Sonar Members Club No.36

カテゴリー: 失われた20年とは何だったのか

ネットがもたらした事

2015 AUG 31 0:00:32 am by 西室 建

 それこそ20年前くらいからか。『失われた』と言われた間にネットは我々の生活に深く浸透した。それまでの職場はベテランも新人も電話にかじりついて怒鳴り合っていたり、罫紙に定規を当てて線を引いて資料を書いていたり、遥かに騒々しいものだった。又、経費節減のために通話料金が表示される受話器が導入されているところもあった。
 それが世界規模で通信費は限りなくタダになるメールのやりとりはおろか、スカイプで顔を見ながらの会議さえほぼゼロ・コストで毎日でもやれる。
 挙句の果てにこのブログのように、出版でもすれば大変な金と手間がかかりそうな(従って世に出すことが不可能な)どうでもいい文章が人目に触れることも可能になった。
 便利と言えば便利であり、お手軽といえばお手軽。
 聞けば大変な出版不況ということだが、それはネットでお手軽活字が世の中に溢れかえり、金を払ってまでそういったモノを手にしなくなったからではないか。一方で質の高いベスト・セラーはちゃんと売れている。
 しかしそれで、かつてであれば金と手間この部分を担っていた人の仕事が雲散霧消してしまったのではないか。

 山本夏彦氏が既に述べている。便利になって失うものは多いが人は絶対に前には戻れない、と。

 グローバル・スタンダード(好む所ではないが)も規制緩和もどんどん進むだろうが、多くの業務が失われていくだろう。行きつくところは好むと好まざるとに関わらず二極化が進む、当然ながら。
 中途半端は更に分が悪い。ITも取り入れた、海外展開も力を入れた、と一生懸命やってみるが、一般的に中堅企業は苦しい。運営するのに腰が引けてチェックしようと会議ばかりやることのなる。尚且つ一人が暴走してしまうと致命的なダメージを負うことになるから、いきおい慎重にもならざるを得ない。更に、各種システムが運用可能になった時点では多くの人が余るのだが、大企業ならいざ知らず家族経営的な中堅所では思い切った人減らしを躊躇してしまうからだ。

 世に『格差問題』が言われ出して久しい。恐ろしいことに広がる一方との報告も散見される。ネットの使い方も競争優位のツールとして使う側と、短い捨て台詞や娯楽の対照としてしか使わない層に分化しているのかも知れない。そして生活・仕事全般に至るまで、ネットのおかげで前者は一層密度濃く時間を使い、後者はよりスカスカな時間を過ごす。

 話が戻って、冒頭の『手間』の掛かる部分を担ったゾーンはそれでは失業したりニート・引き篭もりになったのだろうか。そういった統計を寡聞にして知らない。まさか全部がそうなったとも思えないのでやはり社会のある部分を支えているのだろう。
 そう言えばメールが『電子メール』等と言われていた頃、こういう物が普及したら会議などは無くなるかも知れないと思ったが、一向に無くならなかった。方針を上から下へと伝えるにも未だにそれなりのナントカ会議の体裁を取らないと組織は統括できない。
 労働人口が減るのだから『余計な手間』を省けるだけ減らすのは大変結構。だが今まで述べてきたように生産性の格差は縮まらない。
 

 ところで最近アグリカルチャー・デヴューしてから気が付いたのだが、農作物を小規模に育てることは実に精神衛生上好ましく、一方でオタク・ニート向きの作業かもしれない。大規模ともなれば機械化・企業化が必要かもしれないが、担い手が元々そういう管理形態に向いてない人々だから、あくまで個人的にやらせる。
 ちょっとだけ作業して有り余る時間をネットの娯楽に当てればメデタシメデタシとならないか。

 もっと別の話に展開したかったが、道草を食っているうちに下らないなオチになってしまった。

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爆買いの行方

2015 AUG 29 0:00:26 am by 西室 建

 銀座を昼間歩いて、今更ながら中国観光客の多さに感心した。
 地元のドラッグ・ストアにも『免税コーナー』ができて、いつも日用品をガッサリ買い込んでいる列に中国人が並んでいる。比率は圧倒的に大陸だが、どうやら台湾・タイといったところの人達もいるようだ。
 イン・バウンド効果大いに結構。これにはアベノミクスの円安誘導も一定の役割を果たしているだろう。

 一方で、その買い物客達の行儀の悪さも報道にある通り(九州に居たとき湯布院に新婚旅行に来ていた韓国人カップルは慎ましやかだったな)。しかし爆買いにはかすかに既視感がある。

 30年以上前のイタリアはフィレンツェのグッチ本店。バスで乗り付けた日本人のオバチャンの買いっぷりも凄かった。こちらも同じ観光客なのだが、一人でノコノコ見ているとダーッと日本語が聞こえてきて『ちょっとこれハウマッチー!』といった喧騒に囲まれ逃げ出した。「クオント・コスタ」くらい覚えて買い物に来やがれ、と思った。バブルの前のことだ。
 バブル時にハワイや香港ではもっと凄い光景があったことだろう。
 もっと昔、JALパックが人気があった頃。日本人団体旅行のマナーが問題だったのではないか。〇春ツアーがヨーロッパ某国や東南アジアで失笑を買ったことはなかったか。

