Sonar Members Club No.36

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おじさんが集って話す事

2015 NOV 20 6:06:07 am by 西 牟呂雄

 先般、同期の集まりが偶然二つ続いた。こういうものは吸い寄せられるように集中するのが不思議なのだが、まァ還暦ということだろうか。
 一つは少人数4人の会。本当は5人だったが、最も多忙な大学教授が急な飲み会で欠席。この5人の組み合わせはかれこれ20年近く不定期に行われる。組み合わせの妙は絶対に外から見たら分からないだろう。元教授翻訳者・現教授かつ理事・謎のプー・受験指導者・異形サラリーマンでは何の集まりか。この間は偶然メンバーの一人の同級生が近くに二人いたので参上したところ、あまりの訳の分からなさにポカーンとされてしまった。
 前々回の時の話題は何と2・26事件!無論その後の国の進む道を誤らせた重大な犯罪であり、戦闘部隊を率いての行動は軽率の極みである。それを前提に(結果は鎮圧されただろうが)事変を色々と比較・評価する、という非常にバカバカしい話に夢中になった。と言っても一番の間抜けは誰か、を検証しただけだが。結論は中橋基明中尉となった。緋色の裏地マントを羽織る伊達男。しかし皇居に部隊を率いて入ってから、イザ外部に手旗信号を送ろうとして大高政楽少尉(近衛第三連隊御守衛上番)と拳銃の突き付け合いに挫けてしまった。
 この席では有名な盗聴疑惑についても話題になる。例の北一輝が安藤輝三大尉に電話をかけ「マル(金)はあるか。マル、マル。」と言い「あー、マルはあります。まだ大丈夫です」と返事をしたテープは実在している。この会話自体ヤラセである、或いは北一輝の名を騙った何者かの電話である、との議論だった。
 一方最も根性のあったのは唯一人拳銃自殺した野中四郎大尉ではないかとも。この人の実弟は特攻兵器『桜花』を吊り下げて飛ぶ一式陸攻部隊の陣羽織隊長として戦死した野中五郎少佐だと確認された。
 以上は大のオトナが面白がる話ではないことは言うまでもない。

 もう一つ更にアホな集まりもこなした。こちらは大勢(というか大会場を使った)なのだが、その中でも選りすぐりのバカが吹き溜まって大騒ぎと昔話に明け暮れた。
 一応お医者様センセイの講演もあるにはあったが、ゴキゲンで暮らせば長生きできる、という内容であり、それじゃ毎日俺達みたいに遊んでいればいい、という結論になっただけ。但し飲んだくれて寿命は縮まるのでは、という反論はあった。議員センセイや学長センセイ、社長様、お医者様といった立派な肩書きはあったりするが、話す内容は40年前の足の引っ張り合いに過ぎない。
 そして恐ろしいことに一部は流れて、もっと下らないドンチャン騒ぎになってしまった。
 日本語検定試験問題 「うってかわって」を使って文章を作りなさい。答 「彼は麻薬を 『打って変わって』しまった」 別解 「高い壺を『売って か 割って』どこかにやってしまった」
 これがおじさんの会話だろうか。こういう話をベロンベロンになって大声でわめきちらし、挙句の果てに『フレー!フレー!』の大エールを(他にも関係ないお客さんもいる店で)切ったのはワシだった。
 初めの講演をしたハーバートを出た医者によると、人間は120年まで元気に生きられる、という研究をしているそうだった。すると我々はカンレキだから折り返しだというのだが、帰り際には誰もが『これからもう何十年もこんなことをするのはウンザリだ』という顔をしていた。
 簡単な話だがあと60年生きてもこいつらと付き合わなければもう少しマシな人生になると思うが、忘れた頃に湧いて出て来てはそれまで積み重ねた実績や磨いた腕を一瞬にして無意味なモノにしてくれる。地頭はいいのだろうが根性は腐っている連中だ。
 ほぼ全員が怠け放題怠けていたクセに、驚くべき要領の良さで堅いサラリーマンに化けるという離れ業を見せた。しかもこの代は、管理職になると同時にバブルの崩壊に直面する。一説によるとこの連中の(ワシを含む)バケの皮が剥がれたのがバブル崩壊の一因といわれてもいる。妙な裏ワザや怪しげなネットワークからの情報を持っていて、この集まりの経済予測は物凄く当たる。例えば中国の経済成長は実力3%成長いくかいかないか、とか足元の景気はリーマン・ショック並に落ちてる、とか。
 
 こういう付き合いが濃いので、私の人見知りが酷くなるのではないかとフト思って帰った。

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酷な出題

おじさんだって前向きに生きる 

Categories:遠い光景

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