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平昌オリンピック・インテリジェンス座談会(極秘)

2018 JAN 25 21:21:18 pm by 西室 建

「司会を務めるニシムロです(以下『西』)。ピョンチャンオリンピックまで後二週間ですね。南北会談により北の国がオリンピックに参加します。勿論オリンピックは平和の祭典です。願わくば非核化や拉致問題が進展することを望みますが、現実は到底そうはならないことは明らかです。本日はそれぞれ専門の違う各国のインテリジェンス・オフィサーにお集り頂きこのオリンピックを考えていただこうと思います。まず自己紹介をお願いします。」
「名前はご勘弁を(笑)。アメリカ人ですのでAでお願いします。ご覧の通り韓国系の三世です。ヒューミントが専門です」
「それでは私は韓国人のKです。対北のカウンター・インテリジェンスに従事してます」
「中国人です、Cで御願いします。対日工作担当です」
「日本の公安調査庁にいます。Jでよろしく」
西「突然のオリンピック参加表明から次官級会談とアレヨアレヨと決まってオリンピックに参加となりました。この背景をどう見立てておられますか」
C「制裁が効いてますよ。今までは『人道的』とか抜け道がいくらでもありましたが、トランプー安倍の本気度が違います。我が国も少々腹をたててますからね」
K「習主席は一度だけ先代が訪中した際に連れて行った正恩氏に会ったのでしょう。印象はどうだったのですか」
C「まぁその時は一方的に先代が喋っただけでほとんど会話はなかったと聞いています。それがまさかの兄殺しまでやりましたからね。習同志も手を焼いてます。我が国に向けては撃たないでしょうが北京も射程距離の中ですよ。そして偶発にせよ有事の際は大変なことになる認識は持ってます」
A「Kさんのところの大統領に泣きつかれて合同演習を延期しました。それでオリンピックに参加の芽ができたわけですが、そうすると我々の出番ですね」
西「アイス・ホッケーの合同チームが参加して応援団、大会スタッフ等を急ごしらえで派遣となると皆さんの仕事としては何が注目点でしょうか。そして今後はどういった展開を見せるのでしょうか」
K「我々としては国旗を掲げて入場できない、合同チームで選にもれた選手が気の毒という右派からの反発はあります。ただ選手は一生懸命競技をしますし、例の美女楽団や応援団も言われるがままにフリを付けるだけでしょう。問題はそういった人達を監視する役員ですね。さらに言えばあの国の監視体制はその役員を更に監視している工作員がいます。この機会にそういう連中を炙り出したい」
J「いいことを仰います。その工作員とは世界各国から自国の応援に来る観光客を装っているのです。過去の色々な工作には我が国の在住者が使われたことがある。また我が国民を装う事も可能です」
C「きょうは東洋人ばかりですが(Aを見て)Aさんなんか『日本人です』と言えばそのまま通りますね」
A「言いたいことは分かるが、諸刃の刃ですよ。Cさんの国にも半島出身者はいくらでもスカウトできるでしょう」
西「去就が注目された安倍総理は行く事になったようですね。狙いは何でしょう」
J「ウーン、色々説がありますがネジを巻きに行くんじゃないですか。大統領の五輪政治利用が目に余りますからね。制裁はやるんだろうな、慰安婦合意は見直さないぞ、位のことは言うでしょう」
K「韓国内の北への反発が出て、それを見た北がまたゴネだしました。内政への影響は大きい」
西「開催期間中は挑発行為はないのですか」
A「さすがに世界中が見ている中ではやらないでしょう。外に見える形で何かやるとすれば大会終了後の米韓合同演習とか文政権がまた制裁を進めた時に『約束を破った』と言ってやるかもしれません」
K「融和ムードが国民に広がってしまうと、元々融和的政策を掲げた文政権が制裁に及び腰になることも有り得ます」
西「それは今の枠組みとしては困りますね。慰安婦問題の合意の反故に加えて反日をがなりたてられるのも敵わない。Kさんの国も孤立は避けたいでしょう」
K「その時は私のような者も逮捕されてるんじゃないですか(笑)」
西「そうなんですか」
K「大統領の出身地は北ですからね」
J「陸軍の動きに目立ったところはないのですか。投降の映像が公開されましたが小競り合いめいたことは結構あると聞きましたが」
K「明らか北側の焦りを感じるようです。実質封鎖状態の38度線より海や北側の国境の方がヤバいんじゃないですか。脱北ルートに新しい施設も作りましたね、Cさん」
C「あれは人民解放軍の仕事で我々とは関係ありません」
西「テロ対策はいかがですか」
K「万全です。まぁIS残党だってこっちまで手が廻らんでしょう」
A「我が国及びヨーロッパも自国選手を守る為に韓国治安当局とは協力・情報共有はします。絶対に起こさせません」
西「すると皆さんの対象は工作員監視だけになりますか」
C「我が国はそれ程甘くないですよ。こちらからも観光目的の応援団は行きますからね」
K「それはお互いプロですから。どうぞいらっしゃってください」
J「ロシアも選手団を送れませんからね。個人参加だとスタッフに業界の人間は入れづらい。来るんだったら結構その方面にも人手を割かれたでしょうが今回はそれはない。もっとも我々はいずれにせよ専守防衛ですから」
西「北は本当に参加するでしょうか」
C「実は全くわかりません。ピョンヤンは以前からこの手の交渉を楽しんでるフシさえあります。『そう簡単に決めさせてやらない』とね。直前までゴネたりスネたり。どっちに転んでも韓国の孤立を招きかねない」
西「えっそうなんですか。」
K「今までも常にいいとこ取りされてます。大統領は何が何でも北を参加させたいので足元を見られていますよ」
J「Kさん、大統領が策に溺れた、というところはありませんか」
K「参加しない場合でも面子が潰れて国内での支持率には悪い方に転ぶでしょうから。我が国外交とは常に内政の延長というか、それに付随するものでしかないのが現状です」
A「うーん、実にマズいカードを切られたなあ。制裁が効き出したこのタイミングであの楽団のコンサートとか視察団の厚遇はないんじゃないですか」
C「どちらも腹の探りあいでしょう。このチキン・ゲームの神経戦はどちらかと言えば北に分がありそうなんで、こういってはナンですが格好のシミュレーションの対象です」
西「本日はどうもありがとうございました。平和の為に今後ともよろしくお願いいたします。そして仕事柄くれぐれも身辺にご注意ください。参加選手の健闘を祈りましょう」

そしてインテリジェンス業界の者は普段は目立たないように行動し、質素に暮らすのだった。

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Categories:架空対談

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