Sonar Members Club No.36

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念願の古稀ボーダー ゲレンデの風になる

2025 JAN 5 1:01:19 am by 西 牟呂雄

 あけましておめでとうございます。
 ブログを始めて十年。還暦ボーダーと書いてからアッと言う間に古稀を迎えての滑り、恐いものがありました。絶対に転んだりしてはいけない、体が硬くなっているから骨折どころではなくなる。緩斜面をそーっと降りる感じで丁度良いと。
 しかし1年の初めに体力の限界を確認するのも日常のためにはいいのかも知れません。今年からはもう酒は焼酎のロックを5杯にしておこう、といったバロメーターに・・・なりませんねぇ。

行くぞ!

 そうそう、愛用のボードがビンディングの劣化で使えなくなってからレンタルで滑ってますが、今から新しいボードを買ってはとても償却できない。買ってしまったら誰かに後を託して20年かけて償却しなければ。そのころには流行が変わっているでしょうし。
 例に寄って昭和ファッションに身を固め、遂に念願の古稀ボーダーがゲレンデに突撃です。
 恐る恐る、良く体操までして雪面を踏み締めました。
 ところが今年は何故か空いている、正月の早いせいもあってゲレンデが全く荒れていません。もっともここは人工スキー場ですから平坦な造りにはなっていますが、圧雪した跡がザラザラしたままでしならない、力任せにガリガリ滑ることになりました。

 それがですな、慎重にやっていても一本目で息が上がっています。日頃スポーツなどやっていないから当然なのですが、情けない。ふーっ。降りてきました。
 でも、何だできるじゃないか。
 古稀、捨てたもんじゃないぞ。ここで調子に乗らず慎重に滑ればまだまだ。
 っと、見上げてみればここ鳴沢エリアから見える先端の尖った富士山が私を見下ろしています。
 どうかもう少し自由にスピードを味合わせてください。
 そう祈りつつリフトに行こうとしたら、ゲレンデに寝そべっている異様な集団に気が付いた。ウエアに身を包みスキーも置いてあるが一向に履こうとしない。何してるのか、近くを滑ったら日本語じゃなかった、観光客なのです。寝転がってスキーの用具を身に着けている写メを盛んに撮っていました。要はコスプレですね、ツアー料金に入っているのかも。

えっ

 さて、そろそろ古稀ボーダーはケガをする訳にもいかず、もう一本ぐらいで止めなければなりません。
 昼時なのでリフトは全く待たずにシメシメと乗り込み降りてみれば。
 えっ、誰もいない。どうしたのでしょう。リフトにも人っ子一人いません。
 滑り出しても風が吹いているだけです。
 あれ、私の影も映らないし音も聞こえない!
 アルツハルマゲドンが進行して幻覚を見ているのか、それとも私が死んで意識だけの存在となり、とうとう私も風になってしまったとか・・・。

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2025年 滋養神社お告げ

2025 JAN 1 0:00:11 am by 西 牟呂雄

 本年も滋養様よりのお告げ下り賜りここに遣わす。

ひとつ トランプ―石破会談は大成功
 就任後のドサクサ紛れにフロリダに飛んだ石破総理は、行く前は『何しに行くのか』と散々の言われようだった。ところが会った途端に打ち解けられた。理由は二つ。まず冒頭から石破総理は『私はあなたと同じ神のしもべです』と長老派である大統領のかすかな宗教心をくすぐり『銃弾にも負けなかった選ばれた人』とおだてあげたのが良かった。次に大統領は美人で有名な総理夫人を気に入り、しきりに話しかけたため、総理がボロを出さずに済んだのが良かった。

ふたつ 中東が安定する
 ヒズボラが潰されてシリアが返って安定した。おまけにハマスも耐えられなくなり人質を返すことになり、ガザ地区から追放された。これによってイランは腕をもがれた格好になり、急速に影響力を失ったためである。即ち、ロシアーイランのラインがこのエリアでは切れてしまったのだ。シリア何かは元々国の体を成していなかったので、今後はトルコの属国化する。
 噂によるとイランの核開発施設がイスラエルに空爆された際、バンカー・バスター爆弾をアメリカが貸与したため地下施設が破壊され尽くしたらしい。

