Sonar Members Club No.36

Since July 2013

もしもあの人が・・・

2019 APR 21 10:10:04 am by 西室 建

ビートたけしがトランプ大統領だったら
「オイラ、パレスチナのこと全部わかってっから。もうこうなったらゴラン高原もイスラエル領だって認めるっつーの。そんでもってみんな早く大使館をエルサレムに持って来い、ジャンジャン」

内田裕也が習近平だったら
「コノヤロー、おいキム!知らねーと思ったら大間違いだぞ。アメリカにヘコヘコしやがって上等だ。ロケンロールよろしくぅ」

矢沢永吉がプーチン大統領だったら
「あのよー。クリルがちっぽけな島だからってそう簡単に渡すほどおりゃー甘くねーからよ」

デスラー総統が安倍総理だったら
「フッフッフッフッ、(ゆーっくりと)野党の諸君。久しぶりだねぇ。また会えてうれしいよ。さすがつまらない質問だ、わくわくしてくるね」

菅原文太(仁義なき戦い)が小沢一郎だったら
「安倍、このくされ外道が。悪夢ゆうたらのう、うなされて目が醒めるんど。弾ぁあと一発残っとるがよ」

ラッシャー木村がメイ首相だったら
「テメー、メルケルこのやろう。今度こそEUから抜けてやるからなコラ。分かったんだろうなテメーコノヤロー。皆さんコンバンワ、テリーザ・メイです」

勝新太郎(悪名の浅吉)がメルケル首相だったら
「おゥ!イギリス!ワレ調子ん乗っとるやんけ。EU離脱なんぞやらすかい。いてもたるどワレ」

美川憲一がカルロス・ゴーンだったら
「何よ。あんなはした金。あたしにとっちゃお小遣いにもならないわよ。それが拘置所なんかに入れてくれて失礼しちゃうわよ、フンッ」

河村たかし(名古屋市長)が金正恩だったら
「な~に~トランプ、デラなめとっていかん。またミサイル飛ばしたるでよ。あわてても知らんぎゃ、このターケが」

田中角栄が李克強だったら(60歳以上限定)
「まぁ~その~、製造2025の問題。パーンパーンと大陸を分割して。いわゆる改造論ですな、これ。そこまでやると問題はニッポンであ-る(結局意味不明)」

