関係ないでしょう」
「インテリジェンスの世界は二重・三重底になってる。ジェットの記事はどうせ中国当局に検閲されている。問題はそういった日本向けのインチキ情報に当局やレイ・カーセン、ジョシー・ホーがどう反応するかだよ」
「それを知りたがっている機関とは・・・」
「教えてもいいが条件がある」
「危険度と報酬によりますね」
「必要経費別で年1千万円。私の事務所の後任になってジェット君からの情報を配信してほしい。実はジェット君にも指摘されたんだが台北のスー・ハイ・パンが少し動き出していて私もヤバいんだ」
「潜るんですね」
「ああ。ただし日本には帰らない。林森北路からは姿を消す。南のカオシュンに移動するかな」
「成るほど。うふふ、1年ならやります」
「その後は」
「さあ。それでボスはどうなります」
「そこまでは考えていない。ヤバけりゃあいつのことだから自力で何とかするだろう。どうする」
「受けます。それでどこのオファーで動いてるんですか」
「法務省直轄、公安調査庁だ」
「えっ、政府機関じゃないですか。ジョニーさん。あなた何者なんですか」
「すまない、喋り過ぎた。それじゃそろそろトンズラするので」
「待ってください。カオシュンでもファーレンでもどこにいっても私のネット・ワークには引っ掛かりますから」
「なにっ、どういう意味だ」
「初めに会ったときにあたしの人脈をチェックしたでしょう。その時にヒントは差し上げたじゃないですか」
「あなたが言ったのはSMCという得体のしれないシンクタンクのエージェントだってことだったけど。それがジェット君の組織だと分かったんでおびき寄せる段取りになったと記憶するが」
「それはそうです。でもその前にあたしをナンパしようとしたじゃないですか」
「まぁ、男のたしなみとしてね」
「その時に日本人のおじいさんが割って入って来て名刺を出しましたよね」
「あの、久しぶり、とか言って挨拶した人か。確かNPOホワイト・グループとかいう所の名刺だった」
「あれが私のバックなんです。ジョニーさんは戦後に台湾に上陸した国民党軍に日本人の軍事顧問団がいたのを知ってますか」
「そんなこと知らない」
「パイダンと呼ばれて1960年代まで活動しました。その後も組織は続いています」
「それがどうしたんだい」
「台湾の親日感情がどこからきていると思いますか」
「それは統治が適切だったのと戦後の反国民党意識からじゃないのか」
「違います。あたし達の地下工作と台湾への愛情の賜物なんです。その後台湾でも政権交代は起きましたが、日台を結ぶ工作は継続中ですから。特にジョニーさんがウチのボスをだまくらかして香港に送り込む話は私たちにとっても渡りに船の話でした」
「あたし達ってキミも関わっているのか」
「私はそのパイダンの幹部の娘です。ボスはそんなことも知らずに私をエージェントとして使っているつもりになっていたんですよ」
「パイダンは日本とも繋がっているのか。オレはそんな話は聞いてないぞ」
「あたりまえじゃないですか。そちらは法務省、こっちは元帝国陸軍ですから」
「すると外務省かそれとも防衛省か」
「陸幕第二部別班。旧中野学校の流れです。いいですか、国民党とスー・ハイ・パンはズブズブでした。そのルートも手の内です。ジョニーさんが台湾にいる限り、夜の街でやることは筒抜けなんです。テンムーに良く来ているあの美人はス・ファー・シュンでしょう」
「・・・・」
「ところで台湾から逃げればすぐわかりますからね。ギャラの方は一年間お忘れなく」

結局のところ、誰が誰を雇っているのかわからないまま情報戦が繰り広げられており、世の中にフェイク・ニュースが溢れかえり、人々は真実を知ることもなく怪しげな社会に組み込まれるのである。