みっつ ロシア・ウクライナも停戦に向う
 上記中東での影響力をロシアが失い、焦ったプーチンが妥協しようとトランプに接近する。そのシグナルに気が付いたトランプが『これが最後だぞ』と含んで大量の武器弾薬を送ったため、ウクライナが劣勢を跳ね返してロシア領内の拠点を奪った。そこでトランプが乗り出して来てゼレンスキーには『もう止めろ。クリミアはロシアにやってしまえ』と怒鳴りつけ、プーチンには『ところで現状で停戦しないと国境線が引けなくなるぞ』とささやく。

よっつ 半島大混乱
 憲法裁判所はグダグダもめた結果、ユン大統領の弾劾は無効になってしまう。野党は即座に大動員をかけて大統領を職務執行不能に追い込む。と同時に北の国でクーデター未遂が起こったらしく委員長とその妹、娘は公の場から姿を消す。
 驚いたことにその直後、キム一族がソウルに潜伏していたことが分かり、親北派の共に民主党が統一宣言を出して大騒ぎになる。すると今度はユン大統領が平壌に現れ、大韓民国である旨世界に発表し、核の放棄を宣言する。
 何のことはない、不思議にも北と南が入れ替わっただけ。

いつつ 参議院選挙後 政界大編成
 参議院選挙は与野党痛み分け。自民党・立民は現状維持、国民は2議席増、公明党・共産党はそれぞれ1議席減、維新も減、社民党消滅、その他の訳の分からん党が微増。
 少数与党ながら石破総理は巧みに野党案丸呑みや維新・国民の天秤の上に乗り意外に安定した政権運営をする。野田との相性も大変によろしい。ところがここで小沢一郎が暗躍し、石破・岸田・野田・玉木・前原が密かに会合し大同団結することを確認したらしい。自民旧安倍派と麻生派が新党結成に動く。

むっつ 中国デフォルト
 やっぱりね。繕ってきたが限界。トランプの締め付けに止めを刺された。年の初めから弾け始めた不動産バブルにより失業者の爆発的な増大で暴動多発。その数一日500件。
 暴徒と化した集団が北京に迫った。焦った習近平は首都の防衛を第4野戦軍に命じたところ、何を勘違いしたか北京を武力制圧してしまい、習近平が監禁される。
 人民解放軍の指揮系統は乱れまくり、特に中国海軍は暴発して台湾を封鎖しようとして第七艦隊に全滅させられる。また海警備局の武装船団が尖閣に迫ったが海上自衛隊が出動しこれを撃退。
 もはや一帯一路も台湾進攻も南シナ海性はも夢の彼方に。

ななつ 日本経済快進撃
 アメリカの関税アップ、英国のTPP加入、半島大混乱、大陸テンヤワンヤ、これらが全て引き金となって日本経済は復活する。植田総裁の絶妙のかじ取りで金利も徐々に上がる。おかげで税収も上がる。
 キーワードをいくつか提示する。円安、悪いことばかりではない。人件費は相対的に安い。米国高関税、結局はアメリカの消費者が負担することになるのだが、輸入品がなければ消費者が満足するブツは自国で生産できなくなっている。金利が上がれば日銀は国債を売らざるを得ないが価格は下がっているので大損。だがプライマリー・バランスは改善されてメデタシメデタシ。さて本格的にインフレ時代に突入。

やっつ 大谷翔平NFLに転向
 なんとニューヨーク・ジェッツが違約金を全額負担して、更に年棒20億ドル5年で大谷をスカウトする。大谷は快速クォーター・バックとしてデヴューするとパスは百発百中、走ってはロング・ラン。ここでもNFLの新記録を次々と更新してしまう。上院議員への出馬が期待されるが本人はそんな気はサラサラないらしい。
 ところがインタヴューでうっかり『WWEでプロレスもいいな』と漏らしてしまい大騒ぎになる。 

