インド 暴動の街へ (今月のテーマ インドの旅)
2016 OCT 3 21:21:41 pm by 西 牟呂雄
別にテロに会ったとかいう大変な話ではない。ただ、暴動である。
暴徒が車・バスに放火し、それに警官隊が発砲、2人が死亡した。オイオイオイ。
その理由が何かと言うとこれが水争いだ。
私が訪問したカタルナカ州と隣のタミルナドゥ州は何百年も前から水争いのあった所で、今回は水不足のタミルナドゥ州に向けカタルナカのダムの放水を最高裁が命令したことに対する反発が理由だ。
「水をよこせ」と言ってる方には、以前大雨に見舞われて都市機能が長期にわたり麻痺したチェンナイがあって、全く自然は恐ろしい。うまいこといかん。
それがですぞ、カタルナカの州都ベンガロールに降りたったら雨。どうやら雨期には入ったようだ。
街中は拍子抜けするぐらい普段どおり。もっともいつも突然のストライキとか訳の分からん祝日やらはしょっちゅうなのでこんなものか、ビビッて旅を延ばさなくて良かったのかどうか。
直近の情報でも州境でタイヤを燃やして1万人が騒いだと聞いていたので身構えた。SNSの呼びかけで千人程直ぐに集まり、それを見たヒマな野次馬が押し寄せ10倍に膨れ上がり暴動になる、と言う話だった。
話は変わるが、欧米ならいざ知らず東南アジア・中国・インドでは旅のスタートは身分不相応なレヴェルのホテルに泊まる。今回は特に暴動にでも巻き込まれたら大変だ、何があるか分からない。
ご覧の通り客はほとんどが外人ビジネスマンで、設備は一流だしサーヴィスも結構であった。
ところでインドのホテルのケーブル・テレビは600チャンネル位あって、半分は宗教番組、CNNもインド版で米大統領選挙も何もなくこれが圧倒的に例の水争いの話。その他は何故かパキスタンの悪口で、新聞もそう。新聞にはアメリカの大統領選挙の様子とショッピング・モールでの銃撃が載っていたが。
冷戦時代は米ーパキ VS 露ー印 の大まかな構図だったが、タリバンの跋扈とインドのアメリカ寄りによって大きく変わった。何やらロシア・パキスタンの軍事演習が行われた事で酷くエキサイトした印象だ。印ーパ両国の関係は日韓関係と同じくらい奥深い。
報道はそうなんだが滞在中ついに暴動の痕跡を見ることはなく、収束したようだ。帰る頃に分かったが、カタルナカ州政府が最高裁からの水の供給命令を無視することにしたから収まったという、そんなの有りかよ。
昔中国で工場を運営していた。上海から始まった『官製』反日暴動があった頃で、あちこちで日本車や日系企業が破壊されたことは御存知だろう。
我々も現地の様子が気になって毎日連絡をするのだが、返ってくる返事は「何の話ですか」というものばかり。工場のある場所でも1万人規模のデモがあった。心配する我々に「一日200件は起こる暴動にいちいち気にしていられませんよ」などという返事で拍子抜けしたものだった。このインドのローカル水争いも同じようなものか、と今更ながら人口超大国の鷹揚さにあきれた。
そしてやっぱりいるんですな、アホ共が。
食事をしてホテルに帰ってくるとエントランスではしゃいでいる若いんだかバカなのか分からない集団がいた。仮装なのか頭にバンダナのようなものを巻いている。
面白いのでスマホを向けたら喜んでしまって『お前も来い』と取り囲まれ写り込んでしまった。オーハズカシ、こっちは何者と思われたのだろう。
そして何故か彼らは集団でバスに乗り込んで帰って行く。何かのパーティーだったのかもしれない。恐らく中産階級以上のバカ息子かと推察するが、暴動もパキスタンも関係ない。
翌朝気が付いたが、滞在していたホテルの隣に一世を風靡した霊能者サイババが建てた病院があった。空中から灰を降らせたり(握った拳を振ってみせると灰が飛び散る映像をみたことがある)するという胡散臭さで、一時日本のテレビも盛んに放映していた。
この物凄い外観で治療費は一切タダという怪しさだ。どんな治療をするのだろう、本当に患者は良くなって出て来るのだろうか。
オォ、インドよ。
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Categories:インド
Tom Ichihara
10/4/2016 | Permalink
西室さま お疲れ様でした。
大昔、カルカッタ(今のコルカタ)へ行き、そのパワーには驚きでした。
善も悪も皆一緒くたの国ですね。
人口の多い国ほどエネルギーに満ちあふれているような感じです。
先日もインドの大学補習校の授業風景を見ましたが,狭い教室に60人くらい集まり、中には入りきれなくて窓にぶら下がりながらノートを取る生徒もいました。
途中雨が降っても濡れたノートを素手で拭きながら講義を受けていました。
何とか底辺から浮かび上がろうと,それには学問しかないのが現状なのでしょう。
閑話休題
インドで聞いたジョークにこんなのがありました。
昼の12時の汽車に乗るため急いでホテルのフロントへ行きました。
乗り遅れたら大変だとフロントマンに急がせると
「そんなに急がなくても必ず遅れるから」と、言われました。
部屋に戻ると12時近くなって汽車の音が聞こえるのびっくりし,フロントマンに「ほら、来たじゃないか」
「なーに、旦那あれは昨日の汽車ですよ」
西室 建
10/5/2016 | Permalink
善と悪どころか本音と嘘、格差、挙句の果てに宗教がゴッタ煮状態で行くたびに新しい発見があります。
時間の概念が消えてしまいそうでした。