半藤一利さんの予言
2022 MAR 8 0:00:11 am by 西 牟呂雄
先般亡くなった昭和史の泰斗である半藤一利さんは、2015年時点の著作のあとがきで不気味な予言をされている。40年サイクル史観である。
1945年のボロボロになった敗戦の40年前1905年。日露戦争に勝利した年がピークであり、その時点から破滅への序章が始まったと仮定する。その40年前は慶應元年で、この年に朝廷の勅許を得て国策としての開国が決まった。即ちそこから維新を経て日本が必死にのし上がってくる期間である。
一方敗戦の後に占領が6年続き、1951年から再び経済発展をやってのけて勃興したものの40年後の1991年にバブルが弾けて長い下り坂となる。デフレによって失われた20年も含まれ、2030年までは何をやってもダメという仮説だ。あと8年かかることになり、筆者は古希を過ぎて生きているかどうかもわからないという絶望的な話である。
それとは別に72年サイクル説というのがあって、この説は開戦の1941年を軸に、72年前の1869年は明治2年。この年、維新が成って東京遷都が決まり明治天皇が京都から江戸へと移ってこられる。五稜郭が落ちた年でもあり、藩籍奉還が施行された。まぁ、この頃は毎年いろいろ起こったので何とでもいえるのだが。で、72年後はというと2013年だが、アベノミクスの最終兵器、黒田バズーカが炸裂し大っぴらに緩和政策が始まった。日本が既に落ち目になり果てたドン底だったとも考えられる。オバマ大統領の二期目や北朝鮮の原爆実験をしたことが印象深い。また、ロシアで隕石が落ちた。ま、こちらの仮設では現在勃興期に入っているはずが実感はない。どうでもよい、僕が考えたサイクル説だから。
冒頭の半藤仮説に基づくと後8年で再びドン底に落ち、そこから再出発する。恐らくその立ち上がりを見ることはできないが、ドン底はいかなる状況だろうか。
まず心配なのは大陸勢力の台湾進攻が現実のこととなり、巻き込まれてしまうことだろう。その地ならしのための工作はすでに始まっていることは間違いない。いつやるのかはさすがに分からないが、その戦略を練っていることは確かだ。
次は同盟関係にあるもののアメリカに再びねじ伏せられるケース。僕はマネー敗戦とも言われたバブルの崩壊はアメリカの陰謀とも考えている。神奈川大学の教授だった元興銀マン、吉川教授のインペリアル・マネー・サイクル理論を支持している。若い現役はあのバブル崩壊の後遺症を知らないのだろうが、弾けて10年後には銀行負債は増え続けたのだ。その後リーマン・ショックまで我が国は蹂躙され続けていたのが事実である。
いずれが8年後に日本をドン底に落とすのか分からないが、たったの8年だ。それが必然であるならば(仮説だが)、ポスト・ドン底のために準備しなければならない。
僕は現在の円安は危険水域だと思っている。しかしながら今、緩和政策を止められないのも確かだ。するとやれることは予算配分の長期視点からの配分しかない。
憲法改正ができるかどうかも分からない中で、ポスト・ドン底後に国の足腰を強くする提言が二つある。
第一に防衛力の強化であるが、今から間に合うのはサイバー戦力を飛躍的に向上させること。これは防衛ハードのコストは大したことはないので予算化もしやすい。僕の見るところでは8年後の戦場は一変しているはずだ。日本も世界のトップを走っている量子コンピュータの実用化によって今の乗数倍のスピードで産業の在り方を変え、サイバー戦力を変えて行く。
このサイバー戦という概念は時間も空間もない。瞬時に相手の軍事インフラに止めを刺せる。しかも我が国は他国を侵略することはないので、その後侵攻する地上部隊は必要ない。おまけに攻撃を受けた側はどこから誰が仕掛けたのかもわからないだろう。
何しろ今でさえ北の国やら大陸やらの攻撃は続いており、ある意味もはや戦場なのだからこちらからの攻撃が問題にはならないのである。僕は同盟国からの攻撃も受けているのではないかとさえ疑っている。すなわち専守防衛の概念すら存在しない。
問題は、このサイバー戦を仕切る将官がいないことだ。現在のオッサン達、並びに8年後に指揮する年代では使い物にならないと思われる。従って今から防大・少年工科学校生徒の中からスジのいい学生を専門官に育成すれば8年後にはそれなりの指揮官になるだろう。天才はある確率で出るからいまから8年もかければ必ずモンスター級の人材が確保できるはずだ。兵士クラスは引きこもり・オタク層に年齢を問わずに高い給料を提示すれば間に合う。
次に、戦略科学技術の育成である。『2位じゃだめなんですか』以来、削りに削られていた科学技術予算を大幅に増やすことだ。どの位の貧弱さかというと、例えば防衛関連で見ると日本の政府開発予算4兆円のうち防衛省に回るのはたったの2千億円。アメリカの国防関連予算は12兆円。これでは上記サイバー戦開発につぎ込むどころではない。GAFAの合計開発費は20兆円と見積もられるらしいからもはや国家並みだ。防衛予算にばかり話が行ってしまうが、他の基礎研究も推して知るべし。
特に政府の研究開発の仕切りには反自衛隊・反自民党に凝り固まった日本学術会議が深く関わっており古色蒼然とした体質を保持し続けている。
しかし、僕が以前携わった新材料開発に関してアメリカはこうだった。無論初期の材料コストは開発も含めて汎用品より遥かに高い。それでも機能が高ければ採用をしたのは軍事産業だった。すなわちコストは5倍だが敵より攻撃・防御能力が倍に上回れば採用される。すると約10年を経て量産化されコストも下がってくると民間でのアプリケーションが可能になってきていた。もっともアメリカでは、だ。
