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年男(古希+2)ゲレンデに挑む

2026 MAR 1 1:01:08 am by 西 牟呂雄

 今年は滑れるのか、今年やっておかなければもう二度とできないかもしれない、万が一コケて骨折でもした日にはバカ呼ばわりされる、様々な不安と相克を乗り越えて何とか滑走する気になった。
 もはや老人であることは疑いもなく、脚力の衰えは実感している。反射神経・動体視力・持続力、視力と全てアウトの満身創痍である。昔のように、天気がいいからチョイと一滑りという訳にはいかないのだ。だが、先日劣化が進んだスノー・ブーツを破棄し、新品を買ってしまった。もう後には引けない。

 ところがゲレンデでは様相が一変していた。クアッド・リフトが1回1500円!こんなところに物価高が顕著に押し寄せているとは知らなかった。僕は4~5回流せばいい、だからつい貧乏性が出て4500円の半日券を買ってしまった。
 この日はスノボを履いた。1本目、すでにリフトを降りる時点でヨタヨタする。
 シーズン初めはいつものことだが体が滑りを思い出すまで硬くなってつっぱる。一滑りしたところで息が上がり、右足の太腿がもう痛い。。
 初心者コースをもう一本滑ったところでコーヒー・ブレイク。
 何がなんでも元を取るために後三本意地で滑って精魂尽きた。
 これではまだ成仏できない。

 某日、今度はスキーを履く。スキーは昔ながらの長く(180cm)硬いスキーと今どきのカーヴィング・スキーの2本を使いこなす。今回も半日券を買った。感覚でいうと長い方は『しならせる』ように回転し、短いのはカラカラと滑らせる。
 それが、である。目下ミラノ・コルティナのオリンピックの競技を見てしまったためどうしても(ナンチャッテ)モーグルとかポールをくぐる大回転の真似はしたくなるのですよ。そしてこのゲレンデにはそういうトライアル・ゾーンがあって、誘惑に負けた。モーグルは見ていればわかるが、ギャップのところで膝が胸に当たるくらい下半身を柔軟に使って腰の高さを一定にする必要がある。

ナンチャッテのジャンプ

 結果はご想像の通りで、モーグル・モドキはカーヴィング・スキーでコブを一つ越えた時点でコース・アウト。
 ロング・スキーで挑んだポールも1本回転してリタイア。
 すると突如天から厳かな声が低く聞こえてきた。
「無駄な抵抗は止めよ」
 

 見上げれば西の方に飛行機も飛んでいないのに不吉な雲が・・・。
 おそらく飛行機雲が残っていたのだろうが、まれに地上付近で風と風がぶつかって空気が一直線状に上昇する時に上昇帯に沿って雲ができることがある。
 この雲の不吉さは、一番高いところの雲が今にも太陽を飲み込みそうなところだ。例の『白虹日を貫く』と言うアレだ。秦の始皇帝を燕の刺客、荊軻(けいか)が暗殺に行く際、天に現れたヤツ。『風蕭蕭(しょうしょう)として易水寒く 壮士一たび去りて復た還らず』の故事で知られる。また、作家の井伏鱒二が昭和11年2月25日に見たと日記に残したが、果たして翌日2・26事件が起きた。
 即ち、テロの前兆で現れるが失敗するという天の知らせとも言える。
 などと思いを巡らしつつラーメンを食べた。

あれっ

 食べ終わってどっこいしょ、あれ!なんじゃこれ。一天俄かに暗くなった。これだから山の天気は恐い。
 上まで行ってみると雪も舞っている。そうか、天の声も白虹もこれを予言したのか。やーめたっと、さて来年は・・・。
 

Categories:和の心 喜寿庵

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