おしまい

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林森北路(リンシンペイルー)の日本人ジョニー

2020 DEC 30 1:01:30 am by 西牟呂 憲

 SMC(スーパー・メタリック・クラブ)の台北エージェント、キャシー・アベから連絡があった。
「この頃、林森北路でボスを知っているという日本人が飲み歩いています」
 林森北路とは台湾に駐在した日本人なら誰でも知っている繁華街だ。日本語の看板が並び女性がはべる店があり値段も高い。カラオケも日本の歌が豊富で会話も勿論日本語。若者の姿はほとんどない。私も台湾時代には随分馴染みの店があった。中には怪しげな所もないではない。
 SMCとは体裁はコンサルなのだが顧客は様々、要望も多岐にわたる。砕いていえば情報屋で、もっとはっきり言えば台湾・フィリピンの裏情報を専門に扱う。
 台北やマニラではあまり表には出ない日本人並びに日系人のソサエティが存在していて、結構ヤバい事件も起こる。ほとんどは女の問題と金銭トラブルなのだが、グローバル化に乗って現地法人を作るカタギの企業や関係者には見えにくい。そういった少し危ない話を収集するエージェントを置いて裏の情報として流すのが仕事だ
。 
「なんて奴なんだ、そいつは」
「本名は分かりませんがジョニーと呼ばれているようですよ」
「ジョニー?なんじゃそれ。本当に日本人なのか」
 台湾経済は国内の需要が限られている為(人口2千万)自然と海外に販路を求める。その究極の姿が半導体のファウンドリーと言われる受託生産形態である。設計・開発部門を持たずに大規模受託に特化する産業が大発展している。するとそこのスタッフは難しい現地読みの名前の代わりにニック・ネームをつけて名詞にも表記する。ジェイソン・チェンとかレオ・ファンといった具合だ。
 と言うのも、漢字で表記していると北京語・ミンナン語(台湾語)・広東語ではいちいち発音が違っており若干の混乱を招く場合がある。かの李登輝さんも北京読みではリ・トンフェだが現地語ではリ・タンフイとなる。
 で、現地にいるイカレポンチの日本人もヒューゴ・ヤマダとかハック・サイトウなどと名乗る者も出てくる。ジョニーなどという名乗りはおそらくそのノリで自称したに違いない。
「で、何だってそいつはオレを知ってるんだ。いやそんな話がなんでオマエの耳に入ったんだ」
「ヒューミントに使っている飲み屋のネーチャンから聞きました。なんでも『昔この界隈をウロついていたジェット・ニシムロを知っているが、奴はとんでもない男だった』ってボスの悪口をバラまいているらしいです」
「悪口だと?まあその程度なら構わんよ。何か特徴はないのか」
「カラオケで必ず郷ひろみのお嫁サンバを歌うそうです」
「なんだと、バカみたいな奴だな。シノギは」
「日台合弁の社長だとか」
「よし、ヤバかったら締める」
「了解」
 電話を切って暫し感慨に耽った。あの辺りをうろついていたのはSMCを始めた頃で、今から30年も前の話だ。情報を取るために散々飲み歩いていた。
 当時は大陸が露骨に選挙に介入しようとミサイルをぶっ放したり(海上に向けて)、台湾国内でも国民党と民進党がドロドロの選挙で争ったりしていた。
 さる筋の依頼で、今から考えれば国民党寄りの反大陸カウンター・インテリジェンスを流す仕事を請け負っていた。ところが現地でそういった活動をしているとスー・ハイ・パンと呼ばれる、いってみればヤクザと業務上のバッティングが起こり危なっかしいことこの上ない。ネタは取りづらくなってくるので、残留日本人・日系人のルートや民進党系の人脈を頼ることになった。
 実は戦後の台湾に、日系と推定される人々が数%残っていて苦労しつつも結構なポジションに付いたため情報が取れるのだ。目下香港の情勢がヤバくなってきたので、この台湾ルートは益々貴重なものとなりつつある。将来この情報をもっとも高く買うのはロシアとインドだろう。このあたりの国際感覚は一般には分かりづらいだろうが、両国は中国と国境を接して微妙な緊張関係にあるためだ。そして日本。尖閣列島は台湾も領有権を主張しているのを知る人は少ない。

 キャシーから名前が送られてきた。「ジョニー・古入(Jhonny Furuiri)」
 突如記憶が蘇った。まさか・・・。
 私がカタギの商社勤めをしていたヒラ社員時代に、取り扱っていた材料のメーカーに抜群の切れ者がいた。鮮やかな英語を操り次々と大型案件を捌いていく。まだ30前の若さにもかかわらず、その手腕は図抜けていた。本名古入純一(ふるいりじゅんいち)、なぜか夜の街では通称ジョニーと呼ばれていた。しかも大変なイケメンで、それはそれは女にモテたのだ。あまりのモテぶりに、その流し目からはジョニー・ビームが発せられ、それを浴びた女はそれだけで妊娠するとまで言われた。
 もし、その人であるならば大変なことになる。まず、我々の情報源である林森北路の女達が根こそぎジョニー・ビームを浴び使い物にならなくなったらSMCの活動水準ががっくりと下がる。更に片っ端からなで斬りにしてスー・ハイ・パンに目を付けられれば今度は当人の命まで危ぶまれる。
 いやな予感がして台北に飛ぼうと思ったが、コビット19のおかげで台湾へは目下定期便は飛んでいない。しかもまともに入国すると着いてから2週間は隔離される。仕方が無い、密入国するか。
 長年培ってきた人脈を駆使して与那国島から漁船をチャーターして基隆(キールン)から入る。かの地の役人にはたんまりと握らせているので、何度もこの手で危ない橋を渡ったことはあった。