第二に教育への傾斜投資を考えたのだが、ゆとり教育の失敗とかいう話ではない。 僕は長く海外業務に携わっていながら、だからこそ『グローバル化』だの『新自由主義』といった風潮に苦々しい思いを持ち続けてきた。別に海外で稼ぐことに文句があるのではない。そういった風潮を煽る輩が調子に乗って伝統破壊をあたかも錦の御旗のように言い立てるのが嫌なのだ。
インドだろうがベトナムだろうがフィリピンだろうが、そこにはそこの作法があり伝統もある。異国である日本人としてどう接するか。それなりの矜持を持つのは当然としても、相手のある限り日本を背負って接しており、どんな相手にせよ向こうは『日本人』として見ているのだ。『日本人』とは突き詰めて言えば日本語である。日本語で考え日本語で喋り日本語を読んで暮らしているではないか。
確かに日本語は情緒的ではある。だが論理的に喋ることも書くこともできる(拙ブログのことではない)。例えば鍛え抜かれた霞が関の官僚の文章。役人の書いた国会答弁などは(嚙み合っているかどうかはさておき)十分論理的だ。スキを突かれないように揚げ足を取られないように練られているので読んでも面白くも何ともない。
普段の日常会話においても、何を言っているのか分からない輩は何を言われているのか理解しているのかも怪しい。そんなオッサンが山ほどいるのに小学校の国語の時間を減らしてまで英語を教えて何か意味があるのか。そんなことをしても英語が上手くなる奴は限られていて落ちこぼれが増えるだけだろう。
作家の佐藤優氏の検証によれば、国語力(この場合マザー・タング=母語)が弱くなると数学力も弱くなる、即ち言語的な論理と非言語的な論理は相関関係がある。あいまいな表現しかできなくなり、論理的な物事を咀嚼できなくなる。
まっ、日本語を乱しまくり駄文を書き連ねている僕の言うことでもないが、国語力を鍛えておくべきなのだ。八年後にはその教育を受けたフレッシュマンがオッサンを駆逐し始めるだろう。
さて、モリ・カケ問題で未だに尾を引いているにもかかわらず、経産キャリアの持続化給付金詐欺、国土交通省の統計改竄、いったいどこの国の話だ。半島や大陸、はたまたアフリカならいざ知らず、お上がこれでは民間だってデータ改竄、横領、ハラスメントはもっと酷いに決まっている。上から下までこれではモラルの国とは言えたもんじゃない。
政治家に至ってはアフガニスタンの混乱に自衛隊機を飛ばしそこないかけた外務大臣、人権蹂躙の中国に対する対中非難決議を封じ込んだ幹事長、どちらも茂木敏光だ。エラソーなハラスメントで有名なくせにそんなことも決断できない(やらないとは決断したが)根性のないエリートだ。
責任の取り方がなってない。森友問題について言えば自殺までして抗議した気の毒な犠牲者に指示した人間は存在し『私が忖度して改竄を指示しました』と明らかにするのが筋だろうに。総理が知らなかったのは明白だ。佐〇(当時)理財局長あたりが腹を切るくらいでなけりゃ納得感などあったもんじゃない。嘘をついているのは誰だ。それをはっきりさせないからSNSでバカな炎上騒ぎになる。罰則がなければ知らんぷりで通せると思ってるのか、モラルの問題だ。恥を知れ。嵩にかかって野党の福〇瑞穂や森〇子が自殺前日に近畿財務局に乗り込んでガタガタ追い詰めたら悲劇が起きた。
2030年まで残り8年だ。堕落論ではないが、落ちる所まで落ちて膿を出し切って出直せ。僕はその頃古稀を超え、アルツハルマゲドンと闘っているだろうから、落ちていくのを見届けられるかどうかわからない。
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プーチン・プッツン
2022 FEB 28 1:01:43 am by 西 牟呂雄
全くひどい話だ。外交も何もない。気に入らないからいきなりブッ放しキャタピラ音を鳴らしながら首都に侵攻。
直前まで『部隊は撤収する』などと三味線を世界中に吹聴しながらいきなり開戦だ。これでは会談に奔走した仏独首脳は単なるコマ使い。筆者はハンガリー動乱やチェコに侵攻したソ連を思い起こす。
プーチンは会見では原爆の使用体制を取ったとまで発表した(特別態勢のこと)。しかし一体どこに撃つのか、まさか自国の兵士がいるウクライナの都市ではあるまい。アメリカ?まさか。現ウクライナ政権をナチ呼ばわり(ロシア系住民をジェノサイドしたというフェイク)。映像を見るとやや太り、その目はイッている。体調に異変をきたしておかしくなったのではないのか。
このナチ呼ばわりには伏線があって、ウクライナの2014年政変(親ロシア大統領追放)の際、その後の政権中枢にネオ・ナチ一派がいたことは本当だ。このことはロシア国内で思いきり報道されモスクワでは常識となっている。しかもその一派はアゾフ連隊として武装し、東部親派の支配地域で対峙している。その源流を辿ると大戦時に親ナチだったグループに行きつく。だがゼレンスキー大統領はユダヤ系なのだ。東部でロシア系住民を虐殺したと言うが、大きな声では言えないがこの8年というもの、東部ではそのアゾフ連隊とロシア派がズーッとドンパチはやっていて犠牲者も出ていた。
キー・ワードはNATO。ウクライナの現政権はNATO加盟を謳っている。既にバルト3国がNATO入りした現在、プーチンにとってベラルーシとウクライナのNOTO入りはどうしても阻止したい。冷戦中は16ケ国だったのが今や倍だ。