ここのつ 正体不明の宗教がはやる
 秋口、突然得体の知れない宗教のような勧誘がSNSを賑わし始めた。ただ定期的に配信される御託宣と称する近未来予測がことごとく当たったため、一体なんだと社会現象になる。株価・国際紛争・災害・犯罪に至るまで百発百中である。
 教祖はエル・ニシームと名乗る謎の日本人らしい。地下出版された彼の御託宣が出回る。内容は実に下らないが単純なので若者の間では爆発的な人気が出る。
 しかし一部では、あの予言はチャットGPTの回答にそっくりだ、とも言われる。

とお 年末のドン詰まりに仰天ニュース
 秋篠宮家の長女、真子様の離婚が発表された。〇室弁護士の稼ぎが少ないうえにあの因業婆が口を出すのにブチ切れたらしい。
 同じ頃、弟宮の悠仁親王殿下が筑波大学の同級生と親密であるとのうわさが駆け巡り、大騒ぎになる。一説には隠し子が生まれたとまでエスカレートし、悠仁様はオックスフォード大学に留学の運びとなる。
 ただし、昨年でも予言された愛子内親王殿下の旧皇族男子との婚約工作は着々と進んでいるらしい。

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新しい命がやって来た

2024 DEC 29 11:11:50 am by 西 牟呂雄

 年末の近づく慌ただしさの中(僕は別に忙しくはないが)さる事情により、赤ちゃんがウチにやって来た。生後ひと月の女の子だ.目を開けてもまだ見えてはいないそうだ。まだ寝返りも打てないが、小さな手足は繊細な動きをしている。
 時々、アー、とかウー、とかお語りにもならない声を上げる。今どきはミルクをあげる時間管理はマニュアル化されていて時間通りに飲ませる。そのためウチでは3交代シフトを組んだ。オギャー、と泣き出すのはウンチをした時で、あの小さな体がちゃんと消化をし、排便できることに感心させられる。
 そして気の毒なことにこの赤ちゃんは私の誕生日に生まれた。即ち星占いは私と一緒なのである。そして私は祖父と誕生日が一緒。この暗示はこの子の人生が一筋縄でいかないことを示している。祖父は発明家だった曾祖父の専売特許に守られて生涯仕事らしい仕事はせず、その勢いで敗戦でスッテンテンになりかけた。そのことを後悔することなく、勿論反省など微塵もせずに昭和30年にあっさり昇天した。後に残ったのは喜寿庵という山荘だけであり、その維持費が私を苦しめている。
 その気質は確実に私に隔世遺伝し、周りに迷惑をかけ散らして今日に至っている。で、私と誕生日二日違いの息子には何ら遺伝せず、ヤレヤレと一息ついたところにこの赤ちゃんである。ちなみに冒頭のさる事情により、私とは血は繋がってはいないのが唯一の安心材料だが、油断はできない。
 私、もしくは爺様のキャラが女になったとしたらどんなだろうと想像してみた。
 すると、わがままで人の言うことは聞かず規則は守らないですぐ破れかぶれになる無計画な女、という人格が想定されて心底心配になった。赤ちゃん大丈夫か。

 初めは触るのが恐かったが、一週間を過ぎたころにやっと抱っこしてミルクを飲ませることができた。
 赤ちゃんは小さく、柔らかく、軽かった。
 この前七五三だったレイモンド君の1/10くらいだろうか。
 人類は子供の期間、即ち一人では全く生きることができない時間が最も長きに渡る。
 まだ寝返りも打てないこの子が、これから細胞分裂を繰り返してチビになりお嬢ちゃんになるくらいまでは見られるだろうか。
 ガンバレ赤ちゃん。同じ射手座生まれでもこのオジサンみたいになっちゃだめだよ。でも、美人で生意気なコマっしゃくれた娘になって男を手玉に取ってやれ!
 そして赤ちゃんは年末のドン詰まりに帰って行った。