 港町で佇んでいると時間通りにキャシー・アベが真っ赤なブジョーで乗り付けた。
「ばか、派手な車に乗るなと言っただろう」
「ハ~イ、ボス。こちらで赤は別に派手じゃありません」
 キャシーはダンナと台北で暮らしていたが、すっかり台湾が気に入りご主人が帰国した後もそのまま住み着いている。お子さんも帰国してしまい『主婦の単身赴任』と称していたがヒマに任せて我々のエージェントになった。そして女だてらに林森北路のマンションに暮らし夜な夜な飲み歩いていた。
「その後ジョニー古入はどうしてるんだ」
「それがこの2週間は全く姿を見せなくなりました。女でもできたのかしら」
「有り得る、昔と変わらんな。ただ何だってオレの悪口を言いふらしたのか、そこが引っかかる」
「だけどボスの評判もひどいもんですね。古手のママで『そうそう、その通りの薄情な奴だった』と言ったのがいました」
 まずいことに多少の心当たりはある。しかし30年前の話だ。ということはあの辺の女どもはまだ店にいると言うことか。もういい年だろう。
 かつての常宿フォルモサ・リージェントにチェック・インして夜に備えた。

林森北路

 一眠りしていると携帯が鳴った。
「ボス、食事は済んだんですか。行く時間ですよ」
「なにっ、何時だ、お前どこにいるんだ」
「ロビーです」
「何やってんだ」
「ボスを案内しようと思って来ました。8時廻ってますよ」
 もう8時か。台北の夜は始まったばかりだろうに。しかもキャシーの奴一緒に行くつもりなのか。急いで着替えた。
「これから調査に行く所だぞ。一緒に行くのか」
「何言ってんでっすか。ボスが飲み歩いてた頃とは多少違ってますよ」
 それもそうか。キャシーの車で移動した。
 一軒目は『紫恩』とういう看板の出ている雑居ビルの二階にある店。キャシーがドアを開けると『ハ~イ、キャシー』という声が掛かった。実はここはかつて通った店なのだが、見渡したところ知った顔はいない。
「あら、キャシーさん。きょうはカレシと一緒か」
 店のママがやってきた。何故かボトルを持ってきている。相変わらずのシステムで、今日で言うところの「接待を伴う飲食」丸出しである。
「こちらシャッチョーさん?よろしくね。オンナの子にフルーツもらっていいでしょ」
 やれやれ、これで銀座並みの金をむしり取られるわけだ。
 少し飲んでおもむろに切り出す。
「ところでジョニー古入は来てるかい」
「ウェイ、シャッチョはジョニーの知り合い?そういえばこの頃来ないね」
「そうか。お嫁サンバを歌っていたか」
「そう。良く知ってるね。帰り際に必ず歌ってたよ。ウチの女の子に受けてた」
「何をやっているのか知ってるか」
「メイヨゥ、何かの会社のシャッチョだけどよくしらない」
 この調子でハシゴすると3軒目の店できれいな子が名刺を持っていた。
「それでこのジョニーはどこに住んでんだ」
「テンムーだよ」
 ははぁ、こいつ誘われて行ったことがあるな。相変わらず手の早いことで。

つづく

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喜寿庵紳士録 レイモンド君

2020 DEC 24 9:09:00 am by 西牟呂 憲

 そろそろ会いたいなあ、と思う先輩・友人がいる。今年はコロナ騒ぎで春からは全く会えなかった。
 するとコロナ安全圏だった喜寿庵で珍しく新たに知り合った友人レイモンド君とはまた会う機会が来た。ここにもクラスターが発生してしばらく来られなかったが、ほとぼりも冷めたようなので久しぶりに来てみると。
 クラスター発生直後は本当に人っ子一人歩いていなくて住民がどこかに行ってしまったかのようだったらしいが、こういう田舎の地域は感染経路が分かりやすいので集中的に抑え込みが効いて3週間たった今では平穏な日常が戻っていた。
 ところでヒョッコリ先生は子守の手がなくなるとレイモンド君を連れて来る(先生は友人でもなんでもない)。困ったことにこの人はスマホも持ってないらしい。電話してアポを取ることなどなくいつもフラリと現れるのだ。そもそもどこに住んでいるのかも僕は知らない。もしかしたら僕がここにいるのを確かめてからやって来るのか。
 レイモンド君は何故か正装をしていた。