ロシア人の国境感覚がそうなのだ。ロシアの国境のロシア側には何にもない。20kmくらい寒々とした荒野が広がっているだけだ。モンゴルとも中国ともそう。そういう緩衝地帯がないとロシア人は落ち着かない。NATO加盟国と国境を接するなど以ての外という考えである。筆者はかつて日ロ合弁会社を立ち上げ、現在もロシア人との交流は続き、普通のロシア人の善良さをよく知っている。上記の国境感覚も彼らと話していて気が付いたことだ。北方領土の問題に一般のロシア人が関心がないのはそれが『島』だから。アッチラ大王に攻め込まれ、ジンギス・ハーンに蹂躙されたことがDNAに沁みついていて、中国人をキタイ・スキーと呼ぶのは契丹のこと。広大な緩衝地帯がなければいられない。
それにしてもアメリカからあれだけの警告を受けたにもかかわらず、たった100発のミサイルでガタガタになったのはどうしたことか。ベラルーシから入って来た部隊は、遠く極東から移動して演習に参加していたことは確認されていた。今更、予備役招集、志願兵募集・外人部隊とか言っているが、何も対策していなかった、勇武のコサック発祥の地だというのに。8年前にほぼ無抵抗でクリミアを取られて東部を実効支配されながら何をやっていた。無論サイバーもフェイクも工作も(クリミアの時もやった)何でもやられ放題だったにせよ、こんなに脆いとは思わなかった。或いは首都籠城を決め込んで墨子の戦いでもするつもりだったのか。
ついでに言えば、頭のおかしくなったプーチンにウクライナが蹂躙されている時に、アメリカもNATOも成すすべがないことをジーッと見ているのは大陸と北の国。ウクライナはソ連崩壊の際に保有していた核を手放した。台湾ははるかに小さい。放ったらかしにして見殺しにした場合、ニンマリするのは〇近〇と刈り上げデブだ。さっそく一発撃って見せた、こっちも向いてと言いたいらしい。
一方、欧米がSWIFT排除まで踏み込んだ。ルーブルは暴落するだろうが、こっちも返り血は浴びる。例えばエネルギーが高騰する。合弁事業はどうなるのか・・・。モスクワ在住のロシア通日本人は『自分の人生が否定されたようだ』と嘆いた。彼はほぼ完璧にロシア語を理解するため、ロシアのTV・新聞ばかり見て普段はかなりバイアスのかかった意見の持ち主だが、さすがに落ち込んだ。
ウクライナもウクライナで、2004年の通称オレンジ革命でEU寄りを主張したユシチェンコ政権は内部抗争に明け暮れ2010年時点ではロシア寄りのヤヌコーヴィチに選挙で負ける。オレンジ革命そのものもジョージ・ソロスに操られたものだと囁かれていた。
その頃、首相として人気のあった美人のティモシェンコは、後に逮捕される程利権を漁りまくった腐敗政治家。2014年にユシチェンコを引きずり下ろしたポロシェンコも大金持ちで、オレンジ革命を支援していたが実態は不正蓄財に励むマムシのような大統領だった。要するにロクな政治家がいたためしのない国家なのである。
ところでこの電撃侵攻は(全く認められないが)見事の一言に尽きる。ウクライナはまだNATOではない、バイデンは部隊を派遣しないと言った、EUは簡単に騙せた、オリンピックは終った(パラリンピックはこれからだが)、相手はまさかと思っている、大地が凍って戦車が移動しやすい、今しかない、というタイミングを選んだ。アッという間に防空システムを破壊し、3方面からの侵攻を開始し首都を包囲する。
東部でブラフをかけて主軸は北と南から、しかも主力は今なお温存している。
そこから『非軍事化』と『中立化』を条件に話し合う、と誘いをかける、うまい。非武装中立とは恐れ入る。九条でも押し付けるつもりか、満州国でもつくるつもりか。
ゼレンスキー大統領は前提条件なしでの交渉に応じるとか。核にビビッたか。
その間、制裁は厳しくなり、ロシアの孤立感はますます募るだろう。だがプーチンはそんなことは織り込み済みで怯まない。多少の返り血は覚悟の上だ。国内のデモなんか知ったことか。
それから感心したのは、SNSでも意識したのか攻撃対象を軍事拠点に絞り込んでいる(当然誤爆もしているが)。ロシア軍がアフガン(撤退を余儀なくされたが)やシリアでやったことは(シリア軍がやったことになっているが)皆殺しである。やってることは20世紀・昭和丸出しだが、戦術は今世紀・令和ということか。
気になることが三つ。あの気が遠くなるほどの渋滞の中、トイレは大丈夫なのか?
密集する両軍にオミクロンは蔓延しないのか。
国連は話を聞く機関に過ぎないのか(そうなんだけど)。
さて、NATOとロシアに挟まれた国。大国の思惑により攻撃を受ける国。言うまでもなく米・中の力比べのただなかにある我が国と台湾の置かれた状況と同じなのだ。この事態を見て大陸が台湾領の島を取りに行く、アメリカは辛くも助けて戦闘になる、自衛隊が周辺事態としてサポートし実弾攻撃を受けて巻き込まれる、大陸の意を受けた北の国がミサイルを100発我が国に打ち込む、安保条約発動の全面戦争、核!
まだある。安部ートランプだったら有り得ないが、バイデンの裏切りだ。民主党は昔から大陸とツーカーだ。冷戦時代はソ連に大陸をけしかけるため密かに協力をしていた可能性が言われている。
世界は中露・日米欧・インド(今回国連の理事会で棄権)・イスラム教国家・どうしていいか分からない国、の五つに分かれていくだろう。
さて、どうする。核武装しますか、岸田総理!