 繊維だ鉄鋼だ半導体だとアメリカさんが散々ゴネた頃は『日本異質論』がバラ撒かれ、休日をやたらと増やされた。バブルの弾けにもガイアツの影を感じた。
 だが今に見ていろよ、と思った日本人の息の根を止める事などできはしない。このあたりでむしろ日本人の良質な部分が覚醒したと考えている。そうか、郷に入っては郷に従え、この前の戦争の時もコッチの言い分だけじゃ通らなかったじゃないか。マナーは合わせてちゃんとやりますよ。そこからが日本人の勝負所だ、と。
 まぁそう覚醒して20年以上経つわけだ。
 このあたりの感覚は爆買いの主人公達にはおそらく全く分からないだろう。何しろアノ連中は自国が世界なんだから。むしろ『日本よ、もっとチャイナ化しろ』と言って来る方が心配だ。

 昨今中国の株の下げっぷりが凄い。人民元を切り下げても、だ。おかげで世界同時株安が地球を2周した(8月21~25日)。円は上がった。天津の爆発もその影響の全貌は見えない。人民元切り下げという超非常事態をせざるを得なかったところに2015年からの憂鬱で予言したような不穏な雰囲気が漂う。

 しかしどうであろう、大陸からの爆買いに来日する人数は減りこそすれこのトレンドは続くのではないか(円が120/$の水準である限り)。それに消費される金額の何万倍もの不正蓄財が海外に移された後でもあるし。
 中国の実体経済は7%成長と言い出した頃からせいぜい3~5%が実態だろうと噂されていた。
 彼・彼女等がやたらと買い求めているのは日用品や家電量販店、免税の化粧品店が多いと聞く。彼らが使うのはもっぱらLCCだろうから富裕層と言わなくとも十分来日できるのでは。自国ではニセモノだらけだということをもう知ってしまったのだ。そもそもあの爆買いグループが全て株に投資している訳でもあるまい。
 この際、上海あたりから近い九州の空港内に、例えば佐賀・大分・北九州・宮崎あたりで一大爆買いランドのような温泉付きショッピング・モールでも作って、入国しないで買い物とスパ・リゾートを組み合わせてしまえばお金をジャカスカ落としてくれないだろうか。
 特に北九州は人工の海上空港なので密入国の管理なんかもし易いし、意外とコストは安いだろう。他に海上なのは神戸・関空・中部国際に長崎か。
 現代の『出島』にしてしまえば輸出に係る輸送コストもゼロで済むし、むしろ採算に苦しむ地方空港などは乗ってこないか、どうであろう。対馬に行って韓国人観光客の多さに仰天したことがあった。彼・彼女等はフェリーで来ていたが大して観光する訳でもなくウジャウジャ固まっていただけだった。

 プチ・富裕層が根絶やしになる前に『バクガイ』をブランド化してLCCとコラボし、北九州空港あたりを『KBL(キュウシュウ・バクガイ・ランド)』にする構想を誰か計画しませんか。

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ドキュメンタリー ギリシャがやっちゃった

2015 JUN 29 21:21:37 pm by 西室 建

 このようなギリギリの調整というのは最後の一晩で決着がつくものだとは考えるのだが、銀行閉鎖とは。

 ユーロ不安から円が高くなった分だけ日本の株価は下がるが、あまり慌てるほどではないだろう。2万円台ならば問題無い。為替というのは不思議なもので、経験則上では急激な変動の危機感が持続するのは3カ月程度なのだ。無論その後の調整には1年くらいはかかるのではあるが。円建て外債はダメだろうが900億だったか。

 しかしどうだろう。EUの盟主になっているドイツは2月時点でこれを読んでいた気配がある。保有国債が紙屑になってしまうことを覚悟して人質のように他のEU諸国を揺さぶったのではないか。何しろ貿易黒字の多くをEU域内で稼ぎ出して、言って見れば食い散らかしているわけだ。
 しかしユーロ圏南欧諸国の債務危機があった2012年に比べると、市場は動揺していない。100年前だったら戦争でも始まって植民地にされるところだったろうが、今更そうはならない。
 デフォルトはするのだろうが、そのこと自体の影響は限定的。ヤバかった南欧諸国も2012年時点よりはマシになっている。予想されたデフォルトは急に起こるものではないから、あの程度の国が破綻したところで恐慌などにはならない。
 問題は時間稼ぎのつもりでやる国民投票の結果、ユーロから(ギリシャ国民もEUも望まないにも関わらず)離脱する道筋がついてしまう場合だ。そもそも国民投票なんかに掛けるような問題ではないと思うが。EU(ドイツ)は弱い国をしゃぶって見捨てるという評価になってしまいう、そうなりゃ信用縮小だ。
 英国もEU離脱に舵を切る。自国内でスコットランドの独立問題を抱え続けて大陸のイザコザに巻き込まれている余裕なんかない。
 フランスはギリシャ国債もドイツよりも保有していてダメージは格段に大きいが、それでもドイツに擦り寄るしかあるまい。 

