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これは戦争だぁ Ⅱ

2020 APR 8 18:18:54 pm by 西 牟呂雄

 欧米型のリーダー、特に戦争遂行時の典型的な例で思い浮かべるのはエドワード・ザ・ブラック・プリンス、百年戦争のヨーロッパで連戦連勝しイングランドの優位を確保した。皇太子でありながら黒い甲冑に身を固め単騎敵陣に真っ先に切り込んでは大軍を圧倒した英雄だった。
 こういった貴族がイギリスのクラース(階級)のトップにいる。彼らは普段は何もしない。それ以下の階級とは通常通婚もしない。喋る英語さえも違う。これらは良く知られた話だ。
 しかし彼らの本務は防衛・戦争なのだ。ノブレス・オブリージュ、国家存亡の際には真っ先に先頭に立つことが義務と考えられている。従って普段ブラブラしていようが社交に現を抜かしていようが構わない。第一次世界大戦ではオックスフォード・ケンブリッジの貴族や王族の子弟に戦死者が多かった。彼らは志願した、上記エドワードの先例に倣ったといえる。
 翻って英国はこの度のコロナ・クライシスにあたり、当初は(良かったかどうかは知らないが)感染のピークを減らして多くの人が軽症を発症しても集団免疫を作ることを国民全体で共有する、といったものだった。ご案内の通りすぐ撤回されたが。
 すると皇太子が感染し、首相が重症になった。これは上記ジョンブル魂の発露として(再び良かったかどうかは知らないが)あっぱれではないか、上から順に倒れていく。
 なかなかやるもんだと思ったものの、あまり日本向きではないだろう。

 勿論我が国においてもこういったヒーローは歴史上いくらでもいて、人気もある。だが、どうであろう。後継者が続かないのだ。
 例えば日本には現在そういった意識を共有する階級が無い。武士階級は読書人として官僚化した姿において武士道という概念を練り上げたが、江戸期を通じて国家防衛の洗礼を受けていない。明治期の軍人に多少の面影があるといっても階級を形成できないうちに潰れた。

 総理大臣が緊急事態宣言を発表した。感染拡大の抑制のため要請と共に108兆円の経済対策をペアにしてあるところに、ギリギリ手続きを踏んだ跡がみえた。無論そう簡単に経済の回復などはありえない。苦しい年になるだろう。顔にも疲れが見て取れた。
 神戸で、3・11で、あれだけ冷静に行動し助け合った人々が平均的日本人だとすると、総理の訴えた言葉は届いたと思う。いきなり混乱に拍車をかけるより余程練られている。
 何しろ都知事がロック・ダウンを連発した途端にトイレット・ペーパーの買い占めやスーパーの行列ができるというミニ・パニックだ。加えて昨今の世相はマスコミの煽りと通信の発達により不平不満・炎上の無間地獄と化しているが如し。評論家は総じて朝令暮改状態。
  遅いの批判は覚悟の上だろう。

 話は変わるが私は例の大腸癌の経過観察でCT検査を受ける、あの慶應病院でだ。バカ研修医が宴会をやってクラスターを発生させた。
 週末には92才になったオヤジと会うことになっている。癌の経過も恐ろしいが、コロナを病院で拾うのも怖い。散々迷って延期しようと試みたが、この騒ぎで一斉に延期したらしく6カ月待ちにされてしまう、とのこと。その間に再発したらどうなる。
 といういきさつで意を決して本日突撃した。二重マスクに普段はしない眼鏡までかけて身を固め、決死の思いで行ってみると、『入院患者のお見舞いお断り』『マスクを付けない人の入館禁止』の張り紙とともに病院はガラガラ。不急の予約検診については病院側から変更予約の電話案内を昨日の段階でかけまくったらしい。さすがは慶応病院である。私に来なかったのはやはり急を要するのかもしれないと、緊張感を持って診療を受けた。 
 従って今後2週間はテレワークになるが、その旨を親しい仲間には伝えた。すると奴らはさすがに私の友人だけあって、返信は次の通り。
「御武運を祈ります」
「アーメン」
「靖国で待っていろ」
「よかったね」
 一人だけが『祈ってくれ』に「まかしとけ」と返信してくれた。

戦争だぁ!

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Categories:アルツハルマゲドン

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