Sonar Members Club No.36

Since July 2013

春 飛び地にて

2025 MAY 3 8:08:27 am by 西 牟呂雄

 読者はご記憶か。

喜寿庵にて 田舎暮らしパラダイス

 で詳述した、おっちゃんとバトルを繰り広げている喜寿庵の飛び地を。そう、ここは恐竜クマイドンを発掘したと思ったらただの馬の骨だった、忌まわしい所でもある。
 こんなところにも等しく春は訪れ、はや雑草が元気に育ちつつあるわけだ。
 実はこの場所は農地だという事になっていて、そのため行政から適正に耕作されているかの調査を受ける。残念ながら10年連続『耕作不適地』とされていて、仕方なく草刈りに精を出す。だが、あまりに不毛な労働に耐えかねて、ついに今年は除草剤を撒いてみることにした。農地に除草剤とは悪いシャレだが致し方あるまい。ただし、樹木の傍には撒けないから、いずれにしても草刈りには来なければならない。
 となりの仲良しのオッチャンは年を越せたんだろうか、様子を伺うと人の気配はあるようだ。一人暮らしで『毎日おんなじもん食べてるだよ』と言っていたが、体は大丈夫だろうか。息子さんが東村山にいるが最近はすっかり見かけない。こっちのオッチャンは畑を耕すことは耕すのだが、作物は作らない。従って現金収入はないはずだが、勤め人だったこともあるようで、その年金で暮らしているのだろう。耳も遠いみたいだし、余計な詮索はしない方がよかろう。そういえば携帯は持っていたっけ。

 しかし除草剤を撒くといってもどれくらい効くものなのか見当もつかない。例によってデタラメにやっていたらどこにどの程度まき散らしたのか分からなくなってしばらく呆然とした。なにしろ千平米ある。面倒なので水溶液散布のタイプではなく、粒を蒔くタイプを2ボトル使っても1/3にもならず途方に暮れていると、例によってひと文句つけてくるマウント・ジジイが車で通りがかった。オレと目が合うとわざわざ車を停めてのお出ましだ。
『よう、オッチャン元気か』
『あの木、切ってくれないか』
『えっ、ああ、この前も言ったろ。文句言ってくるのがいたらオレんとこに寄こせって』
 初めからけんか腰で対応。こんなのに敬語なんかいらん。
『困るだよ』
『何で』
『雪が降ったら倒れて危ないズラ』
『前にも聞いたけどさあ、雪が降りそうになったら考える』
『頼んだよ』
 誰がやるか。するとオッチャンは僕が手に持っている除草剤のボトルをジロジロ見ている。なんかイチャモンを考えているな。
『そりゃ何だい』
『ん?除草剤だけど』
『そんなもん蒔いたら木が枯れちまうだよ』
『別に蒔く訳じゃない。だけど枯れたら切り易いんじゃねえの。さっき切れとか言ったじゃないか』(もう全部蒔いたけど)
『下の畑や田んぼも育たなくなる』(ウソつけ。こんなに雑草や笹は出るじゃねーか。第一目の前の畑は隣の仲良しのオッチャンのもので何にも作ってない。オメーに関係ないだろう)
 とその時、道路越しのさらに先の方の家庭菜園のような所からご夫婦と思われるジジイとバーサマが『車どけてくれよ』と怒鳴りながら歩いて来る。そういえば向こうの奥の方に軽トラがあるが、スペースは十分あるじゃないか。してみるとこいつらも文句ジジイなのか。
 まあいい。ちょうどオッチャンの相手をするのも嫌になって来たので『じゃあな』とほったらかしにして帰ることにした。車に乗る時に新たな文句ジジイに思いっきりガンをくれてやったのだが、見るからに意固地な面をしていた。バーサマの方はというとこれまた絵に書いたような因業ババアである。この辺りはこんな連中ばかりが住んでいるのか。
 待てよ、発想を逆転させるとオレがみんなに嫌われているのか?

ダイコン

 ネイチャー・ファームに戻って野菜たちに水を、飛び地の雑草どもに比べてこいつらは実にかわいい。
 だが、そうしているうちに不思議なことに飛び地とファームのあまりの扱いの違いが気になりだした。ファームは手が入り耕運機を入れ、野菜をかわいがり大事にされているのに比べ、飛び地の方はほったらかされた後にバリバリ刈られた挙句除草剤を蒔かれる。誰かに馬の死体まで埋められた。飛び地にしてみればたまったもんじゃない。

キュウリ

 一方で、ファームで作業していると、そこは線路沿いで富士山観光の外人乗客に『ハ~イ』などと声を掛けられて人気者なのに飛び地では嫌われ者。
 ハタと考え付いたのは、土地にまつわる『愛』の違いではないか。地縛霊というものがあるのならば地縛天使もいるのじゃないだろうか。
 この仮説を実証するためにどうしたら飛び地を愛することができるのか、考えた方法は以下の5つだ。

顔を出したジャガイモ

➀ 耕筰することは不可能だが、せめてスコップで穴を掘り要塞化する。
➁ テントで野営し、天体観測をするフリをしてUFOを呼ぶ。
➂ 鳥居を立てて近所の馬頭観音に対抗し、牛頭天王(ごずてんのう)を祭る。
➃ 埋められていたと思われる馬の骨(らしきもの)を展示して心霊スポットにする。
➄ 雑草対策に羊か山羊を飼う。