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真冬の富士と魔王天神社
2022 FEB 24 0:00:08 am by 西 牟呂雄
性懲りもなくスノボに行く途中に富士山のヴュー・スポットがある。
曇り空にうっすらと富士山を見るとなんか変。ぼやけた写メで見にくいだろうが、山頂がすっぽりと雲に覆われまるでお椀を被ったようだった。
これは「富士山が笠をかぶれば雨が降る」と古くから言われている笠雲で、検索してみると事実冬場では70%ほどの確率だそうだ。
この日は寒い曇天で、降れば雪。車はノーマル・タイヤだから下手すると遭難。這う這うの体で帰ったらやっぱり降った。富士山の言い伝えありがたや。
このところ山荘暮らしが長いので(テレ・ワークのせいで)、休日には富士五湖をひとつづつ一周するドライブを今年から始め、西湖・河口湖・山中湖と回った。どこからでも富士は見えて観光客もオフ・シーズンとコロナのおかげで少ない。
こちらは山中湖からの富士だが、山裾から湧き上がっているような光景が珍しいので納めた。
こんなに晴れているのにあの雲の下は風が舞っているのだろうか。
先日、西村さんの初詣ブログに第六天魔王についてコメントしたが、第六天魔王とは別にサタンではない。仏教における天のうち、欲界の六欲天の最高位(下から第六位)にある他化自在天のことであり、日蓮などは修行者を堕落させる者と説いた。
かの織田信長が叡山を焼いた後、正覚院豪盛等が武田信玄を頼ったため信玄から信長宛てに書状が届くが、「天台座主沙門(しゃもん) 信玄」とあったため、その返信に信長が「第六天魔王信長」と署名し叡山残党への恫喝の意味を込めたとされる。但しその書簡はいずれも現存せず、宣教師ルイス・フロイスの報告書にあるだけなので疑う声もある。だが世間でそう言われたり噂されていたのだろう。フロイスの書簡を見たことはないがアルファベットで『ダイローテンマオ』と読めるそうだ。
一方、仏教の世界観を表す名称を持つ神仏習合の神社はその伝承はともかく多く、五湖の西湖の近くに魔王天神社はある。
いつも行くスキー場の入り口だ。
この日、また性懲りもなくスノボをやりに行って恐ろしい目に合った。ボードを抑えるビンディングは樹脂でできていて、固くシューズを固定しているが、3本目を滑ろうと締め始めたら『パリッ』と音がして、左足の甲の所が飛んでしまった。もう20年も使ったから来るべきものが来たのだ。仕方なく足首だけ固定して降りてきたがヤバいの何の。それにしても・・・。以前スキーでも似たような目に合ったことがある。
あまりのことに、お祓いがてら魔王天神社をのぞいてみた。山が神体というので長い階段があり、見上げてみるとこのおどろおどろしさはどうだ。
そしてたまたま通りかかった人に聞くと地元での呼び名は「オダイローサマ」。まさにフロイスが聞いた通りの第六天魔王そのものだった。よいこらしょっと登ってみると何と石段は108段!
ヒイヒイいって上ると質素なお社があり、まさしく『魔王天神社』なのである。
覗くと御神体はなく、奥は吹き抜けになってその先への階段があるだけだった。
人っ子一人いない狭い境内で、おもむろに10円玉を放り込み、本日起こった不幸を払い年末から続く諸々の厄災を報告し、家内安全世界平和商売繁盛、祓い給え清め給えカシコミカシコミ申し上げ奉りました。
ふと見ると、参道の前にかわいらしい神楽殿があったから、ついでに大魔王踊りでも奉納しようかと思ったが『不審者を見た場合は村内放送の上通報します』などと書かれていたのでさすがにやめた。
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モデルナ戦記
2022 FEB 19 0:00:17 am by 西 牟呂雄
3回目のワクチンを打った。前2回はファイザーだった。諸説あってそのままファイザーで行くかモデルナにするか迷ったが、ファイザーの方は予約が一月先になりそうだったので思い切ってモデルナでハイブリッド型を選択した。
前2回とも腕の痛みも熱も出ず、どうってことなかった。今回もどうせそうさ、とホイホイ打ったのだ。
会場で問診を受ける。
「アレルギーはありますか」
「ありません」
「服用中の薬は」
「××〇◎▽を服用してます」
「アルコールは大丈夫ですか」
「毎晩やってます」
「そうじゃなくて、消毒用のアルコールに被れたりしたことはありますか」
「全然ありません」
「ハイハイ」
チクッ、イテっ、でおしまい。今日はお風呂と酒はダメらしい。
夜になって少し腕が痛いような気がしたが、まあいいや。
翌朝、何事もなく目覚める。二日酔いもないしきょうも元気だ、タバコがうまい。
ところが昼過ぎ、突然異変が起こった。首筋を風で冷やされた感じ。ヤバい!