蝶ネクタイをしてる

「やあやあやあ、寒くなってきたね」
「(あたりまえだろ)もう年末ですよ。レイモンド君こんにちは」
「実はこの子の両親がコロナになっちゃってね」
「えっ、ミャンマーに行ったんじゃないんですか」
「(あわてて)そっそうなんだ。それで帰国したらイチコロで罹ったらしいんだ」
「(見え透いた嘘だな)2週間隔離された後にですか」
「そこんところは良くわからない。それでね、この子のお宮参りに連れていく人がいないということなんだけどね」
「(アンタが行きゃいいだろう)ほう、先生は忙しいんですか」

滋養様

滋養鳥居 高さ1m手造り

                                     
「キミの家の庭に手作りの鳥居があるよねぇ」
「(人のウチのことをよくしってるな)あぁ、私設の滋養神社のことですか」
「そうそう。キミが一人で踊りを奉納してるだろ」
「(ギクッ見られたのか)それより先生の実験室のある八幡様にいけばいいじゃないですか」
「いや、あそこはマズいんだ。僕がウロウロしているところを見られたくない。ということでちょっと半日この子を預かってお参りをさせてやってくれ」
「(そら来た)今日は僕も忙しいんですが。チョット出掛ける用事もあって」
「よしよし、レイモンド。一緒に連れてってもらえ。これね、寝ちゃったときの着替えとおむつと離乳食なんだけどね。まぁ、すぐ迎えに来るから」
 例によって勝手なことを言って赤ちゃんを僕に抱かせた。やられた。
 レイモンド君とは3月ぶりで、心なしか少し締まったというか痩せたのかもしれない。
 ともあれ、お宮参りということで滋養鳥居の前に行き二人で踊りを奉納した。何の踊りにするか迷ったが七五三が過ぎたので仕方がない、七五・三十五から七五三を引いて十五の奉納踊りを舞った。
 さてどうしよう。久しぶりのレイモンド君は、やはり僕を忘れてしまったのだろう、初めは珍しそうに踊っていたが(抱かれていただけだが)家の中に入った途端泣き出した。わかった、3か月前に会った時はテレワークばかりだったので無精髭を生やしていて今と表情が違っているのだ。それはともかく、僕はいつかこの日が来ると思い秘密兵器を準備していた。今時の若い親御さんは与えることはないおもちゃ、デンデン太鼓だ。ところがせっかくやって見せてもちっとも面白がらず口に咥えようとしてばかり、危ないから取り上げるとまたフンギャーである。
 ようやく落ち着いたところで二度目であるが喜寿庵を案内した。やはり覚えてはいないようでキョロキョロしている。
 座らせてみると何かに掴まって立ち上がろうとする。ソファーの端っこを一生懸命つかもうとするのだ。これが大変で、まだハイハイも覚束ないから寄っていこうとするのに前に進めない。「アギー」とか「グー」とか言いながら匍匐前進していた。挙句の果てにつかみそこなってゴンッと音を立てて顔面を床にぶつけた。
『フンギャー』
 今度は抱っこしても泣き止まない。仕方ないのでこの際おしめも替え、ミルクの飲ませたらゲップと一緒に少し吐いてしまった。ついでに着替もしたら機嫌が直った。フー。

笑ってる

 それから二人で遊んだが,赤ちゃんというのは愛されることが商売だ。従って無償の愛しか受け付けないのではないのか。僕は勝手に友達になったと思っていたが、愛情は一方向でもありうるが、友情は双方向でないと成り立たない。
 ヤンキー娘が早くに結婚して子供を産むが、さっさと離婚して次の男ができる。するとその相手が連れ子を虐待するという痛ましい事件が結構多い。次のアンチャンにしても赤ちゃんもしくは3歳未満の子供はかわいいものの、無償の愛情は注げない。泣いたりグズッたりするのを我慢できなくなって思わず手がでる。チビちゃんに友情を持とうとしても応えてもらえないのだ。
 僕は既に(レイモンド君は忘れていたようだが)友達になる段階はクリアしたので、後は覚えてもらって親しみを感じてもらえばいいわけだ。幸い僕の方はヒマで時間だけはあるから毎日でも一緒にいられればすぐ慣れてくれるのに。しかし次にいつ会えるのかは分からない。
 分かった。そもそも赤ちゃんと前期高齢者とでは流れる時間が違うのだ。赤ちゃんは記憶力が発達していないから毎秒毎秒新しいことの洪水に浸かっているようなもので、こちらが心待ちにして再会してもワン・オブ・ゼムでしかない。。友情を育むにも時間はかかるだろう。
 まっ、あと10年くらいかけて親友になろう。それまで生きてるだろうか、オレは。

