滋養様
2015 MAR 30 21:21:48 pm by 西 牟呂雄
喜寿庵の飛び地を見に行った。100年近くウチの者は誰も見たことのなかった土地だ。住所を頼りに近くに行くとその昔は畑だったような山の麓の荒地が、あった。ビニール・ハウスでもやっていたのか、錆びた骨組み。ゴミ。雑草。境界線からは斜面で、ご他聞の漏れず杉が花粉を撒き散らしている。どなたかは知らねども耕作した形跡はあちこちにあって、やればジャガイモくらいはできるかなと思われた。いやトウモロコシでも何でもホンキを出せば可能だろう。これは逆にほったらかしてジャングルにでもなったらクレームがつくのだろうか。隣には農家があった。
ところが!林の奥の方に何やら構造物があり分け入って見ると古い墓石が並んでいたのだ。ご先祖じゃない。しかしおそらく1世紀以上前の墓だから土葬をしていたに違いなく、いくつかの遺体が眠っているはず。祟りを恐れた僕は合掌して礼をした。長い間誰も手を入れていないのだろう、風化が進み何かの自然災害で割れてしまっているのもあった。今度はお線香も持って来て、ひたすらお鎮まって頂かねば。
そして更に驚いたことに、直ぐ近くに小さな赤い鳥居が組んであるではないか。
工場なんかに安全を祈願するお稲荷さんを祀ったりしていることがあるが、真面目に神主さんにお墨付きの御祓いをしてもらう。工事の時の起工式のように、だ。しかしこの鳥居はそんなに丁寧に扱われた形跡はなく、チッポケなミニチュアの社があるだけ。誰かが勝手に建てた鳥居みたいな感じだ。
写真を撮っているうちに無性にかわいらしく思えて来た。造った人のいじらしさが伝わる。ひょっとしてその昔災害があった後にでも祀ったのだろうか。よし、勝手連神主を名乗ろう、と思った途端天の声がした。
「この鳥居は『滋養神社』である。」
驚いたことに周りには誰もいない。
しばし考え込んでしまった。
例によって脳内化学反応が突如狂ったのだろうが、妙に僕の心の琴線に触れた。さっき自称神主になると思い付いたではないか。そこでブツブツと自作の祝詞を考えた。母方の宗教は神道なので聞き覚えがあるのだ。[/caption]
滋養様、滋養様
御国(ミクニ)安んじさせ給え
身共 精進させ給え
心 明るくさせ給え
滋養様 滋養様
かしこみかしこみ
お願い申し奉~る~
これに合せた『滋養踊り』というのもこしらえて、一人踊りを奉納しようとした時に車が通ったのでやめた。
良かった、見られたら頭のおかしいアブない人間だと思われるところだった・・・。
それにしても何であんなものがあるのだろう。暫くしたら写真に何か浮かび上がってこないかなぁ。
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