 アホらしくなった。

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海賊打線! 日本ハムファイターズ

2025 APR 29 23:23:27 pm by 西 牟呂雄

 知らなかったが、昨今のファイターズの怒涛の攻撃を『海賊打線』と言うのだとか。
 ん?確かに威勢のいいネーミングで、元気が出る。その勢いで風に乗って欲しいものである。
 だが、新庄監督の下で今のスマートなチーム・カラーが『海賊打線』と言うなら、かつて私が愛したファイターズの前身の東映フライヤーズなぞ海賊どころではなかったろうと思いを馳せる。
 あの、乱闘の強さとガラの悪さは海賊どころか完全に『ヤ〇ザ打線』だった。後楽園球場の(フランチャイズだった)ガラガラの外野で見た張本の守備なんかは手抜きというか何と言うか。今では『喝!』でまともなオヤジに見えなくもないが、当時レフトに立っていた時なぞ少しは走ったらどうなんだとさえ思ったものだった。休日のデー・ゲームだったことを覚えている。神田から都電で行ったなあ。

 それで海賊でも何でもいいのだが、ひと月戦って首位を争っているとはなかなかいいではないか。今年から監督と清宮の悪口を書くのは止めているので、特に言う事はないかと言うとそうでもない。清宮はサードのファインプレーもあるにはあるが、守備の基本的な判断ミスや悪送球をしてみせる。中継ぎの杉浦は代わりバナの初球を2度もホームランされる。しかも2度目はその次にも連続して放り込まれ好投先発伊藤の勝ち星を消し、試合をぶち壊した。しかし今年からはニッコリ笑って許す(杉浦だけは殺していい)。
 なぜかバントをほとんど使わない。チーム打率は2割そこそこだからゲッツーのリスクを考えればバントは有効だし、特に僕はスクイズが好きで、栗山監督はよく使った。ノーアウト満塁、ワン・アウト1・3塁から得点できず、の場面を何度も見せられているが、あんなもん練習すれば僕でもできるだろうに(できないが)。
 せっかくのスタートダッシュがミスだらけの試合で楽天・ロッテに連敗し、星は5分の振り出しに戻ってしまったところで月末の最終クールに運命の宿敵ホークス戦だ。
 温厚な中島(影の)オーナーが珍しくボヤくほどの不調で、目下最下位ではあるものの選手層は厚い。勝率5割の3位グル^プとの差はたったの2ゲーム。3タテを喰らったら順位は逆転する。ただし、ホークスはこれからG・Wスケジュールで9連戦なのだ。いくらホークスでもピッチャー・ローテーションは苦しいはず。
 初戦は予想通りモイネロ、我が軍は伊藤。この対決で前回は負けている。
 それがですねぇ、先ほどバントが少ないと言ったのだが2回、ワン・アウト1-2塁から名手松本剛が失敗する。こういうのをバカと言うのだが今年からは言わない(思っただけ)。案の定その裏に山川デブの一発を浴びてイヤな予感がした。
 そして5回はその松本がミスを取り返すヒットを打つと山縣にバントさせる。これがまたフライを上げて終ったかと思うと守備のマズさで成功した。私は密かに新庄監督のポリシーを疑ったものだ。
 同点に追いついた7回は走塁ミスがあったにも拘らず1点を取ったものの、伏見にスクイズさせて失敗する。何でできないんだ!練習してないのか実戦で使わないので錆び付いたのか!私の疑いのボルテージが上がる。頼むから去年のような悪口ブログを書かせないでくれ。
 ところが、延長10回の先頭打者水野が勝ち越しの一発を放つ。これは監督力なのか『勝ちに不思議の勝ちあり』なのか。私は野球に詳しくはないが、一層分からなくなった。
 明日はホークスの底力ともいうべき東浜が来る。

