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虚数人間だった

2018 JAN 13 17:17:47 pm by 西 牟呂雄

 『ブログ・スペースを借りました』としてしばしば私のパスワードを破って勝手に書き込んでいる奴がいる。私はそいつを知っており多大な迷惑を蒙った。
 確かに奴にブログを書くことを勧め、アドレスとパスワードを教えた。
 ところが奴はこのSMCで私のスペースに私の悪口を投稿するもんだから、巷に私が非道な人間だという噂が立ってしまった。
 しかも内容は本当にバカなことで、SMCの品格保持のためにパスワードを変えた。
 すると何故か私のパスワードを解いてしまい、あることないこと書き散らしだしたのだ。事実は相当に捻じ曲げられ、奴の妄想が極限まで膨れ上がったとしか思えないことばかりである。恐ろしいことにアイツの頭の中の私が化け物のようにされていた。
 そこで私はその正体をある程度明らかにし、読者にどちらが本当のことをいっているか判断してもらおう。
 武士の情けで漢字表記はしないが本名『バラベ・ユヅル』という35歳の男だ。
 東京のそれなりの家庭で生まれ育った。しかし会ってすぐ分かったが、メチャクチャに甘やかされて育っている、これは間違いない。何しろ飽きっぽくて根性がまるでないのだ。
 どういう子供時代だったのか分からないが、なぜかそれなりの学校に行って卒業し就職もマトモにしている。どのようなサラリーマンだったかはお察しの通りだろう、10年程で辞めている。大して役には立たなかったはずだ。
 ただ、ここは原因と結果が分からないが、何らかの精神疾患をその時点では持っていたらしい。それ以前を知らないから何とも言えないが、出会った時は(去年の初め)無気力でだらしなく、ジーッと社会との融合を拒否しているように見えた。
 そのくせ妙に人懐こい顔をしていて、話せばフツーのこともちゃんと論評できる。
 ところが突然発作のように無反応になることがあり、本人は『猫になる』と表現した。
 別に親切心が湧いたわけでもなく、人助けをするつもりもなかったが、少なくとも害にはならないので番犬代わりに山荘に居候させてやったのだ。金もやっていない。

 半年ほど過ぎて私が顔を出すと嬉しそうな顔をする。何度かその発作の発症も目撃した。その頃、奴のいう『猫になる』発作の治療の一助にもとブログを勧めた。
 そして気が付いたのだが、ちょっとしたアドバイスや会話から刺激を受けると突然しなくてもいいことを一生懸命やるのだ。畑に水をやる、芝生を刈る、目土を入れる、落ち葉を掃く、ゴミを燃やす。まさに『心を込めて』という感じである。
 ところが、だ。セッセセッセとやると必ず悪い結果を呼ぶことが分かった。やればやるほど畑は荒れる、芝生はデコボコになり、灰を撒き散らす。
 そしてその後にドサッと発作をおこすようだ、バカみたい。
 あの症状は見た所、何かの思い出したくも無いような原体験が憑依するのではなかろうか。人にはそういうダーク・サイドが必ずあり、オトナはそれを何とかコントロールするものだ。オマケに人間の脳はそうならないようにブロックする機能も無くはない。
 だが奴はそういう回路を失ったのか初めからないのか、要するに虚数のような人間だと思われる。
 虚数 i は二乗するとマイナスになり現実には存在しない。視覚的にはガウス平面上で分かったような気がするが、あり得ない数字だ。ただ量子力学やプログラミングの際の計算理論には役立つ。 
 お分かりだろうか、虚数人間は”人間”としては存在する者だが、その行為や意識がまともな結果を生むことはない。それどころか情熱の発露はマイナスに効く。
 実際の生活能力はゼロに等しく、張り切るとマイナスの効果しかない虚数人間はどう扱えばいいのか。金銭欲は全くと言っていいほど無く、変質者でもない。

 しばらく付き合っているうちに効果的な接し方を発見した。簡単に言えば『イジメ』てやればいいらしい。多少チヤホヤしてあいつがその気になった時点で梯子を外す。奴は悲嘆に暮れる。元々がマイナスエネルギーを発散しかけた直後に上手くマイナスを掛けてやると行動が整数化する、可視化される。奴が心を煩ってボーッと幻想に囚われることはなくなる。
 この手は使える、っと閃いた。
 私は早速山荘の麓にある村役場に行き、顔見知りのオッサンに話を持ちかけた。
 ここに勤労意欲はそれなりにあるが就職の機会に恵まれない奴がいる。放っておくと何もしないが、使いようによっては人の嫌がる事でも何でも一生懸命やる。身元は私が保証するし住民票もウチの山荘に移す。登録ボランティアのようなことも考えられるが、とにかく引き籠り状態から助け出すのにある程度のインセンティヴを与えたいので最低の時給は考えてほしい。
 こう力説すると、過疎化に悩むオッサンもその気になってくれた。
 それじゃ会ってみるか、となって連れて行った。その時もスーツを貸してくれだのネクタイを締めると張り切り出したので「バーカ」と苛めて落ち込ませた。丁度いい具合に普通の人になって面接は一発クリアだった。
 それから人が集まりにくい休日に『道の駅』のトイレ掃除とか川原のゴミ拾いをやらされている。
 ところが困ったことにその休日に奴が狩り出される前には行ってやって、張り切り出しそうな奴を苛めなければならなくなってしまった。毎週である。そうでもしないと調子に乗ってやりすぎて仕事がメチャクチャになって奴が発作を起こす。
 無論ギャラは私が八割はピンハネするが、大した金額にはならない。そのために奴を苛めに毎週毎週山に行き虚数人間を更生させるのも、多少世の中の役に立つとは言え私にとって無駄と言えば無駄かもしれない。
 それどころか、このままやっていると組み合わせで複素数のようになって、奴と二人でいないとこっちが成り立たないとか。そもそも複素数の加減乗除は・・・・。

 ちょっと心配になってきた。
 
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