Sonar Members Club No.36

Since July 2013

真夏のネイチャー・ファーム

2020 AUG 23 0:00:08 am by 西牟呂 憲

   炎天下 汗したたるや 色野菜

 暑い!熱波が押し寄せたネイチャー・ファームのかわいい野菜達も青息吐息。
 不思議なことにナスは去年ほど出来が良くなく、長梅雨の影響かとも思われたが、ピーマンの方は豊作で取れ過ぎるくらいたわわに成っている。
 昼間に水をやってもすぐ乾いて熱を奪ってしまうので朝やるわけだが、これが結構な重労働で作業着がグッショリになってしまうほど汗をかく。まさに汗と涙の果実である。

新種か?

 今年のチャレンジはこれだ。見たこともない新種の野菜に思った方、違います。
 実はこれキュウリ。過去何回も失敗したキュウリが収穫できた。
 今まではネットを張るのが面倒だったのでそのまま地面に這わせていたが、年に1本2本の収穫でダメになっていた。
 それで今年は脇に生えてきた竹を切って葉を落としたものを立ててみたところ、御覧のような一見ハイブリッド・キュウリが育った。遠くから見ると奇怪な植物が人の背丈よりも高く伸びているように見える。ただ、このキュウリ、あんまりおいしくはない。
 そろそろ秋蒔きダイコンでも始めるかな。
 しかし梅雨が空けてしまうとこのエリア、今度は夕立も降らなくなった。

 それにしても熱波といっていい暑さだ。ここではこの時期になれば夜は涼しいはずが、風のない日は眠れないくらい暑い。
 そうは言ってもお盆が過ぎたのは日の傾きでわかる。コロナも収まらないおかげで夏は台無しになり船の航海も中止になった(ここにいる分にはコロナは関係ないが)。これで一つ年を重ねるとは前期高齢者となった身にはもったいないとさえ思う。
 桂川のせせらぎは涼しげだが、音だけ涼しげでもこの暑さは堪える。
 誰も訪ねてこない。
「やぁやぁ」
 ワッ、ヒョッコリ先生だあ!
「また変なことやってるね」
「(何かイチャモン言うつもりだな)いやあ、どうですたまには冷たいモノでも出しますよ」
「おっ、いいね」
 引っ掛かってくれた。待てよ、話が長いと困るな。

この項

ヒョッコリ先生 戦争を語る

に続く

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(追記 収穫されたオバケ・キュウリ)

矢も楯もたまらず

2020 AUG 16 8:08:51 am by 西牟呂 憲

 矢で攻めても盾で防いでも勢いを止めることができない、それでどうにもならない気分を表題のようにあらわすのだが、まさにそれだ。梅雨は明けた。いい感じの南風(はえのかぜ)。 
 いつもであれば伊豆の島か保田・伊東、あるいは熱海・下田の花火大会を見にナイト・セーリングで行く所をこのコロナのおかげで花火大会は中止、島からは露骨に『来るな』のお達しが出ている。島は確かにクラスターでも発生したら大変だし、花火もねぇ。
 クルージングは三密でもなんでもないが、問題は着いてからガブ飲みして雑魚寝になるとさすがにヤバい。
 それでも夏になったら海は見たいし風も浴びたい。油壺から相模湾に出た時の伊豆大島や富士山が見たい、ましてあの長い梅雨が明けたんだから尚のこと。
 で、たまらなくなって一人車を飛ばした。
 但し、今回はクルージングには参加しない旨を連絡していた。毎日400人も感染者が発表されている東京からの参加は、メンバーが怯えるかもしれないと配慮したからだ。問題は泥酔した僕が大声で歌ったり踊ったりする可能性が排除できない。おまけに他のメンバーは神奈川だ。やっぱりハーバーの桟橋にまで行くのは遠慮するか。
 と思っていたら高速を降りて半島に向かう一本道は渋滞しているではないか。近場ならいいかと一斉に繰り出したのか、このあたりは帰省でもGo Toでもなかろうに(夏休み期間ではあるが)。見れば品川・多摩・埼玉のナンバーがウジャウジャ。仕方がない、半島の先の島にでも渡ってみるかとノロノロ進む。やっと大橋を越えるころには午後の日が傾きかけた頃だった。ところでこの大橋は以前は通行料を取っていたが今年の4月から元が取れてタダになった。
 遊覧船発着所で車を降りたらもうクラーッとするほどの熱さ。そして強い風が吹いていたが、体温のような風で全くさわやかさがない。ほうほうの体で車に飛び乗り鄙びたビーチに行ってみた。

人のいない浜辺

 なんだこれは。
 「コロナ対策のため市内全域で海水浴場は閉鎖します」
 こんなところは三密にもならないが・・・。
 色んなことを考えた。
 この熱さでは甲板に寝転がることもできない、車だからビーチでビールも飲めない(そもそも売っていない)、沖には強風による白波が立っている、見渡してもヨットは全然出ていない、船に触るぐらいはしたいなぁ、そういえばこの前のバーベキューのお金払ってなかった、コロナの奴め早く消えて亡くなれ、オレは1人でこんなところで何やってんだ、せめて反対側の湾の入口まで行こうか、相変わらず車は多いから帰りも渋滞だな・・・・。
 矢も楯もたまらなくなって車を回した。
 夕日スポットで相模湾を眺める。相変わらずヨットは一艘も見当たらない。夕焼けには早いが沈み始めた光に向かって思わずつぶやく。
「おーい、僕はここだよ」