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『格下』考

2025 APR 20 21:21:45 pm by 西 牟呂雄

 赤澤大臣が会見で『格下も格下』と発言したことについて、野党だの政治評論家だのがガタガタ言っているが、一言でいって『ウルセー!』で片付く話。
 格下はその通りである。大統領は国家元首で、わが国であれば天皇陛下にあたる。交渉の席にヒョコヒョコ出てくる方がおかしいのであって、なんのはずみか同席してしまったのだ。そのこと自体がやや洗練されていない行為だが、そのことを批判する人はいまい。概ねドランプ流の振る舞いとして受け入れればよろしい。大統領はいささかオッチョコチョイでもある。
 そしてオーバル・オフィスの写真を見る限り、執務机に座る大統領に対峙する赤澤大臣の厳しい表情が見て取れる。ヘタはできない緊張感が伝わって来た。
 曰く、日本を代表して交渉するのに格下とは何だ、へつらっている、それじゃ何か、ゼレンスキーのようにつっぱってぶち壊しになったらどうなる。
 外交のプロトコールに照らし合わせれば、礼を尽くして言うべきことを伝える、これ海外で交渉する要諦なだ。僕の経験から言えば結構ツカミが効く。オベンチャラではないが、初めにうまいジョークを入れるのが一番良かったようだ。
 それはともかく、飛び入りで大統領になだれ込まれたのに対し、卑屈にもならずに対処した結果、大統領はご機嫌に。これは大成功ではないか。ホッとして帰国し、国内向けに『格下も格下』とリップ・サービスしたところ、あの反応。
 エラソーに論評した政治評論家はブンヤ上がりで、一人で海外要人と交渉した経験などないくせに怒ってみせたが、ブンヤらしい思い上がりも甚だしい。国士を気取ったつもりかどうか知らないが、国内ばかり見ている教条右翼じゃあるまいし、100年前なら戦争必至の交渉を何だと思っているのか。
 極めてバランスの良い政治家だと評価していた野田党首までがツベコベ抜かした。あなたの政党が政権を取っていた時に日米関係をメチャクチャにしたことをお忘れか。そういうあなた方は大陸には卑屈な態度でスリ寄って格下振りを満天下に晒したのは国辱ではなかったのか。野田党首も野党暮らしのせいで政権の足を引っ張ることしかできなくなってしまったのか、覚醒せよ。せっかくの少数与党なのだから、つまらんイチャモンに明け暮れてないで党内基盤の弱い総理を育てて行こうという気にならんのか。
 そもそもトランプ大統領の主敵はわが国ではない。あくまで中国なのだ。ここを読み誤ってジタバタするのが一番マズイことになぜ思いが至らない、
 外交は票にならないからプロの政治家が育ちにくいのは確かだ。椎名素夫という地味な政治家がいたが、この人なんかは実にプロとして知る人ぞ知る頼もしい人だったが、裏方に徹していた。直近では故安倍元総理だが、つくづく惜しい人材を失ったものだ。
 ドランプという異形の大統領によってゲームのルールが変わったのだ。いい悪いの次元ではない。いずれにせよ後3年は巧みに対応するしかあるまい。僕は思想信条から高市早苗氏を支持していたが、日米関係は平和の基軸であり続けるために、ここは石破総理に頑張っていただくのが最善の策と信じている。そして今から3年は英国を加えたTPPやクアッドで足慣らしをしていればいいのだ。

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私家版 交遊抄

2025 APR 15 22:22:07 pm by 西 牟呂雄

 そろそろ時効なのでバラしてもいいだろう。以前に日経新聞の交遊抄の欄に友人が僕をフルネームで書いた。
 そもそもその男Aは高校の同期なのだが、〇大名誉教授である。もう一人名誉教授Yというのもいて、ずいぶん前にその交遊抄でAのことを書いた。やたら褒めてあってしばらくAの事とは気が付かなかったと記憶する。実はAは翻訳業界では大物で、知り合いの作家も同じく書き2回目の登場となったところで、日経新聞から同欄の執筆依頼があったそうだ。半年以上前の話である。
 Aの性格は偏屈であり頑固でもある。著名人の知り合いも多い。例えば自身英語でも小説を書く村上春樹、その村上春樹よりも先にノーベル文学賞を取ったカズオ・イシグロ等々。日経の編集部もその辺を狙ったと思われるが、奴はこう言った。『それじゃ面白くないからオマエを書いていいか』
 高名な作家が面白くなくて僕だとなぜ面白いのかが理解できなかった。『お前の本が売れなくなったり、せっかくの業績がパァになるからヤメロ』と言っておいた。
 しばらく音沙汰がなく、やはり作家でも書くのか或いは僕を書いた時点でボツになったか、と安心していた。
 さる土曜日の朝、ライン・メールが騒がしい。当然二日酔いだから放置していたら、僕の記事が出ていた。
 今から半世紀前の高校生がバンドを組んだり授業をサボって雀荘に入り浸っていた話が書かれていた。まさかそこまで書くとは思わなかった、無論一言も褒めていない。困ったことにウソでもないのでクレームの付けようもない。
 僕に執筆依頼があれば一矢報いることができるのだが、あるはずもない。そこでこのブログにあることないこと書き散らして溜飲を下げてみようと考えた。

―交遊抄ー秘密結社『五人会』
 わが母校の同期で秘かに集まる『五人会』という秘密結社がある。 当時詩人を気取っていた私だけが後に堅気のサラリーマンとなった。    
 一人目は仮にA氏としておくが、実は翻訳家かつ〇大名誉教授である。A氏とはバンドを組んだりして遊んだ。平日の昼間、入り浸っていた雀荘で私から大三元を上がった強者だった。
 次はC氏。根っからの無頼派で、ロクに教室には来なかった。何とか卒業した後に行方を晦ましていたが、私が上海で仕事をした際に偶然世話になり、旧交を復活させた。何と広告代理店の社長に化けていて驚いた。その後、会社を売り払って目下の職業は自称『プー』だという。C氏はA氏と同様に卓を囲んだのだが、私が親の時に滅多に見られない『流し満貫』を成立させる勝負強さだった。
 お次は紅一点。その美貌により全学年の高嶺の華だった。研究者の道を歩むかと思われたが何故か主婦に納まり、受験指導に当たっている。普段はおとなしいのだが時にプッツンする癖があり、ある考査で全科目白紙の答案を出して教師を慌てさせた逸話の持ち主である。
 最後は図抜けた秀才だったY氏である。実はこの男も〇大名誉教授であり、その高潔な人格により推されて危うく〇大総長になりかけた。『お前が総長になるとオレ等にどんな旨味があるのか』と聞くと、しばらく考えてこう言い放ったので呆れた。『生協で安くモノが買えるかな』
 この結社の特殊性は、なぜこの集まりなのかを外からは絶対に理解不能なことにある。専門・趣味・嗜好・性格全てが一致しない。話題も全くまとまりがない。これも母校の自由と多様性を許容する伝統の結実だとすれば、教育の成果と言えなくもない。

