狂言 附子 並びに 能 大般若
2015 OCT 13 21:21:19 pm by 西 牟呂雄
附子、ぶす、と読みます。他愛も無い筋立てですが、太郎冠者=野村万作 次郎冠者=野村萬斎の親子コンビがやるので見に行きました。
主人が『これは毒だから近づくな』といった桶の中の砂糖をこっそり食べてしまいバレて大騒ぎになる、というコミカルな話です。
挙句の果てに、誤って掛け軸を破き天目茶碗を割って、お詫びのために毒を飲んで死のうとしたが一向に死なない、と言い訳するオチ、これ教科書かなんかにありませんでしたっけ。
遠目には海老一染太郎に似ている万作さんとオーラ出まくりの萬斎さん。二人で大げさに『アーン、アーン』と泣いてみせるところ、さすがに華があります。表情が豊かなんですな。
大般若は三蔵法師のお話。西域の大砂漠に流沙河(りゅうさが)という大河があり(実在ではない)そこで深沙大王と出会うくだりです。この流沙河は西遊記にも記述があって三蔵一行はここで沙悟浄と出会うのですが、能には孫悟空や猪八戒はもちろん沙悟浄も出てきません。
その代わり飛天と龍神が二人(二匹?)づつ出てくる後半は風流(ふりゅう)能と言って、いわばスペクタクルですが、能の舞台ですから円を描きつつ静かに舞います。深沙大王と龍神の面はさすがにエグい。
ところでこの大般若、原曲はもうなくなっていて、山形県鶴岡の黒川能に伝えられていたものを500年ぶりに復曲させたもの、東京では滅多に上演されません。現地では伝承する氏子160人、能面230点、能装束400点、演目数は能540番、狂言50番と堂々たる伝統芸能です。鶴岡と言えば 方言のいきのよさ に書いたのですが、戦時中に亡き母が疎開していたところ。古典が大好きだった母も少なかった楽しみにこの舞台を見たに違いない、と思いながら観賞しました。
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Categories:古典