 この日、淋しくはないが孤独だった。
 案の定渋滞にはまって3時間もかかって帰ったが、この車列は皆僕と同じで海を見るだけに来たのだろうか。

ヒグチのリスト

2020 AUG 9 10:10:48 am by 西牟呂 憲

先の大戦末期、ヨーロッパでの戦闘を終えたソ連軍は満洲・北方領土を侵すべく虎視眈々と南下しようと兵力を集中させた。満州における守備は関東軍であるが、戦力をかなり本土・南方に割かれており、尚且つ不思議なことに危機的状況にも係らず関東軍は楽観論が主流でソ連の対日参戦後は一たまりもない。しかも8月15日のポツダム宣言受領の前後はドンパチの真っ最中で即時停戦とはならなかった。
 戦車部隊の侵攻に対し、関東軍航空隊には敵戦車に対して特攻をかけて対抗。国境線の第107師団は山岳地帯でのゲリラ戦で29日まで戦い続けた。
 一方、アリューシャン列島では米軍と対峙したもののアッツ玉砕・キスカ撤退の後に対ソ防衛戦の備えとして南樺太の守備も兼ねた大本営直属の第5方面軍が編成された。
 8月18日、千島列島最北の占守島にソ連軍が上陸する。それに対し方面軍樋口季一郎中将は、有名な「断乎反撃に転じ、ソ連軍を撃滅すべし」との命令を出し、旺盛な砲撃と第11戦車隊の猛烈な突撃で食い止めた。浅田次郎の『終わらざる夏』に詳しい。この樋口中将の果敢な決断なかりせば北海道がロシア領にされたかもしれなかったのだ。
 樺太においても15日以降もソ連の侵攻は止まず、16日には新たな部隊が上陸し出し歩兵第25連隊は23日まで交戦した。
 その間、電話交換女子達が集団自決、停戦協定後の白旗が掲げられた赤十字テントへの空爆、引揚げ船への潜水艦に攻撃といった火事場泥棒的なソ連軍の振る舞いは、現在ロシア人と親しく付き合い好感を持っている私ですら不快感を感じる。
 それもこれもヤルタ会談でソ連の参戦をそそのかし領土の取引まで勝手にしたルーズベルトが悪いのだが。そして調子に乗って北海道の半分をよこせ、とまでほざいたスターリンの野望を打ち砕いた樋口中将の迅速・果敢な決断に敬意を表する。

 話は変わるが、多くのユダヤ人を救った『シンドラーのリスト』が映画によって人々の記憶に残り、『東洋のシンドラー』日本人外交官杉原千畝のリトアニアでのビザ発給が人口に膾炙する。かの樋口中将もユダヤ人から厚く尊敬されていることは御存知だろうか。
 話は大戦前に遡る。直接の引き金はヒトラーのユダヤ人迫害なのだが、ヨーロッパ全域及びソ連でもひどい目に合ったユダヤ人の一部はシベリア鉄道で遠く満州のハルピンにまで大勢きていた。これは計画倒れとなった満州国へのユダヤ人入植計画(通商フグ計画)による影響もあったためである。 
 計画そのものは頓挫し、紆余曲折があったものの昭和12年に第1回極東ユダヤ人大会が開かれるに至った。その際「ユダヤ人追放の前に、彼らに土地を与えよ」と祝辞をのべたハルピン特務機関長こそ樋口少将なのである。日独防共協定を締結した同盟国に対する激しい非難にユダヤ人達は喝采し、中には泣きだす人もいたという。
 その後もドイツからのユダヤ難民が満州を経由して米国上海租界に亡命する入国・移動の手配に尽力し、数百人のユダヤ人が難を逃れた。ユダヤ・ネットワークでは「ヒグチ・ルート」と呼ばれたらしい。
 この件はドイツのリッベントロップ外相から抗議文書が届くなど外交問題となったが、かの東条英機が理解を示し「当然なる人道上の配慮によって行ったものだ」と問題にならなかった。
 尚、樋口少将がハルピン特務機関への移動となった直接の原因は、ロシア語に堪能だったこともさることながら歩兵第41連隊長時代の部下だった相沢中佐が軍務局長永田鉄山少将を惨殺した相沢事件を起こしたため進退伺いを出したからと言われている。

 ユダヤは記憶する。あの旧約聖書を今に伝え信仰を絶やさない民である。
 1970年頃、異端の人智学者である高橋巌はスイスでヘブライ大學名誉教授のゲルショム・ショーレルから「樋口季一郎という人がいることで日本人を尊敬している」と言われた。
 2018年時点でも、樋口の孫である隆一氏がイスラエルを初訪問した際に「ヒグチ・ルート」で難を逃れたカール・フリードマン氏の息子さんから謝意を受けてもいる。 
 翻って日本人はユダヤ人を差別する感覚を持っていない。単に実利的な意味でなく、イスラエル・ユダヤとの関係を構築できれば世界史的な、安倍総理の言う地球儀を俯瞰した外交が展開できるのではないだろうか。

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贋作ジェットストリーム グラディス・ナイト編

2020 AUG 3 8:08:01 am by 西牟呂 憲

ーインストロメンタルのミスター。ロンリーが聞こえてくるー

 冬の日本を離れて暖かい東南アジアへ
 もっと寒い白夜の国へ
 どんな旅になることでしょう
 あるいは真夏の南米から
 オセアニアから
 旅はいかがでしたでしょうか
 旅先の思い出もさることながら
 母国の地を踏むことも楽しみかと