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小倉記 泥酔悶絶編

2024 DEC 19 21:21:46 pm by 西 牟呂雄

 10年前にしばらく過ごした時は小倉の厳しい寒さに驚いたが、久しぶりにやって来て相変わらずの天気に感慨深いものを感じた。ここは冬が似合う。
 日没は東京より小一時間遅いので、17時半に着くと空にはまだ赤が残っていた。ゲートを出るとピリッと寒い。思わずニヤリとした。これから3日3晩に渡って忘年会が続く。
 初日。迎えに来てもらって場末感漂う焼鳥屋に。相手は気の置けない後輩達である。話題は専ら来年の経済状況だが、はっきり言ってお先真っ暗の積み上げで、注文がない。僕の持論として、そういう時に緊急ナントカ対策のようなことはしないほうがいい。何にもしないでやり過ごすのが一番コストがかからない。むしろあんまり煽ると今どきの若い従業員は辞めてしまう。稼働を落とし、自然体で人件費を落とすのが関の山なのだ。総大将は山のように動かず、怒らず、焦らず、新規事業だの投資だのは巡航速度の時でなければいい知恵も出ない。
 このあたりまではマトモな話だったが、ビールが焼酎に代わり酒が回ってきた後は記憶がない。翌日ポケットには見いたこともない人の名刺が何枚もあって慌てた。
 ところで北九州エリアは某製鉄会社がリストラを繰り返して地盤沈下が言われて久しい。更に悪名高い工〇会が集中的に取り締まられて構成員は激減した(まっこれはいいことなんだろうが)。10年前は火炎瓶が飛び、3月に二人の割合で刺されたり撃たれたりしていたのが噓のように落ち着いている。そして旧空港跡地に新しい建造物が立って、着実に地域は発展している。そしてやたら多いのが保育園。少子化対策に熱心に取り組んでもいるようだ。
 2晩目は大阪・関東からも参加者がきて生ガキを食べた。
 この日は初めから荒れた。このグループとやや緊張関係にある部署がやり玉にあがる。面倒なことにその部署には幹部にツウしている者がいて、その動きが癌になっている。
 ところで生ガキはおいしかったが、当たることがあるために食べる前に散々危険について説明された。この店ではそんなに患者が出たのか、と不安に。あんなにクドクド言わなくてもよさそうなもんだが。
 昨晩の酒の二日酔いが充分抜けていない感じがして恐る恐る飲み始めたが、結果は同じ。というよりもこの日はベッドにたどり着く前に倒れていた。
 3日目。手がけているインド関連事業のメンバーと中華。
 インドの粗鋼生産量はとっくに日本を追い抜いていて、現地は爆発的な投資の真っ盛り。我々の事業もこの1年工場拡張をやりっぱなしだが、こういう時に一発品質問題など起こしたら立て直しに数年を要するだろう。来年の現地訪問を誰にするか。
 でもってこの日はさすがに酒は進まないかと思ったが、紹興酒の甘い味に負けてカラオケになだれ込んだ。このチームのカラオケは軍歌の大合唱で始まる。定番は『加藤隼戦闘隊』後はサザンじゃAKBじゃえーい演歌だ、でガブ飲みして眼鏡を失くして帰った(意識はあった)。
 いつもは小倉まで来ると福岡在住のホークス(影の)オーナーである中島さんと鳥鍋を囲むのだが、寄る年波と連日に渡る過度の飲酒によりたどり着けなかった。中島さんとは来年再びC・S決戦でお目にかかりたい。
 それにしても古希をむかえてのこの醜態、今更どうなるものでもないが・・・。

