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ごくろうさま、おつかれさま

2015 APR 15 21:21:55 pm by 西 牟呂雄

 電車に乗るじゃないですか。人が座っています。JRでも私鉄・地下鉄でも6~7人位は座れますが、昼間なんか老若男女と色々な方々です。すると大体3人から4人はスマホ(ガラケーでもいいですが)の画面を除きこみ、忙しそうにメール、ライン、ゲーム、又は音楽をイヤホンで聴く。最近はタブレットで新聞・漫画も読んでいます。この前なんか全部のオジさんがズラーッと携帯の画面を見入っていて、怖いものがありましたね。
 通勤時間帯には多少新聞を読む人はいるでしょうが、昼時、帰宅時には本を読む人も稀。
 これでは出版不況も頷けます。何もしないでボーッと景色を眺めたり文庫本を読むのはほとんど私だけ、残りは居眠りの人です。
 識者の中には、通信手段がいくら発達しても読書文化は無くならない、といった意見を発表されている方もいらっしゃいます。どうでしょう。出版不況なる見方、基準点が違うだけで元々読書層の厚みは大して変わらないのではないか、というのが私の意見です。
 というのも声高に出版不況を唱える人は、バブル期の夢を未だに忘れられない団塊組と推察しています。あのころはファッションやら音楽やらしょうもないマンガ雑誌がワンサカあったでしょう?その後1990年代末までにはバブル雑誌の類は淘汰され、今の若い人達は最初からケータイ文化に染まっていますから、その類の本は読まなくてすみます。我が家も新聞を取らなくなって随分経ちますからね。独身時代に月曜から金曜まで毎日マンガを買って某折り返しの始発に座って通勤していたのですが、ある業界紙のコラムに『サラリーマンらしいが、毎朝毎朝娯楽漫画に読み耽っている若者がいる』という文章が載ってギョッとしました。勿論ロクなモンじゃないという叱責の内容でした。確かに夢中になっていたのは『美味しんぼ』の原作者、雁屋哲の書いた『野望の王国』というアナーキーなバイオレンス劇画、梶原一騎の『人間凶器』といったもので、まさかとは思いますが偶然隣に座って覗き込んであまりの内容にあきれ返ったのかと心配になったのです(私の乗る駅の実名があった故)。それに比べればケータイ画面を見ている人の方がまだマシのような・・・。

 一般にケータイの普及と実際に起こる様々な事象・事件を結びつける言説はあまりアテにならないと思っています。出版物に関しても『永遠のゼロ』とか難解な『21世紀の資本』が売れているそうじゃないですか。村上春樹の作品が評価が落ちたという話も聞いたことありません。好きな人は繰り返し読んでいるはずです。東兄は好きな名作を聞く回数は軽く1000回を越えているでしょう。本なんか読まない奴は最初から読んでいませんから読書人口のコアなゾーンはそんなに変わらないと考えていいと思います。
 一方で様々な犯罪とケータイ・LINEの普及も何の関係もないでしょう。それらを自在に使いこなして犯罪を犯さない人の方が圧倒的に多いのです。
 更に極論ですが、通信機器の発達と人的生産性はもっと関係無いと考えています。人間が100年間でそんなにバカになったり利口になるはずがありません。もっとも二度と戦争はしない程度に少なくとも日本人はなったのですが(アメリカの核と一国平和主義のお陰で、は付け加えます)。
 
 サラリーマン生活を通じて、色々な耳障りのいい言葉が私を通り過ぎて行きました。グローバル展開とかリストラクチャリングとかですね。社内カンパニーなんかもありました。最近では選択と集中でしょうか。
 そういった経営工学は流行るのですが、様々な業界地図がひっくり返りました。護送船団方式とか株式持合いなんか死語ですよね。アレなんかアメリカの意向でパァになったような気がしないでもありません。
  そんな中、通信革命が果たして本当に経営効率向上や組織の意思決定スピード・アップに貢献したかどうか、私は疑わざるを得ませんね。

 それであのズーッと電車でメール・ラインをいじっている人、一体誰とあんなにしょっちゅう連絡しなければならないのでしょう。若い人であれば友達・恋人と繋がっていたいのは分からんでもありませんが、冒頭に記した『おじさんがズラーッ』と並んでやっているのはやっぱり仕事をしているのでしょうか。私はたまーに家族にメールするくらいですので、アレはやっぱり相当忙しい人達としか思えません。本当に心からお疲れ様と申し上げたい。私はこのまま怠け者道を極めますのでお許しください。

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