Sonar Members Club No.36

月別: 2022年1月

アフガンの谷間の花

2022 JAN 23 0:00:40 am by 西 牟呂雄

ガンダーラ地方(パキスタン)のバザールで物乞いが図々しく手を差し出して言う。
「神は喜ばれます」
あまりの堂々とした態度に腹を立て、
「少し態度がデカい。もっと腰を低くした方が実入りがいいのではないか」
と言ってやる。
「あなたはムスリムではないな。ほどこし、とは貧乏人に余り金をやることではない。貧者に恵みを与えるのは神に対して徳を積むということ。その心を忘れて『ほどこし』はない」
「私は人に見捨てられたライ病患者のためにはるか東方から来て治療している。これも『ほどこし』ではないのか」
「『ほどこし』である」
「ならばあなたも私に『ほどこし』をしなされ。神は喜ぶはずだ」
すると、驚くなかれその物乞いは貰い集めた小銭をくれるではないか。

無論私の体験ではない。ソ連によるアフガン侵攻で荒廃したアフガニスタンでライ病の治療に当たり続け、現地のあまりの貧しさを改善するために灌漑事業まで手掛けながら盗賊まがいのならず者によって命を奪われた医師、中村哲氏の著作にあった。
氏の活動は粘り強く、何かに突き動かされたように橋頭保を作り治療していく。その何かとは、私が宗教心が篤ければ『神』とでも表現できただろう。ちなみに氏はクリスチャンで、現地に尽くすきっかけは日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)からペシャワールに派遣されたのが長い物語の始まりである。
混乱に混乱を重ねる政情の元での中村医師の悪戦苦闘ぶりは読む者を戦慄させる。ソ連撤退後に雨後の筍のように次々と立ち上がった欧米型の援助団体の現地でのミス・マッチを批判し、ともすれば『やってるやる感』とともに内向き(本国むけ)になりがちな風潮を戒めていた。
確かに教育も十分でない極貧の住民に援助をしているのだが、先進国的価値観では推し量れない彼らの『譲れない一線』というものはあるのだ。生活に深く根差した文化を無視してまで『ほどこし』てやるのはいかがなものか。冒頭の一節は、氏がその点に深く感じ入ったくだりと思う。
氏はこうも言う。
「最もよく現地を理解できる者は、最も良く日本の心を知る者である」
けだし名言である。これには心を打たれた。私はさすがにペシャワールのようなヤバい所ではないが、フィリピン・インド・ロシア・台湾・中国で工場を立ち上げた経験があるが、この言葉こそ現地との相互理解の神髄だと思う。
作業の来歴・手順を教えるのだが、いきなり『日本ではこうやる』というのはダメで、何のためにやっているのかを丁寧に根気よく伝えた。
そして、思わず苦笑してしまうような風習でも、まず感心してみるようにした。
エラソーに技術を売りまくっていた、ヘラヘラと卑しく振舞うような奴を尊敬する地元の者は皆無だった。余談だがフィリピンでそういった輩が惨殺された事件もあった。

イスラム社会でのジェンダー問題だの石打ちの刑だの、我々から見て野蛮かつ残酷に見える風習ですら長い伝統に沿った『彼等』の文化であることは否めない。なに。こっちだって150年前まで日本刀を自分の腹に突き立てていたし、かの三島由紀夫がやったのはほんの半世紀前だ。伝統文化に優劣などないのだ。現地に溶け込むためにイスラム教徒になれと言うわけじゃない、なれもしない。逆に、我々の近代社会の方が病んでいて、彼等の方が人間的であるとも思わない。
しかしながら、アフガニスタンでは再びタリバンが盛り返して制圧された。アメリカが訓練を施した現地の軍は全く抵抗しないで武装解除されている。英国もソ連もアメリカも制圧できない獰猛な民族なのか。ジャーナリスト高山正之はカイバル峠越えの取材時でのパシュトゥーン人の残虐さと根性の悪さを記述している。
ただし中村氏の観察によれば、この間まで反ソ連のゲリラとしてアメリカ製の銃を持っていた人間がソ連が撤退した途端に銃を鍬に持ち替えてセッセと耕していたという。どちらも本当のことなのだ。そして氏は、丸腰の安全保障はありうるか、との問いに対し、勇気をもって行えば案外可能、とした。これは決死の覚悟といっても過言ではないとも。
氏は車両で移動中を襲撃され命を落とした。では装甲車で移動していれば良かったのか。その際はロケット砲で撃たれただろう。氏の善意を死で踏みにじったアフガン人は鬼畜か。彼らは1979年のソ連侵攻以前から今まで数百万の犠牲を払ってきた民である。国民は人生の殆どを戦乱と共に生き、底辺の病人は見捨てられてきた。
そしてその地獄の喧騒の中、氏が治療した若い女性のライ病患者でさえも、時に笑いながら人生を送っていた。そこには確かな生活と文化はあるのだ。そうでなければそんな厳しい環境に、仮に追いやられた後に住み着いたとしても人が営みをするはずがない。戦乱が通り過ぎれば難民はそこに帰っていく。
近代アフガニスタンは地政学的にグレート・ゲームの対象となり英国とロシアの覇権争いからナチまで絡み、1919年の対英国ジハードの後王国・共和国を経てソ連の侵攻、冷戦下でのタリバンの勃興(アメリカの支援があった)、9・11後のアメリカ介入、と国家の体を成していないままで来ている。