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不気味な夢の話 アルツハルマゲドン接近中

2020 DEC 19 0:00:50 am by 西牟呂 憲

 以下は妙に記憶に残っている夢です。おとといのことでした。

 スプリングのような形状ではあるが、1mくらいの長さのクネクネした生物が不気味に跳ね回っている。僕はそれを危険なモノだと分かっていて捕まえようとする。ところがそいつはピヨーンといった感じデジャンプして地面に潜り込もうとする。おっかなびっくり尻尾の部分を掴もうとしてもそのまま地中に入っていった。
 と、思った途端に別の方角からウネウネと出てきたので追いかける。するとまた少しジャンプして逃げていく。
 突然、天の声が聞こえてきた。
「我々は西暦2400年の未来から語っている。人類があまりに資源を消尽したので地球が疲弊してしまい文明が消滅しかかっている。そのため、ターニング・ポイントとなる時点に我々が開発した人工バクテリアをタイムスリップさせ、地球資源を宇宙に放出することにした」
 なんだ、この声は。僕の声ではないか。それはいいとして不思議な気がして聞き返した。
「人工バクテリアってあのウネウネしたミミズのオバケのことですか。バクテリアがあんなに大きいとは信じられません」
「あれは単体のバクテリアではなく集合体なのだ。単体バクテリアが常に細胞分裂を物凄いスピードで繰り返してあの大きさになっている。地球の化石燃料を光に変えて宇宙に放出する」
「しかし現時点での資源消費の状況がストップされたら人工バクテリアを生み出して、さらにタイムスリップさせることができるあなた方の文明にまで発展しないのではないか。するとあなたの存在そのものが消えると思うが」
 すると(視点がどこだかわからないものの、今をみているはずの)未来の僕が答える。
「西暦2400年時点での私は意識の上では存在しているが現実には質量も時間もないパラレル・ワールドから話しかけている。つまり今あなたのいる地球の380年後から話しているわけではない」
「そのけったいなパラレル・ワールドでも人工バクテリアを造れて、尚且つタイム・スリップをさせることができるんですか」
「いや、違う。我々のいる所には質量も時間もない。タイム・スリップしたのは我々の意思だけなのだ。概念といってもいい」
「意思とか概念だけでモノが生み出せるとは思えません」
「まだ気付かないのか。それらは君が無意識に作らされたモノなのだ。君が我々の概念によって発明したということだ」
「僕が?いつ?どこで?」
「そうだ。君は私である。君の記憶には残らないが、私が君になって合成した」
 これらは僕の夢の中、すなわち脳内で自分が自分と会話している状況だ。つまり喋っているのは全て単一の脳が想像した会話だということにこのあたりで気が付いた、さすがに変だと。普通ならこの辺で目が覚めて全部忘れる所なのだろうがこの日は違った。
 目の前から先程の人工バクテリアが無数に地面から湧いてくるように出て来た。恐ろしくなってそれらに火を付けようとしたら(どうやったのか不明だが)自分の部屋が燃え出した。それが、柱が燃えているのだが、炎が外にでるのではなく中が燃えているらしい。柱が燃えているのだから今のマンションではないし、山の家とも違う。そして今度は必死に消化活動を始める。何故かホースを持っている。

 ここでやっと目が覚めた。あー、恐かった。そして余りの奇天烈な内容に思わずメモに書き留めたので再現できた。尚、会話のディテイールについては大体こんな内容だったというメモから起こした。ちなみに火事になるパターンは割と頻繁にみることがある。
 改めて書いてみるとリアルさにゾッとする。明らかに常軌を逸しているからだ。そしてこの夢と現実の境目が無くなった時点が迫りくるアルツハルマゲドンと普通の人間の境目ではなかろうか。
 神様、お願いだからもう少し人間でいさせてください。

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喜寿庵周辺クラスター発生!

