何てセコいんだ!
2025 OCT 5 8:08:41 am by 西 牟呂雄
小銭をジャラジャラとポケットに入れている。お財布を持たないからだ。そうするとズボンのポケットが傷むという理由で小銭入れを持たされていたが、もうどこかに行ってしまった。
あるヤボ用で某日新幹線に飛び乗った。チケットを買った後に丁度出発する名古屋から東京行きのぞみ、自由席だ。空いていて運良く3人掛けの通路側に、窓側には女性が一人で寝入っていた。間の席に荷物を置くとビールを飲んですぐウトウトした。20時56分発名古屋発、東京行き最終に近い。
1時間ほどしたときにフト目をやると、黒い小物があることに気が付いた。手に取って見るとLANVINの小銭入れではないか。座席前のラックに取り残されたようにあった。ラックにあったから隣の女性のものではないのは明らかだ。手に取ってみると545円入っているではないか。ははァ、だれか忘れたのだな。マッこの金額なら大騒ぎもしないのだろうな、と思いそのまま席の上に放置していた。
だが、しばらくすると急にこの小銭入れと545円が哀れになって来た。どうでもいいモノとして主に冷たくさえて放置されてしまったかわいそうな代物に思える、どうしよう、降りる時にそのまま置いておけば清掃のおじさんが拾って届けてくれるだろうか、いや、そのおじさんは懐に入れるのは別に構わないがその後大事に使ってくれるだろうか、駅に着いてから届けに行くのも面倒だな、とどうでもいいことで心は千々に乱れた。
少し前の小銭入れの紛失について、あの金は今頃どこかで人の役に立っているだろうかなどとも考え、ひょっとしてこれは天の采配かと思えないでもなかったが、丁度車掌さんが通りかかったので「これ、現金が入った忘れものですよ。名古屋までに降りた人です」と渡すことができた、ヤレヤレ。平和ニッポンに貢献したような気分だ。
ところで、もしあれが545円ではなく、もっと多額のお金だったらオレはポケットにいれてしまわないかが気になった。千円だったらどうか、1万円だったら・・・。
結論から言えば迷うのは千円から5千円と思われた。1万円を超えるとなにやら落とし主に悪いような気がする。十万円ならば、これはとてもとても。百万円とでもなればそんな金に触るだけでも犯罪に巻き込まれるのじゃないかとビビる。
するとオレの現金の識別閾値の上限は5千円以下か・・・・ウッ、情けない。
まっ、届けますけどね。
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成り切る
2025 OCT 1 20:20:47 pm by 西 牟呂雄
トランプ政権下の米国で、プロレスが存在感を増している。トランプ氏は長年にわたる格闘技の支援者で、ファンとトランプ氏の支持層は重なる部分がある。「今日、我々は偉大な友人を亡くした」。7月24日、伝説のプロレスラーだったハルク・ホーガン氏の死去を受け、トランプ氏はSNSに追悼の言葉を載せ、ホワイトハウスでプロレスをやるとか。
賛否両論あろうが、アメリカン・プロレスの醍醐味は架空のキャラクターを演じる超人的な肉体の躍動と、バカバカしいほどの単純なストーリーだ。誰も真実なんぞ求めない。
トランプ大統領自身も嘗てはリングサイドに陣取って代理髪切りマッチをやった。そう、プロレスに参加してトランプに成り切ったわけだ。
ここで私自身はどういう人間か、と言えばどうであろう。ブログの読者の印象通りと言って差し支えないのだが、実際にはもう少しマトモである。即ち筆が滑っているとも、実生活ではマトモを演じているとも言える。
それでは演じる必要はなぜ生じるのか。それで演じなかったらどうなるのか。言うまでもなく他人の目を意識して、それなりに社会性を保とうとするからだ。ではもし演じなければメチャクチャなことが起きるのか。他人の目がなければありもしない『本当の自分』が露出するのか。
例えば山荘の喜寿庵にいるときはほぼ一人だ。誰も見ていない。しからばそこで奇怪な振る舞いに及ぶかといえばそんなことはない(と思う)。どんなみっともないことをしてもかまわないのにしない。すると私は自分の自由意志ではなく、人智(じんち)を超えた宇宙の法則にでも操られているのだろうか。
最近、犬童一心監督が狂言の野村万作さんを撮った「六つの顔」というドキュメンタリーを見た。人間国宝の万作さんは御年94才。3歳で『靱猿』の子猿役をやったので芸歴90年。その子供の頃から現在までを、映像と本人のインタビューで構成されている。
「演じる」という意味では能・狂言は数百年の伝統を受け継ぎ今に継承された芸能であるから、自由意志もクソもなく、恐らくは我を捨てて型を身につけなければ始まらない。解釈はその後から付け加わるのだろう。
最後に「川上」という演目をカメラが追う。
盲目の男が、願いを叶えてくれるという「川上」の地蔵に参詣し、その甲斐あって視力を得る。 しかし、男の夢に現れた地蔵は視力と引き換えに「妻と離別せよ」という過酷なお告げを残した。という狂言にしてはストーリー性のあるモノで、視力か尽くしてくれた妻かの選択を迫られる。そこに萬斎さんが妻の役で出てくる、といったお膳立てだ。「川上」とは奈良吉野にある川上村のこと。
昨年薪能で観たときはお声が小さくなったような気がしたが、そんなことはなかった。枯れたいい声なのだ。そして選択を迫られ苦しむのは演じているのではなく、人間万作その物である。
万作さんにとって『狂言』は野村家に生まれた偶然のきっかけであり、一方『狂言』を擬人化すれば万作さんは手段に過ぎない。磨かれた芸は既に人格とか個性を超えている。万作さんは狂言を演じながら狂言の目指すところにたどり着いたのだろう。