 武士の情けで本稿では仮名であるが、万が一本当に執筆依頼があった時は実名をバラす所存である。 

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春 ネイチャー・ファームにて

2025 APR 6 20:20:48 pm by 西 牟呂雄

 僕は仕事をしているが、それは光の粒が通り過ぎていく先の、時間の密度の追求に過ぎないと思う。そもそも僕はコトに当たって最も心掛けるのは能率とスピードで、そこに哲学は無い物と考えていた。
 多少仕事のフィールドを開示すると、もうすっかり使わなくなった言葉だが、BRICsという言い方があった。で、そのうちCは初めから除く。次にRもこの度のドンパチで潰えた。地球の裏側やアフリカはチョット、ということでインドが残り、そこで合弁事業をオペレーションしている。ところがこれまた手強いマーケットで一筋縄ではいかない。収益だけを追求していてはとてもじゃないが事業としてサバイブなんかできない。そこで冒頭の心掛けとは別に大義名分が必要になって、かれこれ十年やってまぁ稼げるギリギリである。つまり先を見通せていなかった上に時間の密度は結果的に薄まったと言ってしまえばそれまで。
 インドは行けば行ったでそれなりに暮らせるのだが、季節感が全く無い。コロナ以後はZOOMやスカイプのやり取りで済ませると、モノ造りの現場感も失せ、金銭のやり取りも無味乾燥な感じ、要するに人間としての臨場感は減衰する。画面ばかり見て英語で話しかけていると、おかしくなってくるのがわかる。

墓前の梅

 するとだ、無性に能率の悪い役に立たないことをやりたくなるのである。例えば頼まれもしないのにセッセセッセと書いているブログがそうであり、疲れるだけのヨットの航海であり、役にも立たない山荘での野菜作りである。喜寿庵での農作業はおよそ歩留まりといい生産性といいコストから考えれば買った方が安い。だが、これをやっている限りは季節感は感じられる。暑い・寒い・涼しい・冷たい・熱い、といった感覚に晒され続ける、喜寿庵にはエアコンも無いのだから。そして1年中花が咲いている。

 ついこの前、梅の枝を切って墓前に活けてみたが、都会から遅れること二週間でやっと桜。ネイチャー・ファームにある自慢の枝垂れ””である。この花越しにファームを眺めるのは年に一度の至福の時である。それが満開になるころが亡き母の命日だ。
 耕運機でファームを起こし石灰を撒く。種芋を灰にまぶして1つづつ撒く、畝に等間隔で目印を空ける、ダイコンの種を5粒くらい、土を被せる、肥料散布、水やり。と、こう書くと流れるように作業が進むと思われるかも知れないが、実態は違う。あれが気になるからこれも持っていこう、あっナニを忘れた、おっとまだ早い、しまった買い忘れた、こんなところにも筍が、といった具合だ。おまけに自分では工夫してやっているつもりでもドジを踏んでは『オレってバカだな~』とあきれ返る。

カタクリの花

 更に、作業は単純だからやっているうちに金の心配・家族の問題・友達の様子・仕事の進捗・戦争の行方、といったありとあらゆる事が浮かんで来る。それはその時間を物凄く濃い密度で過ごしたことになりはしないか。結果は大したことではないにせよ(ジャガイモとダイコンを蒔いただけ)十分な季節感と爽快感は味わうことができる

 仕事でロシア人と付き合っていた時に教えてもらったのだが、『聖なる愚者』という概念があるのだそうだ。一見愚かな振る舞いに見える者は、無垢であるがゆえに預言者にして聖なる者と考え、自由に喋らせこれを愛し敬う、というものである。もちろんただのガイキチであればいいという話ではない。かのイワン雷帝が好んで話に耳を傾け、その葬儀には棺を担いだとされる実在の聖ワリシィが有名である。彼は普段はボロを纏って一心不乱に祈りながらモスクワを徘徊していたらしい。
 一昔前のヒッピーみたいなものだが、バカみたいに一心不乱に勤めるところとがミソである。禅の修行を思わせるような感じだろうか。そして熱心に座禅をしている人の話では、いざ座禅を組むと様々な思念がブゥワァーっと湧いてきて、その中で考案をするものなのだとか。
 してみると、僕の無駄極まりない農作業も黙々とやっていることは優れて修行ということになるか。
 ならないな。

