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中国はどこへ行くか (5本の柱)

2014 JAN 2 18:18:46 pm by 西牟呂 憲

 前回ブログ以降多くの意見が寄せられたが、その時点ではまだ分裂論を捨てきれなかった。しかし、SMCのバーチャル視点に立ってみると、ひょっとしたらすでに分裂してしまっているのではないか、と思い当たった。私も書いていたが、例えば一国二制度で中国になった香港、遙か南でチャイナであり続けるシンガポール、そして東 大兄の詳述を読むにつけその感を強くした。そもそも『日本からの目』でも私自身が、チャイナというのはそのありようが普遍的概念であると記しており、そうであるならば単純な分裂という形は取りようがないのだ。元々柵封体制にせよ朝貢体制にせよ、そこには明確なボーダーはなかった。現代に於いてはポリティカルに、社会的に国境として引かれている区分であるが、民族的、文化的には概念の交じり合うドロドロとしたせめぎ合いの接点である。この辺陸続きの国境を経験したことのない我々はピンとこないのではなかろうか。

 しかし、一端グローバル化が進んでしまうとそれを飛び越えて(あくまで平和的に)マネーにしろマテリアルにしろ凄まじいスピードで行き交ってしまい、本来食い扶持を稼ぐという意味での『領土』は(エネルギーと国家としての正当性といったものを除き)意味を成さなくなるはずである。その点から言えば、エリアとしての分裂ではなく社会構造が層別化することは避けられない。少数の超富裕層と圧倒的な貧困層、これは中国とアメリカの姿が重なって見えないか。違いは前者は構造的な汚職のケタが違っていて、後者はアメリカン・ドリームの資産の桁が違う。前者は都市戸籍の者が農民戸籍の者を虐める、異民族から搾り取る。後者は富裕層が後から後からやってくる移民をコキ使う、ウォール街は新興国から巻き上げる・・・・。

 中国は共産党ヒエラルキーをベースに、いくつかの柱があると筆者は考える。まずは共産党。大きな柱ではあるが中身には巷間言われる共青団・太子党・上海閥、さらには地方組織と色々ある。次に人民解放軍。各軍区ごとに別れていて、はじめの頃は自活可能なそれぞれ巨大なコングロマリットを形成している。嘗ては人民公社と呼ばれていた国営企業群。これも規模の大きな所では社員10万人を越えるものもある大集団で、例えて言えば分割民営化前の日本国有鉄道がいくつもあるような物だ。それから忘れてならないのは在外華僑。どうやら一つにまとまるというものではなさそうだが、北京オリンピックの聖火リレーで世界中で国旗を振ったチャイニーズ集団は、私の見たところ一大勢力だった。最後に実態については良くわからないが伝統的なアンダー・グラウンドな社会も複数存在していることが確認されている。以上5本の柱が人民の海にそそり立っているのが今日のチャイナと仮説を立ててみた。この仮説では政府は共産党が担っているが、エリアを分割して統治するのではなく、それぞれの利権を互いに侵さないで並列して住み分けられる。事実いささか旧聞に属するが、林彪直系の第四野戦軍が江青夫人の言うことを全く聞かなかったことは良く知られている。行政上の分裂といった巨大なエネルギーを使わずに、即ちソ連崩壊の道をたどらずにチャイナでありつづけられることになる。旧ソ連崩壊の際には莫大な国家資産のブン取り合戦が繰り広げられたことは有名な話だが、チャイナではとっくに5本の柱に分けられているのだ。もっとも何れにせよムシり採られるばかりの人民ピープルの方は救われないのだが。

 これを書いている時にSMCメンバーの神山道元先生から、周恩来没後30年にあたり周恩来夫人の日記が公開されたと聞いた。これは実に第一級資料で内容の分析が待たれる。察するに人気のあった周恩来に対し、毛沢東が様々な手を使っていじめをしていたことが明らかになるのではないか。すると実際は醜い権力闘争による混乱でしかなかった文化大革命を否定するものになりかねない。共産党内の権力闘争が激しくなる前兆ではないか。

 大気、水を中心にかなりの汚染が現に進行し、尚且つ衛生観念の欠如による食材が国中に出回るどころか、毒餃子、毒ペット・フードのように世界中に輸出される。先日上海で豚の死骸が大量に流れ着いて問題になったが、あれは豚の肉を赤く見せるためにヒ素を使うのが、飲ませすぎて死んだために処理に困って川に投棄したそうだ。ところが共産党トップが使うことで知られる釣魚台国賓館で出される食材などは作っているところからして、一般からは隔絶されている。どんなに汚染が進んでも幹部が食べるものだけは確保する。異形の大国の現実は深い闇に覆われている。

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