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半藤一利さんの予言

2022 MAR 8 0:00:11 am by 西 牟呂雄

 先般亡くなった昭和史の泰斗である半藤一利さんは、2015年時点の著作のあとがきで不気味な予言をされている。40年サイクル史観である。
 1945年のボロボロになった敗戦の40年前1905年。日露戦争に勝利した年がピークであり、その時点から破滅への序章が始まったと仮定する。その40年前は慶應元年で、この年に朝廷の勅許を得て国策としての開国が決まった。即ちそこから維新を経て日本が必死にのし上がってくる期間である。
 一方敗戦の後に占領が6年続き、1951年から再び経済発展をやってのけて勃興したものの40年後の1991年にバブルが弾けて長い下り坂となる。デフレによって失われた20年も含まれ、2030年までは何をやってもダメという仮説だ。あと8年かかることになり、筆者は古希を過ぎて生きているかどうかもわからないという絶望的な話である。
 それとは別に72年サイクル説というのがあって、この説は開戦の1941年を軸に、72年前の1869年は明治2年。この年、維新が成って東京遷都が決まり明治天皇が京都から江戸へと移ってこられる。五稜郭が落ちた年でもあり、藩籍奉還が施行された。まぁ、この頃は毎年いろいろ起こったので何とでもいえるのだが。で、72年後はというと2013年だが、アベノミクスの最終兵器、黒田バズーカが炸裂し大っぴらに緩和政策が始まった。日本が既に落ち目になり果てたドン底だったとも考えられる。オバマ大統領の二期目や北朝鮮の原爆実験をしたことが印象深い。また、ロシアで隕石が落ちた。ま、こちらの仮設では現在勃興期に入っているはずが実感はない。どうでもよい、僕が考えたサイクル説だから。
 冒頭の半藤仮説に基づくと後8年で再びドン底に落ち、そこから再出発する。恐らくその立ち上がりを見ることはできないが、ドン底はいかなる状況だろうか。
 まず心配なのは大陸勢力の台湾進攻が現実のこととなり、巻き込まれてしまうことだろう。その地ならしのための工作はすでに始まっていることは間違いない。いつやるのかはさすがに分からないが、その戦略を練っていることは確かだ。
 次は同盟関係にあるもののアメリカに再びねじ伏せられるケース。僕はマネー敗戦とも言われたバブルの崩壊はアメリカの陰謀とも考えている。神奈川大学の教授だった元興銀マン、吉川教授のインペリアル・マネー・サイクル理論を支持している。若い現役はあのバブル崩壊の後遺症を知らないのだろうが、弾けて10年後には銀行負債は増え続けたのだ。その後リーマン・ショックまで我が国は蹂躙され続けていたのが事実である。
 いずれが8年後に日本をドン底に落とすのか分からないが、たったの8年だ。それが必然であるならば(仮説だが)、ポスト・ドン底のために準備しなければならない。
 僕は現在の円安は危険水域だと思っている。しかしながら今、緩和政策を止められないのも確かだ。するとやれることは予算配分の長期視点からの配分しかない。
 憲法改正ができるかどうかも分からない中で、ポスト・ドン底後に国の足腰を強くする提言が二つある。

