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新防衛小綱

2019 MAR 16 0:00:54 am by 西 牟呂雄

 無人攻撃機の大編隊が南シナ海を飛行する。操縦するのは某所の地下に秘匿された航空指揮所でモニターを見続ける、一見オタクの集団のようなチームである。
 1万メートルの高空から厚い雲を通しても人の顔まで識別できる性能と、ピンポイント(誤差5cm)で制御できる小型ミサイルを搭載したこのスーパー・ドローンは通称『蜂』と呼ばれる国産機で、現在100機が運用中と言われている。
 それでなくても航空自衛隊は練度世界一、パイロットは超が付くエリートだったが、現在は幕僚として指揮を執るだけだ。もっともゲーム・オタクみたいな奴等を使いこなすにはまた別の能力が求められるので、作戦立案と情報収集のみ。部隊の多くは女性であり、6チームの4シフトが敷かれていた。『蜂』航空隊は北から南まで、竹島・尖閣も含め24時間警戒飛行している(この前年に北方領土は非武装地帯となった)。
 しかも台湾・フィリピン・ベトナム・マレーシアまでの空域には同じシステムで運用される同じ『蜂』型無人戦闘機が配備されており、これらの国々を総称してゴールデン・ビーズと呼ばれている。更にグァムにある米空軍アンダーセン基地にも連絡詰所が置かれた。
 空だけではない。海中にも動力無限の無人小型原子力潜水艦『あんこう』が領海を守っている。何隻就航しているかは秘匿されているが、『あんこう』からの自動警告システムが作動すると直ちに『蜂』航空隊が視界に現れるので、領海侵犯や密漁は全く無くなった。海中でいかなる戦闘が行われたかはまず公表されないので実態は分からないが、まさに鉄壁の防衛体制が敷かれた。しかも『あんこう』には米海軍の連絡システムが搭載されており、第七艦隊所属の核搭載潜水艦と共有した情報により攻撃即応、即ち核を貸与されているも同然だ、とまで言われている。
 いずれにせよ防衛発動がされるような一朝有事の際にはF35B搭載の『いずも』『しなの』がそれぞれイージス艦を従えて機動展開できる。

 一方、充実著しい陸上自衛隊サイバー部隊も猛烈な訓練の成果が上がっている。
 無論専守防衛であるが、サイバー攻撃を受けた際は瞬時に相手の情報を引き出す即応対処防衛が作動するらしく、どんなサーバーを経由していても瞬時に相手のプログラムを破戒できるらしい。
 一度攻撃してきた中東の小国は一瞬にしてインフラが破壊され、気が付いたらいっぺんに誤作動だらけになり自国への自爆命令までが発動されたという。もっともこれは自衛隊の実力を試そうとした某国の予行演習だった可能性も指摘された。恐ろしい幻魔大戦の世界のようなサイバー空間には交戦規定も国際法も無い。
 しかしながら通常の戦闘も世界では無くならず、世界の紛争地域ではもっぱらゲリラ戦のような戦闘が続いている。

 我が国においても上記体制によりオフショアからのアウトレンジ攻撃は完全に防げるが、内乱破壊工作やスリーパーセルの一斉蜂起に対し、武力鎮圧せざるを得ない万が一に対応する特殊部隊としてクローン部隊が編成されたという噂が流れている。
 もっとも警察の治安対応もAIによって識別能力が飛躍的に上がり、更にロボット警官の普及が進んだこともあり凶悪犯罪は激減した。パトカーなどは全てAI搭載の自動運転、犯人追跡はドローンだ。
 あくまで噂である。人道上の問題を孕んでいるから実態は一切明らかになっていないという尾ヒレも付いている。 
 クローンが神の領域もクソも無くなって、分身を一体一千万円で造れるので屈強の特殊部隊員が複数のクローンを持っている、というのだ。いくらでも個体ができるので危険に対する配慮が必要がなくなる。
 モデルは今から50年前に放映されたウルトラ・マンにおいて20億匹(人?)のクローンを率いて『セイメイ・・ワカラナイ・・・セイメイトハナニカ』とうそぶいたバルタン星人とか、それは嘘だろうが。

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Categories:202X年の怪

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