 夜間飛行のお相手はパーサーのジェット・ニシムロです
 本日はモータウン出身の女性ボーカル
 グラディス・ナイトの曲をお楽しみ下さい

 帰りたい
 帰りたいんだよ
 誰も待ってないけど
 帰りたいんだよ
 こんなになっちまって
 全てを失ったオレにも
 懐かしい場所だけは残ってる
 最期はあの街で死にたい
 こんなに年を取って
 追われ追われて流れても
 子供の頃を過ごした
 あの街を
 一目見てから 天国に行きたい
 先に死んだ ジョニーもサムも
 あの町にきっといる
 さあ 南に急ごう
 

 ディオンヌ・ワーウィックが、スティービー・ワンダー、エルトン・ジョンを誘い、最期にグラディスに声をかけて実現したスーパー・ユニットの大ヒット曲です。
 お終いは邦題「偽りのウェディング・ベル」です
 また空の旅でお目にかかれるのを
 お待ちしています

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勝負どころのこれから

2020 JUL 27 21:21:08 pm by 西牟呂 憲

 雑音を遠ざけてじっくり考える。浮かび上がってくる思いがやがて見えてくる。
 僕はポピュリストではないから世論を気にはしないし炎上するほどの読者もいないので、いくらでも暴論を書き連ねてもかまわない。この際ちょっと整理しておきたい。ただし右翼なのでリベラルの人は読まない方がいいですよ。
 安倍総理の果敢なところが発揮されたのは、予算を組み替えて『1人10万円支給』に舵を切ったところに凝縮される。その他、遅すぎる早すぎるとかまびすしいが『学校休止』『非常事態宣言』等打つべき手は的確だったと考えている。
 難を言えばあの新法の中身の薄さと評判の悪いマスクなんだが、パニックを起こしている国民にメッセージを送るつもりで滑った。マスクはたかだか数百億、一律10万円は12兆円だからマスクはやらなけりゃ良かったぐらいだ。
 手続きの問題はなしとしないが中小企業への繋ぎ融資も10兆円を越える枠であり、総理はまだまだ追加する気満々なのが頼もしい。
 締めて数十兆円は国債発行でまかない、その国債は全部日銀が購入する。流行のMMTによれば誰も困ることはない、人間の欲望には限りはないのだ。
 そこで改めて世界を見渡せば、先進国の中で最もダメージが少なかったのは日本だ。この際中国はあえて触れない。本当かどうか分からないことに加えて、今後まともに付き合う必要はないと思い至った。稼ぎたい人が覚悟を決めて稼ぎに行けば良い。そういう意味では韓国もそう。友好は目的ではなくて結果だ。先の結果はコメントなんかできない。
 EUの惨憺たる有様や、アメリカの凄まじい分断は日本にはない、あるけれど少なくとも移民問題からは解放されている。
 そこで少し前までのゾンビ国家からの脱却をひたすら志向すればいい。
 今回のテレワーク推奨で、取引先や同業者の動きを見ていて、いくつかのヒントがあった。
①『不要・不急の出張は止める』なにこれ。すると不要な出張を前提に仕事をしていたのか!
②『大人数の会議の中止』不思議不思議、見ていると何もすることがなくなる人がいた。こういう人は会議に出るだけなので、その人(シロウト)の理解のための資料が増える。ということはそのために負荷がかかる人が出てくる。
③『接待の自粛』自粛できる接待はしてもしなくても同じということが良く分かった。すると接待の(セットする)ために出社しているというオッサンがいる。
 要するに結構な給料を貰っていい気持ちになっているオヤジの大半が最もデジタル化によっていらない人達だったことが奇しくもコロナでバレたのだ。

 これから進むデジタル革命で上記の無駄がなくなる。それに加えて日本は何故か感染者数・死亡者数とも突出して少ない。自粛要請だけで済んだのは謎だろうが、この日本モデルを世界が見習おうとしてもできまい。なぜそうなのかはえらい学者センセイが分からないのだから僕にわかるはずがない。しかし中国のような監視社会でなくても充分に押さえられたことも事実だ。
 ぼんやりと思いついた仮説はこうだ。
 ベーシック・インカム或いはベーシック・アセット及びヘリ・マネは正しい。むしろ、放っておけば拡がる一方の格差解消の社会的コストは安くつくだろう。
 マスコミはそのうち書くだろう。財政規律の破戒だナンだ。要するにイチャモンの類なんだが、そういう話を載せれば溜飲が下がる人々は大勢いる。現在進行形の戦争の最中に有効な提言ならまだしも対案にもならない妄言を喜ぶのはいささかおかしいのではないかとさえ思う。
 リーマン・ショックの際に中国はなりふり構わず財政出動させ、立ちすくむ先進国にあっと言う間にキャッチアップした。勿論国内格差は拡がったが、そもそも自国民をいくら傷つけても押さえつけて構わない統制国家であり、それだけでは収まらずに他国への(自国内少数民族も)進行を隠そうともしないで切り抜けた。日本はどうか。
 政府がバブルを煽っているのだから足元の株価はご案内の通り。だがその恩恵に全くあずかれないゾーンがヘリ・マネによって救わればいいのではないか。
 その金で倹しく楽しみを味わいながらそこそこやってくれればハッピーなのだが、例えば全てパチンコでスッてしまうような輩は一定数いる。まさか上記中国のように統制はできまい。それでなくても既にAI・ロボットによってそのゾーンのできる仕事は恐ろしく手間のかかる生産性の低いものしか残っていないのだ。
 一見矛盾するが、煩雑で手間のかかる仕事をデジタル化するコストよりも人間にやらせたほうが安くつく、自動化されない。
 例えば凝った料理。材料の状況に合わせて仕上げるような仕事。或いは相手に合わせたサービス、即ち保育士、調停人、といった時間を掛けて双方が納得するまで丁寧に対応する仕事。そういう仕事の時間単価を上げる、または税率を極端に下げる、といった方策はとれないか。要するに職人を大事にする日本独特の文化にのっとればどうであろう。筆者としてはグローバル化ももうこの辺で先が見えた気がしている。
 すなわち、あんまりグローバル化が進むと国家を超えたある種の組織、例えばGAFAのようなオーガニゼーションが力を持ち過ぎて、それこそ陰謀論者が喜ぶような世界になってしまいそうな気がしている。
 余談であるが、ゼロ成長平和社会の一つの例として江戸期の都市における職人は大体月に十日も働かない。後は花見だ紅葉狩りだ夏祭りだ相撲だ正月だで遊んで暮らして無税だった(貧しかったが働きもしていない)。そういう巧の国になってもいいじゃないか。えっ、いやですか?もっと稼ぎたい?そうですか、すみません。