人間ここまでくれば上品(じょうほん)である。だとすれば、今の若い人が時々被れる『自分探しの旅』の何と無駄なことか。自分を演じ続ければいいだけの話ではないか。
さて、私の場合は・・・。
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どすこい観戦記 7日目
2025 SEP 21 6:06:02 am by 西 牟呂雄
何も身にまとわずぶつかり合う巨大な肉塊、ほとばしる汗、荒い息遣い、そして様式美。
やはりテレビ観戦と実際に見るのでは大違い、相撲は格闘技の原点に近い。私はプロレスを深く愛する者だが、土俵とマットは違う、純粋ストリート・ファイトとなると勝つのは相撲なのかもしれない。
初日、両横綱と大関が勝ち順調に始まった9月場所、国技館を訪れた。
本日まで横綱豊昇龍が全勝と絶好調。東の横綱大の里と大関琴桜が1敗、前頭以下の1敗には若元春・降の勝・宇良・美ノ海・正代・友風と充実している。
個人的には翔猿と竜電が(名前が刺さるから)贔屓である。この二人は番付が下がると猛烈にがんばり、上がってくると負け倒す。まさか敵わないからチンタラやるのではないだろうが、幕内から落ちそうで落ちないところが実に巧みなのだ。
午後3時に入ると十両の取組の最中で、さっそくビールで乾杯しながら観戦。
おォ!琴栄峰という力士は伸びた足が天井に向くような四股を踏んで見せた、と思ったら負け。十両全勝の三田はまだ髷が結えないのに見事に横っ飛びして叩き込みで勝ち。全勝である。
ここで中入り、幕内土俵入り、横綱土俵入りとなる。トイレに行って一服。
ところで三田の叩き込みは見事だったのだがこの決まり手、負けた方のマヌケ感が気の毒で見ちゃいられない。土俵下から見ていると、時間一杯で仕切りの瞬間には力士の顔面が赤らんで汗が光る。それが1秒で身をかわされて土俵に這い蹲ることになるのだからねぇ。今日は贔屓の翔猿が輝に、クセ者宇良が一山本相手にやって見せた。
もう一人の贔屓である竜電は佐田の海と物凄い力比べの末に土俵際で上手投げを決めた。藤の川という力士は掛け投げという珍しい技で狼雅を下す。巨漢、熱海冨士は40才の星である玉鷲を激闘の末に寄り切り。
さあ、大関・横綱だ、やっぱり風格が違う。豊昇龍なんか、鎌倉の金剛力士像にそっくりの迫力。こっちはビールが日本酒になって既にベロベロ。
さて、会場には結構有名人がいて、ものまねタレントのアントキの猪木が赤いマフラーで見ていたし、僕の目の前には上地雄輔がいた。横浜高校で松坂とバッテリーを組んだあの上地である。
そしてマズイことに向こう正面の升席だったのでテレビに映ってしまい、バカな仲間から次々にラインが入った。『ビール飲み過ぎだ』『今映ってるから変顔しろ』『取り組みが始まるから早く戻ってこい』終いには画面を送り付けてきて『斜め右に和服の美人が二人いるから電話番号を聞け』と始まって相撲に集中できなかった。探してみたらおそらく粋筋の美人がいた。
琴桜は負けて2敗。賜杯は豊昇龍か大の里か、はたまた伏兵の降の勝・宇良か、琴桜の巻き返しか、あと一週間激闘が続く。
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『ヒマ』と『忙しい』の間を生きる
2025 SEP 13 12:12:50 pm by 西 牟呂雄
最近知り合った面白い男が言った。『おっそろしく忙しくてね』そりゃ大変だろうな、と心から同情した。で、何がそんなに忙しいのか、元々商社マンなので納期に追われているのかな、と聞いてみるとそんなことはない。理系の院卒で商社にいたが、退職後あるシンクタンクにいて、そこでバイオ関連についての研究をしている。先日ある仮説を思いついたようで教えてくれた(よく分からないのだがどうも中身は大したことがないような)。すると、その仮説を人に聞かせたくてしょうがないのだ。ひっきりなしに電話をかけまくって同じ話を何人にでも説明し、やたらとアポをとっては誰かとセットし、喜々として出かけていく。ところが私の見る限り忙しくは見えない。忙しさを演出したがっているのかどうか、分からない。
一方私は喜寿庵で『ヒマでヒマでしょうがない』とグチを言いながら、セッセセッセとダイコンやニンジンの種を撒きニンニクを植え、草刈りに精を出してゴルフやスキーに行く。喜寿庵にいないときはヨットにまで乗り、もちろんヤボ用も足す(仕事だけど)。実際にヒマだからだ。
冒頭の男、3カ月振りに会ったら前回言いふらしていた仮説の話はもう止めていた。それはそうだろう。どうせどこかで読んだ話の焼き直しなのがミエミエで誰も本気にしなかったのだから。要するに当たり前のことを過激に言っただけだろう。聞いている限りではそれはそれで面白かったのでいいのだが、今度はその仮説を進化させたような特許の話に夢中だ。なにやら説明をしてくれたがさっぱり分からなかった。その特許をナントカが評価してくれたとの触れ込みはどうも嘘っぽい。そしてその特許を広めようと例によって走り回る始末。すなわち忙しいのだ。だが良く聞いてみると本人が出願する特許ではなく、そのまた知り合いが取得するかもしれない、という程度の話で実態は絵にかいたモチのようだ。
私の方はヒマに任せて台湾に行ってきた。顛末はブログに書いた通り。いやはやヒマというのも大変なもんで慣れない観光までして疲れてしまった。そのリハビリがてらヤボ用(仕事とも言う)に励んだ。ヤボ用の方は、頼まれもしないのに国際情勢にモミクチャにされてニッチもサッチもいかない。マッいいか。これからインドと打ち合わせを。