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レイモンド君の七五三

2024 DEC 15 2:02:49 am by 西 牟呂雄

 11月末、喜寿庵から街中を散歩していた、あれ、正装したレイモンド君じゃないか。英国にいたんじゃないの。お母さんと一緒だった。
『レイモンド君こんにちは』
『コーンニーチーワー』
『どうもいつぞやはこの子がお世話になりまして』
『いやいや、僕とは仲良しですから。今日はどうしたんですか。イギリスだったんじゃないんですか』
『それが結局納骨とか百か日で私とレイモンドは年内は日本にいることにしたんです』
『あ、ご主人だけ単身で渡英されたんですか』
『はい。私達も普段は東京にいますけどこの子の七五三に来たんです』
『レイモンド君、もうすぐ五つか。もうお兄ちゃんだね。お父さんいなくてさびしくないの』
『サビシクナイ』
 ふーん。しっかりしてきたなぁ、背も少し伸びてる。
 それにしてもコレ、やりすぎじゃなかろうか。レイモンド君はもう疲れていた。
『これからお宮参りに行きますので』
『そうですか。おめでとうございます』
『ココデアソブ』
『何言ってんの。早く来なさい』
『フンギャー』
『ああ、お参りをしたら遊びにおいで』
 言っちまった・・・。

右がレイモンド君の箒

 喜寿庵の秋は夕暮れが早い。4時になればもう陰って冷える。落ち葉を掃いていた。
 ご飯を炊いて最期の人参をゆでて海苔の佃煮と搾菜、等と晩飯のメニューを考えていた。
『バケバケバー』
 ワッ、驚いた、レイモンド君だ。もう着替えていた。
『一人で来たの』
『オカーサンニオクッテモラッタノ』
 以前カタコト喋っていたコクニイっぽい英語はすっかりかげを潜めて純日本語になってしまったようだ。
『お宮参りしたの』
『オマイリシテシャシントッタ』
『ふーん。おじさんは今落ち葉を掃いているんだよ。レイモンド君も手伝ってくれる?』
『オチバ』
『地面に落ちた枯葉のことだよ』
 柄の折れた竹箒を渡してやるとしばらくは僕の真似をして掃いていたが、すぐに飽きて畑の方に走って行ってしまった。
 集めた落ち葉をネイチャー・ファームに撒きに行くと、途中にレイモンド君がうずくまっていた。

『どうしたの』
 声をかけると、返事の代わりに
『イロノツイタオチバキレイダヨ』
 と言って楓の落ちた地面を見つめている。
『それは寒くなって色がつく種類のカエデという木の葉っぱだね。一緒に掃いてあげる』
『ダメダヨー。オトウサンニミセル』

黄色いもみじ

 へぇ、お父さんがいないのがやっぱり寂しいのかね。見ると真剣な表情だ。健気に耐えているがどうしても表情に出るのかな。ましてや、もっともかわいがったであろうオージーチャマ(大お爺さん、ヒイおじいさんのヒョッコリ先生)を失くしたからね。
 と、思ったら畑に撒いた枯葉の山を見つけたら走ってきてグシャグシャにし始めた。子供なんてこんなものだ。危うく、目下栽培中のスーパー・ニンニ君を踏みつけそうになる。
 冷えてきたので家に上がって二人でテレビを見ていた。
 するとインターホンが。
『あのう、レイモンドおじゃましてますか』
『今ここでテレビみてますよ』
『申し訳ありません。すぐ連れて帰ります』
『まだいいですよ。おとなしくしてますから』
『全く、一人で勝手にでかけちゃってもう』
 えっ?勝手に? お母さんが迎えに来たよ、と言うと、きゃあ、と叫びながら玄関に走っていく。僕も一緒に行き、お母さんの顔を見ると只ならぬ気配だ。
 お母さんは丁寧にお礼を述べると一瞬、鬼の形相で手を引っ張って行った。ハハァね。勝手に来ちゃったのね。

 今頃はガンガン怒られているであろうレイモンド君の1日は忙しかった。
 まずは健康で健やかな成長を願うため、大袈裟な衣装を着せられてお参りに。だが、こういったセレモニーはもちろん子供のために金と手間をかけるのだが、一方では親の自己満足のためでもある。あの衣装を着てもレイモンド君は別に楽しくもなかったかもしれない。僕の子供の頃の記憶でも、セレモニーそのものは特に楽しかったという印象は残っていない。
 一方で、子供の純粋さを過度に信じることもできない。あれで結構苦労しながら大人の反応を確かめたり駆け引きをしている。4歳の頃の記憶はすでに朧気だが、一人でものすごく困った時には大人に媚をうっていた。子供には子供なりの都合があるのだ。

