セント・トーマス
2026 MAR 14 20:20:30 pm by 西 牟呂雄
仲良しのビブラフォン奏者、大井貴司さんのライブで聞いた「セント・トーマス」が素晴らしかった。
まずはお聞きください。
一発撮りだけど、皆さん百戦錬磨なのでそれなりの音が拾えています。
バランスといい、この形式のコンボでは目下日本で一番完成してるんじゃないかな。
この明るい曲はテナーの巨人、ソニーロリンズの作品だが、元は英国の民謡「The Lincolnshire Poacher」だという事を最近知りました。そのメロディーが流れ流れてカリブ海の英領バージン諸島のセント・トーマス島にたどり着いたときは、母親がロリンズに歌って聞かせる子守歌に変貌していたという話(その後アメリカへ移住)。
その話を聞いてうれしくなった僕は、曲の終わりの部分を
「〇〇ちゃん ▽▽ちゃん
〇っちゃん ▽っちゃん オジイチャン」
と子守歌にして孫に歌って聞かせてみたのですが、受けなかった。
ソニー・ロリンズは御年90過ぎでまだご存命のはず。戦後すぐにデビューしてかのマイルス・デイビスと出会います。
偉大なミュージシャンだがそこはそれ、50年代にはヘロインに手を出して薬欲しさに強盗まがいのことをしてムショ行きになりました。
するとヘロインを断ち切るため音楽活動を停止し、ケンタッキー州レキシントンの連邦医療センターで治療プログラムを受け、その後はしばらく雲隠れしてシカゴの工場労働者になって暮らしていたようです。
復活はしますが、どうもこの人は定期的におかしくなるらしく、それが外圧なのか内から来るものか、50年代の終わりには一度引退してしまうのです。
約10年後の60年代末にもインドに行った後に3年ほど活動を休止しました。
「禅」とか「ヨガ」といった東洋趣味に傾倒し、心の安寧を保っては復活する、といったところでしょうか。
時が過ぎて、80年代には「テナー・サックスとオーケストラのための協奏曲」を書き、東京で読響をバックに演奏しています。
かの9・11の時はロリンズは目と鼻の先にいて、危うく被害は免れたものの危なかった。しかしながらそのわずか4日後にボストンで演奏し、MCも含めた音源は発売されてますね。
さすがに最近の活動は聞こえてきませんが、偉大な音楽家の長寿を祈っています。
尚、蛇足ながらセント・トーマスは福音書にも出てくるイエスの12使徒の一人で、外典ではイエスの双子とも解釈されることもある「ディディモと呼ばれるトマス」のこと。イエスが復活した話を信じなかったが現れたイエスを見て脇腹の傷を確認したという。伝承によれば遠くインドまで布教に行ったことになっています。
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