古い友人に会った。同い年のこの男、極めつけのセンスとカンの良さで世の中をナメ切っている。一応サラリーマンにはなったもののまともに勤まったとは思えない。そもそも努力とか我慢といったことはやるようなタマじゃない。長い付き合いなのだが反省の弁を聞いたことがない。それは目標も計画も最初からないのだから、失敗や挫折を自覚できない。従って反省する機会がない。そんなバカなと思われるだろうが実際にいるのだからタチが悪い。
そしてこの男は、察するところ私と同じくらいヒマなはずだが、おかしなことにどうもそうではないようなのだ。休日に連絡したりすると『忙しい』とか言って付き合わない。そんなに働き者のはずがないから不思議だった。それがついこの間理由が分かった。奴は自分のことを詩人でソング・ライターだと思っているらしい。普段から詩を書いたり作曲したりしていたのだ。半世紀近い友人だが、そんなことを始めたとは聞いていなかった。そういえば少し前にミョーな歌を歌っていた。多分あれがオリジナルなんだろうが、バカバカしいほど単純なお経のようだった。
僕を含めここに3人のパターンを列挙したが、この3人のパターンは以下の3つに類型できる。
冒頭の男 ⇒ 忙しい ⇒ 忙しくするために妄想が湧く
私 ⇒ ヒマである ⇒ 特にやることもない
古い知り合い ⇒ ヒマである ⇒ ヒマだがやることはある
くどい様だが実在の人物なので、実際に観察することが可能だ。そして彼らは私がブログを書いていることを知らない。だからここであからさまに暴露してもバレることもない。
年齢は 冒頭の男は一回り若く、私と古い知り合いは同い年。容姿および教養はドッコイドッコイである(ただし専門は違っている)。目下の金回りは 冒頭の男>私>古い知り合い だろう。
必ずしもパターン別の中央値とも思えないが、私を分析するツールとしてこの3パターンを比較し、私の今度をどうして行こうか、の参考になると考えた。なにしろもう古希だから。
もっと踏み込んで言えば、私はともかくほかの二人は破滅の道に向かう可能性が高いと考えている。ちなみに二人を引き合わせる計画はない。
具体的な比較に移る。
モテ度 私・古い知り合い>冒頭の男。これは簡単で、冒頭の男は出だしはいいのだが、すぐに胡散臭がられて嫌われる、本当だ。私と古い知り合いはターゲットにする対象が全く重ならないので引き分け。
真面目度。これも話してみるとすぐ分かる。古い知り合い>冒頭の男>私。自明の理であるが、私は何事もまじめに取り組めない。どうやら子供の頃からそうだったらしく、今であれば軽い自閉症とか学習障害児とされていただろう。冒頭の男は知り合って間がないので断定はできないが、次々と夢中になるがそれが最後まで続いたのは知らない。レポートを書くとかシミュレーションをするとかいったいうマメさに欠け、最後の落とし前をつけない。商社時代の実態はよく知らないが、実際の成果には乏しいと思われる。その点古い知り合いはここのところ詩人で作曲家のつもりでい続けている(らしい)。もっとも昔はそんなことはしていなかったが。
酒。言うまでもなく 私>古い知り合い>冒頭の男 である。まてよ、不等号は逆か?無論飲む量も酒癖も私が一番手に負えない。冒頭の男は飲めないのじゃなかったか。従って酒席での失敗はありえない。私は数えきれないほどある。古い知り合いは日本酒が好きだが明るい酒である。
家族。3人とも家庭は持っていて普通かな。冒頭の男は娘と息子。私は息子が一人で孫もいる。古い知り合いは子供はいない。いたって平凡な家庭といって差し支えないだろう。冒頭の男は教師の息子。私はサラリーマン家庭。古い知り合いは確か親は自営業だった。これも類型別に有意差は無い。
さて、このフツーの3人のオッサン(冒頭の男は50代だがまぁオッサン)はどういうタイプといったらいいのだろう。
フェアを期するために私から行く。テーブルに記したようにヒマである。で、ヒマに任せて無計画にチョイスして色々手を染め、しまいにこんな役にも立たないブログまで書いてそれで楽しい。ヤボ用(仕事)に対して、結果に意味があるかどうかはすっ飛ばして、結論までの能率とスピードしか興味がない。世の中からはみ出している自覚はある。やりたいことは山荘かヨットでぼんやりしていると浮かんでくるので不自由しない。但し、生活圏は限られている。
冒頭の男は私とは違ってヒマになることに恐怖を感じているようだ。そして承認欲求が強いらしい。それはしばしば口が滑って明らかなウソが混じることで分かる。実際には自分自身の仮説やら特許が日の目を見た途端に(まずないだろうが)ヒマになることが分かっていて、それが嫌なので無理やり忙しくしているフシがある。流行に敏感ですぐに被れる。見たところ新興宗教なんかに引っかかる危険も感じる。イイ奴なんで心配ではある。
古い知り合いは、長い逡巡(といっても思春期の一時期)の末に詩作と作曲にたどり着いた。そして人に読ませたり聞かせたりすることをしないまま作品を作り続けている。何かの機会で世に出る可能性は無くはないが、自分からは働きかけない。従って奴の迷作は日の目をみることはなかろう。一応未だに働いてはいるが、それで身動き取れなくなるほど忙しいとは言えまい。やはりヒマだ。
以上に分類ができた。
私はいまのままがいいし、他の二人がうらやましいともああなりたいとも思わない。ほかの二人が私を尊敬などしていない。どの人生が豊かかという優劣はつけられない。
しかしながら、この3パターンにおいては誰も退屈な人生は送っていない。
結論から言えば、上記テーブルは下記の通りに進化すると思われる。
冒頭の男 ⇒ 無情の人 ⇒ 中毒 ⇒ 妄想 ⇒ 哀れ
私 ⇒ 無用の人 ⇒ 怠惰 ⇒ 孤独 ⇒ ??