ガチガチに管理され統制される大陸では、別に国民は選挙なんぞやりたくもないに違いない。大雑把に言ってユーラシアは大体そうだろう。
暗黒独裁の国家でも国民はささやかな楽しみを愛しんでいることだろう。
国家とは時に化け物のような邪悪なものに進化しうるものであり。我が国もヤバい時期はあった。こうしている間にも、どこぞの国はミサイルを撃ち、少数民族を弾圧し、報道を規制し、国境に部隊を配置する。
それに対して、歴史的に反国家的な宗教や思想も存在して、時に秘密結社のような姿で国境を跨いで連帯した。極端なテロ集団が国家を名乗ったことすらあった。また、今日ではGAFAが国家をもしのぐ『統制』の可能性を秘めている。
私は国家を肯定する者であるとともに個人の自由も尊重しているが、遠い異国の地での中村医師の奮闘は、その両者に挟まれた弱者への寄り添いだったと思えてならない。灌漑事業から農園開拓まで留まるところを知らなかった情熱は、かの地で決して熱を失うこともない。氏の切り開いた農園には美しい花が咲く。
ただ、ひたすら故人の魂の安寧を祈って止まない。

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喜寿庵の日没

2022 JAN 16 0:00:53 am by 西 牟呂雄

 しばしばブログ・ネタにもしている喜寿庵は、祖父がひいおばあさんの喜寿を祝うために普請道楽で建てた山荘である。凝り性だった祖父は、家相に拘り表門を東に向けるために私道をしつらえたり、庭に大石をヨイトマケで引きずり上げたりと大変な入れ込みようだったらしい。
 この祖父はよくわからない人で、京都帝大に学んだ当時のインテリではあったが、奇行で有名であった。満州旅行で仕立てたジナ服や、やりもしない乗馬服で街を闊歩していた。伯父から聞いた話だが、一緒に歩いていて『暑い』といきなり川に飛び込んだり、一時弓に凝ったときは巻藁に幼い伯父を乗せて矢を打ち込んだりしたそうだ。
 更に喜寿庵を整理していて最近分かったことだが、理系の高校を出ながら京大は経済学部に入り、しかも中退していた。あくまで推測だが、左傾しかけてひい爺様に辞めさせられたのではないかと睨んでいる。

冬至の頃のショット

 そもそもなぜこの場所に建てたか、といえば桂川渓谷の借景だと伝わっている。写真は冬至の頃の日没で、ちょうど山の端が重なり合った谷間に落ちる光景に惚れ込んだと。
 確かに、夕日が山にかかってからほんの10分ほどはため息が出るほど美しい。様々な思い出が脳裏をよぎる瞬間だ。ただ不思議なもので、この光景を見ながら嬉しさがこみ上げてきたような記憶はない、忘れている。この先どうなってしまうだろう、と途方に暮れたことばかりが残っている。例えば癌を宣告された時とかだ。
 更に恥ずかしい話だが、この光景に向かって『チクショー、何が何でも成し遂げてやる』とか『今に見ていろよ』等と高揚したことも全くない。挫折は何度も味わっているが、そっちがダメならコッチにするか、的な気楽さで交わしてしまったように思う。

 話は変わるが、法然上人は西方に沈みゆく夕日を見ながら、阿弥陀如来のおわす極楽浄土を観想するという修行をした。日観想という。
 今更この年で人格が向上するとも思えないが、この山間に日が落ちている時期に2~3回やってみたが、何も見えてこなかった。思えば努力・我慢・反省とは無縁な人生を送って来たのだ、これではいかん。
 そこで今後5年の目標を作ることにした。年ごとに計画を立ててみた。
 ある目標を作ってみたが、ちょっと書くのはははかられる。ただ、それにアプローチする方法は、一人でやる、ゆっくりとやるということだ。形が見えてくるのは今から1年後かな。
 まず今年。酒を止める・・・、ダメだ。