 第一に防衛力の強化であるが、今から間に合うのはサイバー戦力を飛躍的に向上させること。これは防衛ハードのコストは大したことはないので予算化もしやすい。僕の見るところでは8年後の戦場は一変しているはずだ。日本も世界のトップを走っている量子コンピュータの実用化によって今の乗数倍のスピードで産業の在り方を変え、サイバー戦力を変えて行く。
 このサイバー戦という概念は時間も空間もない。瞬時に相手の軍事インフラに止めを刺せる。しかも我が国は他国を侵略することはないので、その後侵攻する地上部隊は必要ない。おまけに攻撃を受けた側はどこから誰が仕掛けたのかもわからないだろう。
 何しろ今でさえ北の国やら大陸やらの攻撃は続いており、ある意味もはや戦場なのだからこちらからの攻撃が問題にはならないのである。僕は同盟国からの攻撃も受けているのではないかとさえ疑っている。すなわち専守防衛の概念すら存在しない。
 問題は、このサイバー戦を仕切る将官がいないことだ。現在のオッサン達、並びに8年後に指揮する年代では使い物にならないと思われる。従って今から防大・少年工科学校生徒の中からスジのいい学生を専門官に育成すれば8年後にはそれなりの指揮官になるだろう。天才はある確率で出るからいまから8年もかければ必ずモンスター級の人材が確保できるはずだ。兵士クラスは引きこもり・オタク層に年齢を問わずに高い給料を提示すれば間に合う。
 次に、戦略科学技術の育成である。『2位じゃだめなんですか』以来、削りに削られていた科学技術予算を大幅に増やすことだ。どの位の貧弱さかというと、例えば防衛関連で見ると日本の政府開発予算4兆円のうち防衛省に回るのはたったの2千億円。アメリカの国防関連予算は12兆円。これでは上記サイバー戦開発につぎ込むどころではない。GAFAの合計開発費は20兆円と見積もられるらしいからもはや国家並みだ。防衛予算にばかり話が行ってしまうが、他の基礎研究も推して知るべし。
 特に政府の研究開発の仕切りには反自衛隊・反自民党に凝り固まった日本学術会議が深く関わっており古色蒼然とした体質を保持し続けている。
 しかし、僕が以前携わった新材料開発に関してアメリカはこうだった。無論初期の材料コストは開発も含めて汎用品より遥かに高い。それでも機能が高ければ採用をしたのは軍事産業だった。すなわちコストは5倍だが敵より攻撃・防御能力が倍に上回れば採用される。すると約10年を経て量産化されコストも下がってくると民間でのアプリケーションが可能になってきていた。もっともアメリカでは、だ。
 第二に教育への傾斜投資を考えたのだが、ゆとり教育の失敗とかいう話ではない。 僕は長く海外業務に携わっていながら、だからこそ『グローバル化』だの『新自由主義』といった風潮に苦々しい思いを持ち続けてきた。別に海外で稼ぐことに文句があるのではない。そういった風潮を煽る輩が調子に乗って伝統破壊をあたかも錦の御旗のように言い立てるのが嫌なのだ。
 インドだろうがベトナムだろうがフィリピンだろうが、そこにはそこの作法があり伝統もある。異国である日本人としてどう接するか。それなりの矜持を持つのは当然としても、相手のある限り日本を背負って接しており、どんな相手にせよ向こうは『日本人』として見ているのだ。『日本人』とは突き詰めて言えば日本語である。日本語で考え日本語で喋り日本語を読んで暮らしているではないか。
 確かに日本語は情緒的ではある。だが論理的に喋ることも書くこともできる(拙ブログのことではない)。例えば鍛え抜かれた霞が関の官僚の文章。役人の書いた国会答弁などは(嚙み合っているかどうかはさておき)十分論理的だ。スキを突かれないように揚げ足を取られないように練られているので読んでも面白くも何ともない。
 普段の日常会話においても、何を言っているのか分からない輩は何を言われているのか理解しているのかも怪しい。そんなオッサンが山ほどいるのに小学校の国語の時間を減らしてまで英語を教えて何か意味があるのか。そんなことをしても英語が上手くなる奴は限られていて落ちこぼれが増えるだけだろう。
 作家の佐藤優氏の検証によれば、国語力(この場合マザー・タング=母語)が弱くなると数学力も弱くなる、即ち言語的な論理と非言語的な論理は相関関係がある。あいまいな表現しかできなくなり、論理的な物事を咀嚼できなくなる。
 まっ、日本語を乱しまくり駄文を書き連ねている僕の言うことでもないが、国語力を鍛えておくべきなのだ。八年後にはその教育を受けたフレッシュマンがオッサンを駆逐し始めるだろう。

 さて、モリ・カケ問題で未だに尾を引いているにもかかわらず、経産キャリアの持続化給付金詐欺、国土交通省の統計改竄、いったいどこの国の話だ。半島や大陸、はたまたアフリカならいざ知らず、お上がこれでは民間だってデータ改竄、横領、ハラスメントはもっと酷いに決まっている。上から下までこれではモラルの国とは言えたもんじゃない。
 政治家に至ってはアフガニスタンの混乱に自衛隊機を飛ばしそこないかけた外務大臣、人権蹂躙の中国に対する対中非難決議を封じ込んだ幹事長、どちらも茂木敏光だ。エラソーなハラスメントで有名なくせにそんなことも決断できない(やらないとは決断したが)根性のないエリートだ。
 責任の取り方がなってない。森友問題について言えば自殺までして抗議した気の毒な犠牲者に指示した人間は存在し『私が忖度して改竄を指示しました』と明らかにするのが筋だろうに。総理が知らなかったのは明白だ。佐〇(当時)理財局長あたりが腹を切るくらいでなけりゃ納得感などあったもんじゃない。嘘をついているのは誰だ。それをはっきりさせないからSNSでバカな炎上騒ぎになる。罰則がなければ知らんぷりで通せると思ってるのか、モラルの問題だ。恥を知れ。嵩にかかって野党の福〇瑞穂や森〇子が自殺前日に近畿財務局に乗り込んでガタガタ追い詰めたら悲劇が起きた。
 2030年まで残り8年だ。堕落論ではないが、落ちる所まで落ちて膿を出し切って出直せ。僕はその頃古稀を超え、アルツハルマゲドンと闘っているだろうから、落ちていくのを見届けられるかどうかわからない。

半藤一利さん

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Categories:えらいこっちゃ

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