古い知り合い ⇒ 無欲の人 ⇒ 偏屈 ⇒ 自由 ⇒ 悟り
さて、古希を迎えてヒマな私が今後どうするかを考えるために、私を挟んで最近知り合った『忙しい』と長い付き合いの『ヒマ』な例を上げ、どうしたらいいかを考察しようとした。
極端なサンプルなので、一般的なパラメーターにはなりにくいとは思うが、見たこともないケースよりは実在するだけマシだろう。そして観察していて分かったがIQは恐らく古い知り合いの方がはるかに高そうだ。思い込みが無く切り替えのスピードが違う。この場合普段の奴と詩人になる切り替えのことである。そして共通点にも思い当たった。どちらも知的好奇心は旺盛だ。そして気が付いたのは二人は『退屈したくない』だけなのだ。
ここまで書いて来ると、急にどちらも薄っぺらい人間に感じられて、せっかくここまで考察したことが無駄になった。
私は結局このままでいくしかない、今後もなにもしない、という誠にアホな話になってしまった。ここまで読んだ人、ごめんなさい。
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逃げ切ったか 日本
2025 SEP 7 0:00:20 am by 西 牟呂雄
「失われた」を聞くようになって何十年も経ったことになり、未だに不透明感は巷に蔓延してはいる。
足元も戦争は終わらず、アメリカは勝手なことを押し付け、政治は安定感に乏しく、格差は拡がって物価は上がっている。
しかしながら、最近逆の発想をしてみる知的トレーニングを積んでいるが、私にはなにやらこれからは先が開けてくるとみている。
やれ新自由主義だグローバルだといった風が吹き抜けたに後に、その風に乗って散々稼いだグループが世の中の逆風を浴びて、もしくは自壊してしまってお先真っ暗のドン詰まりになる中、絶妙なポジションを得ているのが日本なのではないだろうか。アメリカと中国のいがみあいのことである。
新自由主義の競争原理はいいのだが、故安倍元総理があれだけやっても岩盤規制の穴が開けられたかと言えば不十分だったのは第三の矢の効果が不発だったことで明らかだ。小泉ー竹中路線の総括は、実のところ不良債権の最終処理だったと筆者は考えている。
そしてその新自由主義の勝者のはずのアメリカが深刻な分断に苦しみ、トランプ関税という仇花を咲かせたことを踏まえれば世界の風向きが変わったと言わざるを得ない。
グローバリズムの勝者のはずの『世界の工場』だった中国も経済の地盤沈下が政治的不安定を引き起こしている。戦争当事者とそこに派兵する核以外に何の取り柄のないならず者国家に挟まれて軍事パレードに臨むような対外強硬姿勢はその裏返しではないのか。何だか大国の風格もないいじましさすら感じる。これもまた米中対立の深刻化により独裁体制がジタバタし始めた動きと考えられる。
翻って日本。実にチマチマした政局は喧しいが、外交的には極めて安定しているのだ。ウクライナ戦争から中東の空爆まで様々な問題があるが、こと外交に関しては故安部元総理から菅・岸田・石破と絶妙なバランスがとれている。
選挙の3連敗を揶揄する声が大きいが、票の流れた先が参政党と国民民主だからどうってことはない。一過性の熱い風に過ぎない。筆者は以前から安定持続を訴えているので、ここにきて世論が『石破辞めるな』と言い出した流れに、今更かと冷笑を含んで見ている。政治家は育てるものでもある。選挙の責任を言うんだったら失言ツルホを辞職させた方が早かろう。ますます政治に興味が失せた。
冒頭の知的トレーニングとは、筆者が考案した「否定想定プログラム」である。俗に言う「あの頃は良かった」「ここでもう少しがんばって上を目指そう」という発想をすべて否定して考えてみるシュミレーションだ。
例えば、「高度経済成長時代は良かった」というテーマ。多少の失礼をお許しいただければ、三丁目の夕日的な今日より明日は良くなる等と誰もが信じていた輝かしい時代ではない、と考える。戦争によって抑えられていた人間のエゴが噴き出し、革命が起こると本当に信じた連中が暴れ、それに恐怖した三島が腹を切った。右も左も破壊衝動に突き動かされた煤けた時代だった。ストライキで国鉄が止まり、犯罪は増え、町はタバコの吸い殻と立ちションベンの悪臭が漂った。といった具合だ。
もう一つ。バブルを謳歌したのは誰だ、との問いには金融機関とか大企業というのも違う。あれで浮かれたのはヤクザと芸能人というのが正解だ。「失われた」時間が過ぎてどちらもすっかり往年の貫禄を失った。
このパターンで『失われた期間』を思料してみると面白いことになる。
給料は増えないがその分実働時間は減って物価は上がらないから生活感は変わらない。稼ぐやつといったってどうせ一握りだからベンチャーだってコンサルだって大化けするやつと失踪騒ぎに陥る奴は紙一重。大して努力もしないで暮らせばそこそこレジャーも楽しめる。バブルが弾けて困った連中に比べれば何もしない方がズーッとマシだ。
途中で政権交代があったが、あれじゃ交代したらトクでもない総理が出てくる、と思えば選挙なんかバカバカしくて行く気にもなれない。何しろ「二番じゃダメなんですか」なんて国会議員が言うもんだから、それじゃ3番でもビリでもいいやという気になっちまう。