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今年のスノボの調子はどうか

2022 JAN 9 16:16:12 pm by 西 牟呂雄

 毎年のことであるが、恐る恐るスノボを滑ってみた。前期高齢者ともなると、去年はできたことができなくなっている場合には即ケガになる。

 ゲレンデはそれなりに混んでいて、みんなマスクをしている。僕は例の時代遅れスキー・ファッションでボードを履いた。はじめはそーっとそーっと斜面の感じを思い出しながら。シーズン最初はやはりスピード感がつかめず恐怖さえ感じる。
 やっとこさダウン・ヒルを下りてみると、やはりというか脚力の衰えは顕著で大腿部が痛い。コロナで出歩かなかったからと言いたいが、日頃から運動らしい運動はやっていないので単純に年のせいと思われる。もう全力疾走なんか何年もやっていない、ジョギングすらも。

 つらつら思うに、目下生身の体で体験できるスピードはスノボが最速だ。筋力の衰え(N= 実年齢ーピーク年)と反射神経の低下(N×潜在反射神経計数)を関数化し、さらに現役時代のテクニックを数値化したものを掛けた値をYとする。Yは、それを超えない限り転倒しないと仮定すると、各人の限界斜度およびそれに対する最適スピードが割り出せる。ワァッ!何でもないところで転倒した。いかんいかん、集中しなければ。緩斜面でコケるようになったら即引退だ。
 1時間もやったらもういけない。一息入れようとコーヒーを飲んだらやる気がなくなったので止めた。年寄りはあきらめが肝腎。
 あきらめは肝腎ではあるが、これからシーズンがいくつ迎えられるかとなると3シーズンが限界だろう。それは先のことではあるが、そう遠くもない。その年になってもゲレンデ恋しさにスキー場に来るのだろうか。
 そうだ!最近友達になったレイモンド君(推定2才)でも連れてこよう。スクールに入れてあげて遠くから熱いコーヒーを飲みながら見ているのもいいかもしれない。いや、ビールかな・・・。

 さてその時の僕はどんなファッションがいいのだろう。
 さすがにこれでは怪しすぎて誘拐犯に間違えられるか。

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令和四年 滋養神社のお告げ

2022 JAN 1 0:00:12 am by 西 牟呂雄

北京オリンピック失敗
 東京が何とかなったので大丈夫だろうとやった北京の冬季オリンピックは散々な結果になる。
 五輪外交は日本ですら閣僚を送らず、元首級の開幕参加はプーチン大統領のみ。他のヨーロッパの国々も及び腰となって習主席も仏頂面を隠し切れなかった。
 それどころか隠しに隠してきた新型コロナの新たな株が爆発的に広がってしまい、北京は戒厳令が敷かれる。もちろん無観客。アメリカ選手が感染したためバレたのだが、新株はサブミクロン株と名付けられた。
 実はオリンピック中に地方で盛んに自爆テロがあった模様だがバックレ通した。
 日本選手はスケートもスキーも大活躍して史上最多のメダル・ラッシュだったのだが。

日本が新型コロナ撲滅宣言
 年明け、日本のベンチャー企業が開発したコロナ・ワクチン並びに飲み薬が発表された。例によって厚生労働省は認可に手間取るが、その間に東南アジアの国々が効果に注目し発注しだした。
 効き目はテキメンで、アッという間にコロナ禍が収まっていくのを見て慌てた政府も急遽認可し、日本からコロナが無くなってしまう。
 噂によると山中教授が口走った「日本人の持つファクターX」が元だったようで特許は申請されねい。そしてその薬を飲んだ患者は回復するとまるで日本人のような気質になり、帰化希望者が殺到する。
 ちなみに反日国家は意地でも服用しないためコロナは収束しない。

韓国ウルトラ反日政権誕生
 どっちが勝とうがどうせやることは同じ。国内政治の安定のためにハンニチ・ハンニチ。
 岸田内閣はやや甘めではあるが、後ろから安倍元総理が睨みを効かせてガン無視を続けざるを得ない。日韓関係は政治的には限りなく『断交』に近くなる。
 すると一部の韓国政治家がスリ寄って来て林外務大臣を篭絡し、あまっちょろい発言が出てくる。
 そこに強烈なストップをかけたのが高市政調会長で、徴用工問題では猛烈な圧力をかける。

