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ネットがもたらした事

2015 AUG 31 0:00:32 am by 西牟呂 憲

 それこそ20年前くらいからか。『失われた』と言われた間にネットは我々の生活に深く浸透した。それまでの職場はベテランも新人も電話にかじりついて怒鳴り合っていたり、罫紙に定規を当てて線を引いて資料を書いていたり、遥かに騒々しいものだった。又、経費節減のために通話料金が表示される受話器が導入されているところもあった。
 それが世界規模で通信費は限りなくタダになるメールのやりとりはおろか、スカイプで顔を見ながらの会議さえほぼゼロ・コストで毎日でもやれる。
 挙句の果てにこのブログのように、出版でもすれば大変な金と手間がかかりそうな(従って世に出すことが不可能な)どうでもいい文章が人目に触れることも可能になった。
 便利と言えば便利であり、お手軽といえばお手軽。
 聞けば大変な出版不況ということだが、それはネットでお手軽活字が世の中に溢れかえり、金を払ってまでそういったモノを手にしなくなったからではないか。一方で質の高いベスト・セラーはちゃんと売れている。
 しかしそれで、かつてであれば金と手間この部分を担っていた人の仕事が雲散霧消してしまったのではないか。

 山本夏彦氏が既に述べている。便利になって失うものは多いが人は絶対に前には戻れない、と。

 グローバル・スタンダード(好む所ではないが)も規制緩和もどんどん進むだろうが、多くの業務が失われていくだろう。行きつくところは好むと好まざるとに関わらず二極化が進む、当然ながら。
 中途半端は更に分が悪い。ITも取り入れた、海外展開も力を入れた、と一生懸命やってみるが、一般的に中堅企業は苦しい。運営するのに腰が引けてチェックしようと会議ばかりやることのなる。尚且つ一人が暴走してしまうと致命的なダメージを負うことになるから、いきおい慎重にもならざるを得ない。更に、各種システムが運用可能になった時点では多くの人が余るのだが、大企業ならいざ知らず家族経営的な中堅所では思い切った人減らしを躊躇してしまうからだ。

 世に『格差問題』が言われ出して久しい。恐ろしいことに広がる一方との報告も散見される。ネットの使い方も競争優位のツールとして使う側と、短い捨て台詞や娯楽の対照としてしか使わない層に分化しているのかも知れない。そして生活・仕事全般に至るまで、ネットのおかげで前者は一層密度濃く時間を使い、後者はよりスカスカな時間を過ごす。

 話が戻って、冒頭の『手間』の掛かる部分を担ったゾーンはそれでは失業したりニート・引き篭もりになったのだろうか。そういった統計を寡聞にして知らない。まさか全部がそうなったとも思えないのでやはり社会のある部分を支えているのだろう。
 そう言えばメールが『電子メール』等と言われていた頃、こういう物が普及したら会議などは無くなるかも知れないと思ったが、一向に無くならなかった。方針を上から下へと伝えるにも未だにそれなりのナントカ会議の体裁を取らないと組織は統括できない。
 労働人口が減るのだから『余計な手間』を省けるだけ減らすのは大変結構。だが今まで述べてきたように生産性の格差は縮まらない。
 

 ところで最近アグリカルチャー・デヴューしてから気が付いたのだが、農作物を小規模に育てることは実に精神衛生上好ましく、一方でオタク・ニート向きの作業かもしれない。大規模ともなれば機械化・企業化が必要かもしれないが、担い手が元々そういう管理形態に向いてない人々だから、あくまで個人的にやらせる。
 ちょっとだけ作業して有り余る時間をネットの娯楽に当てればメデタシメデタシとならないか。

 もっと別の話に展開したかったが、道草を食っているうちに下らないなオチになってしまった。

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Categories:失われた20年とは何だったのか

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