長嶋茂雄が文在寅だったら
「そう~ですね~、やっぱり反日をするにもですね~、攻めの勝負、野球で言えばビッグ・ウェーブが玄界灘を渡るようにですね~(意味不明)」

夜桜銀二(筑豊のヤクザ)がレンホーだったら
「キサーン!アベ!嘘ばゆうたらいけんッチャ。そやけ国民が往生したばい。なして退陣しきらんと」

西郷隆盛が菅官房長官だったら
「そん質問はないごてか。おはん、無礼ごわっそ。政府はそげんこつバやいもはん」

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関東軍特種演習

2019 APR 16 1:01:58 am by 西室 建

 悪名高き泣く子も黙る関東軍が、わずか6個大隊で満鉄警備の守備隊として産声を上げたのは大正八年。それから10年も待たずに数々の暴走をしでかして、ご案内の通りの結果を迎えた。
 提題の『特種演習(特殊ではない)』は、通称『関特演』として真珠湾攻撃の直前の昭和16年7月に大動員令が下り、満鮮派遣部隊に内地からの2個師団も加えた70万人という大兵力を展開したものである。
 これは、直前にソ連に雪崩れ込んだドイツの動きに対応し、当時の陸軍が北進の意思を表した示威行動(ノモンハンの後にもかかわらず)と解釈される。帝国陸軍の長年の仮想敵国であるソ連に対し、三国同盟を締結してしまったためにせざるを得ない、従ってその後の茨の道の第一歩であった、と。
 ところが、先日上梓された文春新書『なぜ必敗の戦争を始めたのか』での陸軍参謀本部のエリート達の話では、この関特演の動員について一部の上層部以外は終わってから知った、と驚くべき証言をしていた。それどころか、この時点で陸軍中枢では支那事変でこりごりしており、参謀本部ロシア課では「うっかりするとドイツもソ連で支那における日本のような目にあうぞ」と心配する向きもあったようだ。
 従って『関特演』は北進を焦る関東軍と参謀本部上層だけで突っ走った結果と言えよう。
 尚、関東軍参謀として『関特演』の作戦に携わったのが、後に財界人となる瀬島龍三である(後にソ連のスパイであったことが判明)。
 海軍は米内・山本・井上のトリオは三国同盟反対を唱えてはいたが、伝統的な仮想敵国はアメリカであり、中には石川信吾大佐のようなイケイケもいた。この石川大佐は海軍きっての政治将校で、筆者は以前から海軍に於ける辻政信だと思っている。どちらも内部では不規弾(規格外の方に飛び出す弾)と呼ばれ、それでいて前線の部下の評判はいい。「この戦争を始めたのはオレだよ」とうそぶいたと複数が聞いている。
 同書の後書きで、編者の半藤一利はその石川大佐が主役となった「海軍国防政策委員会」の取材に苦労させられたことを記しているが、それぐらい海軍関係者もヤバいと秘匿したがった組織だったことが伺える。
 そして海軍も開戦半年前には「出師準備第一着作業」の着手を発動して、事実上の動員をかけているのである。この狙いはいわゆる南進で、陸軍の関特演と一対をなす海軍版と言えなくもない。
 松岡外相が三国同盟を推進しドイツに付き合うような北進を言ってみたり、、返す刀で日ソ中立条約を結び突如シンガポール攻撃を示唆したりと変幻自在、という軽業師のような外交を展開していた。
 山本五十六が三国同盟締結に対し必死に食い下がり、資材調達の面から及川海軍大臣を詰問すると『もう、勘弁してくれ』と逃げを打たれる。そこで『勘弁ですむ話か』と怒鳴ったのは有名な話。
 スッタモンダの挙句に南部仏印進駐、と物凄く忙しい。
 その中で陸軍参謀本部の殆んどはアメリカとの戦争など考えなかったと『なぜ必敗の戦争を始めたのか』では証言している。アメリカとやるのは海軍の仕事だろう、とタカを括っていたのだ。また、戦争継続の国力比較でもまるで敵わないことは分かっていた。ましてや、ロクに地図もないようなインパールへ行くだの、南の島で米海兵隊と死闘を演ずるなど作戦俎上に乗っていなかった。
 ルーズベルトは大のナチ嫌いで、その反動のせいかソ連には甘い。それどころかコミンテルンの工作も相当受けていることが明らかになって来ている上、日本に対しては人種的偏見もある。
 アメリカは油を止めた。
 陸軍エリートは南部仏印進駐で石油が止められるとは思ってもいなかったらしい。驚くべき外交センスだが、それから南の物資を当てにした戦略を練り出して慌てる。
 ここに及んでも、途中にフィリピンがあるにも係わらず対米戦闘は考慮の外。それなりに長期の戦争に耐えられる作戦を立てようとはしたようだが、太平洋は海軍の縄張りだと島嶼戦略などハナからないのだ。これでは勝てないに決まっている。
 海軍は海軍で先程の「海軍国防政策委員会」は『油が止まったら即戦争』と吹聴していたフシがある。
 近衛首相が切望していたルーズベルトとの会談はいいようにあしらわれて(この時点でルーズベルトは開戦を決めていたというのが最近の研究)総辞職。東条内閣となる。東条内閣では最早ブレーキがかかるどころではない。ターニング・ポイントは第二次近衛内閣以前で、責任を東条一人に負わせるのはいささか・・。 
 開戦に至り、いきなり真珠湾とマレー上陸作戦になる。真珠湾は秘匿作戦だったから、『なぜ必敗の戦争を始めたのか』ではまさかやるとは思わなかった、との陸軍参謀部員の発言があるが、これは少々言い訳がましいふざけた話。
 これで提題の『関特演』で満洲に集められた膨大な兵力と資材は移動せざるを得ず、物凄い金と時間を無駄にしたことになる。資材に関しては南に送れなかった物が多かっただろう。
 私は学徒出陣で仏印に終戦まで進駐した陸軍大尉だった人の話を聞いたことがある。この人は北満洲に関特演で行った部隊が遥かベトナムを通り、更に南下させられたのに立ち会った。それによると、移動距離の長さも凄いが、途中いくつもの戦闘を經驗し更に移動するというので、指揮官も兵隊も実に殺伐とした雰囲気で、今にも抜刀しそうな殺気があったと。
 
 エネルギーは今でも自給できない。半島から大陸は当分反日だろう。地政学的に言って、対米同盟強化と台湾・フィリピン・マレーシア・インドに至る自由と繁栄のカーヴを堅持していくしか道はないように見える。

 山本五十六の嘆きやいかに。陸・海軍の双方の秘密主義たるや必敗の連携の無さはどうか。
 ところで対米交渉に失敗した『北』の国は、まさかミサイル実験を再開しないだろうな。もっとも、わざわざ会談をしに行って妥協しない気概を見せつけたトランプはますます締め付けをしてくるだろうが。

新春架空座談会 (帝國陸海軍編)

