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リングネーム・中継の傑作

2014 MAY 30 21:21:41 pm by 西 牟呂雄

 僕は、ご存知の通り大のプロレス・ファンであるが、昔からある疑問を抱いている。昔のレスラーのネーミングはどうしてあんなにマヌケ感が漂うのだろう。ジャイアント馬場、アントニオ猪木、ストロング小林、グレート東郷、ジャンボ鶴田・・・・。そのもの、と言うのか捻りも何も無いではないか。特にひどいと思ったのは外人選手の日本で付けられたニック・ネーム。「人間発電所」ブルーノ・サンマルチノ、なんだかドテッとしているだけ。せめて英語にして「ヒューマン・パワー・プラント」の方がニューヨークの帝王にふさわしい。「千の顔を持つ仮面貴族」ミルマスカラス、実際は多くて3種類のマスクしか使ってない。「白覆面の魔王」ザ・デストロイヤー、マスクが白いだけ。「美獣」これはひどい、ハンサム・ハリー・レイスの直訳過ぎる。
 いいなーと思ったのは「褐色のアポロ、スーパー・フライ」ジミー・スヌーカ。フライって蝿のことなんだが、本人の実力も含めて申し分なかった。やっぱりこれくらいゴロがあってないと。
 
 しかし、時代と共にプロレスが洗練されてくると、これは、というネームが出てきた。感心したのは「邪道・外道」コンビ。現在は一緒にやらないが非道も入れてトリオ・ユニットでもあった。このネーミングの切れ味!昔全日本に極道コンビというのがいたが数段上である。又、ハゲかけた頭といい顔つきといい、バンダナの巻き方まで小憎らしくて合格。
  たまたま見た蛍光灯マッチの大日本プロレスに黒天使・沼澤邪鬼というレスラーが出ていたが、この名前にもマイッた。邪鬼ねぇ。
 大阪プロレスには、とても洗練されているとは言い難いがその名も「えべっさん」という覆面レスラーがいて、さぞ戦いにくいと思うマンガみたいなギミックの覆面を被っている。タンク・トップというよりランニング・シャツを着ているの・・。

 ダイナマイト・キッドもいいネーミングだと思う。この選手はたいへん切れ味のいいファイトを見せてくれて僕の好みだった。従兄弟のデビー・ボーイ・スミスと組んだブリティッシュ・ブルドックスはキッドのダイビング・ヘッドバットと怪力デビーのリフトの組み合わせが良く、どの試合も取りこぼしがなかった。特に初代タイガーマスクとの一連の抗争は目を見張るスピード感で、ルチャとも違う重量感に溢れていた。物凄い筋肉だったがドーピングしていたのだろう、廃人になった。
 余談であるが、タイガーマスクが初めて登場したときの試合をテレビで見ていたが、飛び後ろ回し蹴りを見た瞬間に佐山サトルが正体だと分かった。異種格闘技戦でムエ・タイの選手とやった彼のファイトを見ていたからだ。その後極真会の黒崎道場に行ったことも知っていた。この話は研究者の間では大きな論争になり、結果として僕の慧眼は高く評価されることになった。それはいいとして、試合後に中継のマイクを突きつけられて「あなたは日本人ですか?」と聞かれて「言えません。」と日本語で答えてしまったときは噴いたが。

 新日では古館一郎のプロレス中継が一世を風靡していて、思わず感心したのがアンドレ・ザ・ジャイアント。
「一人というには余りにも巨大だが、二人と言ってしまうと人口の辻褄が合わない!」
これは原稿を書いて言ったのだろうか。
 確かにTVは古館氏の中継で数字を取ったのだろうが、僕としては隣で必死について行きながらボソッと解説する山本小鉄の解説に味があったと思っている。例えばラッシャー木村について、
「木村選手は打たれ強い、蹴られ強い。だからあんなに打撃をしてもだめです。もっとワザでいかないとダメですね、ワザで。」
理論的にどうだか知らないが、何となく分かるではないか。
 解説については、日本テレビで長年解説をしていた東京スポーツの記者、山田隆さんが思い出深い。ミョーな解説が腑に落ちた。
「プロレス固有のジャンルであるタッグ・マッチは、1プラス1が単に2になるのではなく、3にも4にもなるところが面白いんです。」
みたいな事を言う。年末にやっていた「世界最強タッグ・リーグ戦」のたびに使ったフレーズだった。どうも聞いている限りでは個人的にはファンクスのファンで、特に兄貴のドリーが大好きだったようだ。
「ドリーは老獪ですねー。相手の技を一瞬にして切り替える。こういうことは普通の人にはできないですね。」
老獪ってまだ40代だろうそのころ。ついでに言えばドリーはグレート・テキサンと言われていて、僕はテキサス贔屓だからこれは合格のネーミング。弟のテキサス・ブロンコはイマイチかな。
 テキサスでも州都ダラスはフリッツ・フォン・エリックの地元で、この人の5人の息子も皆レスラー(長男は早世だから六人兄弟)。やっぱりアイアン・クローをやるのだ。しかし悲劇の一家と言われ病死・事故・自殺で次男しか残らなかった。ところがその次男の息子がまたプロレスラーで、日本にも来てノアに出ている。

 突然テキサスの話だが、仕事でよく行っていた。あそこは自分達が本物のアメリカンだと思い込んでいる人ばかりで、他所はアメリカという名前が付いている”モドキ”くらいの言い方をする(リアル・アメリカと自称)。綿花畑なんかになるような土地が無いせいか黒人は少なく、代わりにメキシコ系が多くて「テックス・メックス」と呼ばれている。野球はレンジャースでフット・ボールはカウボーイズ。共和党がメチャクチャ強い(ブッシュ一家)。あまり口を大きく開けないサザン・ナントカという方言で、ハウディーという挨拶も覚えている。反中央、反リベラルの気風に満ちていて、僕は何故かしばしば中央に逆らった鹿児島みたいな所だと理解した。
 商売相手だった奴は全米ブル・ライディングという牛に乗るロデオのような競技のチャンピォンで、カラテのブラック・ベルトだったが、僕に向かって「レッツ、ケイコ。」とか言って組手をやりたがって困った。男も女もデカくて、初めに行った頃は怖かった。

 また話がズレてアホブログになってしまった。

10.21横浜文化体育館

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