2020 DEC 12 0:00:14 am by 西牟呂 憲

 2020年はコロナに始まりコロナで終わる。この間、無念にもお亡くなりになった方に深く哀悼の意をささげるとともに、最前線で治療に当たっておられる医療関係の皆様に心から感謝と敬意を表します。
 今年の初めに僕の信仰する『滋養様』からのお告げを書いています。

令和二年(令和初) 滋養神社お告げ


 これが、コロナ禍を全く予言できずに、なおかつ内容も全部と言っていいほどの外しっぷり。100点満点中0点という前代未聞の結果に終わりました。滋養様の力が落ちたのか、予言の受け手であるワタシの霊力が落ちたのか。とにかく自粛に塗り込められて1年が過ぎようとしています。
 それにしても、ノストラダムスでもエドガー・ケイシーでも著名な予言者でこの厄災を予言したと思われる字句はないのだろうか。かつて流行ったものをザッと検索しても今のところ見当たらない。従って滋養様や私だけが外したわけでもない、と言えるかな。

 それが、ですぞ。今までほとんど陽性者がいなかった我が山荘・喜寿庵のある地域でついにクラスターが発生したのです。市街地の中心部にスナックが固まっている所がありますが、そこの従業員とお客さんに陽性者が出ました。聞くところによると、その後どういう経路か知らないですが高校に飛び火して教員も生徒にも患者が出たそうです。
 かのスナックは結構繁盛していて前後一週間に数十人の接触者がいた、感染したお客さんはゴルフ帰りにカラオケをやって陽性になった(そのゴルフ場は私のホーム・コース)、街は全く人通りがなくなった、コンビニもスーパーも買い物する人がいない、らしいのです。幸い喜寿庵周辺には陽性の人はいません。しかしあの辺は極端に人口密度が低いので参考にならず、週末に行くのも憚られます。この冬のスノボのリフト待ちや4人乗りクアッド・リフトは密じゃないのか(スノー・リゾートまで車で30分の近さ)。しかしねぇ・・・、ここ吉祥寺でも近くの病院でクラスターは発生したし、週末の人出はそんなに減ってないようですよ。

 飲み会は全く無くなり、半年は山籠もりでリモート暮らし、船には3回程乗ったが航海には出ず、運動は少しゴルフをやっただけ、癌は再発していませんでした。それどころか体重は増え、中性脂肪の値が危険水域にまで上がり、日本ハムファイターズは最下位争いの5位。読書量は変わらず、文庫・新書を中心に活字だけは追っています。
 しかし、あの酔っぱらってやるドンチャン騒ぎがなくなったのは悪いことばかりでもないですね。ひどい二日酔いと自責の念にかられることはありませんし疲労感も大したことない。翌日「こんなこと口走ってたぞ」と言われて青ざめる心配もない。

 直近見つけた数字では足元のコロナ・ピーク対応で全従業員(事務方)の30~50%がテレ・ワークだ、とあります。すると日頃から同僚などと気軽に話す機会をあまり持たない人達の方にストレスがかかると言われています。こういうタイプの人は承認要求が満たされなくなって心理的負担が重くなる。今までは従来柄の長時間労働によってそのストレスから逃れていた、という理屈です。
 実に農耕社会の形態が色濃い日本の企業文化です。しょっちゅう天気を気にしつつ、左右に目配りしながら黙々と作物の育てるプロセスは村社会=企業文化の等式が成り立ち得ます。
 余談ですが、実はこの常時仕事中のようなダラダラ長時間勤務こそ日本のお家芸であり、高度経済成長の原動力だったと筆者は考えています。この方式は白人にも黒人にもできない。黄色人種でも日本人だけです。しかしもう通じない。ダラダラやる仕事はデジタル化されるからです。
 話を戻して。上記のストレスをためやすい人というのはおそらく口を開けば自慢話ばかりしてウザがられるオヤジですね。同じ話を何回もループしたりもする。突然キレて怒鳴り散らすパターンもある。従ってリモートになると顔を合わせなくてすむので周りは喜ばしいでしょう。コロナ騒ぎで暴露された弱さをアジャストするヒントは足元にあるはずです。
 ダイナミックな仮説ですが、いきなり全部をリモートにしても生産性は上がらない、むしろ下がると思います。まず大きな組織では成果が偏ってしまう。小さい組織はある程度は効き目があります。ですがそれがリモートの効果では全くない。そもそも小さい組織は初めから無駄な管理コストの削減幅は小さい。スタート・アップ企業でもそうだと思いますが、ベンチャーの成功率は30%以下ですからデータも少なすぎます。稼ぐことはできてもユニコーンにはならないベンチャーは中小企業のことですしね。
 それでは「比較的大きな組織でイノベーションを起こす」というテーマだったらどうでしょう。これも人によるのです。例えばテレワークで家に引きこもってインスピレーションを得る人もいれば、人と喋りながらヒントを得るタイプもいる。自説に固執して他の意見を全く受け入れないのはどっちの環境でもダメ。
 それどころか家に籠ったがためにかえって仕事に縛られて勝手に長時間労働にのめり込むかもしれない。挙句に家庭崩壊になったり精神のバランスを崩したり。
 すると両方の中間を取るような『ワーク・ステーション』のようなスペースができたりして。郊外・あるいはリゾート地の傍にIT環境の整ったフリー・スペース(図書館の自習室をゆったりとさせた感じか)に出勤し、そこには全く異業種の人達が集まるでもなく仕事したりメシを食ったり。疑似職場というかバーチャル・オフィスというか分かりませんが、そこに出勤するのはどうでしょう。