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2030年 AIを制御する日本 

2019 APR 11 6:06:39 am by 西室 建

 AIがとっくに人間の脳力を越えてしまい、人間が発する質問に即答できるようになってもう10年経った。
 AI機能搭載のケータイの普及率は先進国で成人の100%近くになり、個人が持ち歩く対話型が主流になっている、2030年の話である。
 しかしこの10年間、AIは加速度的に機能をアップしてしまったために、むしろ使う側だった人間が深刻な問題に直面してきた。
 一例を挙げよう。
「人間は何のために生きているのか」といった誠に純粋な質問に対して、優れたAIは「子孫を残すため」と答えてしまう。
 これは先進国では社会的に大問題となった。すなわちLGBTの人々やお子さんに恵まれなかったご夫婦への差別と受け取られかねない回答をサラッとしてしまう。或いは、恋愛関係の相談事の長い話を聞くだけ聞いて「その人はあなたを大事ににするつもりはサラサラなさそうです」と当たり前の結論を言い渡すだけ。絶望して、これからどうしたらいいのか、等と質問しても「そのまま目の前のことを一生懸命やりなさい」だけ。将来を絶望して落ち込む年寄りや若者が巷に溢れ、世の中は沈滞してしまったのだ。
 ただし、本格的にウツ病になったりパニック・シンドロームに陥ると、その時点で治療の必要が感知されて、尋ねられたAIの治療プログラムが作動し、丁寧に話も聞きアドバイスもし投薬まで処方してくれるからだ。問題はそこに至る前の段階である。
 大昔から人間は多かれ少なかれ悩みを持つもので、これまた大昔からその都度自分で諦めてみたりふてくされたり怒ったり、或いは嘆き、月並みな言い方ではオトナになると解釈されてきた訳だ。
 それがそうなる前に簡単にダメ出しされて無気力になってしまう人が多くなり、上記の停滞感が世の中を覆う。
 投票率は10%程度から上がることは無く、生産性はガタ落ち、人々は無能になるばかり。文化と民主主義の終わりとまで危惧された。 
 この10年のAI(特にこの稿ではディープ・ラーニング型認識機能)は社会統制型、即ち中国式の認識AIと、民間アドバタイジング型、GAFAのようなアメリカ式に大別されて発展した。しかしどちらも人権問題を内包しつつ、前述の社会的な退廃を招いている。
 かくして中国では返って格差を拡大させ、各地の反乱のおさえが利かなくなり、アメリカでは銃の乱射事件が後を絶たず、人種間対立は深刻化した。また、EUはほぼその機能を失い移民迫害に歯止めがかから無い有様となる。

 ところが、先進国で日本だけはそうならなかった。 
 実はカラクリがあって日本はAI活用の軸を劇的に変えて、AIそのものをベーシック・アセットとして国民に与える事によって開放し、それによるデータもプライバシーを総括する高度な機密性を持つ情報省でストックすることにした。

2025年 AIを国民のベーシック・アセットに


 日本人は、上からの管理ではなく、草の根の自主管理になるようなAIソフトを初めから持たされているのだ。
 犯罪に関しては、2021年に個人データの寡占が独禁法に触れる問題が大きくなったのため、情報吸い上げの際に個人が特定できないようにする、という建前を法制化しつつ、全国民の大きな流れを掴み危機を封じ込める、即ちユングのいう共同体の意識を汲み取る目的で、危機管理をすることにした。変態であろうがサディストであろうが、ゲイであろうがはばかることなく趣味を持つのは自由。ただし臨界点を超えるレベルの情報だけを掬い取る仕組みだ。
 その上で、国民に支給するAIには秘かにアルゴリズムが組み込まれ、嘘をつかせていたのである。
 この”嘘”とは白を黒と言い換えるような露骨な嘘っ八ではなく、質問の深刻度に沿って曖昧さを持たせる回答が組み込まれている日本オリジナルのAI機能である。分かり易く言えば、一神教的な世界での”嘘”は神様に対する強烈な背信だが、日本には八百万も神がいるために背徳感はない。
 例えば冒頭の質問にしても、相手に合わせて『あなたはそれを考える為に生まれた』とか『その答えは生き抜いた末に分かる事になっている』というように、どうでもよいデタラメを用意して、チューニングしてしまう。恋愛関連は『すぐ後にもっと素晴らしい恋があることになっている』という嘘を回答する。
 どうやら従来あった”おみくじ”とか”禅問答”といった文化を下地にアルゴリズムに組み込んだものと思われるが、全て翻訳不可能な”嘘”ではある。

 かくして日本のみは社会が安定し順調な経済環境を保っている為、世界中が日本モデルを導入しようと盛んにアプローチしてきている。

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トライアル競技の花 小玉絵里加さん

2019 APR 8 11:11:26 am by 西室 建

 今月の厳選動画(ブログの下)に小玉絵里加さんが載りました。

 トライアル競技とは、要するにガタガタの道なき道をバイクで乗り越えていくのだが、足をついたりコースアウトすると減点、エンジンを停止させても減点、決められた時間を超えても減点、バックしたら大減点の危険極まりない競技である。こんなこと誰が考えたのかと思ったらヨーロッパ発祥のスポーツだ。
 トライアル・ライダーの小玉さん、お父様の影響で小学生からトライアルを始めて2016年から去年まで全日本レディースの2位を保持しているトップ・アスリートなのだ。

 ここで話が変わるが、筆者はバイクを卒業した、というより乗れなくなった。事故ったのである。
 さる山の中ですれ違う車もなく調子に乗って飛ばした時点で宙を飛び3m位下の河原に落ちた。道が曲がっていたのを何故か気が付かずに直進したら川だった、マヌケにも大晦日の夜中だった。
 後で現場を見てゾッとしたが橋の欄干はコンクリートで(あまり高くはないが)その反対は電柱だった。その間をすり抜けたわけだが、こういうのを九死に一生を得たというのだろうか。それからバイクが怖くなり(カーヴを曲がることが想像できない)あきらめた。

 小玉さんは世界選手権に出場して、転倒骨折をした。
 それが『この怪我はいつかはやっていた』とポジティヴにとらえて全然あきらめることがなかったそうだ。
 むしろ、その間他の選手の動画等を研究して技のイメージ・トレーニングに励んだ。大したプロ根性というか、落ち込むことのないところがいい。
 比べて筆者は何と根性のないことだろう。

 それにしても女性がこういう競技にチャレンジしていくのは大変いいことだと思う。小玉選手ガンバレ!
 NEXUSにエピソード1のインタビューもありますので、そちらもお楽しみください。