 しかし思いもよらない所に問題が発生するきっかけになるかもしれない。
 例えば中国。株価の下落が始まっている上に、外交も上手く行っているとは言い難い。ヨーロッパは大きな輸出先だ。おまけに国境を接している北朝鮮は経済制裁を受けていて、全ての外貨決済はユーロなのだ。下落が起こってしまうとタダでさえ破綻している北がグシャグシャになってしまう。その場合38度線より中朝国境の方がヤバい。38度線では簡単に跳ね返されてしまうからだ。いや、何も戦争という意味だけではなく難民流出や治安崩壊ということも含めて。
 当然韓国経済は中国のダウンの影響大、さすがに日本も無傷では済まなくなるか。

 そう思ってヨーロッパのマーケットの開いた夜のニュースをチェックしたが、株価は2~3%の下落と円高後の東京マーケットの下落程度でしかない。そして思ったよりニュースの扱いが小さい。

 少し他の地域に目を向けると、これまたなかなか難しい。
 全く手が付けられないIS問題はアメリカが本気にならなければ絶対に無くならない。
 テロも所構わずだから始末に悪い。
 ウクライナも、実質ロシア軍がウクライナ軍に勝てていない。ロシアは、中国はギリシャにちょっかいを出すだろうか。
 
 どうも日本のプレゼンスが上がる気がする。
 このブログはフォローします。ドキドキするけど・・。

 
 

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ところで失われた分を取り戻せるのか

2015 MAY 9 17:17:28 pm by 西室 建

 最初から何だが日本型の密度で仕事をするのは、グローバル化が進むだけ進んでしまうと成り立たないのではないだろうか。
 色々と話をしていてアメリカ人だろうが中国人だろうが単純なビジネスの交渉ではしばしば『こいつらもうちょっと真面目にやれないのか。』と思ったことが何回もある。2000年代の頭の頃に(2002~2007)日本の素材をアジアや大陸に売りまくって組み立てた製品を北米に輸出する、というモデルに悪乗りしてまぁカモにしていた。ところが日本側は交渉のプレゼンの手続きまでは異常にエネルギーを使ってしまい、その場に臨む前にもう仕事が終わったような気になってしまう。最近読んだ本にうまいことが書いてあった。『日本人は非常に能率的に非効率な仕事をする。』そういうノリではどうも通じなくなって来ているのかも知れない。
 実は当時からもアメリカ人(白人だったが)の、見た目のトロさやだらしなさの合間からは思いもつかない集中力に一瞬ヒヤリとしたことや、中国人のやたらと友好的な態度の中にチラチラ覗く拝金主義的な上から目線にハッとさせられたことはあった。その場の交渉力では正直歯が立たなかった。
 合同演習をした海自の将校さんが言っていた。アメリカ海軍は普段時間には遅れたりダラダラしているように見えて、実践訓練をやってみるとこれが強いらしい。概して実戦向きなのだろう。
 京大教授の故会田雄二氏によれば、言い方は悪いが24時間ダラダラと且つ粘り強く働く、今日も明日もあさってもメリハリ無く働き続けるのはアメリカ人や中国人にはできないが、日本では(僕は別にしても)可能だという。現在でもしばしば悲劇を生みかねないブラック企業などが潜在的に存在している訳だ。
 更に欧米・大陸は少数民族を奴隷的に使う体質を共通して持っている。アメリカは移民を飲み込み、中国は異民族は言うに及ばず農民戸籍の人間をいくらでも苛める。こういった体質はグローバル化との親和性が高く、資本も国境を越えてダイナミックに移動できる。大陸が?とお思いのムキはあるかもしれないが、東南アジア中の中華街が強固なネットワークを築いていることを見れば一目瞭然であろう。この点多少の異論もあるかもしれないが話が進まないのでチョッとそういうことにしておいて欲しい。いい悪いは別として日本人はそういうタチにはできていないから、その真似事をすれば失敗する。グローバル化に乗り切れなかった所以かとも思う。
 大陸とは一定の距離を置いている方が相互にハッピーであること、歴史が証明しているではないか。一人頭はまだだがトータルGDPは既に2倍近い。相手の挑発もあるし、今更わざわざスリ寄って行く必要は無く、来たら追っ払い続けていればいい。むしろそれぐらいがいいのではないか。
 
 ところで、我が方が経済的に優位に立っていて中国というリソースを使おうとしていた頃、見るのもおぞましい振る舞いの日本人がウジャウジャしていた。中国語も覚えず、エラそうにふるまい、下品な物言いにゲラゲラ笑う日本人の塊は中国中にあちこち固まっており、日本でリストラされた腹いせか金に目が眩んでいたような顔は醜悪そのものだった。そういう特にエンジニアが自分の持っている2流の技術をペラペラ喋りまくっていた。
 その前には同じようなのが半島にゴッソリいたし、そのまた前には怪しげな英語使いがアメリカをウロウロもしていた。
 皇軍の軍律厳しく国際法を順守し規律正しくしているうちは評判が良かったのが、調子に乗って変なのが巾をきかせていた大陸浪人なんかもああいう顔をしていたに違いない。
 しかし今日位になればもうそういう連中は使い尽くされてお払い箱になっているだろう。一時いい思いもして稼いだんだからおとなしく引っ込んでろ。