大事を取ってテレワークをしていたので慌てて体温を測ると38度。しまった、ナメていた。急いでスキーのインナーに着替え、タートルのセーターを着込む。まだ寒い、ジャケットも羽織りまるでゲレンデに立つようないで立ちに身を固めた。
そういえば昨日『水分を多目に取って』とアドバイスされたのを思い出し、お茶のペット・ボトルをガブ飲みする。食欲はない。
夕方、日が落ちてくると寒さが厳しくなったような、体温は同じだ。
ここで僕は気合を入れる。司令官の僕(すなわち脳)から体の各部部隊長に総攻撃態勢を伝達することにした。
脳「各部隊長集合せよ。訓示を達する」
神経を通じて前線から部隊長たちがやってきた。
「これより我が軍は総攻撃をかける。目下の苦戦は敵ウィルスを撃退すべくm-RNA作戦を展開中であるが、ここが戦いの分岐点である。各隊、『抗体』の防衛線が構築されるまであと少しの辛抱だ。勝利を信じて全力を上げるべし」
「隊長」
「何だ。腕少佐」
「我が部隊は昨日の左翼からの攻撃により消耗著しく、目下痛みに耐えるのが精一杯であります」
「それは織り込み済みである。残存兵力を率いて右展開せよ」
「隊長」
「腎臓少佐か」
「揮下、膀胱小隊も隊長の『お茶がぶ飲み作戦』遂行中につき疲労著しく、戦闘継続不能ー」
「却下。引き続き戦闘に従事せよ。もういいか」
「隊長ー」
「何だお前達まで。肝臓・膵臓両少佐。何か不満か」
「わが部隊は連日のアルコール攻めに壊滅寸前であります」
「分かっておる。大腸隊を見てみろ。癌攻撃も癒えていないのに健闘しているではないか。最後まで戦ってくれ」
戦闘はその後も続き、火ぶたが切られてから8時間を経過した。もはや限界と言えよう。私は決断した。
「参謀長。小脳参謀長」
「はっ」
「戦局我に利在らず。最後の突撃を命ずる」
「お待ちください。友軍は現在も奮闘中です」
「時間の無駄だ。最後の突撃を決行する」
「隊長。早まってはいけません。何をなさるおつもりですか」
「小官自ら禁断の『びいる弾』を使用し、特攻突撃をする。全軍に通達せよ」
現場からは悲鳴が上がった。特に肝臓少佐は『一命に代えても踏み止まっていただきます』と意見具申してきたが無視した。
「食道・胃・十二指腸・小腸の部隊の損傷はなお一層苛烈なものとなることを覚悟せよ」
「隊長ー。おやめくださいー」
「すでに大命は下った。諸君、靖国で待つ。突撃にー、前へー」
号令とともにプシュッという音がして缶式びいる弾が発射された。
翌朝、我が部隊は何故か何事もなかったように配置についまま目覚めた。戦闘は終了し、我が軍はかろうじて戦線を維持、即ち勝利した。私の脳裏にはその喜びは湧かず、軽い頭痛が残った。待てよ、若干の吐き気もある。戦闘の後遺症か、そういえば缶式ビイル弾に加えて焼酎ナパームも投入したのだった。人、これを二日酔いと言う。
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スキー競技の張家口
2022 FEB 12 8:08:27 am by 西 牟呂雄
現在オリンピックのスキー競技が行われている所は北京の北180km、万里の長城の要害である大境門の外側に位置している張家口である。この地で平和の祭典が執り行われることに筆者は特別の感慨がある。
昭和20年8月15日。日本が無条件降伏をした時点で、かの地は内モンゴル(当時は蒙古聯合自治政府)であり帝国陸軍駐蒙軍(関東軍ではない)が駐屯していた。民間日本人4万人もいた。
千島列島の占守島と同じく、降伏を無視したソ連軍の侵攻はここでも起こった。この地を守っていた根本博中将は「理由の如何を問わず、陣地に侵入するソ軍は断乎之を撃滅すべし。これに対する責任は一切司令官が負う」と果敢に突撃を命令、ソ連軍の猛攻を跳ね返した。更には八路軍のゲリラ攻撃(彼らは山中ゲリラ・街中テロしかやらない)をしのぎつつ、4万人の民間人とともに長城を越え脱出・帰国したのである。民俗学者の梅棹忠雄や版画家の池田満寿夫はこの一行の中にいて生還できた。根本の決断は北海道をソ連から守った第五方面軍司令官、樋口中将に被る。
尚、駐蒙軍は国民党軍とは戦闘しておらず、根本は帝国陸軍にあってはいわゆる支那屋の中国通で、国民党軍の傅作義とも交流があったためスムースに引き揚げられたものと思われる。
その縁なのか根本は戦後奇怪な行動に出る。蔣介石が日本軍の引き揚げに協力的だったことを徳と考え、大陸の足場を失いアメリカからも疎まれ孤立無援だった国民党を支援しようと台湾に密航する。
この時無一文に近かったため、明石元長の援助を受けるが、この明石は台湾総督を務めた明石元二郎(日露戦争の時に後方攪乱工作をした情報将校明石大佐)の息子、かつ現上皇陛下のよき相談相手でもある明石元紹の父である。
当初は拘束されるが、身元が明らかになり「顧問閣下」として遇された。そして人民解放軍との決戦となった金門島の戦いを指揮してこれを撃退する。今日の台湾の地位を保全したことになる。根元の行動は日台両国ともに長く極秘とされ2000年代まで表には出ていなかった。尚、日本人義勇軍と言われた富田少将の白団(パイダン)とは関わっていない。
検索していたらもう一つ面白いエピソードがあった。中佐時代の陸軍省新聞班長だった時、かの2・26事件に遭遇している。根本は統制派として決起将校からは狙われており、決起部隊の一部は、当日未明から根本の陸軍省出勤時に襲撃する計画だった。が、二日酔いで寝過ごして助かったらしい。そして「兵に告ぐ、勅命が発せられたのである」で始まる戒厳司令部発表を、拡声器を使ってガンガン流し部隊の動揺を誘っている。
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スマイル・ジャパン観戦記
2022 FEB 3 23:23:19 pm by 西 牟呂雄

色々と問題を抱えつつも北京オリンピックが始まります。ここではその問題については触れないでおきましょう。
僕はオリンピック以外ではなかなか見ることのできない女子アイスホッケー、スマイル・ジャパンの大ファンなのです。
この人は、その守護神であるゴール・キーパーの美しき女神こと藤本那菜選手。
藤本選手はお父さんもアイスホッケーのキーパー、妹の奈千さんの元日本代表のディフェンダーというホッケー一家です。2015年には北米NHLニューヨーク・リベターズとも契約していた名選手で、オリンピックもソチ・ピョンチャンに続いて3回目。
でもって、実はこの写真は別人で、本物の藤本選手はこちら。
どうです、似てませんか。
最初の写真は、白血病と闘いながら東京オリンピックで活躍した不屈の魂の池江璃花子さんであります。
さて、3日のきょうには早くも予選リーグが始まります、初戦は強豪スウェーデン。過去のオリンピック2大会連続で1点差の負けを喫した因縁の相手なのです。何といっても体格がゴツい。プロテクターを付けてヘルメットをすればサイボーグさながら。
中継は第2ピリオドからだった。なんと1-1ではないですか。腕周りなんか筆者の倍もありそうな北欧美女が、まさに肉弾戦のように可憐なヤマト・ナデシコに襲い掛かる。痛そう!
