月窓寺 薪能
2017 OCT 17 7:07:29 am by 西 牟呂雄
かれこれ二年振りですか、地元の薪能を見ました。
狂言の『六地蔵』とお能の『橋弁慶』です。
『六地蔵』は田舎から地蔵を作ってもらおうと都にやってきたおじさんを詐欺師が騙そうとするお話で、その詐欺師(すっぱ)を野村万作さんがやります。
三人のオッサンが地蔵に化けるのですが、依頼は六地蔵ですので一人二役をしなければならず、おかめみたいな面を付けてジタバタしてみせます。言ってみれば元祖ドリフのようなお話を人間国宝の万作さんがやるのですね。
以前に比べると万作さんの声が枯れたような。
『橋弁慶』の弁慶をその万作さんの弟で、やはり人間国宝の四郎さんがやりました。野村家は和泉流ですが、四郎さんは能の観世流を継いでいます。
この話は”京の五条の橋”で弁慶が牛若丸に負けて家来になるところです。おとぎ話では弁慶が刀狩をしていて、千本まであと一本となった時に牛若と出会うのですが、能では逆に牛若が千人切りをしていることになっています。どっちでもいいですけど。
そして弦師(つるし)が出ます。間に狂言が入るのです。
牛若に切られかけた男が逃げて来てコミカルなドタバタ劇をするのですが、それを萬斎さんがやりました。
この人は華があるし立ち姿が美しい。
声もいいです。
能の弁慶物は子方が出ます。牛若・義経の役は中学生未満の子供さんが勤めるのですが、やはり後継者難だそうで、上演される回数が少ないと言われています。谷本悠太郎君という子が一生懸命やっていて微笑ましい。どうも小学校高学年のようで、少し声変わり気味なのがかわいそう、でも間違えずにできましたよ。
この子は確か観世流の谷本健吾さんの息子さんじゃないですか、応援してます。
以前みた『船弁慶』を見たときの大島伊織君なんかもう青年になってしまったでしょうか。
一応照明も準備されていますが、灯は5つ立てられた薪。
漆黒の闇にチラチラと揺れる炎が影を織り成します。
そこに切り裂くような笛の音と鼓の乾いた音。
アッ雨が顔に当たった。
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