 繰り返しになるが日本はグローバル展開に乗り損なったのだ。それに乗ってうまいことをやったのは、先程から例に出しているチャイナやアメリカであったのではないか。
 そして最近言われ出したニュー・ノーマルという無成長経済になってしまった。これ、以前はゼロ・サムという言い方だった。そして格差が広がったことになる。
 現時点ではEU・ロシア・南米に好況感はない。ドイツだってギリシャが弾けたらタダではすまない。
 勝ち組のはずの大陸でさえ気の遠くなる程の不正蓄財を国外に持ち出す政府幹部は後を絶たないし、アメリカは世界の警察の座から自ら降りた。だいたい使い切れないほどの資産を国外に持ち出そうとする輩がガサガサいるなんてロクな国じゃないだろうに。
 翻ってこの程度の格差なら世界水準から見れば上出来だし、今後は人口も減って縮小均衡はやむを得まい。
 いっそのことガラパゴス化を徹底させてサーヴィス産業を充実させたりする。すると特に日本語の参入障壁が高いのでまず外資は入れないし、今の為替が維持できればそれなりにやっていける(突発的な外部要因除くが)。爆買いやガイジン観光客の増加は実に結構なことで、ニューノーマル経済にソフト・ランデイングすることは可能ではないか。製造業は匠の技で必要なものだけを作る。

 一方いとも簡単に国境を越えてビジネスを立ち上げられる優秀な人材は現在でも多く、今後も続くだろう。そしてそういう一握りの逸材達はそれこそサッと日本語を捨てる方向に行くのかもしれない。そういったビジネス感覚の研ぎ澄まされた人々は自分のビジネスに一番能率のいい言語を選ぶだろう。日本のマーケットはニューノーマル・ゼロサムで結果縮小均衡するのだから。

 異論・反論 歓迎します

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一般不均衡理論

2015 APR 17 21:21:32 pm by 西室 建

 最近考えているが、経済学で言う『新古典派』の均衡理論は長期的に(100~200年)そうかも知れないが、実体経済というものは社会的な環境の視点を通してみると違っているのではないか。私の仮説だが、必ずしも経済合理性で行動しないゾーンが(先進国でさえも)一定の比率で存在して攪乱要因となり、更に確率論として試算し得るモデルを凌駕してしまう時に雪崩を打って逆バネにする「オーガニゼーション」が発動されてしまうのではないか。
 これは・・、となった時にカラ売りを組織的にやる、或は見切りを付けて資金を引き揚げるプログラムは常に内在しているのではないか、とも思っている。
 僕は『アジア通貨危機』を末端管理職の時代に目の前で見た。比較的順調だった東南アジアの通貨がガンガン売られ、韓国はIMFの管理下に入った。
 ITバブルも味わった。あれ以来「バブルというのは終わってから気づくもの」といった定義がなされたと記憶するが。
 その後更に情報技術が進みスピードも上がったにも関わらず、リーマン・ショックは起こった。前年にサブプライム・ローンが飛んで、年が明けるとベア・スターンやファニーメイと大型の破綻が続いた。これらが奇数月に起こったので出まかせに『次は9月だ。』と言いふらしたら、本当に9月の末にリーマン・ブラザーズがやらかしたので慌てた。しかしその際にも、実は猛烈なカラ売りで荒稼ぎした者はいた。ただこの『稼ぎ』の部分はすぐには現金化されないので全体の信用が縮小する。しかもすぐには返済できない不良債権への評価が算出不能なレベルだったため、国による救済がどの程度の効き目か分からずに混乱を極めた。

 実はヒラ時代に商品先物相場に入れ込んだ時があって一か月くらい夢中になっていた。供託金を積んでその10倍位の金額で売り買いをする。業者はしきりに将来の値上がりを説くのだが、胡散臭かったので逆を張った(業者はヤメロと言ったが)。この時カラ売りを覚えて専らウリの側に回っていた。最初の3日で負けて、供託金を倍にして買いに走る。するとすぐに損を取り戻したのでもう一度手仕舞いしてウリを掛ける、マンマと当たって一週目は大勝。翌週も同じことをすると勝ちが火曜日には消えた。この時に手仕舞いしないで供託金を更に積む、丸損で2週目が終わる。翌週は毎日朝ウリを掛けて、昼休みに結果を聞いては逆張りを掛けることを繰り返して一週間やってチャラにした。このあたりで頭がいっぱいになり仕事に支障をきたしてきて怖くなった。途端に大負けしたので追証が追いつかなくなって止めた。結果は始めた時の供託金の10倍の金を蒸発させてしまった。白状するとこの経験があって、言うところの『均衡』は理論的にない!と確信した。いったい幾らか?言えるわけないでしょ。ワタクシ事で恐縮だがこのせいで結婚が大幅に遅れた、とだけ言っておこう。