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PayPayドームの死闘 日本ハムファイターズ

2020 JUL 23 23:23:37 pm by 西牟呂 憲

 対ファイターズ戦で6連勝だったターミネーター千賀に杉浦で勝った。冗談みたいなバレンティンの一発だけに抑えて2-1。
 お次はこれまた5連敗中の和田(要するに去年はこの二人に潰されたのだ)に対しマルティネスで挑み、チャンスをしくじりながら2点を先制して和田を引きずり下ろした。ところがさすがにホークスはあの松田が逆転!これは明らかに栗山監督の継投ミスである。2・3塁になったところで宮西か公文だった。負けました。2-3。
 そして三戦目。実は首位VS最下位なのだがバーヘイゲンが試合を作ってキャッチャー宇佐見のHRで勝った。このキャッチャー宇佐見がキモなのだ。
 すでに述べたようにホークス戦は捨てる作戦を立てていた。去年も宿敵ホークスとは結構いい勝負をするのだが、そのたびにチームはガタガタになって次のクールでボロ負けするのがパターンだったからだ。
 今年は8月まで6連戦が続く。だから今週は有原・上沢で2つ勝てれば、程度で考えていた。そして2つ勝てたのだから良しなのだが連日の1点差ゲームは過度の飲酒を招く。胃にも肝臓にも悪いしストレスもハンパない。

 ところで、現在最下位とはいえ先週のロッテ戦から負・勝・負・勝・負・勝ときて今週は勝・負・勝となっている。すなわち楽天の4敗とオリックスの後半3連敗が今日の最下位を招いたわけだ。
 この持ち直しは別に中田がHRを量産したものではない。その謎はキャッチャーだと睨んでいる。
 ロッテ戦の頭で2度の送球ミスにより引っ込められた清水をベンチ入りさせなくなってからチームが勝ちだしたのだ。あの悪送球は本当にプロとも思えない下手さ加減でで当然すぎる2軍落ちだ。さすがに本人もしょんぼりしていた。
 キャッチャーはシーズン前からヤバかったが、ここは宇佐見にがんばってもらうしかない。鶴岡も39才になったし・・・。
 コラッ、清水!鎌ヶ谷で死ぬほど送球練習して戻って来い!

 それでホークス後半の3試合はどうなるんだ。有原頼んだぞ。そして上沢に勝ち星を付けろ(まだ未勝利)!
 って、あしたは東浜か・・・。

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ヒョッコリ先生が マルクスを語ったけど

2020 JUL 18 7:07:57 am by 西牟呂 憲

 半農半テレ・ワークの生活も軌道に乗ってきたのはいいが、夏の暑さは今年もハンパない。昼間はとてもじゃないが土はいじれたもんじゃない。といっても梅雨明けでジャガイモとダイコンは収穫してしまったのでさしてやることもない。
 夕方になって散歩に出ようと木戸を開けたらワッ、ヒョッコリ先生に会ってしまった。いつもと違って子供がつかうような小振りのリュックサックを背負っていた。桜の植樹をしたとき以来か。
「やあやあやあやあ、元気かい」
「(うるさいな、見りゃ分かるだろ)おかげさまで、ここにいればコロナにも罹りませんし」
「うん。ヒマそうじゃないか。まっ、こう景気が悪くちゃどうにもならないだろうね」
「(アンタに景気がわかるのかよ)まあ、テレ・ワークとかでボチボチですね」
「そう言ってサボってんだろ。わかるよ」
「(ギクッ)そんなことないですよ。先生こそあのインチキな仮想通貨はどうなりましたか。一年くらい前にやってたじゃないですか」

