春夏秋冬不思議譚 (これはグローバルか)
2014 SEP 18 14:14:32 pm by 西 牟呂雄
今日(9月17日)ロシア人の知り合いとお昼を一緒に食べた。『ズドラーストヴィーチェ。』と右手を差し出すと、分厚い掌でガッチリ握手してくれる。食事はおいしく、話は弾んだ。何しろ彼は日本に20年以上住んでペラペラだからだ。東京における共通のロシア人の名前も出たが、最近の祖国のややもすると強権的な姿勢は好みではないらしく人間関係は複雑なようだった。これは嘗て(かなり昔)のアメリカ・チャイナ・ソサイエティでも国民党派と共産党派の間で対立が見られたし、戦後日本の半島出身者間で北と南の仲が悪かったとされるのと同じ構造だ。『空手バカ一代』のゴッド・ハンド大山倍達が南派の行動隊長だったのは有名。
EUと事を構えるとロシアは中国になびく、渡りに船とばかり中国は蜜月を演出する。だが、5年以上かかる大プロジェクトの金の算段を誰ができると言うのだろうか。片側で対立が深まると遠心力が働き反対側に求心力が生ずる、地政学のイロハである。何よりもウクライナ・ロシア・中国と国境が接しているのだから、今日の事態は色々な意味で緊張を呼ぶのは解るが。
どんなカリスマでも常に15~20%位の反対勢力というのが存在するのはある意味健全で、100%の支持などは余程の弾圧および操作が無ければ有り得ない。大国ロシアであるならば、色々な思惑あって然るべきだろう。
『ダスビダーニャ。』
と言って別れたのだが、僕は少し考え込んでしまった。大国であるが故に国家がどちらの方向を目指すのか、ベラルーシ・カザフスタンとは経済統合に進む動きがある。さてはEU型を目指すのか。
一方でスコットランドは独立の是非を投票で決める。こういうニュースは結果が出ないうちに論評してしまうのがミソだが、イングランドとの間に国境線を引いていいことは無いように思われる。半数近くが反対しても独立をするものだろうか。現に国境だらけのEUでいい思いをしているのはドイツだけ。
フランスの人口学者エマニュエル・トッドが警鐘を鳴らしているが、強引なブロック化は競争優位差が追いつかなくなり強弱がはっきりしてしまう。即ち格差が広がる。『近隣を食い尽くす。』という表現で分析していたが、僕はこの意見に賛成だ。300年ぶりに分離独立して、財政は成り立つか。
EU内部でもスペインのヤバい地方の独立運動等も激しくなると思われる。
クリミアも一応『投票』の結果だった。
それでもやはり『自主独立』の響きは抗し難いのだ(話が進まないので我が国についてはチョッと脇に置く)。
片やTPPは最早何が何でもやる方向に違いない。世界の文脈からすると少し危ない様にも見えるが(農業への影響・食料植民地化・地銀乗っ取られ等)民主党だろうが自民党だろうが、はたまた公明党だろうが賛成してしまうのはアメリカの圧力が相当なものとしたら、ちょっと穿ち過ぎか。
そんなことを思いながら吉祥寺の駅を降りて歩いていると、地元のおいしいカレー料理「ナマステ カトマンズ」の御主人が人を案内しようとして英語を喋っていた。この人は地元の名物男で僕も良く知っているネパール人だ。困っているようなので『ナマステー。どうしたの?』と声をかけると、傍らの東洋人が道に迷ったらしい。台湾人だと言う。
『ニィ・チュ・ナーリ?』
この「チュ(チィ)」はQとchの間のような発音で、蘇州や無錫で散々道に迷ったからこの発音には自信がある。彼は困り果てた顔で
『ウォ・チィ・〇〇〇・ツァー。』
何のことかさっぱり分からない。するとネットから打ち出した地図を出して
『ウォ・シャン・チィ(ここへ行く)。』
そこは『〇〇〇』というお茶屋さんだ。ツァ=茶のことだった。場所まではアヤフヤだったので番地を頼りに連れて行ってあげた。英語は喋れない。そして着いた〇〇〇は何と休みだった。これは仕方が無いので、彼も諦めて『シェイ・シェイ』と言い残してイケブクロ(らしい)に帰っていった。又来るのだろうか、今度は迷うなよ。
そういえば台湾は『独立』をあんまり表立って声高に言う環境に無い。
しかし僕は今日、三カ国語で挨拶をしたが、これはグローバルとは言わないな。
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Categories:春夏秋冬不思議譚
中島 龍之
9/22/2014 | Permalink
ロシア、ネパール、台湾とは幅広いですね。台湾の人も西室さんの親切で助かったことでしょう。