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ジェネラル・ザ・ライジング・サン 朝日将軍木曽義仲

2019 APR 5 6:06:16 am by 西室 建

 義仲が三年程暴れ回って見せているうちに、いよいよ平家は十万人もの大軍で討伐に乗り出し北陸に押し寄せて来た。
 以仁王の令旨に応えて平家討伐の挙兵をしてみれば、戦の何と簡単な事か。やれば勝つのだから止められない。勝てば年貢の取り立てに苦しんでいた連中がお追従を言いに寄って来はするが、義仲にはうっとうしい限りでしかない。
 源氏の再興等と言われても、そもそも義仲の父義賢は兄の義朝と一族でモメた挙句に義仲にとっては従兄弟に当たる悪源太義平に殺されている。鎌倉の頼朝に加勢する義理もヘチマもない。
 この時代、武士といっても江戸期に形而上発達した武士道など無く、言ってみれば傭兵集団だから筋目もお題目もない。平家がまとまっているのも清盛以降の話である。義仲にとっては単に戦が面白いだけだったのだ。
 だが平家討伐の令旨を出した当の以仁王は計画がバレて忙殺されてしまい、その遺児である北陸宮が越前に落ち延びてこられたのを庇護したため、一種の正当性が生まれた。
 側近の義仲四天王、今井兼平、樋口兼光、根井行親、楯親忠と愛妾の巴御前を呼んで言った。
「大軍を率いているのは平重盛の嫡男、維盛だそうズラ」
「ホホッ。都ズレした平家の公達なぞ恐るるに足らず」
「これ、巴。手勢は少ねぇラ。そうなめんじゃねぇ」
「殿こそ目が輝いてござ候。して、いかなる陣立てで」
「倶利伽羅峠に誘い込む。オミャー等は身を潜めていろ。ワシが立ちはだかって名乗りを挙げたら後ろに廻りこんで追い立てる側、と山側から射掛ける二隊に分かれて派手にやれ。地獄谷に放り込んでやるラ、おもしれーぞ」
「承って候。さてどう陣割りをするか」
「そんなのは任す。四天王は下がって良い」
「ハハーッ」「ハハーッ」「ハハーッ」「ハハーッ」
「巴、これへ」
 巴御前は年の頃二十歳は過ぎた当時で言えば大年増ではあるが、広い額、切れ長の大きな瞳が異様に光る美貌。大力強弓を引く強者のため、やや肩が広く二の腕などは盛り上がるがごとくであったが、義仲はそこにまで色香を感ずるほどの惚れ込みようだった。情を交わすたびに互いの霊力が憑いたように力が沸き上がり、二人でいれば実際に負けなしであった。
 事実、翌日の倶利伽羅峠では迎え撃つ義仲に平家の矢は当たらず、傍らで弓を引き絞る巴の矢は一本で二人の兵を射抜いた。そこへ四天王のゲリラ部隊が切り込むと、狭い峠道から平家軍は次々と谷底に落ちて行き、たちまち総崩れとなった。
 義仲は更にこれを追いまわそうと単騎突進したところ逃げ遅れた平家の兵が槍をしごいて後ろから突きかかろうとした。
「殿!危ない!」
 振り向くと、巴が両脇に首を抱えるように二人の雑兵を締め付けており、そのままもがき苦しんでいる声はしばらくして『ゴキッ』という音がすると消えた。
「おうっ、あっぱれなる怪力」
「後ろにも気を配りなされ。オーホッホッホ」
 美貌と舞いの姿の見事さから桜梅少将とよばれた平維盛は、あっという間に蹴散らされ、後に平家が都落ちした際に謎の自殺を遂げる。

 越中の宮崎に御所を構える北陸宮から即座にお召しがあり、上洛せよとのことであった。
「都へ行けとの仰せズラ」
「易きこと」
「平家を追っ払うのですな。痛快至極」
「それどころじゃねえ。宮様は帝になるラ」
「何と!」
「だがのう、戦さはおもしれーけど都に行ってワシ等が政治(まつりごと)なんざできるわけねーラ」
「しかし都のオナゴは美しいと評判がたけー」
「ワシは巴がおりゃええ」
「オーッホッホッホ」
 結局のところ大した目算もないままに勢いで京に進軍した。
 すると不穏な気配を察した平家は三種の神器ごと安徳天皇を擁して西国に逃げ出すのである。ところが後白河法皇は京に留まり義仲を受け入れる。
 入京するとすかさず法皇が座す蓮華王院に参上した。
 法皇は側近の摂政九条兼実を従え謁見に応じるが、この時点で義仲は官位がないため地下人扱いだった。
「義仲。ようやってくれた。待ち焦がれておったのや。おう、おぅ、懐かしい源氏の白旗や。どんなに懐かしかったか。あの憎い平家の止めを刺してたもれ。源氏同士、鎌倉の頼朝と力を合わせてのう」
 そして従五位下に叙された。
 四天王や巴は『おめでとうございます』とお世辞を言ったが、義仲は顔をしかめていた。
「何だあの化け物は。噂通りの大天狗そのものズラ。おまけに鎌倉と力を合わせろったって奴は全然動かねー。出だしも負けてばかりのくせにツベコベ言うだけラ」
 頼朝が源氏の頭領として旗揚げし、大義名分をとやかく言い立てるのにうんざりした義仲は、嫡男の清水冠者・源義高を頼朝の娘である大姫と婚礼させ、言わば人質として鎌倉に送っている。
 シブシブながらも平家に討伐の戦を仕掛けることになった。しかし義仲の得意な戦法はドロ臭い山岳ゲリラなのだ。一方で平家軍本体はむしろ海軍とでもいうべき構えで、慣れない海戦では平家に歯が立たない。
 あわせて悪化する京の街を取り締まれ、とも言われたがこっちはもっとマズい。
 そもそも義仲の勝ちに乗じて参集した得体の知れない雑兵なぞにモラルなどない。義仲の直隷の数など知れたもので、おまけに山賊に毛が生えた程度だ。京に帰るたびにいくら言っても略奪が止まらない。
 頼みの綱の北陸宮は後からノコノコついてきたが、法皇はこれを相手にもしないでシレッと後鳥羽天皇を即位させてしまう。
 そうこうしているうちに大天狗・後白河法皇は秘かに鎌倉に通じ、言葉巧みに上洛を促し宣旨を下した。

