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漢字は楽し 色彩編

2016 APR 2 19:19:08 pm by 西 牟呂雄

 本来色彩の話は苦手ではある(色覚異常のため)。
 漢字を二つ並べた単語は色々あるが、シャレではないが”色”に関しては強烈な表現になる。

 黒黒(くろぐろ)は髪の毛の黒さなどを表現すると共に、実に『悪い』ものを連想させる(黒田さんとか黒川さんゴメンナサイ、名前の話は別)。腹の黒々と、とか。

 一方青青(あおあお)としたと言うがこれは専ら緑色のことで、木々の色なんかに使う。
 因みに青い(ブルー)光線は人の脳神経を覚醒させる効果があって、パソコンをズラリと点けっ放しにしていると脳が休まらないという研究結果があるらしい。
 
 赫赫(かっかく)。どうです赤四つ!赫赫たる、の様に使うが物凄い字面だ。
 強く光る様子を強調するが『赫赫たる青色ダイオードの光』とはさすがに誰も言わない。どう考えても輝く夕日でを形容しているはずだ。そしてその後日が落ちて薄暗くなったのが黄昏(たそがれ)。
 
 白白(しらじら)しい、はご存知の通りの意味。空しいイメージか。『あしたのジョー』の最後にジョーが言った「真っ白な灰になる」というのを今でも良く覚えている。

 この色の並びは中国天文学の北・東・南・西を表していてそれぞれ四神を置いている。即ち玄武(亀)・青竜(龍)・朱雀(鳳凰、鳥)・白虎(虎)という訳である。
 これを天海僧正あたりが東京に当てはめていないか、と妄想していたらそれっぽい地名があることに気づいた。目黒・青山・赤坂・目白の四つ。
 しかし結論から言うと四神の配置と何の関係も無くバラバラだ。
 北を指す目黒は瀧泉寺(りゅうせんじ)で江戸名所図会にも目黒不動として描かれている。行楽地であり、落語の目黒のさんまはの舞台にもなった名所だった。
 青山はお不動様とは関係なく、郡上の殿様青山家の下屋敷があったためそう呼ばれた。この青山様の子孫に陶芸鑑定家で小林秀雄や白洲正子の親友だった青山二郎氏がいる。
 それでは目青不動は無いのかと言うと、これがある。世田谷区太子堂にある最勝寺がそれだ。
 赤坂はこれまた関係なくて赤土が多い土壌に幾多の坂があるからこの地名だとか、あるいはアカネが群生して『茜坂』と呼ばれていたから、とされる。ところが目赤不動も文京区本駒込の南谷寺にある。
 目白と言えばは故田中角栄の広大な私邸で政治的な名称にもなったが(古いか)こちらはちゃんと五色不動の一つ目白不動を祀る金乗院(こんじょういん)があって地名の由来だ。しかしながら上述目黒との位置関係では北側になってしまう。
 因みに五色不動というからには中心の黄色もなければならないが、これは浅草勝蔵院の「目黄(メキ)不動」という伝承はあるものの今は無い。不思議な事に明治以降名乗りを上げた寺院は都下に複数存在するが。

 このうち黒白のお不動様は江戸時代よりも存立は古く、赤でギリギリらしい。青・黄に至ってはどうやら明治以降ドサクサにまぎれて名乗りを上げた可能性もあり都下にいくつもあるらしい。従って怪僧天海が大江戸鎮守のために配したというのは都市伝説・噂話の類のようだ。
 この話をヒントに、乗り込んできた家康一統が江戸土着の四神の呪縛に苦しめられ音を上げてしまい、天海僧正が法力を以ってこれら闇の勢力と戦う、というモチーフを思いついた。思いついたものの荒唐無稽過ぎて文章にできなかった。

 話は変わるが漢字二文字の言葉というのは”々”を使ってしまうと本来の迫力が失せる。二文字並べる方がよろしいが、書くのが面倒でもある。

 生生たる(せいせいたる)もいかにも命の漲っている感じがします。
 皚皚たる(がいがいたる)はなかなか読めませんが何かがガイガイしているのではなく、白く雪が積もっている事の形容詞、チョット恐い語感だ。
 汲汲とする。愈愈(いよいよ)。賑賑(にぎにぎ)しい。由由(ゆゆ)しき。延延(えんえん)と。坦坦(たんたん)と。雄雄しい。苛苛する。苦苦しい。禍禍(まがまが)しい。清清しい、奄奄(えんえん)-これはオレオレではなく息が絶え絶えとした様子。女女しい。蕭蕭(しょうしょう)とー風の吹く様、ウッ疲れた。誰か代わってくれ。

漢字は楽し Ⅱ

漢字は楽し 『谷』の読み方


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Categories:言葉

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