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失われた20年とは何だったのか (序説のオマケ)

2013 SEP 13 15:15:42 pm by 西 牟呂雄

 東 大兄のシリーズにて、この期間の証券三国志的な迫力あふれる記述がなされました。大いに知的好奇心が触発されたところです。多くの示唆がありました。

 まず、’97年分岐説。我々世代は40代前半で序説に書いた通り一向に減らない不良債権の影におびえつつもそれなりの勝負を掛けていた頃です(今手抜きをしているという意味ではありませんが)。当時は中堅ということで、実際のプレイヤーとしてもジタバタしつつ、同時に後進の育成にも当たっていた訳です。この頃確かにオヤッと思ったことが幾つか思い当たります。一言で言えば権威の喪失、とでも言うのでしょうか。従来型の『親方日の丸』的なものに、特に若い人達が全く魅力を感じなくなってきた実感がありました。当時の就職希望学生と話をしていて、学生などはどんなに勉強していても産業構造の実態について論破されるはずもなく、むしろツベコベ言うような輩に「ホウ、それで?」というスタイルで接していましたが、優秀そうな連中程「あんたらの言ってるとおりにゃならねーだろ。」といった寒々しい反応が返ってきたのがこの頃でした。官僚よりは外資、既存企業よりはベンチャーといった流れができて、それは今日に至っているようです。二つの流れが始まりました。

 2001年は9.11という、アメリカがひっくり返るおぞましいテロが起きています。私の同期同窓の金融マンが二人犠牲になりました。アメリカはビックリし、怯え、その後底力を奮い立たせます。余談ですがこの時に思い出したくもありませんが『中にはいい気味だと思う人もいるのでは』的なツウィートをした恐ろしく低レベルの社民党女議員がいました。ここまで低俗な発言を政治家たるものがうかつにも外に向けて発信するのか、と気が遠くなったものです。

 2003年から2007年は製造業は高レベルの稼働です。そしてこの間がほとんど小泉内閣でした。SMCは政治談義は御法度ですので、そちらはさておき経済面だけで言えば、そこそこの成果があったかに見えます。不良債権はこの間金融機関の国有化を経て縮小し、更に再編が進み何か改革が進んだ高揚感が無きにしもあらず。しかし、内閣総理大臣が陣頭指揮をしたとも思えません。密かに噂されていたのは、総理の経済オンチをいいことに竹中氏が丸投げされたと言い触らし、中身を木村剛氏にこれまたブン投げた、あれはいくら何でも、というものでしたが。そう言えば木村氏も日銀出身でした。その後振興銀行はあっさり失敗しています。

 さて次の東 大兄の指摘、経済のスケールの伸び縮みという観点のデフレ解釈。小泉内閣期を通じてジワジワと燻っていましたが、この時から『格差』という言い方が始まったのです。東理論でいくとスケールの伸びによるデフレ感は低所得者、年金生活者の方に相対的に重いことになります。全くその通りです。ですが、私はその前に感じた次世代への違和感が我が世代の逼塞感と共鳴し全体的に拡がり、もう少し違った上記二つの流れが顕在化したように捕らえました。不幸にして小泉後、第一次安部内閣の無残な結果から大混乱が続きます。政治は翻弄され続けて、リーマンショック(5年前)3.11震災(2年前)と試練の連続です。その間に民主党政権を挟んでいます。災害については、現在も苦しんでいる被災者に同情を禁じ得ません。

 二つの流れ、というといかにも上、と下、に聞こえるかも知れませんが、意味するところは違います。むしろ右、と左くらいの感じです。格差という言葉には違和感があり、固定された階級などこの日本に全く存在していないと考えています。一般に非正社員、失業者、広くはニート、引き籠もりが格差の被害者ということでしょうか。確かにジニ係数等にはその傾向が見られますが、例えば被災者の方々より苦しんでいる非正規社員とはどういう人なのでしょうか。以前書いたように、私のパラメーターではニート・引き籠もりの類いは生活満足度は上位にランクされます。二つの流れとはうまく表現できないのですが『耽溺型』と『傍観型』位にしか表記できません。このあたりの論考は又別途検証したいと思いますが、確かな感覚として少し上の団塊世代はこの二つには分類できないのです。実際にはフーテンとか古い言い方ですが全共闘世代といった呼称は色々ありますが、それなりの理論武装をしたつもりの、何かに反発する形でのエネルギーを放出したがるタイプしかいません。反論大歓迎ですのでご教示頂きたいと思います。 

 東 大兄は『失われた』の部分をアングロ・サクソンに一泡吹かせた後の虚脱感と喝破したように読み取りました。卓見です。我々の世代はデフレ期間とされる昨今(というには長いのですが)を苦戦しつつも辛くもしのぎ、今後に上記二つの流れを示唆したのではないでしょうか。しかしどちらがどうとは言えませんし、これからも不況も危機もあるでしょう。それはそれとして。

 まさかのオリンピックがあと7年。 実は個人的に帰京以後環境の変化があり、私自身は現在『成仏派』を自称しております。オリンピック等のスポーツイベントや行事は今までTV観戦しかしませんでしたが、是非ナマで観戦し、参加したいと思います。その頃60代半ば、果たしてどうなっていることやら。楽しみが増えた気がしています。

 

 
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