ヒョッコリ先生奇怪録


「ああ、スーパー・メタリック・コインのことか」
「(なにがメタリック・コインだ。紙にかいただけだったろう)そうそう、略してSMCと言ってましたね」
「悲しいかな失敗した」
「(当たり前だよ)それは残念でしたね」
「地域性にこだわりすぎてダメだった。広げなければビジネスとしては成り立たないマルチ商法的な運用をせざるを得なくなって断念したんだよ。但しその欠陥を克服する新しい理論にたどり着けたけどね」
「(また変なことを思いついたのか。懲りないジジイだ)ほう、それも仮想通貨なんですか」
「分かっとらんなキミは。小規模流通の実験ならまだしも仮想通貨は暗号技術がなければとても一般に使えるエビデンスがないだろう」
「(だから失敗したんだろう)はぁ、誰か使ったんですか、そのSMCシステム」
「大いに使ったんだよ。だがワシの方の理論武装が甘かったんだ。資本主義の本義である成長を見誤ったんだよ」
「(違うよ。理論なんか無かったくせに)それが今度は何が理論の柱なんですか」
「資本は増殖を続ける宿命にある。そこに競争という補助線を引く。即ちマルクスの言った”相対的余剰価値”の拡大競争のことだね。キミはこの前話していて分かったけど近代経済学とか計量経済学とか言ってもマルクスなんか勉強して無いだろう」
「(ギクッ、だけどそれがどうした)そういえば講座は取っていませんでしたね」
「嘘付け、キミの通った学校は2年の時に必修だったはずだ」
「(ナッ、なんでそんなこと知ってんだ)アッそうでした。でも用語を覚えるだけでいやになって放棄してました」
「じゃあ聞きなさい。資本は増殖し続け、相対的余剰価値を増やす競争は終わらない。これはマルクスが指摘し、最近ではピケティが改めて「r>g」と表現して格差拡大の豊富なデータを示した。ついでにそれを解消したのは戦争だったとも言っている。しかし一方で今後はAI・ロボットが発達してきて大多数の普通の人達は恐ろしく安い仕事に付かざるを得なくなる。つまり便利にはなるが忙しさからは解放されない社会が出現する。格差は凄まじくなる」
「(また訳の分からんことを言い出したぞ)そうなんですか」
「幸か不幸かコロナショックの瓢箪から駒で10万円のヘリ・マネを蒔いた。目下の所賛否両論だ。だがあと一年もするとその絶大な効果に気が付いて世界からも絶賛されるだろう。するとだな、マイナス金利政策は止められなくなってるしゼロ成長経済プラス・ベーシック・インカムも制度化されるだろう。そこだよ、ポイントは」
「(怖くなってきたな)どうなるんですか」
「労働およびサービスの商品化が意味を成さなくなる。非付加価値生活こそが究極の姿の脱商品文化、すなわち働かないで付加価値も求めない」
「(この人は全共闘世代より上なんだろうに何を今更ヒッピーみたいなことを)つかぬことを伺いますが先生は共産主義者とか社会主義者なんですか」
「全く違う。ただマルクスについては充分に研究した。マルクスの理論を実践するもっとも手っ取り早いのが革命なんだろうが、ワシは革命家ではない。ましてや一党独裁とか世襲なんかはマルクス主義でも何でもない」
「(やっぱりただのイカレ爺いなのか)それで日本はどういう社会になるんですか」
「だからね、新自由主義だのグローバリズムだので稼ぎ捲っている会社にいるスキルも無いようなヒラ社員。こういう人の給料が大したことないの知ってる?」
「そういう知り合いはあんまり・・・」
「そのあたりの人材がAI・ロボット化によって落ちてくることになる、中流でなくなる、こういう格差拡大主義の反対をワシが”脱商品文化”として理論化したわけだ」
「良く分からないんですけどそのナントカ文化は普段何してればいいんですか。なんか働かなくてもいい、と聞えるんですが」
「その通り。例えばキミのうちにはキミが見ていても価値が分からないものはあるだろう。キミがほったらかしていても何の意味もないが、ワシのような教養人には文化的な価値が充分にある。チョットみせてごらん」
「アッ、チョット待って」
 言う間もなくまるで自宅に入るみたいにズンズンと入り込んできた。参ったな。

鴎外・露伴

 そして書斎の本棚をみて素っ頓狂な声を上げた。
「これこれ、この埃を被っている森鴎外と幸田露伴。キミなんか読まないだろう。オォ、この手触り!昭和初期の出版だな」
「(だから何だ)それは僕の爺様あたりが買って眺めてた本ですね。一回くらいは読んだでしょうけど」
「キミィ。要するにキミにとってはこの本は何の付加価値もない非商品なわけだ。古本屋なんかも引き取ってはくれない、この保存状態ではね」
「(大きなお世話だよ)まあ・・そうです」
「よろしい。ワシからほとんど付加価値のない食料を供給するからその本と交換してくれ。食料ならキミがどんな私生活をしていようと必要なモノだろう」
「(そう来たか)その食料って何ですか」
「うん。まあジャガイモなんだがね」
「いや、ジャガイモは僕もやってますよ」
「違うんだよ、ワシのジャガイモは。キミは種芋を買ってきて自分で植えて水をやってつくったんだろう」
「(他にどうやって作ると言うのか)当然そうです」
「ワシは食べるだけ収穫すると後はほったらかしにして次の年に自然に発芽してくるのを待つ。するとひどく栄養のバランスが崩れて小さすぎたりひしゃげてしまったりで全く商品としての価値が無いものが育つ。間引きも芽かきもしないからな。ましてや肥料なんか絶対にやらん。すると、だ。絶対に商品にならんジャガイモが採れるんだ」
「(バカバカしい)そんなもん食べられるんですか」
「食べられるに決まってる。現にワシはそれを食べている。そのジャガイモと埃を被ってゴミにしかならない森鴎外・幸田露伴を交換する。これぞ非商品化循環経済の極地だ」
「(よーし、少し脅かしてやろう)それはマルクスの言う所のルンペン・プロレタリアートになるってことですか。僕には単に怠け者が落ちこぼれているだけに聞こえますが」
「間違っとる!これぞ低成長時代に即し、尚且つAI・ロボット時代に文化的に生きる、まさしくニュー・ノーマルである」
「(あーはいはい)そうかなー。ホームレスがそんなこと言ってましたよ。で、その先生のジャガイモってどこにあるんですか」
「それはここにある」