 それで『お前はどうするんだ?』ですか・・・・。働かないのがいいけど。
 それで喜寿庵にも行けないんじゃ今週末はどうしようかな。

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初冬のハーバーにて

2020 DEC 8 0:00:19 am by 西牟呂 憲

 冷たい北の風が強い。こんな時はメンテナンスでもしながら酒でも飲むのがいい。某日、クルーの都合が合ったので油壷に集合した。ヨットは風がなければ走らない。従って船の上では密にもならない(酔っぱらってキャビンで寝るときは密かも)。誰もマスクなんかしてない。
 風は18~20ノットと強いが波は立っていない。よし、行くぞ。

わあッ

 この時期はあまりもやっていないので、相模湾越しの富士山がはっきりと見えた。山頂部分が冠雪している。
 江の島を目指す。強風で7~8ノットとこの船にしては結構な速さだが、うねりがないのであまり波をかぶらない。
 海面を見ていると潮目のように色の濃くなっているエリアがあって、そこに風が叩きつけられている。その青が迫ってくるとウワーンといった感じで強風に大きく船が傾く。風の当たる角度によって持っていかれるように舳先が流れるか逆に風上に切りあがってしまうか、いずれにせよ舵を操作するとまるで生き物が跳ねるように船速が増す。腕の見せ所であり醍醐味だ。この間、頭の中はカラッポの状態と言っていいだろう。即ち煩悩からは解放されているのだ。ズーッとこの時間が続けばいいような気がしてくる瞬間だ。音もしない。
「そろそろタックか」
 スキッパーの声で全員配置につき、ヘルムは僕だったから合図とともに舵を切る、ゆっくりと船を回してセールを固定した。帰りはさすがに波を被るようになって寒い。
 この時期の日没は4時半だから3時をすぎると夕日は低くまぶしい。海はすでに青さは消えつつあり海面が暗くなってくる。ハーバーに入れてから何をするか、といった煩悩・雑念が湧いてくる時間である。

物憂い日没

 しかし飲んではしゃぐ気になれなかった。海の暗さに塗り込められたわけでも、冷たい風のせいでもない。
 この不気味な、繰り返し押し寄せるコロナの惨禍は人々を麻痺させ愚かにさせる。いずれワクチン開発により乗り越えられる部分はあるだろう。しかし先程の『麻痺』してしまい結果『愚か』になった私達の意思というものが正しい判断ができなくなることは誰が否定できるのか。我等はもう元には戻れない。何かを捨てざるを得ないのだ。
 全ては今更遅いのだ。民主主義などクソくらえ、アメリカの狼狽を見よ。反グローバリズム、非独裁、アンチ・テロ。すると後には何が残る?
 北は核を持ち続け、大陸は領土拡張の野心を隠さず、南は反日。もうこっちを向かないでくれ。
 格差?日本なんかマシな方だ。生産性?無駄な仕事が多すぎるからだ。学術会議?学問の自由のどこが損なわれた。桜を見る会?呼ばれれば嬉しそうに行くくせに。
 僕は3・11で被災していない。コロナにもまだ罹っていない。
 自分で考える癖は前から持っている。
 保守派を吹聴しているが、人からは自由に好き勝手しているようにしか見られない。 
 僕は分裂している。
 誰が何を考えようとそれは勝手だが、想像を超えた災害や疫病の前で最後に頼るのは国家しかないことがはっきりした。
 そしてそれを守るために大好きなものを捨てられるか。例えばこのヨットを。
 我等を受け入れてくれた湾内は、鏡のように静かなのだが。