 最近『格差論』が盛んに議論される。数字上ではそうなのかも知れない。しかしr>gの仮説を全面的に支持する気になれない・・・。日本においては低金利と上がらない土地のため、個別格差の広がりはそう大幅でもない(シングル・マザーや引きこもりといった各論は別)。例えば大資産を形成していたはずだった企業グループも、銀行護送船団方式にイチャモンつけられた後にはメーカーも銀行も数を減らし、従業員も減らした。
 結局バブルというものは均衡状態が大きく乖離しており、多くの人が先々の信用が拡大しているつもりになって発生する。その均衡を嫌う市場の一部がスタビライズされて行き、いわゆる負のチカラが溜まって来る。そしていらないもの(製品・サービス・建築物・その他等)が目に余るようになると一気に崩壊してしまう。ましてやグローバル金融がこれだけコントロールできなくなってしまうと、崩壊は常に突然なのだ。昔だったら戦争に違いない。
 冒頭の仮説に戻ると、少し極端だがグローバル金融は均衡を嫌うのではないだろうか。まして『レバレッジ』が効いており、高速売買が常態化し、人工知能が判断することとなればビッゴ・ストリームは緩やかな調整にはならずにある種の崩壊を招く危険を内在せざるを得ない。

 念のため断っておくが、証券・金融を否定しているのでは全く無い。それらへの経験もないため、そこはSMCのエキスパート達におまかせしたい。

 今日の黒田日銀の緩和政策も異常と言えば異常事態に違いなく、出口戦略が言われだして久しい。イェレンの緩和中止が聞こえてきたら即座に対応すべきなのではないか。
120¥/$の居心地の良さにも慣れてきた。株価は2万円。

 カラ売り組の息遣いが聞こえてくる。
 
 随分手にしていなかったが、久しぶりにシュンペーターを読み直してみようか。昔読んで例の『創造的破壊』について、妙に腑に落ちたことを思い出した。

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円安と株高

2014 NOV 5 11:11:20 am by 西室 建

 自信満々の黒田総裁の異次元殺法がさく裂して株価は前場で一時1万7千円の壁を突き破り、円は110円/$を飛び越えて113円だ。この市場ショックを見極めて、安倍総理は消費税増税の決断をしなければならない。じつに効果的なタイミングだと思う。恐らく財務省はこれで消費税アップは安泰と祝杯をあげているだろうが、ちょっと待てよ。そんなに単純か。安倍総理はあと6年を狙らっているのだから、役人に煽られて遮二無二3党合意に乗っかる舵取りをするほどヤワじゃない。現状は国債を日銀が一手に引き受けてしまい、ろくすっぽ市場に出なくなったため政府の方は日銀に対する返済をすればいい。即ちどうにでもなる。一応禁じ手とされるがもはや多いか少ないかの話。
 一方である程度の株は輸出型大企業が核になって業績が潤って見えるのだが、企業の収益力を示す株価を現在の為替ドル表示で冷静に見てみると概算で20%程度の上昇しか見られない。これはほぼ円安による手取り現金の上昇にリンクする。
 しかも国際情勢の不安が大きすぎて、予測はどっちに出るか予断を許さない。
 まずはイスラム国の大暴れ。石油価格とテロのリスク。二つ目はエボラ出血熱。どこに飛んでくるか分からない恐怖。第三にウクライナ情勢。プーチンのブラフかと思っていたが、双方引っ込みがつかなくなってしまわないか。そして香港。何かの力が働いていなければ、あのスピードでマスクや傘が行き渡るとも思えない。心配なのは香港のキエフ化だ。場所柄第三勢力が入り込みやすい。
 これらはむしろ円の安全性が評価される方向が一般的だが、アメリカの緩和出口政策の前の絶妙なタイミング、黒田総裁乾坤一擲の勝負と評価したい。

 今後については突発的な例外を排除していくつかのシナリオを考えてみる。
シナリオ1
 消費税増税時期延期 ドル150円 株価 19,000円台
 7~9月の統計を見て判断するとすれば、それ程アクティヴではなく、年内に来年の10%への上げは難しくなる。しかし三党合意によって法制化されているため、財務省系の猛烈な圧力が安部政権を揺さぶる。そこで、執行時期を半年~一年延ばす、あるいは1%づつ2年に渡ってあげる。インフレ目標は達成される。

シナリオ2
 予定通り増税    ドル105円 株価 15,000円台
 結局三党合意のまま来年10%になる。一方で国際マーケットは円の安定感を重視して円買いに進み、100~105円に落ち着く。結局第三の矢が短期的に景気を押し上げる力にはなり得ず、格差は縮まらない。奥の手は復興を中心に大幅予算をつけてメデタシメデタシくらいか。ただ日米金利差が拡がると130円くらいになる。