「殿。九郎義経殿は不破関(ふわのせき)まで進みおり候。裏で糸を引いているのは後白河院様でございますぞ」
「ナニ!」
 四天王の一人、諜報担当の楯親忠が知らせると義仲は激高した。
 頼朝めは自分は動かず弟を差し向けたのか。九郎と言えば奥州で育った田舎者ではないか。ワシも木曽の山猿だから分相応とでも思ったか。そしてあの大天狗はそれを裏から画策したのか。
 不破の関は古代の壬申の乱の決戦場であり、また天下分け目の関が原の戦いもあった要害である。戦の天才である義仲は瞬時に危機を悟った。
「ふざけやがって。こうなったら法皇をクソもあるか。引きずり出して目に物みせてくれらぁ!」
 事も有ろうに法皇のいる法住寺殿を取り囲んだ。
 不穏な気配を察して後鳥羽天皇を守るべく御所を固めた円恵法親王、僧兵を率いて延暦寺を降りて来た明雲たちが急を知って加勢に参じたものの、猛り狂った義仲の手勢に打ち取られる。後白河法皇は捕らえられた。
 五条東洞院に幽閉された法皇に、義仲は立ったまま言い放った。
「まさかお上に切りかかるわけにも参らず、代わりに坊主首一つ、置き土産に五条河原に投げ捨て候。御免」
 左手に掲げたのは天台座主にある高僧、明雲の首だった。不敵に笑うと踵を返した。
 それにしても大天狗だけあって、後白河法皇は表情一つ変えなかったが、義仲に担ぎ上げられていた北陸宮などはどこかに逃げ去ってしまった。

 ガラガラと蹄の音を立てて進むのはたったの六騎、供の者、雑兵は付いていない。
「殿。この後はいかに」
「巴よ。そちゃおなごじゃ。いずこへ落ちてもその器量で安んじて暮らせるラ。もう戦に明け暮れる事もねえズラ」
「ホッホッホ、お戯れを」
「それよりこの街道は不破の関に通づるゆえ、九朗殿の陣に切り込むおつもりで」
「さにあらず。四天王これへ」
 義仲は馬を止めた。
 四天王は木曽で共に育った今井兼平・樋口兼光の兄弟、佐久の豪族である根井行親・楯親忠の親子(親忠は行親の六男)。いずれも歴戦の勇者であり分かつ事のできない固い主従のつながりである。
「ワシはこれから淡海(おうみ)を北上して越前に出る。その後越中から信濃・甲斐を抜けて武蔵の国まで長躯する」
「武蔵まで」
「何とされる」
「兼平と兼光よ。おみゃーらは武蔵七党とは縁戚ズラ」
「いかにも」
 武蔵七党とは関東に割拠する血族的武士団で、樋口兼光と秩父・大里・入間を根城とする児玉党との間には姻戚関係があった。
「早駆けして武蔵にたどり着き、我が一子、義高と鎌倉で一暴れじゃ」
「おォ!」
 清水冠者源義高と頼朝の長女・大姫は政略結婚ではあるが、細やかな愛情で結ばれている。側近として鎌倉に同行している海野幸氏と望月重隆は共に流鏑馬の名手として名高い。
「鎌倉の軍勢は京に入った後、どうせあの大天狗にけしかけられて平家と闘う。その間に手薄になった関東はワシ等の切り取り次第よ。二人は先回りして武蔵へ行け。児玉党と合流せい。その後義高と密議せよ」
「殿、鎌倉殿はいとこにあたるお方。よろしいのですか」
「知れたこと。もともと源氏も平家も親・兄弟で殺しあってきた」
「心得て候」
「行親と親忠は奥州へ行け。奥州藤原をそそのかせて兵を鎌倉に向けさせろ。頼朝が藤原を磨り潰すらしいと吹き込め。事が成る頃にワシと巴が兵を募って鎌倉に攻め込んでくれる」
「ホーッホッホッホ、頼もしい事。してその後は幕府をお開きに」
わはは!そんなことがワシにできるわけがない。よいか、ワシ等にとってはこの戦がズーっと続くことこそが生きることズラ。鎌倉を潰した後は、平家を滅ぼした九郎が大天狗の手先となって向かってくる。その軍勢とワシ等とどちらが戦上手かを決めることになる。奴等は西から来るから、それを旭日の輝きを背にうけて迎え撃つ。我は朝日将軍なり