菩提寺の枝垂れドーム

春霞 溶け入る富士の 
         白 淡し

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今年はどうか 日本ハム・ファイターズ

2025 APR 1 21:21:13 pm by 西 牟呂雄

 さて、長いシーズンが始まった。去年まで実に苦しい戦いを続けてきた我がファイターズよ。今年は大輪の華を咲かせてくれ。何しろ私はダルビッシュや大谷が活躍してからの俄かファンとは訳が違う。尾崎がいて土橋がいて張本・大下・大杉・山本がいて、乱闘やらせりゃ12球団最強だった東映フライヤーズの頃からの筋金入りなのである。
 去年までのブログでは新庄監督と清宮、更にキャッチャー清水と中継ぎ杉浦の悪口ばかり書いていたが、今年はもう悪口は書かないことにする。読み返すと実に的をえているのだが、今年は違う。もっと慈愛の視線で彼らを育ててやりたい。
 すると開幕3連戦で西武を3タテで下すとは恐れ入りました。清宮・レイエス・野村・万波が素晴らしい。打線は波があるだろうが、水谷や松本(剛)が支えられる。ピッチャーもそれなりの先発が揃い、田中(正義)斎藤がセーブ。なかなか見ごたえがあるではないか。
 パ・リーグの帝王たる常勝ホークス相手にどこまで食い下がれるかがカギだ。今年を占う意味で、宿敵を札幌に迎えてのゲームに並々ならぬ闘志で臨んだ。
 ホークス先発はキューバン・アサシンのモイネロ。上沢出さんかい!有原で来んかい!こっちは満を持してエース伊藤だ。ロッテに3タテを喰らった上に、突如近藤が抹消!手負いの鷹は何をするのか。
 おっと、伊藤いきなり周東に四球。ストレートはいいのに何だ。ありゃ、さっそく柳田にタイムリーで1点。スライダーはどうもふやけた感じで2回にも2点献上。5回には柳田・今宮に一発を浴びてぶち壊しだよ。97球も投げてこりゃダミだ。キャッチャーの伏見も低めのストレートだけ投げさせりゃいいものを、ったく。
 打線はモイネロにひねられて7回まで野村の一発のみで歯が立たなかった。よし、こうなったらピッチャーの変わり目だ。
 ところが松本に対して上川畑は初球を叩いてアウト。伏見はピッチャー・ゴロ。水野はレフト・フライ。なんとも淡白である。最後はメキシカン・オスナで万事休す。
 全くいいところなく、つまらない試合をした上にスタートでつまづいていた強いホークスを蘇らせてしまった。これでは今年も・・・、しょーだんじゃねえ!!

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いよいよいけない

2025 MAR 25 0:00:23 am by 西 牟呂雄

 20代で40日程入院を余儀なくさせられたのは急性膵炎だった。胃のあたりがものすごい激痛で水も喉を通らない。いつもの二日酔いだと思って土日を過ごし、翌週に出勤したところもうダメとなって会社の診療室で寝ていた。午前中全く使いものにならないどころか、嘔吐が止まらない。ただならぬ様子に担当の先生は点滴を打ってくれたがどうにもならず、そのまま病院送りになった。入院してもその日は病名はわからず、夜中苦しみ抜いた。
 翌日、急性膵炎の病名をもらうと、消化をしてはいけないらしく胃から十二指腸にモノが流れないように鼻から胃までチューヴを入れられ胃液を汲み上げ、24時間の点滴が始まった。慌てたオヤジが病院に来た。見た途端、あまりの情けない姿に『何やってんだ、ばか!』と怒り狂って帰って行った。
 当時まだ20代の半ば。普通は高齢のアル中がなる病気のようで、珍しい症例として大先生の回診が毎日あった。弟子のような軍団を引き連れて『この患者は云々』とやる。僕には『もう少し様子を見よう』しか言わない。本当に治るのか心配になった。
 排尿と胃液の汲み上げから一日の点滴をの量を引くと訳1リットルの水分が排出されていた。そしてその通りに1㎏づつ体重が減っていき177cmの身長で体重55kgまで落ちて止まった。体が小さくなったのが分かった。
 痛みが引いていくと少し元気が出る。そのころはまだ病棟に喫煙スペースがあり、早速一服が始まる。点滴をしたままガラガラと引きずって行くのだが、罪悪感何か全然ない。挙句の果てにまだ食事もできないのに『あのー、酒はいつごろから飲めますか』と聞いて担当の先生を激怒させた。ヒマだからウォークマンでブルー・ハーツや忌野清志郎をガンガン聞いていた。
 4週間目くらいに24時間の点滴がやっと取れて重湯・トマトジュースが喉を通るようになる。点滴は同じところに打っていると血管が硬くなるそうで、肘の内側を右・左と変えながらやっていた。そこもやりつくして手の甲になり、その後は足首に打つことになっていたらしい、助かった。手の甲の点滴と言うのは恐ろしく不自由なもので思いだしてもゾッとする。一度引き抜いてしまい看護師さんにメチャクチャ怒られた。
 三分粥・五分粥・七分粥と次第に慣らして行く。このころやっと院内のシャワーが浴びられた。食事指導の際に管理栄養士の先生から『君は人の一生分酒を飲んだんだからね』と念を押され今後の人生が真っ暗になった(結局半年で自主解禁したが)。それでも死なずに済んだな、と退院した。