といった具合で考えるのが、どこかの政党のが大好きな市民・庶民感覚の最大公約数ではなかろうか。
この発想で行くと、ついにアメリカが足元が覚束なくなってキレたのがトランプであり、グラつきが隠せなくなったのが習近平と見立てられる。さすればどちらも日本がなければしっかりと立っていられなくなり、しきりに秋波を送ってくるに違いない。その際に絶対に大陸に与してはいけないから、どうせ長くは続かないトランプを懐柔してそれに乗ってしまえばいい。防衛予算を拡大するいいチャンスじゃないか。
そしてヘトヘトになったロシアが国境を画定しようと寄ってくるだろうからこちらには親切そうに対応してやろう。あそこは国家になると邪悪だが人間はいいやつが多いから。さて、半島の南はどうなるかな。
と考えていると、何だ。日本のポジションはこれから良くなるじゃないか。
そう思えば大して失政していない石破を降ろす必要なんか全然ない。どうせ少数与党なんだからしばらくボロボロになりながらやってもらった方が後のためになる。麻生だ岸田だ茂木だがゴチャゴチャしゃしゃり出てくるのも煩わしい。コイズミやコーノになったらどうしてくれる。
総裁選前倒しなどはねのけろ、仮にそうなっても立候補しろ、勝てるから。そうやって引きずるだけ引きずって小渕優子にワン・ポイントやらせりゃいい。そして次の選挙で逆バネを利かせる。そこに前回惜しくも敗れた高市早苗が出てくりゃバンザーイ!ジャンジャンッ!
明日はどうなる!
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去っていく夏
2025 SEP 2 0:00:07 am by 西 牟呂雄
総勢80人の大バーベキューが始まるぞ!
肉もモヤシもナスもトウモロコシもタマネギもキャベツも焼きそばも並べろ!
木炭を敷いてバーナーで炙れ
テーブルを並べて日除けのテントだ 椅子も並べろ 80人が海から上がる
野菜を切るぞ ビールを冷やすぞ 木炭が赤くなるぞ
イヤになるほどの日差し 手もかざせないくらいの火力 流れる汗 焼ける肌
そーら、セーリングから帰ってきた 子供も大人もオッサンもおねーちゃんも みんな
どんどん入港してきて桟橋が埋まる 真っ黒な顔がライフ・ジャケットを脱ぎ捨てる
初めは網に 肉も野菜も載せまくれ ひっくりかえせ 焼きまくれ
熱い風に負けるな 夏を食い尽くせ 飲み尽くせ
山のような肉が見る見る消化されていく
そろそろ網を鉄板に代えて キャベツを刻んで放り込め 焼きそば玉をかき回せ
ウスターソースを雨のようにかけろ 青海苔をぶちまけろ
最後の一缶のビールを飲みほした
ヨシッ 焼酎をロックでやる その前に水をかぶろう どうせ汗まみれだ
アレっ、誰もいない どうしてだ 水をかぶったとたん 歓声が聞こえなくなったが
みんなどこ行ったんだよ 80人もの大所帯が消えちゃった
おーい 僕はここにいるよー
あぁッ!最後の船が湾を出ていく 全艇夕日に向かって出港してしまった
熱い風にセールをいっぱいにはらませて
夏を追いかけて行ってしまった
そうか、僕はここで来年まで待つことになったのか
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あの負けは何だったのか 日本ハムファイターズ
2025 AUG 24 17:17:41 pm by 西 牟呂雄
8月21日まで25勝8敗。なんの数字か、オールスター後の我がファイターズとパ・リーグ4球団の対戦成績である。立派なもんで、首位にいてもおかしくない勝率だ。ところが首位に3.5ゲームも差をつけられて2位に留まっている、なぜか。
そう、宿敵ホークスに対しては1勝8敗とコテンパンにやられ、アッという間に追い越された。誰が投げてもいくら打っても勝てないとはどうしたことか。去年までだったら完全に頭にきて監督交代を叫んでいただろう。
だが、冷静な今年は怒らない。
去年までは順位ははるかに下でも不思議とホークスとはいい勝負をしていた。その頃に僕が秘策として提唱していたのは「どうせいい勝負をしてもクタクタになって他球団に連敗していてはC・Sには進めない。ホークス戦は捨ててかかれ」だったのだ。
そうか、1年たってやっと新庄監督は僕の作戦を咀嚼したのだ。
ホークス戦でリハビリし、手の内を隠し、他チームに勝ちを拾っている。監督やるじゃないか。
C・Sはモイネロをやり過ごして伊藤・山崎に負けない男の達で3勝し、ん?まだ8月が終わってないのに手の内をさらしてどうする。
すると今月最期の3連戦の初戦は北山が早々と2発喰らってやっぱりね、という展開だった。両チーム点を取り合って中盤に継投に入り、監督力の勝負となる。ありゃ、万波が一発放り込んでリードした。
9回柳川がマウンドに上がると一球ごとに大歓声、日本シリーズか?二人歩かせて周東三振。勝っちゃった。だが、ここで喜んじゃいけない、作戦が・・・。