残念ながら、無論史実はこのようにはならなかった。
 埼玉県狭山市入間川に義高を祭神とする清水八幡宮が今もあり義高が討たれた地とされていて、筆者はお参りしたことがある。

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いよいよ始まった 日本ハムファイターズ

2019 APR 1 7:07:43 am by 西室 建

 ヨーシ行くぞ!今年は何やら予感がする。3年振りのリーグ制覇のだ。
 
 札幌開幕はオリックスを迎えた。
 上沢は初回から2点献上、打線はバファローズの山岡に捻られまくり。
 近藤が必死に8回で同点にするまで完全に押され気味。  
 10回に中島が出塁するとこれを送ったら、なんと二者連続の申告敬遠で中田とは・・・とタコぶりを期待した。すると文句なしのサヨナラ満塁ホームラン!
 それまでの重苦しい展開は何だったんだ。
 「一発狙ってました。なめてんのか、と気合が入りました」って、できるんなら最初からやれ。こういうのは劇的とは言わない。
 フト見るとレアードはロッテで逆転3ランをかっ飛ばし、ホークスとライオンズも延長にもつれこんでいる。あの甲斐野ってルーキー?ヤバくないか。先が思いやられる。

 さて金子である。
 何故かこの日は調子がイマイチで、古巣に遠慮したのでもなかろうに、2点取られてアップアップ。ところがたまげたことに中田が2ランを放って追いつく。
 すると9回に石川が2点取られて万事休すとなった。
 しかーし、その裏今度はファイターズOBの増井から、またしても中田が2打点を上げて追いついた。互いのエースとリリーフが入れ替わって戦うという構図だった。
 そしてホークスは柳田がグランド・スラムで西武に競り勝っているし、レアードも2号を叩き込んでいる、気になってしょうがないな。

 お次はイケメン有原だ。
 実は本日から某国に移動することになって試合は見られない。
 有原なら去年はダメだったが今年は大丈夫のはずだから安心して旅立てる。
 4日程いないが、結果はチェックできる。
 一言で言えば中田のマグレ当たりでスタートしたのだから、大田・近藤・王あたりに浅間・田中がからんでくれば大丈夫。
 結果が楽しみである。

でもって12時間のフライトの末にWi-Fiを見付けて必死に検索したら勝っていた、バンザーイ!

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一陣の風 喜寿庵も春に

2019 MAR 28 7:07:20 am by 西室 建

 春風と言えば暖かい語感ですが、風が”温かい”と感じられるのは木の芽時、五月の連休でしょう。桜の咲く直前、蕾がはじける寸前の風は冷たい。

ファームが草原に・・

 伐採後に重機によってペチャンコにされたネイチャー・ファームは昨夏にはご覧の通りのジャングル状態でした。
 その後耕運機を入れ、スコップで掘り、落ち葉を埋め、屯田兵の苦労はかくやと思われる血と汗と涙で開墾し、昨年末にニンニクにチャレンジしました。
 二回ほど雪に埋もれつつも何とか育ってきたのです。カワイイ。
 そして調子に乗った僕は、一昨年大量に収穫できたジャガイモの種芋をイソイソと買い込み、先々の苦労を考えもせずにたくさん植えたのです。
 ネイチャーファームは水が引けないのでジョウロでセッセとやらなければならず、1時間ぐらいかかります。
 どこに植えたか分からなくなるので小枝を刺しておきましたが、ちゃんと芽が出るかどうか。

 今年は大根を2回収穫しようと考えているのですが、さて。栗の木はちっとも大きくならないし。
 栗の木を植えるきっかけになったあの正体不明の老人「ヒョッコリ先生」はもう半年くらい姿を見せません。
 ピッコロ君やマリリンちゃんはどうしているだろう。
 今月は月に一度のペースで遊びに来る学生さん達も、四年生は卒業してしまったし。また新入生が入って来てからです。
 季節も変われば人も変わる。
 

 そして東京で桜が開花した週末に大寒波。喜寿庵はただでさえ川風が上がってくるから寒い。冷たい雨の中を行ってみれば冬の寒さで、暖房全開です。
 翌日は良く晴れましたが、遠くの山頂はチョロッと白くなりました、オイオイオイ。

枝垂桜

 足元の悪い中、長靴を履いて菩提寺に。
 すると、ここは東京よりはるかに寒いのにうっすらと開花して。

  彼岸には
       遊びにござれ
        西願寺

 そこにビュッといった感じの風が吹き、枝が揺れました。震え上がるほど寒い。
 ハハァ、お袋様、しばらく来ていないと怒っておられますな。
 盛大にお線香を焚きました。