 その後、入院騒ぎには至らず平和な人生を送っていたが、還暦を過ぎてイヤイヤ受けた身体検査で大腸癌が見つかった。これで死ぬのかと一瞬ビビッたものの、不思議なくらい淡々としていた。まだ2~3年は好きなことができる、と思ったのを覚えている。バイクの大事故や膵臓炎でも死ななかったし。
 さすがに麻酔が醒めると痛い。そこで秘かに持ち込んだ睡眠導入剤を飲んだところ翌日せん妄状態になり、精神科の医者が来た。しかも掃除の時にゴミ箱から睡眠導入剤を飲んだことがバレて『勝手に薬を飲むな!今度せん妄が出たら拘束するぞ』と怒られるハメになったのだった。だが、内視鏡の手術は昔のようにガバッと開腹するより体の負担は軽いようで、3日程で出された(放り出されたという説もある)。
 こちらの方は経過観察中で5年を経過して転移の心配はない、とのお墨付きを貰った。但し、それを告げた先生の顔には『これでまた癌になってもオレのせいじゃないからな』と書いてあったが。

 さて、癌も克服して不死身になったと調子に乗り、タバコも止めずに酒をガブ飲みして古希を迎えられたことはめでたかったのだが、地元の身体検査でつまづいた。
『血中インシュリンがね』
 地元の信頼しているお医者様の目が不気味に光った。まさか・・・。インシュリンは膵臓で作られる。
 後日、再び検査された。まず採血、それも試験管に2本も。すると何か甘い飲み物を一気飲みさせられた。その後30分ごとに採血、最期2時間後に採血。結局牛乳ビン1本分くらい血を抜かれたような気分になってフラフラした。
 一週間後、結果をみた先生は厳かに告げた。
『糖尿病ですな。治りませんから』
 ほかに言い方もあるだろうに・・・。それから言われたのは白内障になる・心筋梗塞になる・脳梗塞にもなる・酷くなれば足の切断・歯も抜ける・食事療法を受けろ・酒飲むな云々。僕は生きる気力を失いかけた。
 とは言え直ぐにも死ねないので、どうにかして今後も酒が飲めるようにセカンド・オピニオンを模索した。
 というのも、その地元のホーム・ドクターは陰険でなおかつ糖尿病が好きなようなのだ。ニコリともしないで喋る口調は冷たい響きを帯びており、細い目からは『オマエを糖尿病にしてやる』といった邪悪なビームが放たれていたからだ。
 事務所近くで主に悪玉コレステロールの薬を処方してくれるドクターは実に患者にやさしく、決して酒をやめろとは仰らない(飲めともいわないが)。検査結果を見てもらうことにした。そちらの先生にも以前から血液検査はしてもらっていたのだ(こっちは肝臓関係)。
 恐る恐る検査報告書を差し出し『あの~、あの~、過日糖尿病を宣告されまして・・・』と切り出した。
 先生は、冷静にデータに目を落として『ホゥッ』と言うと、カルテの以前の数値と見比べた。その間、先日に宣告された恐ろしい症例を言い立て、処方された薬を見せて少しでも先生の同情を仰ごうと訴えた。
『そうですね。糖尿病です。ですがそういった症状になるのはこのまま何の治療もしないでほったらかしておくと、あと10年経つとそうなる、という所見です』
 ナーンダ、大したことないのか。と露骨に嬉しそうな私の表情を見据えると、一息ついて
『その間、食事療法をしてお酒も控える前提です』
 と付け加えた。
 仕方なく、取り合えず酒を半分程度にして、食事も海藻だの野菜を多めにし、豆腐や納豆を中心にして次回検査を待った。
 一月後。再びがっぽり血を抜かれた後、今度は寝かされて首にクリームのようなものを塗られた。先生はモニターを僕の頭の方に持ってきて、手にはマッサージ機のようなものを持ち首筋に沿って当てた。どうも超音波テストをしているような振動が伝わり、たまに脈を計っているような音までした。
 その後の説明によると、頸動脈の血流を見たとのことで、画像にはスキャンしたような血管の断面が映されていた。右と左の頸動脈のようだが、左の方には不気味な突起が映っていた。
『この部分。これが糖尿病から来る云々』
 どう関係あるのかは分からないが、身体によくないらしいことは分かった。
 で、どうしろともこうしろとも謂わず、こう告げられた。
『では次回はナントカをスキャンしてみますから』
『えっ、先生今日はできないんですか』
『何もかも一遍にはできないんです。糖尿病は治りませんから治療は続きます』
 こう言って不気味に笑うのだった。