なんだこれ

 先生は背中のリュックをおろすと中を見せた。こっこれは・・・。
「ではこの本を代わりに貰っていくから。しかしどちらも商品ではないから商談成立とは言わんな。ワハハハハ」
 意味不明の笑い声を残して先生は帰っていった。
 僕はしばし呆然とし、その後無性に腹立たしくなった。だってこれ、ほとんど詐欺じゃないのか。先日初収穫としてマリリンちゃんが掘ってしまった出来損ないよりも遥かにデキの悪いクズ芋ではないか。あんまり頭に来たのでタバコの箱と大きさを比較したが、そりゃ商品どころじゃない。

 僕はこいつをどうしたら食べられるかを必死に考えた。
 早速試しに皮も剥かずに吹かしてみた。やはり食欲をそそらない。
 翌日それをフライパンでバター炒めでいい色にして食べた。おいしい!だが、確かに買ってきて食べる代物ではないだろうな。

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喜寿庵十石(じゅっせき)

2020 JUL 11 0:00:14 am by 西牟呂 憲

 結構な間、喜寿庵で過ごして滅多に出なかった街中を歩いた。するとやはりそれなりの歴史があるところなのが分かってきて面白い。実は博物館もあって増田誠という人の作品が常時展示されている。
 古いものがアチコチに散見されたので、以前アップした十景以外にも載せてみたいものが集った。『石』にこだわって十石(じゅっこく ではない)とした。

可愛らしい

 街中に用水路が通っているが、江戸初期の大名である秋元泰朝が開削した。
 僕の子供の頃にはそこから水を引いたり生活用水にしていた家があったが、その用水路のほとりで見つけた。ここは山麓地帯なのでその流れは速く大雨で増水すると危険であり、大雨の時には犠牲者が出ている。
 50年くらい前に、我がネイチャーファームのすぐ横に放水路を作って桂川に落とす工事が行われたことを覚えている。
 これはおそらく事故に遭った人を慰める為に寄進されたのではないか。
 その姿は多手であるので金剛夜叉明王(6本)か軍荼利明王(ぐんだりみょうおう、8本)のどちらかのはずだがよく見えない。
 普通はお地蔵様のところが、何かの謂れがあったものなのか。
 小さくてチョット見とてもかわいいのだ。

着衣のお地蔵さん

 こちらは桂川に降りて行く坂(富士見坂)の途中にあるお地蔵さん。
 子供の頃から在るのは知っていた。崖の中腹にいるのでチビだった時は随分高い所にいらっしゃるな、と見上げたものだった。
 そして、どなたが面倒を見るのかは知らないが、御覧のように赤い衣を身に付けていらっしゃる。
 実はこの直ぐ下に釣り橋があるのだが、伊勢湾台風の時に流されている。1959年だから僕の4歳半の時で、流されたのを祖母と見に行った。雨の降りしきる中だった。伊勢湾台風は9月26日とあるから、幼稚園はサボッて東京には帰らなかったのだろう。
 赤い着物を着せている所に何とも愛情が感じられるが、小さい子が犠牲になったのでなければいいが。

孔子様??

 一瞬トーテムポールかと思って前に廻ったら違った。
 頭に被っている物や両手で前に何かを持っているところ、いわゆる中国風の姿だが、これを見つけたのはさるお寺である。
 この街は人口密度の割りに不思議と神社仏閣が多く、一画に何軒も並んでいたりする。神社は山際のところで石段を上がって行くと鎮座しているのがこれまたたくさんあって、時期をずらしてしょっちゅうお祭りもある。
 そしてどれもこれも大した見栄えはしないが由緒だけは正しく、かなり古くから人々の営みがあった。
 何しろ縄文時代の遺跡が、それも発掘されていない環濠集落まで発見されている。
 お寺はオープン・スペースだから出入り自由なので忍び込んで撮った。

ボール・ストーン

 こちらは通いなれた菩提寺に置いてある石。
 大きな石の上に丸い石が乗っているのだが、ただ置いてあるだけでころころ転がる。
 丁度砲丸投げのタマみたいなサイズの、明らかに人工的に削られたものだ。
 実はこの奥にもう一つ同じようなしつらえがあって、そこにも同じサイズの球がある。
 行くたびに手にとって遊んでみるのだが、何の使い道もないから誰も持って行ったりはしない。
 何のために作られてここに置かれているのか、全く意味不明のタマ。

道祖神

 国道沿いに鎮座する注連縄をしている石。
 良く見ると、道祖神と彫ってあった。
 かつて富士講などが盛んだったころの浅間神社参拝の街道だった名残だろうか。
 或いは、この地が絹の集散地だったことから、江戸から明治前半に絹を求めてやってくる冒商人達の往来を見ていたかもしれない。
 実際に、ブランド名『甲斐絹(かいぎ)』は大変な人気商品で、戦前の三越の高級絹製品として良く売れた。
 この前、納戸の奥から祖母の嫁入り支度だったと思われる甲斐絹の布団が出て来た。困り果てて博物館の人に見てもらったところ、学芸員の人が指でこすって高級品だということがわかり、引き取ってもらえた。
 数度の区画整理・道路拡張にもめげずに健気にがんばっているようで微笑ましい。注連縄が多少不細工に見えるのは、この日風が強く飛んでしまったのを僕が掛け直したから。