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喜寿庵紳士録 不思議な酔っ払い

2020 DEC 1 0:00:13 am by 西牟呂 憲

 先日ホーム・コースでゴルフをした。喜寿庵から車で10分だから、天気を見てから電話で『今日はやれますかね』と聞いてうまく空いていれば回らせてくれる。ラッキーなことに『ラウンドはちょっと混んでますけど午後ハーフなら入れますよ』とのことなので、ハーフだけやったのだ。
 そういう時はロッカーも使わず、そのまま近くの温泉(これはゴルフ場から5分)に浸かって帰る。
 気分よく温泉にも浸かってお惣菜を買いにスーパーに寄った。まだ3時半過ぎである。駐車場で一服していたら、見るからに怪しげなオッサンがフラフラ歩いて来る。手には日本酒のパック、定まらない視線、これはヤバい。ところがそのままこっちに向ってくるではないか。その時の僕のいでたちは、ゴルフ用にしているチノパンにポロシャツ、ジャケットを羽織っていた。オッサンは短く刈り上げた髪に真っ黒な顔、ジャンパーの背中には何やら不気味なデザイン、業界でいう極めて頭の悪いファッションである。そして『先輩(チンピラが話かける常套句)先輩』と距離を縮めた。なんだこいつは。
『レッド・ツェッペリン知ってるっしょ』
はぁ~~。目は完全に据わっている。
『まあ知ってるけど』
『あのね、ジミー・ペイジも腹が出たんだって。ケケケケケケ』
 いや、これは相当危ない。どうも年格好は似たところではないだろうか。さっさと切り上げよう。ところがオッサン、ニターっと笑いながら、
『いや~ハード・ロックやってたんでしょ~』
 等とヤケにうれしそうなのだ。

ディープ・パープル

『あぁ、ちょっとやってたよ。ディープ・パープルとかさ』
これがまずかったようで、オッサンは満面の笑みを湛え『ジャッ、ジャッ、ジャー、ジャジャ、ジャジャ-』とスモークオンザウォータのイントロをエア・ギターで口ずさむ。左手を見ると正しいコード進行を抑えているではないか。
 普通だったらここでベース・ランニングを僕が口ずさんで二人で共演するのだが、今は相手が悪い。しょうがなくて愛想笑いをしながら車へ逃げ出した。

 落ち着いたところで暫し考えた。こんな山の過疎地でもハードロックのファンはいるだろう、それはいい。昼から酔っ払いがいるのも良しとしよう。
 問題はそのイカレポンチがゴルフ帰りにジャケットを羽織っている紳士の私に何故寄ってきたか。そして昔バンド野郎だったことを見極めたように話しかけたのか、である。幾つかの理由を胸にてを当てて考えた。
➀ 私のたたずまいが、どんなアホでも受け入れてくれそうなほど慈愛に満ちていた。
➁ 一目で私がアート系の殺気を放っていた。
 どちらも違うだろう。考えたくもない第3の原因を出さざるを得まい。
➂ その昔バンド屋だったオーラが出ていた。
 仮に、仮にそうだとしても何十年も前の雰囲気がいまだに残っているとは思いたくもない。しかしながら目下のところ思い当たるとすれば、当時の仲間とは今もしばしば付き合い、ギター談義や矢沢永吉のモノマネに明け暮れているから、往年の悪癖が滲み出てしまうのかも知れない。
 であればこれは非常にマズい。なぜならこのコロナ禍でここのところそういう集まりが無いにもかかわらずバカなオーラが消えない、ということか。いかん。早くこの邪気を払わねば。
 早速、そういった仲間にメールした。各カクシカジカ云々だったのでキミ達との付き合いは改めたい、今後はもう少しアカデミックな話をするように、とね。
 すると奴ら(3人)の反応たるや反省のカケラもないふざけたものだった。英語でロックンロールの歌詞を寄越す奴、その話しかけたオッサンの素性を推測し現在の職業を予想する奴、それは酔っ払った私が姿見の鏡を見ていたのだろうと言った奴。私は深いため息とともにロクな仲間がいないことを悟った。
 前期高齢者を踏み出した今、心新たに第二の人格に昇華することを誓わざるを得ない。但し、今さらこの年で修復不能なものは除く、例えば酒癖とか。
 まずはブログから・・・。

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