Sonar Members Club No.36

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山崎豊子さんの取材力

2013 OCT 4 10:10:06 am by 西 牟呂雄

 訃報に接して哀悼の意を捧げます。報道にある通り、大変綿密な取材をこなされる方だったそうです。例えば「大地の子」。物語のサイド・ストーリーになっているのは某製鉄会社の中国国策製鉄への協力です。その某製鉄会社の登場人物はことごとくモデルがおり、当時現役だった人は大体誰の事か解ったと聞いたことがあります。もちろん主人公の陸一心は架空の人物です。又、「沈まぬ太陽」。主人公にはこれまたモデルがいて、アフリカの主、と言われていた実在の人物です。飛行機事故とは関係ありませんが、ハンティングのところは本物で、これまた私の知る人でありました。古いところでは『華麗なる一族』。これは一度倒産した某特殊鋼電炉が舞台になっていますが、鉄鋼関係者にはどの会社かまる解りでした。帝國製鉄なんてネーミングも露骨でしたな。関係ありませんが物語のクライマックスに高炉の事故が描かれています。テレビのロケは某社〇津製鉄所で撮影され、主演のキムタクが来たそうです。この人は大変真面目な人のようで、現場の雰囲気を実感したい、とお風呂(製鉄現場は上がりの時に汗を流す風呂が付いている)に入ってみたらしい。勿論タイミングをずらして一人ででしょうが。そのキムタク人気おかげか次の年の入社志望者が激増して人事があわてた、というオチがついています。本当かどうか知りませんが。

 ところで、現在週刊新潮に連載されている「約束の海」。本筋は特殊潜航艇で捕虜になった海軍士官とその息子の海上自衛官、という例によって重層な筋立てらしいですが、今週の連載をお読み下さい。潜水艦「くにしお」が遊漁船と事故を起こす場面が描かれています。これ、「なだしお」の事故がネタと思われます。

 拙文「東京湾横断航海」に当時事故後に囁かれた噂を書きました。全くその通り、側に寄ってきたヨットのことがそのまま載っているのです。私としては、やはり本当だったのか、と思うと同時に一体どこから取材したのか、舌を巻きました。当時は世論を考慮して、海上自衛隊はひたすら申し訳ない、の姿勢を続けていて、この話は全く報道されていなかったのです。ヨット乗りの噂話などどこにも記録はないはずですから、密かに海上幕僚あたりが文書にしていたのでしょうか。まさか事故に居合わせた当時者に取材できたのでしょうか。

 私としては嘘ばかり書いているわけではないことが証明されたわけですが、これは諸刃の刃かも知れません。もし、熱心な取材者が現れたら(しかしその場合は私が何かの事件をおこしたりしてヤバい)巷で私がしてしまった恥ずかしい、蛮行・泥酔・無知・奇行・幼稚・アホ・バカ・カス・ボケナス振りが人に知られる可能性がゼロでは無い、ということになります。これからは、地道に目立たずやっていきますので、どうか皆様そっとしておいて下さい。ひたすらお願い申上げます。

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Categories:ヨット

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