 一方こちらは幹線道路でも何でもない八幡様に行く参道で朽ち果てている道祖神。
 災害に会ったのか、割れてしまったところを繋ぎ合わせたような跡があり、隣に観音様だか地蔵様が並んでいて、一番向こうには廿三夜(にじゅうさんや)と彫り込まれている。廿三夜は旧暦二十三日の月待ちの名残で、古くは念仏行事だった。月の出を迎えに行き拝んで帰る場所に二十三夜塔を建てたりした。
 この道は舗装もされていないすたれた道だが、かつては人通りもあった幹線道路だったに違いない。というのも喜寿庵からは桂川の対岸に当たるのだが、橋を渡って往来できるようになったのは昭和になってかららしいのだ(後述する)。
 ここから名月が見られたかどうかは不明だが、並んで立っているのも微笑ましい。

 ちょうどその道祖神のすぐ下流、がけ下にある巨石。河原にドーンと座っている。
 写真の腕が悪くてその巨大感が伝わらないのがもどかしいが、推定何十トンもありそうだ。
 子供の頃からこの石はどこから来たのか思いを巡らした。この崖の上から侵食されて落ちて来たのか、それとも上流の河口湖のあたりにあったのが何万年もかけてここまで転がって来たのか。まあ、この60年はこの位置にある。
 左上の方に小さな滝が見えるのがご愛敬。しかしながらこのアングルまで行くのは結構大変で、崖を降り岩を下り石伝いにせせらぎを越えなければならない。チョット楽しい。

 その桂川まで喜寿庵から下りていく坂の途中にある石柱。昔からあった。
 改めてよく見ると『富士見坂 昭和2年開削』と彫ってある。
 想像を逞しくすれば、昭和になるまでここには渓谷に降りて行く細い道があるだけで、その先には橋がなかったかもしれない。
 そうすると対岸には別の幹線道路(もちろん大したものではないにせよ)が川沿いにあったので、先ほどの八幡様のところに道祖神があったのも頷ける。
 この坂道が開削された前後に喜寿庵が今の姿になったのだから、ははぁ爺様の普請道楽がひどくなったのは昭和初期だとわかる。
 その爺様がこの坂を行き来したときにはどんな格好をしていたのか。満州で仕立てた支那服か、自慢の乗馬服か。

囲われている

 これは水路に沿ったところにあった『南無妙法蓮華経』と彫られた石と、小さな観音だかナントカ天の像。
 おそらく車が通るように道を整備した際に邪魔だったのだが、撤去するのにしのびなく、さりとて通行の妨げになるので、わざわざポールを立てて『ぶつけないでください』としたのだろう。
 そうした心遣いが嬉しい。
 初めのナントカ明王と同じく水難にあったおそらく子供さんの供養と思われる。

石橋

 
 最後は江戸時代初期につくられたストーン・ブリッジ。
 街中を流れる用水路は家中川と呼ばれている。何故か木製ではない石の橋が架けられていたそうで、その内の一つが某お寺に残されている。それは我が菩提寺ではない。
 そのお寺は当時の藩主秋元家や家老だった高山家のお墓があるが、その高山一族こそしばしば紹介している松尾芭蕉の俳句の弟子だった高山伝右衛門=俳号麋塒(びじ)の家なのだ。
 天和の大火で焼け出された芭蕉を招き、半年程ここに滞在した。
 全く関係ないが、壇ふみさんのご尊父である作家の壇一雄は明治45年にこの地で生まれたことはあまり知られていない。壇一雄の父君参郎が、ここにあった繊維工業試験場の嘱託をやっていたためだ。すると、その当時黒紋付の紋の染め抜きで羽振りの良かった僕の曽祖父にあたる逸と参郎氏は話ぐらいはしたかもしれない。曽祖父は独学で幾つもの特許を取った人だが相当の変わり者だったらしく(祖父はもっとひどいが)、普通の付き合いがあったかどうか。
 残念ながら物心もつかないうちに参朗氏は転勤してしまい、この地に壇一雄の痕跡はない。

 石にまつわる十景を選んだが、通りすがりの旅人がこれらを全て見つけるのは不可能と思える。旅人がこの全てを写メに撮って僕に送ってくれたら、スタンプ・ラリーのように賞金を出そうかな。仮想通貨ソナー・ダラーで100万!