だが、スマイルも守る守る。小柄な小山が体を張る、細山田はスティックを飛ばされると素手でディフェンスに付く。フォワードのベテラン米山と大ベテラン久保が再三いいポジションで攻める。ドスンドスンと当たられながらもなんとか凌いで見せていました。アイス・ホッケーは手でパックを弾いたりシューズで止めるのもアリなんです。
ところで、スマイルには姉妹で参加している選手が3組もいます。DF葵・FW紅音(あかね)の志賀姉妹、FW光・DF栞(しおり)の山下姉妹、DF亜矢可とFW秦留可の床姉妹です。皆さん姉妹で攻守のユニットを組んで息の合ったプレイをしています。逆に言えばまだまだ選手層が薄い競技なのでしょう。
最終第3ピリオド。スマイルは相手のパスを良く読んだカットが素晴らしい。と、揉み合っている中から浮田が飛燕の動きで敵陣に切り込みシュート!得点を上げました。この頃から双方エキサイトして小競り合い、スマイルにペナルティーが出て一人欠け、と目まぐるしく展開します。
残り2分20秒。ついにスウェーデンは捨て身のパワー・プレイに出ました。ゴール・キーパーを下げてフォワードを入れた全員オフェンスです。
すると米山がパックを掠め取って無人の敵陣に突進、鮮やかにゴール!
予選リーグ初戦で勝ち点3をもぎ取ったのです。イケるぞ、スマイル・ジャパン。がんばれ、スマイル・ジャパン。次は強豪デンマークと5日に試合です。
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架空対談 オリンピック直前 習近平VSプーチン
2022 FEB 1 0:00:08 am by 西 牟呂雄
プーチン(以下プ)「パズドゥラヴリャーユ・ス・ノーヴィム・ゴーダム(新年おめでとう)。オリンピックも無事開催できた」
習近平(以下習)「チンネンハオ。よくいらっしゃった。アメリカだのが外交ボイコットなどとほざいてるのでいらしていただけてありがたい」
プ「コロナも大変な時に開催とは素晴らしい。で?本当はどれくらい拡大してる?」
習「プーチン同志、信じてほしい。完全に抑え込んだ」
プ「抑え込んだ、とは秘密裏に隔離した、ということか」
習「大統領、冗談がすぎますぞ(笑)」
プ「フハハハ。お互い強制収容のノウハウは豊富だからな。まあいい。ところで一つ頼みがある」
習「何でしょう」
プ「北の刈り上げデブを煽ってもっとミサイル撃たせてくれないか」
習「ちょっと待ってくれ。打ち上げ花火じゃあるまいしオリンピック直前に止めてくれ。勝手にやりやがって少々怒ってる」
プ「こっちはウクライナで忙しいんだ。10万人派遣してるんだがアメリカに出しゃばられると困る。今でも猛烈なサイバー戦の最中だからな。もっと撃たせてバイデンの目を太平洋側に引き付けてほしい」
習「あそこは金が続くかな。コロナもあって内政はガタガタ、オリンピックにも来やがらないし。バイデンなら余計なことはしないだろう。特に我が国はあいつに息子も含めてタンマリ握らせてある」
プ「どうもよくわからない。トランプよりも強硬にも見える」
習「実は私もそう思う。変な振付師がいるんだろうか。まぁあのデブには頑張れとは伝えよう」
プ「ところで岸田どうよ」
習「お手並み拝見だ。あのハバツにはこっちの手に落ちたのがたくさん居たはずなんだが。カトーとかタニガキとか。今はハヤシを揺さぶってるがどうもアベが後ろからゴリゴリやって困る」
プ「シンゾーはいいやつだぞ。あんまり台湾や尖閣にちょっかいかけるからじゃないのか」
習「肩を持つのか。北方の島はどうするんだ」
プ「返す訳ないだろ。だがシンゾーとはうまくやってたんだ。ソチにも来た」
習「こっちも同じだ。コロナさえなけりゃ国賓待遇で行けた。惜しかった」
プ「そういうのをロシアでは『自分で蒔いた種』というがね」
習「それはコロナの今なら『自分で蒔いた株』だろう。いや冗談だが」
プ「念のため言っとくけど一帯一路もいいが一人だけ儲けようとするなよ」
習「そこは上手くやろう。あなたの国がアフガンやチェチェンで火傷したのを参考にする」
プ「言うじゃないか。そっちはウィグル相手に酷いことしてると北京でテロが起きんとも限らん」
習「我が国の公安は優秀極まりない。ご心配なく」
プ「イスラムを嘗めちゃいかんぞ。ISだかタリバンだか知らんが結構な数が入っているらしいからな。とにかく西の方と南の方を向いていてくれ。我が国との国境に2億人も住んでるが反対側の我が国はたったの800万人だ。竹槍で来られても守れない」
習「アムール川もウスリー川も今頃ガリガリに凍っていて自由に行き来している。心配なのか」
プ「落ち着かない。ウクライナだけじゃない。カザフの暴動に空挺部隊も出してる。あんな暴動こそアメリカの工作に決まってる。ふざけやがって。だが私が北京にいる今、攻撃はない」
習「攻撃はしないが猛烈な工作をキエフでやっているそうじゃないか」
プ「お互い様だ。CIAだってMI6だってワンサカ来てる。何度も言ってるがNATO加盟国と国境を接するのは絶対にダメだ」
習「しかしさすがにバイデンも派兵準備をしたではないか」
プ「フハハハ、たったの8500人だろ。何ができる。トランプだったらやらなかっただろう。主席も御承知の通り我がロシアの精鋭部隊はピン・ポイント攻撃のような生ぬるい戦法ではない。やるときは皆殺しだ」
習「それは承知している。ただし面倒だからオリンピックが閉会してからにしてほしい」
プ「なに、やらないさ。脅してやるだけで充分だ。さあ、競技を楽しもう」
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アフガンの谷間の花