2戦目。なにこれ。有原を打ち崩してレイエスも2発と大当たり。福島なんてオレですら良く知らないピッチャーに勝ちがついてしまった。それに柴田獅子(レオ)って新人は凄い名前だけど、ヒーロー・インタビューするほどのピッチャーかね。結局あの負け続けは作戦でも何でもないただの負けだったのか、感心したオレがバカだったのか。
本日はモイネロVS伊藤。伊藤は気迫溢れる力投で、ランナーは出すが要所を三振で締める。モイネロも相変わらずナイス・ピッチング。見る方としてはキツい試合で、こういうゲームは守備のミスかピッチャーの変え時を間違えた方が負け、或いは出合い頭の一発で勝つ。
すると8回、伊藤が102球投げた後、胸のあたりを押さえて一旦ベンチに下がった。なんだ。なんだ?続投して近藤を申告敬遠した後の山川との対決が凄かったが、フル・カウントから不敵に笑って仕留めた。ふー。
今度はモイネロが四球を出すと清宮はバントを空振りして盗塁がアウト。あれはサイン見落としなのか清宮の下手なのか全く意味が分からない。結局清宮も四球なのだが、あとが続かなかった。
9回は今宮が送りバントを成功させるが伊藤は投げ切った。その裏ホークスはモイネロから松本(裕)にスイッチしたが攻めきれない。
10回裏、松本から杉山に代えると何と満塁になる。奈良間が打った。サヨナラだ、ものスゲー試合。
3連勝でホークスと0.5ゲーム差である。まぁ喜ばしいのだが、歪められた僕の心境は複雑だ。あの負け続けを作戦と読み間違えたアホさ加減に腹が立つから、ヒーロー・インタビューを聞く気になれなかった。
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喜寿庵歳時記 アシナガバチ戦記
2025 AUG 22 20:20:30 pm by 西 牟呂雄
新盆という習慣は母親が亡くなった時にも経験しているが、オヤジの相続をしてからは初めて。盆提灯を飾りお供え物を準備していると後から後から人が来た。菩提寺のお坊様、聞いたこともない遠縁、滅多に合わない知人、親しく付き合った方、それぞれ個人の思いを偲んでいた。僕が死んでもこうはならないだろうと思えば感慨深いものがあった。
個人を偲ぶのはお勤めだと喜寿庵で過ごしたが、庭木の剪定、個人の私物の廃棄、漏れていた水道の修理、粗大ごみ搬出、少しも休日感のない盛夏だった。ちなみに浄土真宗は迎え火送り火は正式にはやらないが、勢いで火は焚いた。
芝生を刈って一息ついて窓を見やると、これは何だ。アシナガバチが窓に群がっていた。営巣しようと集まったのではないか。
以前このあたりに巣を作ってしまい、アース・ジェットで駆除しようとして刺されたことがあったっけ。そして怪虫ケムラーが大発生したときの戦いの記憶が蘇ってきた。
ケムラーはノソノソしているがハチは飛ぶ。昼間は活動的だが日が落ちると鈍ると聞いたので日没を待って戦闘準備に入った。今回は米軍放出ヘルメットの上から蚊避けネットを被り作業ツナギの襟元をキチッと塞いで雨合羽を着るという重装備で挑む。この格好で外の照明を落としてコソコソと物陰から営巣点を狙うのはまるで泥棒に見えただろうが(誰も見ていないが)本人は正規軍のつもりである。
ところが照明を落としているので良く見えない。仕方なく危険を承知で室内の電気を付けてウッスラ見えたところを狙った(向こうからも見えた事だろう)。
両手で二丁拳銃のように構えたアース・ジェットの集中攻撃を掛けた。すると薄明りに向かっての放射なので火炎放射器のように朦々と立ち込めて様子がわからなくなった。が、ここで一休みというわけにはいかない。敵はどこから来るか分からないから油断すると危ない。約3分、結構長い。見えないのだがパラパラとハチの落ちる音がした(気がする)。
翌日、戦場を見て回ると多少のハチが落ちていて、驚くべき事にまだ生きてもがいているのもいたので成仏させてやった。落ちているのは数匹で大半は夜陰に紛れて逃げたらしい。これはまた来るな。
と見上げると、軒下に去年のものなのか一昨年なのか二つも巣が残っていた。
いくら暑くても太陽は低くなり夏は過ぎ行く。庭に目をやると、猛暑の間中鳴き疲れたであろうアブラゼミが死んで落ちている。次の世代はまた何年も土の中だな。
ん?セミの死骸が動く?まだ死んでないのかと驚いたが、すぐそばに青く光るものがチョロチョロしていた。よく見るとトカゲではないか。緑と青の美しい光沢がしばらくジッとした後、チョンチョンとセミの死骸を突っついていた。トカゲは肉食だったのか。しかしあの大きさを食べるのは大変だろうに。
光った!今度は何だ、ノソノソと動く。
これは・・・、玉虫ではないか。
ずいぶん鈍い動きなので捕まえた。法隆寺の玉虫厨子はこの虫の光る羽で装飾されていたというくらいだから(見たことはないが)縁起のいい虫なのだろう。
あれ、トカゲはもうどこかに行ってしまった。撮れなかった。
渓谷のせせらぎ、ミンミンゼミの鳴き、あまりの暑さによる野菜の不作、生い茂る雑草、ワァっ!夕立だ。
この猛暑もいずれ終わりまた一つ年をとる。
夕立が止むと濃い川霧があがった。
玉虫は今僕の事務机の上で標本になっている。
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昭和天皇の孤独