シナリオ3
 消費税大幅延期 衆議院解散  ドル 180円 株価 11,000円
 各種数字が悪いところへ持ってきて沖縄知事選で負けてしまった安部総理は衆議院を解散する。泡を食った野党は当然敗北し、自民党圧勝するも消費税は『時期を見て』と玉虫色にされる。アメリカが金融緩和を縮小した時点で円暴落。物価は上がり株価も下がる。ただ国債は暴落しない。政府は強権的になる。日本TPP交渉から離脱。

 どうせ当たりっこないけど、言ったもん勝ちで・・・・。あしたにも訂正したりして。

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失われた20年とは何だったのか (序説のオマケ)

2013 SEP 13 15:15:42 pm by 西室 建

 東 大兄のシリーズにて、この期間の証券三国志的な迫力あふれる記述がなされました。大いに知的好奇心が触発されたところです。多くの示唆がありました。

 まず、’97年分岐説。我々世代は40代前半で序説に書いた通り一向に減らない不良債権の影におびえつつもそれなりの勝負を掛けていた頃です(今手抜きをしているという意味ではありませんが)。当時は中堅ということで、実際のプレイヤーとしてもジタバタしつつ、同時に後進の育成にも当たっていた訳です。この頃確かにオヤッと思ったことが幾つか思い当たります。一言で言えば権威の喪失、とでも言うのでしょうか。従来型の『親方日の丸』的なものに、特に若い人達が全く魅力を感じなくなってきた実感がありました。当時の就職希望学生と話をしていて、学生などはどんなに勉強していても産業構造の実態について論破されるはずもなく、むしろツベコベ言うような輩に「ホウ、それで?」というスタイルで接していましたが、優秀そうな連中程「あんたらの言ってるとおりにゃならねーだろ。」といった寒々しい反応が返ってきたのがこの頃でした。官僚よりは外資、既存企業よりはベンチャーといった流れができて、それは今日に至っているようです。二つの流れが始まりました。

 2001年は9.11という、アメリカがひっくり返るおぞましいテロが起きています。私の同期同窓の金融マンが二人犠牲になりました。アメリカはビックリし、怯え、その後底力を奮い立たせます。余談ですがこの時に思い出したくもありませんが『中にはいい気味だと思う人もいるのでは』的なツウィートをした恐ろしく低レベルの社民党女議員がいました。ここまで低俗な発言を政治家たるものがうかつにも外に向けて発信するのか、と気が遠くなったものです。

 2003年から2007年は製造業は高レベルの稼働です。そしてこの間がほとんど小泉内閣でした。SMCは政治談義は御法度ですので、そちらはさておき経済面だけで言えば、そこそこの成果があったかに見えます。不良債権はこの間金融機関の国有化を経て縮小し、更に再編が進み何か改革が進んだ高揚感が無きにしもあらず。しかし、内閣総理大臣が陣頭指揮をしたとも思えません。密かに噂されていたのは、総理の経済オンチをいいことに竹中氏が丸投げされたと言い触らし、中身を木村剛氏にこれまたブン投げた、あれはいくら何でも、というものでしたが。そう言えば木村氏も日銀出身でした。その後振興銀行はあっさり失敗しています。

 さて次の東 大兄の指摘、経済のスケールの伸び縮みという観点のデフレ解釈。小泉内閣期を通じてジワジワと燻っていましたが、この時から『格差』という言い方が始まったのです。東理論でいくとスケールの伸びによるデフレ感は低所得者、年金生活者の方に相対的に重いことになります。全くその通りです。ですが、私はその前に感じた次世代への違和感が我が世代の逼塞感と共鳴し全体的に拡がり、もう少し違った上記二つの流れが顕在化したように捕らえました。不幸にして小泉後、第一次安部内閣の無残な結果から大混乱が続きます。政治は翻弄され続けて、リーマンショック(5年前)3.11震災(2年前)と試練の連続です。その間に民主党政権を挟んでいます。災害については、現在も苦しんでいる被災者に同情を禁じ得ません。

 二つの流れ、というといかにも上、と下、に聞こえるかも知れませんが、意味するところは違います。むしろ右、と左くらいの感じです。格差という言葉には違和感があり、固定された階級などこの日本に全く存在していないと考えています。一般に非正社員、失業者、広くはニート、引き籠もりが格差の被害者ということでしょうか。確かにジニ係数等にはその傾向が見られますが、例えば被災者の方々より苦しんでいる非正規社員とはどういう人なのでしょうか。以前書いたように、私のパラメーターではニート・引き籠もりの類いは生活満足度は上位にランクされます。二つの流れとはうまく表現できないのですが『耽溺型』と『傍観型』位にしか表記できません。このあたりの論考は又別途検証したいと思いますが、確かな感覚として少し上の団塊世代はこの二つには分類できないのです。実際にはフーテンとか古い言い方ですが全共闘世代といった呼称は色々ありますが、それなりの理論武装をしたつもりの、何かに反発する形でのエネルギーを放出したがるタイプしかいません。反論大歓迎ですのでご教示頂きたいと思います。 