-コメント欄に続くー

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架空対談 トランプ VS プーチン極秘電話会談

2025 MAR 16 0:00:10 am by 西 牟呂雄

トランプ(以下ト)「オー、ウラジミール・ウラジミロビッチ!大変久しぶりだ。元気そうだな」
プーチン(以下プ)「ガスパージン・プレジデント。いやドナルド。直接会いたかったが」
ト『オレもだ。オレのいない間にえらいことになっていて参ったぜ』
プ「まあ聞けよ。バイデンがあれだけ煽ったところでヨーロッパの奴らが何もできんくせに調子に乗りやがったから頭に来たんだ。10年も前にオレは警告したぞ」
ト『よくわかる。それでも金がかかってしょうがないぞ。早く戦争やめろよ』
プ「オレだってやめたいよ。あのデブの小僧にまで借りをつくっちまった」
ト『あれ、金払ってるのか』
プ「そりゃそうさ。大した金ではないがな」
ト『あのデブもいいやつなんだがな』
プ『人柄は実に単純だ。だがな、周りにロクなのがいない。バカに囲まれて身動き取れないみたいだ』
ト『それにしてもゼレンスキーは無礼な奴だ。せっかく停戦のきっかけをつくってやったのに、あれよこせもっとくれ、と偉そうに』
プ『ヨーロッパの奴らは皆そうだ。自分ではなにもできないくせになあ』
ト『そうよ。NATOとか言っても我が国が手ほどきしなきゃなんの役にも立たない。アイツらが群れてツベコベ言う国際世論ってやつがオレは大嫌いだ。マクロンが核がどうこうとぬかしやがったなんざ、今更ふざけるな』
プ「同感だ。ナポレオンを忘れたのか、と一喝しておいたが。国の数がいくらあったところで人口を考えたらゴミだろ」
ト『まあいい。だがなあ、このままやり続けてももう得るものはないぞ』
プ『大丈夫さ。このままキエフまで進軍したらどうなっちまうんだ』
ト『ムチャ言うなよ。冷静になって考えるといささか無理があるぞ』
プ『ドナルドのガザ処理にも影響するか』
ト『あ~あ、こんな時シンゾーがいてくれたらなぁ』
プ『おっ、オレもそう思ってたところだ』
ト『シンゾーが、まぁ頭を冷やしてトーキョーでもう一度会ってみろよ、とでも言ってくれたらやり直せるんだが』
プ『そうだ。それだったらオレも行けるしな』
ト『おォ、そうだよ。こんな時にヨーロッパで会うわけにいかないからな』
プ『全く、あいつがいればなぁ・・・。ところで今のイシバどうよ』
ト『一言で言ってツマンネー奴だよ。冗談一つ返せない。マッまじめだから』
プ「あんなガマ蛙みたいな顔に、ハンサムだ、なんてお世辞にしてもキツいんじゃないか」
ト『何か言うかと思って期待したけれど滑った。アッいいこと考えた。日本を取り込むために領土的野心などない、と宣言してあのホッポーリョードとかいう島を返しちゃえよ。そうすればクリミアくらいで手を打てる環境になるじゃないか。キミの物だ』
プ「オイオイ、自分はグリーンランド寄越せ、とか言っててそりゃないだろう。あんな半島だけじゃ止められん」
ト『わははは、そうだった。オレって言ったことすぐ忘れちゃうんだよな』
プ「それはお前のいいところさ。だから俺たちまたこうして話せる。ところで追加の制裁とかやめろよ」
ト『そうもいかん。これはディールだからそっちこそ全部よこせなんて言うな』
プ「冗談だろ。ドネツクとかみんなよこせ」
ト『それじゃ停戦にならない。もっと援助してNATOにも入れちゃうが、いいのか』
プ「オレの面子はどうしてくれるんだ」
ト『そっちこそオレの貫禄をどうしてくれる』
プ「何だと!それじゃ世界の見てる前でオレと勝負するか。オレはジュードーとサンボで戦える」
ト『オレだってWWEのリングに上がってプロレスもやったぞ』
プ「上等だ。場所はどこにする」
ト『よし、トーキョーでどうだ。レフリーはシンゾーだ』
プ「バカ、もういないだろう」
ト『・・・そうか、だめか・・・』
プ「・・・あいつがいればなぁ」