2025 AUG 15 0:00:18 am by 西 牟呂雄
戦後の混乱期、昭和天皇は退位すべきか深く悩まれた。東京裁判はこれから始まる。朝野に退位論が蔓延した。無論、責任論は分かっている。相談する適当な相手も周りにはいない。そもそも側近の侍従たちはそれなりの意見は持っていたのだろうが、明確に奏上する権限もない。
深く悩んだ挙句、捨て身でマッカーザーに面会したことはよく知られている。この間、陛下が誰かと相談した形跡は一切ない。御前会議の決断からどれ程の孤独であったか想像もつかないのである。
マッカーサーは天皇陛下の訪問にはいささかビビり、配下の二個師団に武装させて会談に臨んだ。だが、内容に心底驚き、瞬時に尊敬の念を抱いたことは様々に考証されている通りであろう。
その懊悩の時に、ごく私的に面談したと思われる民間人がいたことに気が付いた。
一人は田中清玄。戦前の武装共産党の指導者であり、戦後は紆余曲折を経て右翼の黒幕となった怪物である。
逮捕され小菅から仮出獄した後に、盲目の高僧山本玄峰の元で禅の修行をする。この玄峰の元には多くの人士が参禅していた関係で人脈が広がった。終戦の10月、ツテを通じて週刊朝日に国体護持の一文を乗せると、これを読んだ宮内庁が侍従次長の木下道雄を通じて賜謁を申し出て(おそらく非公式のため)生物学御研究所接見室にて拝謁が実現した。このことは後に活字になったため広く知られた。
田中は陛下に退位を思い止まるよう言上し、更に皇室財産で国民を救うことを訴え、復興に励ますようにと懇願した。ただ、陛下の方からの記録は無いためどの程度正確かはよくわからない。
しかしマッカーサーとの面談の3か月ほど後なので、すでに陛下の御意思は伝わった後であり、この時点で大御心を占めていたのは退位問題と考えてよい。心強いアドバイスだったことと思料できる。
田中の思想遍歴は複雑で、右翼の巨魁とされながらも児玉一派とは対立し、銃撃されるといった事件に巻き込まれている。更に反代々木ということで全学連の闘士にも資金提供することもあり、本稿で語り切れるものではない。
その後、ローマ教皇からキリスト教への改宗を勧められる書簡が届き、これについても大いに悩まれたらしい。そこに現れたのは謎に包まれた人物、三上照夫だった。臨済宗妙光寺の今津洪嶽老師の元で修業した二十歳の若者だった。天皇とは20歳以上年下で、どういう経緯かわからないのだが、戦後率先して皇籍離脱をした元陸軍中将賀陽宮恒憲王のお導きで昭和天皇と面談する。これもお忍びのため、場所は御殿場で静養中の秩父宮別邸と推定される。
その際、三上はただ「冬枯れの さびしき庭の松一木 色かへぬこそ かがみとせむ」とだけ朗々と謡い後にしたとされる。これはこの年の歌会始の陛下自身の御製だった。筆者が思うに、これで我に返った陛下はキリスト教への改宗はせず、伝統に返る御意思を固められたのではないだろうか。
マッカーサーもキリスト教の普及を勧めたがったフシがあったので、危ないところだったのかもしれない。筆者の子供の頃、それなりのホテルに泊まるとよく新約聖書がしつらえてあったが、あれはGHQの指導の名残だった。
ところでこの三上という人物は極めて興味深い経歴だ。昭和3年に生まれて同志社中学に進学。ご承知の通り同志社の建学の精神はプロテスタントのカルバン派でありキリスト教に触れている。ところが開戦すると3年修了時に陸軍に志願、通信から航空に進んで凄いことになった。
幹部候補生として台湾移動中の輸送船が魚雷攻撃で撃沈され、漂流するも奇跡的に救助された。されたはいいが今度は特攻隊員となり天号作戦に参加。敵艦体当たり寸前に機銃攻撃で片翼が吹っ飛ばされ瀕死の重傷を負ってしまう。台湾の小島に流れ着いて九死に一生を得た。
敗戦後、復学して同志社中学を卒業するが、上記妙光寺での修業はこの時期である。その後同志社外事専門学校にてヘブライ語でキリスト教神学の勉学にのめり込むのだが、そのかたわら辻説法で「大東亜戦争は日本が仕掛けた戦争に非ず」と説いた。そして昭和天皇との面談となる。
皇室との接点はここで一旦途切れるのだが、三上は益々求道者となり、比叡山に上って百日断食行にチャレンジしたり武道の修行に精を出す。この百日断食行は有名な千日回峰行ではなく、天台関連で検索しても出てこない。おそらく九十日間阿弥陀仏の周りを南無阿弥陀仏と称えながら歩き続ける「常行三昧」の行のことではないだろうか。
そして説法を慕ってきた弟子たちとともに日本松栢学会を立ち上げ指導に当たった。
すると、ただ一度の面談から27年も経った昭和51年、再びお召しがあり拝謁する。察するに昭和天皇の心の琴線に触れること大であり、以後10年にわたり月に一度程度の割合で参内し続けた。
前述の田中と違い、表の活動をほとんどしなかったので目立たなかったのが都合がよかったのだろう。試しに検索しても本人の写真と確実にわかるものはない。著作の「第三の文化の時代へ」あるいは宮崎貞行の評伝「天皇の国師」の一部に面談の断片があるのみである。
