Sonar Members Club No.36

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土砂降りのオウタム・フェア

2025 OCT 11 1:01:06 am by 西 牟呂雄

 秋祭り、今年は朝から曇っていた。出店のテントを張り椅子を並べテーブルを出す。バンドのステージを作り音響をセットする。体験乗船をする子供達がやってきてフラのオネーサン達が衣装に着替え始める。
 僕の役割は子供たちの『スーパー・ボールすくい』と『輪投げ』。毎年やっていて、客さばきがうまいことになってる(テキヤに見える、という説もある)。

 子供たちは事情があって親元から離れて寮生活をしている小学生でみんなかわいい。安全の注意を聞いてライフジャケットを装着し出港していく。
 僕達はコンロを使うところは火を起こし、バーでは酒を並べ、バンドはチューニングを始める。
 ところが、この頃からポツポツと雨が落ちてきて次第に土砂降りになった。子供たちかわいそうに。
 でもって寒いといえば寒いのだが、生ビールの販売がスタートしたので早速一杯やってすぐウォッカのソーダ割りに。こいつは効きますぜ。
 最初のバンドは気の毒にテントのステージで雨を気にしながらレパートリーを演奏、ユーミンの曲からです。野外なんでハモのズレが気になったけどまっ楽しめました。
 そうこうしていいかげん酔いが廻ったところにチビッコ達が入港してきた。ズブ濡れでグッタリしているかと思いきや、雨ガッパを着込んで全員元気。『もっと乗っていたい』の声が聞こえた。さあ、こっちは忙しくなるぞ。するとうまい具合に小降りになったのだ。

 恒例のハワイアン・バンドが演奏し、フラのおねーさん達が踊り始めた。今年は黒い衣装、これまたシックな感じでいいではないか。これニッコリしながら踊るのは難しいんだそうです。
 アンコールにみんなの大好きな『月の夜は』で一緒に踊り狂ってフィナーレ。
 さて、日が暮れかかってドタバタと後片付けの重労働。雨は上がってしまって蒸し暑いのなんの、汗まみれになったところでウオッカの毒が全身に回り、一旦死んだ。

 翌日は二日酔いのわりに早く目が覚めると晴天。子供達はこういう日に乗せてやりたかったな。
 その代わりではないが、のんびりと船を出してセールを上げた。微風です。汽帆走で江の島の方へ向かうと、今日のレースのスタートを待つ船が、風待ちのためスタートができずに固まって見えた(結局中止)。
 風が上空で舞っているのか、海上は微風でもポッカリとUFOのような雲が低く浮いている。
 目を移すと、海は青い。ただ、潮目のようなところは色が変わっていたりナブラが跳ねていると黒ずんだりしている。きょうは風はないが強風の時にサーッとさざ波の切れ端が向かってくるときは鈍く光る。
 穏やかな海面はブルーだけを反射しているが、他のあらゆる色は海に溶け込んで、そのうちにエネルギーを吸い取られ深海は漆黒の闇だ。
 それら無限のエネルギーと無数の命を内包しつつ、今日の海はやさしい。そしてその上を僕たちは漂っているだけなのである。
 年取ったかなぁ。

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Categories:ヨット

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