 話は急に変わるが、僕の小学生時代なんかは今から考えると特殊だったのかもしれないが、教室で、校庭で、日々陰謀が張り巡らされ、裏切り寝返りが横行していた。SMCのメンバーの故中村順一君とは、当時から合従連合を繰り広げていた油断のならない同志だった。子供は無垢である、という言説には違和感を感じざるを得ない。

 ところが見たところのレイモンド君は、おそらく自分の頭の中でストーリーを組み立ててやりたいことをやりキャーキャーはしゃぎ、困ったり怒ったりすれば泣く。
 『オカーサンニオクッテモラッタノ』も『ダメダヨー。オトウサンニミセル』もその場のストーリーで、嘘でも何でもない。英国暮らしが多少の影響を与えたのか、或いはあの子は軽い自閉症なのかもしれない。苦労はするだろう。
 おじさんはレイモンド君の成人を見ることはできないが、幸せに暮らせるように祈っているからね。

 12月になって遅い遅い紅葉が夕日に映えている。
 遅れてきた秋をこのもみじが必死に取り戻しているな。
 十分にな寒くなってもらわないと日本から四季が無くなってしまうぞ。
 僕はもう古稀になった。
 果たしてスノボはできるだろうか。

白い山茶花

 紅葉や桜はできるだけ見事であってほしい。
 白い山茶花もだけど。
 もうすぐ冬至になれば1年で最も美しい日没が見られる。
 僕は今、絢爛豪華な秋を独占している。

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工作・陰謀はなかったか だって変だろ

2024 DEC 8 18:18:12 pm by 西 牟呂雄

 単に大統領のプッツンだったのだろうか。どうにも腑に落ちない。
 なかなか頭の切れそうな大統領だと思っていたが、気になる報道が聞こえてくる。
 何かある
 北の国は憲法を改正して韓国を「敵対国」と明記した上で、韓国につながる道路を爆破。今までとは明確に作法を変えてきた。例えば先般のドローン騒ぎに関しても、仮に民間有志の仕業だとしても敵対行為と見なすわけだ。大げさに言えば戦闘状態にあるということ。
 現に北はロシアに派兵し、実際に戦争に突入した。
 考えて見ればロシアが侵攻してからは3年弱だが、東部ウクライナのドンパチは始まってから10年に及ぶ。トランプが辣腕を発揮したとしても、よほどの妥協(すなわちウクライナの領土放棄)がなければまだまだ続く。すると北は足抜けどころではない。派兵は止められっこない。
 そんな環境では日米韓が親密なのは気が気でない、くさびを打ち込みたい。
 元から拉致も含めて工作に血道を上げてきた独裁国家でスパイなんかいくらでも潜入させているだろう(日本にもウジャウジャいる)。

 中央選挙管理庁舎に軍が入りサーバーを撮影している映像が流された。何のためにそんなところに軍が入ったのか。元々前回選挙で大負けしたため政権運営があやしくなった。
 民衆が十万人以上の規模で大統領を糾弾するデモは保守派といわれる大統領の時だ。クネクネ大統領しかり。

 一方投入された部隊の迫力のなさ加減も変だ。ヘリが飛んだだけで戦車のような重火器はなし、戒厳令だというのに一人の逮捕者もいない。軍の特殊部隊の50人が国会に突入したものの封鎖すらできない。あのユルさは初めからやる気がなかったのか申し合わせがあったのか。消火器噴射で阻止される特殊部隊なんてあるのかよ。どうやら命令が無視されたらしい。

 フランスは内閣不信任案可決。ドイツの連立崩壊。イギリスのスナーク首相退陣。アメリカのまたトラ。日本の与野党逆転。そして韓国大混乱。安定しているのは独裁国家ばかりという現実はどう解釈すればいいのだ。格差だ分断だといったレベルではG7総崩れの説明ができない。