二度目の拝謁では太平記の「正成一人 いまだ生きて有りと 聞こしめされ候はば」を、翌月の三度目では「うみゆかば」を熱唱した。以下、ホントかよ、という下り。
「自分の耳には、ときどき天上から妙なる音楽が聴こえてくることがあるのだが、これは幻覚なのだろうか、あるいは病気なのだろうか」
「それでこそ天皇陛下なのです。古来、優れた天皇は、陛下のように天と交信し、天の声を聴く力をお持ちだったのです」(『天皇の国師』)
「私が死んだらどうなるのだろう」
「陛下、われわれが行くところとは違うでしょうが、間違いなく地獄です。陛下は先の戦争で戦死した300万人の因縁を受けなくてはなりません」
「そうか」(『第三の文化の時代へ』)
他愛もないと言えば他愛もない、アブナイと言えばややアブナい会話である。
しかし、あのような英明な陛下が単なるオカルトおやじを近づけるはずもなく、三上自身は論理のしっかりした者であったから、このような会話が害になることもない。
むしろ、退位に揺れた時期に石渡荘太郎宮内大臣、大金益次郎次官、入江相政侍従といった面々の必死の思いが伝わってくる。
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おぼろげに見えてきたシン・大東亜共栄圏
2025 AUG 7 19:19:32 pm by 西 牟呂雄
トランプのゴリ押しに何とかスリ寄った交渉は賛否両論あるだろう。選挙結果についても色々と責任問題を問う議論が喧しい。だが僕には見えてきたモノがある。大げさに言ってしまえば『日本の行く末』の指針が。
どうもトランプ大統領にやっていることは、本人の強烈な個性と相まって一見ムチャ振りと極端な思い付きに見えるが、アメリカが昔からやっていることを振り返ると腑に落ちなくもない。繊維交渉・鉄鋼輸出問題・半導体交渉と日本にイチャモンを言い続けてきていて、鉄鋼・半導体は仕事の上でも散々困らされた案件である。
コロナ禍が過ぎてパラダイム・シフトが起きるかと身構えたが、戦争が長引き中東がメチャクチャになっただけ。日本の総理は菅・岸田の後石破総理となって自民党は選挙に大負けした。菅・岸田政権の政策の何が悪かったのか今はっきり提示できる人はいるだろうか。キッシー息子の宴会の写真はマズかったが、成果は出ていたではないか。裏金ねえ、ミミッチイ。
そしてトランプ大統領登場。
あの関税交渉はある意味アメリカがモノ作りで負けた結果なのだ、日本にもだがこの場合顕著なのは世界の工場にまで台頭した中国に、だ。逆に言えばアメリカが苦しんでいる証左である。あの世界一のGDPやGAFAMの収益には目を見張るものの、GAFAMは雇用には全く貢献しない。異常に高額な訴訟金額や医療費はゆがみを助長している。
貿易収支が赤字なのは当たり前で、自分でモノは作らないで高額の消費をしていれば当然の結果。それでゴリゴリくるなら逆手に取れ。調子に乗せた中国がデカい面をするのが気に入らないので高額関税を掛ける、プーチンにも凄んでイランにはバンカー・バスターを使った。
ともあれ日本は合意にこぎつけた。あれで正解だと解釈するのに補助線を引いてみる。あれはハル・ノートだと考えれば分かりやすい。最後通牒だと逆上して真珠湾をやってはいけない。丸呑みしたふりでのらりくらりやるに限る、文書もなければ期限もはっきりしないのだから。途中で気が付いてトランプが逆上したら次の手だ。こんなのはどうか。
トランプ『何にも投資してないじゃないか。関税を25%にする』
石破『えっ、そうでしたか。申し訳ない。ですが大統領、最近中国がスリ寄ってきて困ってるんですよ。ご存じでしょう。そこで我が国はGDPの5%まで防衛費を増やします。中古の中距離ミサイルの在庫が無くなるまで買いましょう。センカクに配備してもいい。そうすると沖縄の米軍を減らすことができて100億ドルは浮きますよ(根拠のない数字)ウィンウィンじゃないですか』
トランプ『オォ!そうか。それはいいな』
石破『任せてください。あなたは神に選ばれた大統領なんです』
真面目そうな顔でネチネチ食い下がる石破芸にピッタリではないか。自民党は負けたが(そもそもあの負けだってフキサイのドタバタとツルホのバカ失言のせいにしてしまえば逃げ切れる)〇政党やら保〇党のような素人を、或いは維新や国民を抱き込めば何とかなる。石破総理でいけないことはないのだ。
こうして何でも中国のせいにしていつの間にか高度防衛国家に化けてしまう。2~3年もすればアメリカだって苦しくなって言うことは変わる。
その間、アメリカが入っていないTPPに英国を引きずり込んでこちらは関税なしの経済ブロックを強化し、台湾・インドに秋波を送る。それで我が国は益々ガラパゴス化を進め、米中対立の狭間をノラリクラリとサバイヴする。これだ!
アンチ・グローバリストを自称し、非新自由主義者である右派の筆者がこういうと、一見矛盾するように見えるがこれこそシン・大東亜共栄圏なのである。これをいきなり高市早苗にやらせたら、意図がバレバレでアメリカも中国も警戒するだろう。だからそれまで石破総理ガンバレ。
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