 東 大兄は『失われた』の部分をアングロ・サクソンに一泡吹かせた後の虚脱感と喝破したように読み取りました。卓見です。我々の世代はデフレ期間とされる昨今(というには長いのですが)を苦戦しつつも辛くもしのぎ、今後に上記二つの流れを示唆したのではないでしょうか。しかしどちらがどうとは言えませんし、これからも不況も危機もあるでしょう。それはそれとして。

 まさかのオリンピックがあと7年。 実は個人的に帰京以後環境の変化があり、私自身は現在『成仏派』を自称しております。オリンピック等のスポーツイベントや行事は今までTV観戦しかしませんでしたが、是非ナマで観戦し、参加したいと思います。その頃60代半ば、果たしてどうなっていることやら。楽しみが増えた気がしています。

 

 
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失われた20年とは何だったのか(ポスト・バブル序説)

2013 SEP 7 10:10:36 am by 西室 建

 9月のテーマが上げられました。他にも同じような言い方で「15年」「バブル以後のデフレ」というのもあります。いずれも同義で、株価が日経平均で3万円を割って以降日本の相対的ポジションが下がりデフレが続いている状態を指しています。

 実はこれ、多くのSMCメンバーの現役時代とまる被りなのです。私の例を引きます。入社したメーカーはその時点で既に合理化計画を発表していて、ヒラ社員の間じゅう圧延ミルの休止、それに伴う同一品種のミル配分調整、半製品輸送の交錯輸送対応といった仕事でさんざんコキ使われました。そして言うところのバブルの崩壊、これでは持続的発展など覚束ない、多角化だ、と管理職になるタイミングで新材料部門に配転、以後ズーッと・・となるのです。それこそ個人的にはサラリーマンの全部を「失われた」につきあったことになります。

 とりあえず20年にしておいて、1993年中心にどうだったかというと、株価は大雑把にいって1万4千円、レートが1ドル=108円という昨今見たことのあるような数字。野茂がアメリカに渡ったのが20年前。私の息子は23才ですから、少年時代を全て「失われ」てしまった訳です。無論その間色々あったのですが、私が実感したキーワードは① 橋本内閣消費税アップ ② アジア通貨危機 ③ 米国ITバブル崩壊④ リーマンショック ⑤ 超円高 そして二度の政権交代でしょうか。2005年頃、ぼんやりと日本国が安定するのは2010年ぐらいかな、とある勉強会で預言しました。2010年には民主党への政権交代がおこり、このときは(政権交代可能な体制の緊張感で)預言通り政治的成熟期になった、と自慢してました。その後の評価はひとまず置きます。

 当時は半導体材料を手掛けていたので上記事象(二度の政権交代を除き)はいちいち大変なことになりました。しかしながら、2003年から2007年まで製造業は好況感があり、ラインはフル操業をしていたのです。しかしその時期も含めてなお『失われた』期間に入れられています。そしてグルっと廻って今日(2013年9月6日)日経平均1万4千円、為替=100円となっています。日本企業の国際的な収益力の評価は紆余曲折を経て元に戻った、或いはなんのイノベーションも起こらなかったのか。

 バブル期、当時大蔵大臣だった橋本龍太郎は国際会議において金融政策を質問され『土地の値段を下げることが、当面の第一課題である我国は・・』と回答したことを強烈に覚えています。それ程土地は狂い咲きのように上がり、銀座はまる源ビルだらけになり、六本木のビルもオーナーはしょっちゅう変っていました。バブルの定義は一般的には『投機』と考えられていますが、私の理解は少し違っています。普段はあまり表に出て来ない魑魅魍魎(アングラ・マネーとも企業舎弟とも括れる闇の金の流れ)が時流に乗ってゾロゾロと這い出してくる、その隠れ蓑に様々な形を変えた各種機関が入り交じり(例えば商工中金)制御不能になることがバブルではないかと仮説を立てています。最終的に誰かが(この辺わからないので専門の方に教えて頂きたいのですが)カラ売りに転じた途端に市場が崩壊していくと考えています。

 あれからすでに20年は経っているのですが、そのころ実際の不良債権なるものが本当はいくらだったのか試算できた人・及び機関はなかったのではないでしょうか。10年を経てその残高総額は増えていました。何をやってもジワジワ増えていく恐怖感は金融関係のみならず身の回りの中堅企業をも痛めつけていました。当時のゼミOB会で(伝統的に私の出身ゼミは金融が多かった)後輩達に『お前等!本当はいくらなのか正直に上にあげろ!』と言ったものでした。その後輩達も再編再編となって今では似たような冠の名詞を持っています。

 故吉川元忠神奈川大学教授の『国富消塵』には、日本のバブル崩壊からアジア通貨危機まで、米国に資金が環流されるシステムがいかに緻密にできていて、インペリアル・マネー・サイクル(これは私の造語です)とも言うべきハンドリングが成されていたかを分析しています。