2022 JAN 23 0:00:40 am by 西 牟呂雄
ガンダーラ地方(パキスタン)のバザールで物乞いが図々しく手を差し出して言う。
「神は喜ばれます」
あまりの堂々とした態度に腹を立て、
「少し態度がデカい。もっと腰を低くした方が実入りがいいのではないか」
と言ってやる。
「あなたはムスリムではないな。ほどこし、とは貧乏人に余り金をやることではない。貧者に恵みを与えるのは神に対して徳を積むということ。その心を忘れて『ほどこし』はない」
「私は人に見捨てられたライ病患者のためにはるか東方から来て治療している。これも『ほどこし』ではないのか」
「『ほどこし』である」
「ならばあなたも私に『ほどこし』をしなされ。神は喜ぶはずだ」
すると、驚くなかれその物乞いは貰い集めた小銭をくれるではないか。

無論私の体験ではない。ソ連によるアフガン侵攻で荒廃したアフガニスタンでライ病の治療に当たり続け、現地のあまりの貧しさを改善するために灌漑事業まで手掛けながら盗賊まがいのならず者によって命を奪われた医師、中村哲氏の著作にあった。
氏の活動は粘り強く、何かに突き動かされたように橋頭保を作り治療していく。その何かとは、私が宗教心が篤ければ『神』とでも表現できただろう。ちなみに氏はクリスチャンで、現地に尽くすきっかけは日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)からペシャワールに派遣されたのが長い物語の始まりである。
混乱に混乱を重ねる政情の元での中村医師の悪戦苦闘ぶりは読む者を戦慄させる。ソ連撤退後に雨後の筍のように次々と立ち上がった欧米型の援助団体の現地でのミス・マッチを批判し、ともすれば『やってるやる感』とともに内向き(本国むけ)になりがちな風潮を戒めていた。
確かに教育も十分でない極貧の住民に援助をしているのだが、先進国的価値観では推し量れない彼らの『譲れない一線』というものはあるのだ。生活に深く根差した文化を無視してまで『ほどこし』てやるのはいかがなものか。冒頭の一節は、氏がその点に深く感じ入ったくだりと思う。
氏はこうも言う。
「最もよく現地を理解できる者は、最も良く日本の心を知る者である」
けだし名言である。これには心を打たれた。私はさすがにペシャワールのようなヤバい所ではないが、フィリピン・インド・ロシア・台湾・中国で工場を立ち上げた経験があるが、この言葉こそ現地との相互理解の神髄だと思う。
作業の来歴・手順を教えるのだが、いきなり『日本ではこうやる』というのはダメで、何のためにやっているのかを丁寧に根気よく伝えた。
そして、思わず苦笑してしまうような風習でも、まず感心してみるようにした。
エラソーに技術を売りまくっていた、ヘラヘラと卑しく振舞うような奴を尊敬する地元の者は皆無だった。余談だがフィリピンでそういった輩が惨殺された事件もあった。
イスラム社会でのジェンダー問題だの石打ちの刑だの、我々から見て野蛮かつ残酷に見える風習ですら長い伝統に沿った『彼等』の文化であることは否めない。なに。こっちだって150年前まで日本刀を自分の腹に突き立てていたし、かの三島由紀夫がやったのはほんの半世紀前だ。伝統文化に優劣などないのだ。現地に溶け込むためにイスラム教徒になれと言うわけじゃない、なれもしない。逆に、我々の近代社会の方が病んでいて、彼等の方が人間的であるとも思わない。
しかしながら、アフガニスタンでは再びタリバンが盛り返して制圧された。アメリカが訓練を施した現地の軍は全く抵抗しないで武装解除されている。英国もソ連もアメリカも制圧できない獰猛な民族なのか。ジャーナリスト高山正之はカイバル峠越えの取材時でのパシュトゥーン人の残虐さと根性の悪さを記述している。
ただし中村氏の観察によれば、この間まで反ソ連のゲリラとしてアメリカ製の銃を持っていた人間がソ連が撤退した途端に銃を鍬に持ち替えてセッセと耕していたという。どちらも本当のことなのだ。そして氏は、丸腰の安全保障はありうるか、との問いに対し、勇気をもって行えば案外可能、とした。これは決死の覚悟といっても過言ではないとも。
氏は車両で移動中を襲撃され命を落とした。では装甲車で移動していれば良かったのか。その際はロケット砲で撃たれただろう。氏の善意を死で踏みにじったアフガン人は鬼畜か。彼らは1979年のソ連侵攻以前から今まで数百万の犠牲を払ってきた民である。国民は人生の殆どを戦乱と共に生き、底辺の病人は見捨てられてきた。
そしてその地獄の喧騒の中、氏が治療した若い女性のライ病患者でさえも、時に笑いながら人生を送っていた。そこには確かな生活と文化はあるのだ。そうでなければそんな厳しい環境に、仮に追いやられた後に住み着いたとしても人が営みをするはずがない。戦乱が通り過ぎれば難民はそこに帰っていく。
近代アフガニスタンは地政学的にグレート・ゲームの対象となり英国とロシアの覇権争いからナチまで絡み、1919年の対英国ジハードの後王国・共和国を経てソ連の侵攻、冷戦下でのタリバンの勃興(アメリカの支援があった)、9・11後のアメリカ介入、と国家の体を成していないままで来ている。
ガチガチに管理され統制される大陸では、別に国民は選挙なんぞやりたくもないに違いない。大雑把に言ってユーラシアは大体そうだろう。
暗黒独裁の国家でも国民はささやかな楽しみを愛しんでいることだろう。
国家とは時に化け物のような邪悪なものに進化しうるものであり。我が国もヤバい時期はあった。こうしている間にも、どこぞの国はミサイルを撃ち、少数民族を弾圧し、報道を規制し、国境に部隊を配置する。
