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パラリンピック開会式 (今月のテーマ リオ・パラリンピック)

2016 SEP 10 0:00:13 am by 西 牟呂雄

 オリンピックと同じように盛り上がった開会式は天晴れの一言。観客も沢山入って演出も力が入っていた。
 ハンディキャップを克服してがんばる選手達を心から応援したい。
 しかしロシアがドーピング問題で拒絶されたのは当然だが、この大会の主旨が汚されたような大変に残念な事だった。国威発揚の機会としかとらえないのは大間違いであることを世界共通の認識として欲しい。
 選手たちを見よ。彼らは逞しく、スポーツが好きで努力を惜しまず、記録に挑戦する気概を持っている。これは見る側も十分に敬意を払わなければ失礼に当たると強く思った。
 間違っても『痛々しい』等と思って見てはいけない。闘志も技量もケタ違いのアスリートなのだ。
 そして彼らの努力が報いられるまでには多くのハードルがある。
 まず、障害者スポーツに理解が示せるほど国家が豊でなければならない。練習する環境整備等にもお金はかかる。国家経営が困難な国にはそんな余裕はない。
 更に充分に障害者が社会に受け入れられていなければならない。
 そんなことを考えながら見ていた。
 オープニングのショウはブラジル音楽に乗せてイギリス紳士が車椅子でリオにやってくる。スタジアムに現れたクレイバン会長だ。カウント・ダウンの文字が一部開かないのはご愛敬。するとスロープを車椅子で滑り降り空中で一回転した。
 その後は光とサンバの競演、ビーチでの踊り、日が落ちる演出の後に国旗の掲揚。これは指に障害のあるピアニストの演奏。
 そして選手入場。難民選手団からだった。
 ドイツやオーストラリアの選手団、選手一人だけの小国、あんなアフリカの砂漠の国からも車椅子を押しアシスタントに支えられて満面の笑顔だ。中東のイスラム系には戦闘により障害を受けた選手もいるのだろうか。
 中国の300人の選手団には圧倒される。これなんか強烈な国家の意思を感じる。韓国、障害者専用のコートを充実させてロンドンではメダルをがっさり取って行った。
 スポーツ先進国アメリカも入場する。東南アジアの国ぐに。アフリカの小国家達。イギリスの290人の大規模入場。陸上王国ジャマイカはパラリンピックでは小振り。戦闘当事国のシリアからも選手が。
 そして日本。歓声も大きい。自国の選手には力が入る。底抜けに明るいブラジル・チームも入場した。選手が持ち込んだパネルが組み合わさったらそれは心臓だった。
 義足の選手、白い杖を持つアスリート、皆よく来てくれた、さあ、晴れのステージに立ってくれ。
 聖火の入場。おりしも雨が激しく降り出した。ガルシアさんが杖を頼りに走り出すと転んでしまう。それに対してスタジアムからの大声援が起こる。苦しい足取りで一歩一歩進む、最後は車椅子ランナーが聖火台に上がっていく。そしてオリンピックの時と同じあの太陽の輝きが再び灯された。
 会場は選手も観客も一つになっている。
 ここからパーティーになる。雨の中の力強いリズム。両足義足の美貌のモデルさんとロボットの踊り。
 いつもなら意地の悪い皮肉の一つも口を突くヒネクレ者の僕が、全選手の活躍を祈られずにいられなかった。ガンバレ!

 できる限り試合を見て、東京大会は会場にかけつけるぞ。
 
 
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