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寒い日のドタバタ

2025 MAR 9 21:21:24 pm by 西 牟呂雄

 オレは今までを振り返って、たまには真剣に悩んだり心底困った事態にも遭遇してはいるが、そういう思いに関わらず全体を通して第三者の目から見れば、ドタバタ・アクション・コメディの主人公ではないかと思われても仕方がないことをやっているのではないか。
 熱心な読者(がいればの話だが)であれば過去のブログからその一端を知ることができるであろう。今を去ること数日前の、あの都心も積雪した日にも忌まわしい目に合ったのだ。
 オレは打ち合わせのために総武線の〇〇駅に降り立ち、先方の事務所に向った。3月というのに真冬の寒さ、こちらにも非のある案件の処理という憂鬱な話だった。堂々巡りの議論の末、かなり譲歩を強いられることになり気分は更に落ち込んだ。暗い気持ちで雪から小雨に変わった坂道をトボトボ下っているうちにハッとした、荷物を持っていない。そしてオレのたよりない記憶を辿ると、事務所を訪問する前から持っていなかった。中身はパソコンだ。いつまで持っていたのかを必死に考えて、電車の座った時の網棚だと確信した。またしてもやらかした訳だ。持ち歩くので、たいして重要なデータは残してはいないのの、公私にわたる今後の成り行きの煩雑さを想像して青ざめた。
 降りた駅の改札で、駅員さんに事のあらましをすがるように訴える。すると手慣れた様子で厳かにこういった。
『今は届けはまだないでしょうね。終点でも折り返し電車は遺失物の確認はやらないのですよ。どの電車か特定できますか』
 奇跡的に待ち合わせ時間を確認して降りた時が10時45分だったのを覚えていた。その時間にここを出た〇〇行だったと答えると駅員さんはしばらく何かを検索していて、慌てて教えてくれた。
『その電車は〇〇で折り返して、あと5分後にここを出る△△行きで戻ってきます。乗って調べた方が早いでしょう。それでなければ逸失届をここに連絡してください』
 何という巡り合わせか。お礼もそこそこに改札を通ると、SUIKAの残高が無くなったらしく通れない。焦りつつチャージしてホームに降り、どのへんで降りたかなと見当をつけていたら電車が滑り込んできた、飛び乗る。そして網棚を探しながら車両を移っているうちに更に驚くべき事実が判明した、逆方向の〇〇行ではないか。探す電車は折り返しだから△△行きで、その時乗るべき電車とすれ違った。何たることか、この慌て者め。
 次の駅で飛び降りて頭をフル回転させる。△△方面の次の電車は3分後である。それに乗って2駅進むと快速電車に乗り換えられる。日中は終点の△△駅でも折り返すはずだから快速電車で3分を縮めれば△△駅で捕まえられるのではないか。行くぞ。オレはトム・クルーズにでもなったつもりで、駅構内を走り車中で15分間ヤキモキし、△△駅では階段を駆け下りて登った。
 目指す電車は出発間際だったが、かろうじて間に合った。そしてまるで犯罪者を追うような目つきで物色していると、オレの遺失物は黄金の様な輝きを放って網棚にあった(実際は黒いリュック)。ひったくるように手に取った時、席に座っていたおっさんがまるでオレを置き引きの様な不振の目付きで見上げていた。
 オレは中身を確認しながら、あの状況で瞬時に冷静な行動ができたことに深く満足し、その優れた判断とスパイ大作戦並の素早いアクションに感動していた。が、冷静沈着な人間は網棚にモノなど忘れ降りたりはしないのではないか、との天の声が聞こえる。
 次に、そうは言っても忘れ物を乗せた電車が折り返してくるタイミングで打合せが終わったことは天佑神助ではないか、と自分のツキに酔い痴れた。が、運のいい人間は降りる前に忘れていることに何かのきっかけで気が付くのではないか、とまた天がささやく。気になってオレは今日の占いを検索すると、いくつかのコーナーではオレの✖✖座は、12星座中最下位、ツキはなかったのだ。
 そしてそれどころではない、苦難は続く。翌日にはさるモノを買い、支払いを済ませて電車に乗った途端にそのブツが消えた。一駅先から折り返し、前日のように必死の形相で店に向った。すると店の人は怪訝そうな顔でオレの差し出した領収書を一瞥し、奥に入るとブツが届いていたらしく持ってきた。顔には『このオッサン痴呆か?』と書いてあった。

 様々なマヌケな事態を収拾するために駆けずり回った大騒ぎを繰り返し、人生の何分の一(寒い日に限って言えば起きている時間の1/8にもなる)を無駄にしているのだ。このペースで行くといずれは人生が100%ムダになるのも時間の問題である。
 せめて酒でもやめなければ(ウソ)。
 ところで、親切にダイヤを確認して折り返しの電車を突き止めてくれた親切な駅員さんを後日訪ねてお礼を言おうとした。行くと窓口には別の駅員さんがいたが、丁寧にお礼を言ってその後のスリリングな展開を話すと『そんなことができたんですか。すごいですね。伝えておきます』と感心してくれた。ここでも顔には『バカじゃねえの』と書いてあったが。

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冬の名残り

2025 MAR 1 1:01:56 am by 西 牟呂雄

 
 2月の末、春はそこまで来ている時期に、芝生を焼きます。害虫を駆除し、雑草のタネを焼き、芝の発芽を促進するためです。
 この芝焼きというもの、うまい具合に一直線で炎が広がるものではありません。
 風向きやちょっとした凹凸で方向を変えるので、ご覧のような幾何学的な模様に。
 慎重に焼かないと傍らには福寿草がこんなに咲いています。
 
 地球は温暖化し、居場所の無くなりつつある冬。
 子供の頃は下町のドブでも氷が張ったものですが、今ではあまり見ません。
 この連休に寒波襲来。今季最強、十年に一度、豪雪。
 寒い曇天の日は確かに陰鬱な気分。
 ですが、四季のある日本では冬がなければ
 樹木の年輪も刻めないのです。

 春は植物が芽を吹き花を咲かせます。
 暖かくなり人々は浮かれます。
 去り行く冬はそれが気に入らない。
 みんなが来年までサムイ季節を思い出さないのが。
 すると翌日、焼いた芝生にうっすら雪が積もってビックリ。

 凍結防止で滴らせていた外の水道は凍ってつららになってしまいました。
 冬が去り際に少しばかりの雪を残した、また来年来るよ、と。
 そうそう、寒い冬に鍛えられなければ丈夫なにんにく、スーパー・ニンニ君もできませんね。

 健気にがんばっていました。
 これからは畑が凍りません。水と肥料をやります。
 収穫は5月の連休です。
 ですが今日もまだ寒い真冬の気温。
 冬もそんなに本気にならなくてももう2月末だよ。

 そう思いつつ、山から下ろうと門を出た時。
 傍らの梅の老木に目をやると、小さな花が。
 やはり冬は追い払われているな。
 タイトルの『冬の名残り』は多くの人が『春の訪れ』と言うでしょう。

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 と、ここまで書いて投稿しようとしたら、この暖かさはどうしたことか!老生はただとまどうばかりなのです。冬にまで置いていかれてしまったようでさびしい。
 それどころか、そろそろ耕運機を入れてジャガイモを撒かなければ。春が追いかけてきた。

(追伸)

 これは・・・。

 
 
 
 

 

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