小池都知事辞任
 体調がどうなるのか回復を祈りますものの、あのーいつまでやるんですか。
 親分のぬらりひょん、こと二階が凋落したのでもはや自民党とのパイプは無し。足元の都議会与党も無免許事故を起こした件でアウト。
 そもそも、豊洲の移転もコロナの対応も目に見えた成果は見当たらない。できもしないロックダウンを口走ったり『東京アラート』とか『ウィズ・コロナ』と横文字を唱えてスベっただけ。
 破れかぶれになった知事は参議院全国区に立候補しようと画策するが、誰にも相手にされなくてもはやこれまで。辞任の理由は健康問題と言うが誰も信じない。
「わたしはコロナのジャンヌダルクでした」
 などと発言して顰蹙を買う。

参議院選挙
 自民党が勝つ。更に大阪で維新が勝利。
 すると後述の憲法議論の擦り合わせで公明が脱落して与党編成が微妙になる。
 変なスキャンダルがなければ、自民・維新・国民民主の連立が現実味を帯びてくる。
 立憲民主は共産党の抱きつきから逃れられないまま沈む。
 れいわ・N国・社民は議席を取れない。

金委員長健康悪化
 痩せてスリムになったせいで、影武者説が信憑性を増す。めったに公式の場に出なくなる。代わってキム・ヨジョン氏が前面に出だす。
 不思議なことに中朝関係も冷ややかなものになってくる。
 すると韓国を飛び越して日本に国交回復をエサにしきりにシグナルを発する。林外務大臣は危うく乗りかけるが、再び高市政調会長が立ちふさがり、拉致問題が大きく取り上げられる。
 どうやら金委員長は重体だという情報が流れ始める。

バイデン大統領暗殺未遂
 トランプ支持派の勢いは増すばかり。例のプラウド・ボーイズがあちこちで暴れてアメリカの分断は一層進む。
 その最中に中間選挙の遊説に向かったバイデン大統領が狙撃された。てっきりトランプ派の仕業かとFBIは色めき立った。幸い銃弾は逸れて大統領は無事だったが、その際の腰の抜けぶりに支持率は下がる。
 不思議なことに犯人が捕まらない。トランプ派説、イスラム過激派説、いずれも推測の域を超えないうちに頭のおかしな単独犯が逮捕される。オズワルドの再来か。
 同時にトランプ氏の人気が再び盛り上がって手が付けられなくなる。

憲法改正論議深まる
 上記参議院選挙の勝利で、岸田総理も腹を据えて改憲に取り組む。
 すると婦人部の突き上げを喰らった公明党が腰砕けになり、連立から離脱する流れになる。
 スキを突いて維新との連立を模索する。ウラで動いたのは菅前総理であり、さらにそれを操ったのは安倍元総理という噂。
 その流れで安倍再再登板の可能性が高まる。
 どうやら上記トランプ前大統領の復権とつながっているらしい。

ウクライナの緊張が高まる
 力の信奉者であるプーチン大統領は一歩も引かない。NATOと国境を接するのが我慢できないのだ。東ヨーロッパをジワジワ組み込むのを黙ってみている訳にはいかない。
 一方、ウクライナはキエフ中枢の反ロシア勢力がやる気満々。歴史的にはナチにさえ協力した反ロシアの伝統を持つ国なのだ。クリミアはいいとして今更ロシアの風下に立てるものかと猛反発。
 ところがEUは動かない.業を煮やしたバイデン大統領が電話会談をするが埒が開かない。
 突然国籍不明の部隊が、黒海からクリミアに上陸して戦闘が始まる。

オバサンのアイドル・グループ結成
 SMAP・嵐・TOKYOとアイドルグループが次々と解散、活動停止となって集客力が落ちたジャニーズ事務所が起死回生の手を打つ。
 キムタクと中居(SMAP),相葉・松潤・二宮(嵐)、国分(TOKIO)の5人で結成されたユニットで、名前は公募によりスーパー・ジャーニーとされた。
 幅広いオバサンに支持されるはずだったが、出だしは完全にスベッた。武道館ライブはガラガラでCDも売れない。オバサンのアイドルというコンセプトが成り立たなかったのだ。
 そこで曲想を演歌路線に変え踊りを止めたところ、年後半からジワジワ人気が出てきて紅白歌合戦に出場が決まる。曲名は『別れの常夜灯』とか。
 尚、声がかからなかった櫻井翔は小池百合子の後釜か参議院選挙のどちらかを狙う。

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