それに対して、歴史的に反国家的な宗教や思想も存在して、時に秘密結社のような姿で国境を跨いで連帯した。極端なテロ集団が国家を名乗ったことすらあった。また、今日ではGAFAが国家をもしのぐ『統制』の可能性を秘めている。
私は国家を肯定する者であるとともに個人の自由も尊重しているが、遠い異国の地での中村医師の奮闘は、その両者に挟まれた弱者への寄り添いだったと思えてならない。灌漑事業から農園開拓まで留まるところを知らなかった情熱は、かの地で決して熱を失うこともない。氏の切り開いた農園には美しい花が咲く。
ただ、ひたすら故人の魂の安寧を祈って止まない。
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喜寿庵の日没
2022 JAN 16 0:00:53 am by 西 牟呂雄
しばしばブログ・ネタにもしている喜寿庵は、祖父がひいおばあさんの喜寿を祝うために普請道楽で建てた山荘である。凝り性だった祖父は、家相に拘り表門を東に向けるために私道をしつらえたり、庭に大石をヨイトマケで引きずり上げたりと大変な入れ込みようだったらしい。
この祖父はよくわからない人で、京都帝大に学んだ当時のインテリではあったが、奇行で有名であった。満州旅行で仕立てたジナ服や、やりもしない乗馬服で街を闊歩していた。伯父から聞いた話だが、一緒に歩いていて『暑い』といきなり川に飛び込んだり、一時弓に凝ったときは巻藁に幼い伯父を乗せて矢を打ち込んだりしたそうだ。
更に喜寿庵を整理していて最近分かったことだが、理系の高校を出ながら京大は経済学部に入り、しかも中退していた。あくまで推測だが、左傾しかけてひい爺様に辞めさせられたのではないかと睨んでいる。
そもそもなぜこの場所に建てたか、といえば桂川渓谷の借景だと伝わっている。写真は冬至の頃の日没で、ちょうど山の端が重なり合った谷間に落ちる光景に惚れ込んだと。
確かに、夕日が山にかかってからほんの10分ほどはため息が出るほど美しい。様々な思い出が脳裏をよぎる瞬間だ。ただ不思議なもので、この光景を見ながら嬉しさがこみ上げてきたような記憶はない、忘れている。この先どうなってしまうだろう、と途方に暮れたことばかりが残っている。例えば癌を宣告された時とかだ。
更に恥ずかしい話だが、この光景に向かって『チクショー、何が何でも成し遂げてやる』とか『今に見ていろよ』等と高揚したことも全くない。挫折は何度も味わっているが、そっちがダメならコッチにするか、的な気楽さで交わしてしまったように思う。
話は変わるが、法然上人は西方に沈みゆく夕日を見ながら、阿弥陀如来のおわす極楽浄土を観想するという修行をした。日観想という。
今更この年で人格が向上するとも思えないが、この山間に日が落ちている時期に2~3回やってみたが、何も見えてこなかった。思えば努力・我慢・反省とは無縁な人生を送って来たのだ、これではいかん。
そこで今後5年の目標を作ることにした。年ごとに計画を立ててみた。
ある目標を作ってみたが、ちょっと書くのはははかられる。ただ、それにアプローチする方法は、一人でやる、ゆっくりとやるということだ。形が見えてくるのは今から1年後かな。
まず今年。酒を止める・・・、ダメだ。
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今年のスノボの調子はどうか
2022 JAN 9 16:16:12 pm by 西 牟呂雄
毎年のことであるが、恐る恐るスノボを滑ってみた。前期高齢者ともなると、去年はできたことができなくなっている場合には即ケガになる。
ゲレンデはそれなりに混んでいて、みんなマスクをしている。僕は例の時代遅れスキー・ファッションでボードを履いた。はじめはそーっとそーっと斜面の感じを思い出しながら。シーズン最初はやはりスピード感がつかめず恐怖さえ感じる。
やっとこさダウン・ヒルを下りてみると、やはりというか脚力の衰えは顕著で大腿部が痛い。コロナで出歩かなかったからと言いたいが、日頃から運動らしい運動はやっていないので単純に年のせいと思われる。もう全力疾走なんか何年もやっていない、ジョギングすらも。
つらつら思うに、目下生身の体で体験できるスピードはスノボが最速だ。筋力の衰え(N= 実年齢ーピーク年)と反射神経の低下(N×潜在反射神経計数)を関数化し、さらに現役時代のテクニックを数値化したものを掛けた値をYとする。Yは、それを超えない限り転倒しないと仮定すると、各人の限界斜度およびそれに対する最適スピードが割り出せる。ワァッ!何でもないところで転倒した。いかんいかん、集中しなければ。緩斜面でコケるようになったら即引退だ。
1時間もやったらもういけない。一息入れようとコーヒーを飲んだらやる気がなくなったので止めた。年寄りはあきらめが肝腎。
あきらめは肝腎ではあるが、これからシーズンがいくつ迎えられるかとなると3シーズンが限界だろう。それは先のことではあるが、そう遠くもない。その年になってもゲレンデ恋しさにスキー場に来るのだろうか。
そうだ!最近友達になったレイモンド君(推定2才)でも連れてこよう。スクールに入れてあげて遠くから熱いコーヒーを飲みながら見ているのもいいかもしれない。いや、ビールかな・・・。
さてその時の僕はどんなファッションがいいのだろう。
さすがにこれでは怪しすぎて誘拐犯に間違えられるか。
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