 その後続く円高基調でメーカーはグローバル展開、海外進出の大合唱です。90年代にはそれはマレーシア・タイあたりに工場進出することを意味し、2000年代では中国に行くことを指していました。しかしブームにのってマレーにいった半導体の組み立て工場でオリジナル・シングル・ネームの操業を続けているところはほとんどありません。中国は中小に限って言えば、7割近くが聞くも涙語るも涙の惨憺たることになって撤退しているのが実態です。私はそのころ、台湾で提携をし、フィリピンに工場を建て、中国にサテライト・ユニットを出しました。顧客はアジア中に散らばっており(韓国も含みます)一部本社機能はアメリカにありました。8泊10日で地球を一周する出張もしたことがあります。西回りでいって死ぬ思いをしたので、東回りでもう一度です。

 そしてリーマンショック。前の年の夏、サブ・プライム・ローンが破綻。とうとうやったか、が第一印象でした。年が明けてベア・スターン、ファニーメイと続きます。流石にこれでは済まないと考えました。不思議なことにいずれも奇数月に起きたものですから9月は身構えたのですが平穏に過ぎる、と思った月末に突然来ました。その後は諸兄ご存知の通り。

 しかしながら、アメリカは全然懲りていません。オバマ大統領にしても、ウォール街の代弁者といって差し支えないのではありませんか。むしろ次の(例えば中国の混乱?)チャンスにしこたま儲けてやろうと牙を研ぎ澄ませているとしか思えません。アメリカだけではありません。評論家佐藤優氏は、再び帝國の時代になる、と言い切っています。アングロサクソンの御本家U.Kは明確なアジア戦略を練っていそうです。国家の意思なのでしょうか、香港を失ったリベンジを考えていないはずはない。このあたり、陰謀史観論者などは面白く見立てていて、いかにも、な話が流布されています。

 日本は大雑把に括られた20年でも15年でも良いのですが、少なくとも国家戦略としての強い意志はありませんでした。いや、二つだけありました。財務省と日銀のローカルな意思というのはありました。財務省のプライマリー・バランス回復のための消費税増税と日銀のマネー緩和へのためらいです。識者の意見などというものは、中身なんかありません。誰かの意思を伝えているだけです。第一学者の言うことなど当たった例しがない。

 私の周りには来年の消費税増税に異を唱える人はあまりいません。上げるべきですがタイミングがよろしくない。もっと前から1%づつやれば良かったのです。(筆者注 その後2020年の東京オリンピック開催という後押しがあった。恐らく問題なく既定路線の3党合意のまま可決されると思われる)各論はさておき財務省のスゴ腕達は、政治的バックグラウンドの強い大臣の時は比較的おとなしくし、素人同然の管直人、野田毅彦の時に猛烈にチャージをかけて手玉にとり陥落させました。見上げたものです。私はこちらのほうは評価するのですが、一方の日銀はどうでしょう。政治からの独立を盾に何もしていません。無論彼等の内部資料にはあれもやったこれもやったと書いてありますが、そうでしょうか。

 国内でのみ消化される日本国債の暴落ー金利上昇はどのモデルをみてもありません。日銀券の増刷は数少ないすぐにやれる政策(議会の承認もいらない、コストもかからない)のはずです。20年というものは我々の現役とほぼ被ると言いました。即ち現日銀幹部も我々と同じ蹉跌を噛み締めて来ているはずです。しかし大量のマネー投入というどこの国でもやっていることを全くやろうとしませんでした。恐らく日銀伝統のアンチ・インフレ・イデオロギーに触れれば飛ばされるなり流されるなりして、議論の俎上にも上がらなかったのでしょう。

 そうこうしているうちに、これだけ通信機器が発達しグローバル化も進み、瞬時に世界が同時に反応できるようになっても、日本企業の生産性なりイノベーション・スピードなりが優位を保てなかったのが、冒頭の株価・為替一巡を指していると思います。それらは日本以外で起こってしまい(例えば中国で)私達の可処分所得は目減りし続けているのではないでしょうか。

 私は7月のテーマだったアベノミクスに強い期待を持つ者です。この20年間力強く育ってきたインダストリーは無いのです。不幸な災害により、エネルギー産業という穴場が今後勃興する可能性は否定しませんが。ソフトバンクも楽天も若い天才的経営者が優れた業績を造り上げましたが、あれはビジネスモデルなのです。ライブ・ドアや村上ファンドは惜しいことをしたと思います。この辺やはりメーカー育ちなので、他のSMCメンバーとは違うかも知れません。投資減税、法人税減税(大体払ってない輩が多すぎるが)、経済特区、などを次々に繰り出すことを望みます。三本でも一本でもいいですから元気にやれる(私はそろそろチンタラしますが)ように、まずやれそうでやれなかったことを何でもやる、でいいじゃないですか。

 しかし、20年を総括することは、書き出してみると中々手強い。SMCの手練れの金融出身諸兄殿、これらのタワゴトが数値化・モデル化できますでしょうか、お知恵を拝借、御意見拝領。何しろ『序説』ですから。

 これからのことは又、別のテーマで。

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