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萌え出づる春になりにけるかも

2016 APR 1 0:00:58 am by 西室 建

 石走る 垂水の上の さわらびの 萌え出づる春に なりにけるかも

 なんという若々しさでしょう。
 万葉集にある、天智天皇第七皇子の志貴皇子(しきのみこ)の歌です。万葉人というご先祖様は当時の人口の少なさを考えても極めて均質な社会だったのでしょう。

 石走る 垂水の水の はしきやし 君に恋ふらく 我が心から

 これも万葉集ですが、こちらは読み人知らずです。”石走る”は枕詞なんですね。
 
 雪消えて 水若し
 花萌えて 人笑う
 雲流れ  山霞む
 桜散り  春至る

 これは私が考えた双五音四行詩。流行りそうもないけど楽しんでいます(ナイショ)。

 ところで私は、つい最近まで冒頭の作者は式子内親王だと思い込んでいました。改めて万葉集だった事に気が付いた次第で500年もズレてました。しかも記憶にあるところで、この歌をネタに式子内親王のことを天才だと言い触らしたことも幾星霜、オー恥ずかしい。この万葉振りと「玉の緒よ 絶えなば絶えね」の新古今では作風がまるで違うのにどうしたことでしょうか。

 山深み春とも知らぬ松の戸にたえだえかかる雪の玉水

 これも新古今和歌集にある式子内親王の作品ですが、いちいち”シンコキン”の音が聞こえそうです。これをシンコペーションと言い・・・ません。

 山寒く 風寒し
 空青く 雪光る
 緑無く 音淋し
 融雪の 滴落つ

 ところでこの内親王は実は色々と大変な人です。
 御所にいるころは藤原定家が足繁く伺候していて、その頃に鮮やかな本歌取りの腕を磨いたのでしょう。色恋の歌が多いのも二人は恋人同士だったのではないかな。一説には定家が好意を寄せるも、歌はうまいがブサイクだったので振られたとも。
 その後なぜか誰かを呪詛をしたとの疑いをかけられ、退去し出家してしまいます。この出家の際に浄土宗開祖の法然が関わったとも言われる何やら謎めいた女性なのです。法然が高貴な尼さんに手紙を送ったことは事実で、実は内親王は法然上人を慕っていたのではないかという珍説も出されています。

 法然上人は大変な秀才の上に気迫のこもった人。自然、身の回りに個性的な人物が集っているという趣で、これはまた別の機会に紹介したくなります。

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沖の小島に波のよる見ゆ 

あかあかや 華厳

Categories:古典

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