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石原慎太郎の手記 

2020 JUL 4 2:02:32 am by 西牟呂 憲

 偶然発見された初期の膵臓癌から復帰した手記を文芸春秋に載せていて、かつて氏が軽い脳梗塞を起こして復帰したときの発言を思い出した。
「オレが死んだら日本退屈だぜ」
 この時は秘かに喝采をしたものだったので、それと同じような内容を期待した。
 癌であるという現実に対するまでの恐怖感・絶望感の描写、エッセイ集にしばしば書き連ねる行間から湧き上がって来るような死に立ち向かう、強がりにもにた筆致はさすがだ。衰えない作家としての筆使いに三嘆させられた。
 だが読後の私の率直な感想は『このテッペン野郎 せいぜい我儘に長生きしやがれ』というものである。氏は前段で癌発見についてこう書く。
「私にとっても予期せぬ出来事はまたしても私の人世を彩ってくれた」
 いかにも石原慎太郎節ではあるものの、手記そのものは決して孤独な勝者のそれではありはしない。
 幾つかの偶然という幸運に恵まれたと言うものの、氏は高名な元政治家でありかつベストセラー作家。加えてスーパースターの弟や日の当たる息子達。優れた名医との邂逅も日本にいくつもない施設への紹介というVIP待遇も氏の知名度と資産がなければ容易に受けられる治療ではあるまい。私自身昨年の秋に比較的早く発見された大腸癌の除去手術を受けている。いい気持ちはしなかったものの、返って淡々と施術を受け入れ、その勢いでふざけ散らしたブログを書き綴ってしまった。恐怖心というものが薄かったからだろうか。
 氏の手記は最後に医療体制に警鐘を慣らすところで終わっているのだが、私は逆に偶然の恩恵に浴することなく、また最高の治療を受けられずに亡くなった人々やご遺族が呼んだ際の無念さに思いを馳せ、不快感とは必ずしも言えないものの、共感は得られなかった。
 冒頭述べた感想は氏の変わらぬ筆遣いに対しは懐かしさにも似た感想を述べたもので、切り口に関していささか共感を持ち得なかったのである。こちらも年を重ねてスレてきたために、単純には読み込めなくなったのかも知れない。人生の残り時間の密度は氏の方が高いことを割り引いても、だ(もっともこちらも明日ひょんなことから一巻の終わりの可能性もあるのだが)。既に87才と自らの死に対する思いは当然私とも違うだろうが、私だって前期高齢者ではある。
 氏は一切の言い訳はしまい。むしろ氏の高らかな声が聞こえてくる。
「それならオレのものなんか読むな」
 弟の死に際しての美しい語り口とも違った本稿を読むにつれ、これ以後の氏の作品や対談は目を通さずにいることが(私にとって)賢明だろう。月刊誌に載せられる嘗ての盟友亀井静香との対談も最近は二番煎じの話が多い。総理大臣に対してしばしば君付けで語っているのもいかがなものか、ここは総理という呼称がふさわしいのではないのか。尊王の志はあまり感じられず、上皇陛下にたいしてもタメ口的進言さえある。
 氏は保守派・ナショナリストであるが、その姿勢はむしろ伝統墨守型ではなく革命家ふうなのだ。私は氏の発言に賛同すること甚だしいが、実現までのプロセスはじっくりとは練らずに衝動的であり、周りがついてこられない。しばしば反発を生む。そういう手法は若いときこそ際立つが今となっては同志の足を引っ張りかねない。前回の都知事戦において『厚化粧の大年増』発言が対立候補を大いに利したのが典型的な例だ。
 もはや氏に諫言する者もいまい、聞き入れる気は更にあるまい。
「それならオレのものなんか読むな」
 はい、分かりました。さようなら。

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あと一週間 どうすりゃいいのか都知事選

2020 JUN 28 8:08:51 am by 西牟呂 憲

 こんなに面白くない都知事選もないもんだ。最初から決まってるような話。SMCは政治談議は御法度なのだが、こうもどうしようもないともう誰でもどうでもいい、と叫びたくもなる。候補者同士の質の高いディベートなんぞ全く期待できない。
 都民のためになるのがいい都知事であっても、そこは勘弁してくれの一線があって、今回の候補者は全員それを越えている。だって・・・・。
 ポスターを見ながらつくづく嘆いた。

候補1 別にNHKから守ってもらわなくて構わない。いいとこ付きのガラクタ党員を集めて何ができる?ホリエモン新党からもう二人出ているが、本当に政党なのか。名前を売りたいだけがミエミエ過ぎて笑えない。

候補2 左派陣営の票をたのんでの立候補だろうが勝ち目無し。今更何度も出てきて迷惑なのが分からんのかね。もうお役御免と誰か教えてやれよ、左派のシーラカンス。枝〇や福〇が応援演説に来たら浮動票が減るよ。

候補3 消費税反対がどうして知事選の公約になるのか、国政マターだろう。突飛なパフォーマンスで売れたからって調子に乗るんじゃない。都知事って天皇陛下にも拝謁する機会が多いんだよ、タレントさん。

候補4 意外とマトモなんじゃないか、この人。大化けして大坂の知事と維新コンビって面白いかもしれない。大坂からの援軍が来るかどうか。ほーう、松下政経塾でしたか、じゃダメだ。

候補5 オリンピックもコロナもしゃぶりつくしてテレビに顔を出しまくって再選確実!あのですね、中国人とアラブ人は世界でもっとも賄賂が好きで、卒業証明書なんか金でどうにでもなることは有名です。某政党のぬらりひょん幹事長を手玉に取ったのは見事。よかったですね、何でも目立てて、このポピュリスト。

候補6 売名狙いの泡沫。前回出たら著作が売れたので二匹目を。いくらなんでも嫌韓・反中・反米だけで当選されてもね。そもそも右翼は政治家ではない、思想家であるべきだ。

候補7~ 元ブンヤ。〇〇実現党、まだあったの。知らない歌手。ドラマー。元自衛官。マック赤坂の後継者。スーパー・クレイジー君。大坂から来た電波系。動物愛護。自称小説家。元銀行員。 

 棄権はしたくないから再び言う。どうすりゃいいんだこのオレは!いっそ山荘に住民票を移そうか。

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