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喜寿庵に留学生が 

2018 OCT 13 7:07:21 am by 西 牟呂雄

 

うわぁー!

 25号台風の被害が報道されたが、喜寿案のある地域にも避難勧告が出ていた。まぁ大したことは無かろうと思って行くと何やら様子がおかしい。着いたのが夜で真っ暗だったから良く分からないが、通用門の植え込みがこんもりしているのだ、変だな。
 で、翌朝改めて見に行くと・・ギャー。いつもは使っていない表玄関の横に立っていたハナミズキがドターッと倒れていた。根っこのところなんか敷石を持ち上げてめくれあがっているじゃないか。凄い風だったのだ。
 しかしこれ、どうすりゃいいのか。
 しょうがないから鋸で少しづつ枝を切り出し始めたが、幹になるととんでもなく硬くて4時間やっても半分にもならない。途方に暮れて煙草をふかしていたところにコーちゃん(近くに住んでいる古い知り合い)が通りかかった。
「そんなんでやってたってとてもハカが行かないよ。チェーン・ソーじゃなくちゃダメ」
 とあきれ返り、ちょっと待って、と家から持って来て貸してくれた。
「歯が行く方向に向けて押し付ける感じで重さで落すんだよ。ゆっくりやらないと木がたわんだら抜けなくなるから」
 音がブワーッとしてけっこう怖い。
 それが木くずを巻き上げながら人が4時間もかけた倍の仕事量が30分ですんでしまい、コーちゃんは帰っていった。
 僕はあまりの能率の悪さに全く無駄な時間を使ったことに唖然とし、暫く何もできなかった。手も痛かったし・・・。このハナミズキも80年位はここにズッと立っていて花を咲かせていた。十分に水を吸い上げたのだろう、50~60cmに切った幹は持てばズッシリと重い。切った所を見ればみればそれだけの年輪がギッシリと詰まっている。
 ここの所だけ殺風景になった。見慣れればどうってことないのか、いずれにせよハナミズキ一本で落ち込んでもしょうがない。もっと大変な目に合った被害者がいるだろうに。

デンマークから

 途方に暮れていた時にスマホが鳴った。あっ、今日は学生さんが来るんだ。
 聞けば15人も。しかも留学生が6人、どこから来たのか知らないが。
 気を取り直して慌てて掃除機をかけて机を並べているとゾロゾロとやって来た。『コンバンワー』えっ女性?何と男女半々だ。
 デンマークとフィンランドからはるばる来たそうだ。早速オジサンはビールで、学生さんはコーラやウーロン茶、フィンランド人はビールで乾杯。自己紹介を留学生は日本語で、日本の学生は英悟でやることにした。留学組は教育と歴史専攻だったがまだ一月しかいないので日本語はまだまだ。こちらは『比較文学』を英訳できずに四苦八苦する、僕も知らなかった。

みんなでチーズ/

 デンマークについては童話のアンデルセンくらいしか思い浮かばない。王朝は変わりながらも続いて現在は前国王の長女、マルグレーテⅡ世女王を戴く立憲君主国である。
 高福祉高負担の北欧型社会で税金は高く、所得税55%、消費税25%(食料品も全て)車は特に高く280%ってほんとかよ。「君達そんな高い税金ズーッと払い続けるのかい」と聞いても何とも思わないようでキョトンとされた。まァ学生で、22歳だったか、まだ子供だから所得税は関係ないだろうが。一方で教育費や介護はほとんどタダ。うーむ。ちなみにフィンランドも消費税は高く23%(食品は12%)、所得税も20%以上だそうだ。
 それでも国連の国民幸福度ランキングでは1位はフィンランド、2位 ノルウェー、その次はデンマーク。消費税も慣れればこんなものなのか、財務省がやりたがる訳だな。
 ただ、この調査は「所得」「健康と寿命」「社会支援」「自由」「信頼」「寛容さ」などの要素を基準に1000人にアンケートを取ってのランキングなので、順位は鵜呑みにはできない。参考までに日本は54位である(2018年)。
 北海油田に位置している産油国で、油田は国有だとか。
 ふと思い出して『シェークスピアのハムレットはデンマークが舞台だったよね』と言ったら『昔は我々がブリテン島を支配していた。我々はバイキングの子孫だ』と誇らしそうに笑った。
 
 フィンランドについてもサウナやムーミンとサンタクロースの故郷といった申し訳程度の知見だ。F1パイロットのミカ・ハッキネンやスキー・ジャンプのヤンネ・アホネンはフィンランド人だが、留学生は興味がないのかハッキネンの方は知らなかった。
 逆にニトベという日本人について大変有名だと聞かされた。スェーデンとの領土問題を解決した人だ、と。
 多少バツが悪かったが検索すると、あの5千円札の新渡戸稲造のことだ。恥ずかしいことに、かの『武士道』の著者でクリスチャン、台湾総督府で活躍した農政家だったということしか知らなかった。国際連盟の次長の時にこの問題を調停し、人々から徳とされたのは事実、へぇー。

 みんな日本が好きだと言いつつ都会育ちなため、ここは田舎で夜に街が真っ暗なのが淋しいとしょっちゅう東京に行くみたいだ。将来は先生になると言ったのは誰だったっけ、例によって酔いが回ってしまった。
 僕はもっとスポーツの事、勉強の話、宗教や移民について聞きたかったが、これ以上は記憶に残らないだろうからそろそろお開きに。留学生はクリスマスまでいるので、またおいで、と言うと『ハイ』と返事が返ってきた。
 

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Categories:和の心 喜寿庵

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