透き通る桜の開花

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リベラルやーい 

2019 MAR 22 5:05:48 am by 西室 建

 ネット批判の一つに、結局自分の好む画面ばかり見ていると、ビッグ・データに取り込まれてマーケティングの対象とされ、ネットから偏ったニュース・商品・サーヴィスばかり提供されるようになる、というのがあった。要するにバカになる、と言いたいようだがギクッとさせられた。
 ブログに書いている通り僕は保守派だが、確かにその手の言説ばかり読んでは快哉を上げているところがある。
 するとですな、これは全くバイアスのかかっていない中立的な本の中に『大半のリベラルは保守派は頭が悪いと思っており云々』と言う記述があってオイオイオイ。
 確かにそれはチトまずいと思い、最近は経済論説に限ってはリベラル系の物に注意を払うようにしてみた。
 読者にはくどいかもしれないが、僕の言う保守は「何もかも古臭いものはダメだ」と新しいものに飛び付く前に、本当にそうか、昔はよかったなどと嘯くハメに落ちないか、と深く考える気質だと定義している。
 ついこの前に(露骨な言い方だが)IQが低いが改革はしたい、という人々のことを『B層』と広告代理店が名付けて、小泉(当時)総理の支持基盤と想定した。この場合の『B層』を僕は一種のリベラルだと思った。因みにIQが高くて改革好きはAなのだそうだ。
 ひどい話だが、この対になるいわゆる保守派で構造改革否定に回るグループはIQが高かろうが低かろうがバカにされているとしたら、僕の立つ瀬がないではないか。
 しかし、経済学でいうリベラルとは経済自由主義のことで、市場に任せようとする原理主義のようなもののはずだった。これはアメリカで言えば元々共和党が主張していることで、一方の民主党は大きな政府を標榜して弱者・マイノリティを助けようと金融政策や財政政策にも取り組む姿勢を目指す。
 ネオコンと呼ばれるグループの台頭あたりからこの境界、即ち保守ーリベラルの区別が複雑に絡み合ってしまった。どうもネオコンとは肌が合わないという人々はオバマ以降支持する候補者を失ってしまい、トランプ大統領の出現を呼んだのではないか。ヒラリーも一部ネオコンっぽい。
 翻って日本はどうかと言えば、リベラル組は経済については有効な政策を持っていない。民主党が音頭を取った三党合意で消費税アップを決めて(驚くなかれ2012年!)以来、有効な対立軸が立てられずに今日まで来てしまった感がある。リベラルと言えば反原発・反改憲くらいしか結集する旗がない、誰でも言える。一方で小泉・細川元総理コンビがミョーに提携したりして民主党も民進党になり更に分裂した。
 途中、希望の党だのが頭を出しかけたがオジャンに、そしてまたしても国民民主党が小沢の網に引っ掛かって今度はどういう党名を名乗るのか。一体どこがリベラル正統なのかさっぱりわからない。
 これでは困る。ちょうど一年前に

最近困ったあべこべの話

 を書いてすでに困っていたのだが、状況は更にひどくなったとしか思えない。

 いよいよ地方選挙が始まり、駅前で辻立ちする人も見当たるようになってきた。夏は参議院選挙がある。加えて衆参同時選挙になるかもしれない。
 こうなったら仕方がない。僕がリベラルを作ってしまおう。以下思いつくままに列挙してみる。
① プライマリー・バランスの議論を全く凍結してジャカスカ国債を発行する。ためらわずに財政出動させる。
② 消費税を5%にする。一方で累進消費税を導入し、高額嗜好品の税率を20%にする。
③ 人口減に備えて、国民に等しくベーシック・アッセットを与え、少なくともチャンスの平等だけは確保させる。 
④ 新自由主義的な緩和をやめて、グローバル・スタンダードからは一歩遠ざかるように規制を強化し、国富の消尽を食い止める。
⑤ 我が国の尊厳と自由を堅持するために、いわゆる反日的なキャンペーンに関しては戦略的に無視し、国際世論には徹底的な反論を発信し、平和と繁栄に寄与する。  

 これを小沢一郎に持って行ったら受けるかな・・・。無理か。

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新防衛小綱 Ⅱ

2019 MAR 17 11:11:52 am by 西室 建

 静止衛星と地上をエレヴェーターで繋ぐことは既に技術的には可能だとか。
 宇宙で無重力になるとさぞ酒が旨いのじゃないかな。
 いや、待てよ。地上で頭から血が下がっている時でさえアノ酒乱振りなんだから宇宙でやったらもっと奇想天外な酔っ払いになれるかも知れない。そもそも無重力で酔っ払った人類はまだいないだろう。人類初のスペース・ドランカーになってみたい。二日酔いはどうなのか、焼酎のロックは均一に溶けるのか、興味は尽きない。
 以前何かで読んだが、ベッドで横になって少し頭の方を低くすると宇宙空間と同じような血流になるそうだ。無重力になれば頭の方に自然に血が行くという訳だ。ひょっとすると頭の働きは地上より良くなったりして。

 ところでアメリカが四軍に加えて宇宙軍を創設する。スター・ウォーズ的なミレニアム・ファルコンが飛び交うような戦闘は現時点から近未来に至るまで現実的ではない。優れて防衛的な役割を担う『軍』だと思われる。
 何千億円もかかる新技術は、まず軍事利用が先鞭をつけるのが普通だ。インターネットもカーナビもそうだった。その後商業ベースに乗るほどコストが下がると民間転用される。
 上記の地上との接続する静止宇宙基地はコストもはるかに安く、エネルギーの枯渇も心配ない。ここから電磁波を発信すれば有力な抑止力になるのではないだろうか。
 中継の静止衛星を使えば地球の裏側まで管理可能だが、とりあえず我が国の脅威は東アジアに限定されるから必要なかろう。
 すると大袈裟な実験が必要な核武装よりも安くつくだろうし、機動展開する空母なんかいらない。敵航空攻撃は瞬時に無力化できるだろう。
 その場合の静止衛星にある宇宙基地への移動は、おそらくワイヤなどで引っ張るのではなくリニア・タイプだろう。宇宙基地は無重力だからある程度まで上昇すれば慣性力で上昇し、帰りは少し動いただけでGにより戻るからブレーキを考えればいいだけ。ゆっくりやればそんなに難しい材料を使わなくても可能と考える。
 待てよ、その頃はAIの機能が充分シンギュラー・ポイントを越えているだろうから人間が常駐する必要もない。ほったらかしておけば我が国の安全はメデタシメデタシ。
 
 と、思ったところで気が付いた。逆に言えばこの宇宙基地は地上のどこからでもロケット攻撃をしかけられる代物でもあることに。それを守るために通常防御体制を敷くのだとすれば、こんなもの無用の長物だぁ! 

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新防衛小綱

2019 MAR 16 0:00:54 am by 西室 建

 無人攻撃機の大編隊が南シナ海を飛行する。操縦するのは某所の地下に秘匿された航空指揮所でモニターを見続ける、一見オタクの集団のようなチームである。
 1万メートルの高空から厚い雲を通しても人の顔まで識別できる性能と、ピンポイント(誤差5cm)で制御できる小型ミサイルを搭載したこのスーパー・ドローンは通称『蜂』と呼ばれる国産機で、現在100機が運用中と言われている。
 それでなくても航空自衛隊は練度世界一、パイロットは超が付くエリートだったが、現在は幕僚として指揮を執るだけだ。もっともゲーム・オタクみたいな奴等を使いこなすにはまた別の能力が求められるので、作戦立案と情報収集のみ。部隊の多くは女性であり、6チームの4シフトが敷かれていた。『蜂』航空隊は北から南まで、竹島・尖閣も含め24時間警戒飛行している(この前年に北方領土は非武装地帯となった)。
 しかも台湾・フィリピン・ベトナム・マレーシアまでの空域には同じシステムで運用される同じ『蜂』型無人戦闘機が配備されており、これらの国々を総称してゴールデン・ビーズと呼ばれている。更にグァムにある米空軍アンダーセン基地にも連絡詰所が置かれた。
 空だけではない。海中にも動力無限の無人小型原子力潜水艦『あんこう』が領海を守っている。何隻就航しているかは秘匿されているが、『あんこう』からの自動警告システムが作動すると直ちに『蜂』航空隊が視界に現れるので、領海侵犯や密漁は全く無くなった。海中でいかなる戦闘が行われたかはまず公表されないので実態は分からないが、まさに鉄壁の防衛体制が敷かれた。しかも『あんこう』には米海軍の連絡システムが搭載されており、第七艦隊所属の核搭載潜水艦と共有した情報により攻撃即応、即ち核を貸与されているも同然だ、とまで言われている。
 いずれにせよ防衛発動がされるような一朝有事の際にはF35B搭載の『いずも』『しなの』がそれぞれイージス艦を従えて機動展開できる。

 一方、充実著しい陸上自衛隊サイバー部隊も猛烈な訓練の成果が上がっている。
 無論専守防衛であるが、サイバー攻撃を受けた際は瞬時に相手の情報を引き出す即応対処防衛が作動するらしく、どんなサーバーを経由していても瞬時に相手のプログラムを破戒できるらしい。
 一度攻撃してきた中東の小国は一瞬にしてインフラが破壊され、気が付いたらいっぺんに誤作動だらけになり自国への自爆命令までが発動されたという。もっともこれは自衛隊の実力を試そうとした某国の予行演習だった可能性も指摘された。恐ろしい幻魔大戦の世界のようなサイバー空間には交戦規定も国際法も無い。
 しかしながら通常の戦闘も世界では無くならず、世界の紛争地域ではもっぱらゲリラ戦のような戦闘が続いている。

 我が国においても上記体制によりオフショアからのアウトレンジ攻撃は完全に防げるが、内乱破壊工作やスリーパーセルの一斉蜂起に対し、武力鎮圧せざるを得ない万が一に対応する特殊部隊としてクローン部隊が編成されたという噂が流れている。
 もっとも警察の治安対応もAIによって識別能力が飛躍的に上がり、更にロボット警官の普及が進んだこともあり凶悪犯罪は激減した。パトカーなどは全てAI搭載の自動運転、犯人追跡はドローンだ。
 あくまで噂である。人道上の問題を孕んでいるから実態は一切明らかになっていないという尾ヒレも付いている。 
 クローンが神の領域もクソも無くなって、分身を一体一千万円で造れるので屈強の特殊部隊員が複数のクローンを持っている、というのだ。いくらでも個体ができるので危険に対する配慮が必要がなくなる。
 モデルは今から50年前に放映されたウルトラ・マンにおいて20億匹(人?)のクローンを率いて『セイメイ・・ワカラナイ・・・セイメイトハナニカ』とうそぶいたバルタン星人とか、それは嘘だろうが。

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