 以下は私が考える大統領をプッツンさせたフェイク・ニュース工作ベスト5である。
➀ 大統領を暗殺する計画があり、ゴルゴ13が韓国に入った。
➁ 大統領夫人のスキャンダルの証拠が野党党首に伝わる寸前だった。
➂ トランプ次期大統領が個人的に親しい北の指導者に篭絡されたので米軍が引き上げる。同時に北が38度線を越える。
➃ 石破総理が気がふれて竹島を封鎖し、陸自の部隊が上陸する。
⓹ 大陸が台湾に侵攻を開始し。そのついでに済州島も奪いに来る。

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『ホワイト闇バイト』 というのはどうかな

2024 NOV 30 22:22:34 pm by 西 牟呂雄

 『トクリュウ』なる犯罪が後を絶たない。かなりの秘匿性と情報力を備え、尚且つ組織力を持った犯罪で、捕まるのは下っ端ばかり。なかなかホンボシに行きつかないのが実態だ。バックにいるのは裏社会で安全に過ごしていることは容易に想像がつく。ルフィーのように海外かもしれない。
 そこで思いついたのだが、潜入捜査ではないが公安調査庁の下部組織の人間に闇バイトに応募させ、犯行実施直前に『ここを襲え、という指令が来ました』と垂れ込んでかたっぱしから逮捕するという、専守防衛はできないのだろうか。
 警察の捜査が合法であることにこだわっていては防げないレベル、即ち『体感治安』がこうも下がってしまっては、我々市民が武装でもすることになったらマズいだろう。
 日本では基本的に裁判所の許可が必要だ。盗聴・通信傍受・隠しカメラ・潜入捜査などは裁判所の令状がいる。そういうものだろう。何も違法捜査なんか奨励しない。
 また、従来より以下のリスクは指摘されており、あまり一般的ではない。即ち捜査官の安全、潜入の際の犯罪加担、心理的負担、証拠固めの難しさ、といった観点からコスパが悪いとされている。
 警察は暴力団や麻薬密売組織、詐欺グループに対する潜入捜査が行われた事はあるらしいが、例えば破防法の監視対象組織に行うようなノウハウは別物ではないのか、オウムとか・・・。

 それでですな、トクリュウからの無作為の攻撃に晒される側としては、通報制度による摘発よりせめてもう一歩踏み込んでもらいたい。
 あらかじめGPS付きの使い捨てケータイと偽物の運転免許証を持たせ闇バイトに応募させる。ミョーにやる気は見せず、犯行指示を受ける。その犯行場所をタレ込ませ、先回りして張り込んでおく。犯行現場に着いて張り込みが確認出来たら『オーイこいつらだよ』と助けを呼んで裏切る。実行犯は初対面ばかりだからメンは割れないし捕まってしまうから指示役には誰が裏切ったかバレない。
 こういう『ホワイト闇バイト』を百人くらい用意しておいて、かたっぱしから応募していけばひどいときは殺人にまで至る犯罪は防げ、被害も無くならんかな。この『ホワイト闇バイト』の報酬は捜査費用のコスパぎりぎりに抑えられるから募集なんかしないで警察・公安調査庁のコネのつく奴を5万円くらいで雇えば、オレだったらやるね。

 そうだ!詐欺電話についてだったらもっと簡単だ。AIに勝手に答えさせるソフトをスマホにも固定電話にも仕込んどいて、詐欺と分かった途端に警察に会話内容が転送されるようにする。傍受したら次の指示にしたがい、個別に取りに来る場合は張り込み、ATMで振り込むについては振込先確認後シャットダウンさせる。これなんか『銀行ですがあなたのカードが』とか『市役所ですが還付金が』といったキー・ワードで判断できるだろう。ついでに逆探知もできれば完璧。
 或いは、AIが詐欺と判断したら自動的に『ちょっとお待ちください。主人に(あるいは家内に)代わります』という音声が流れて、所轄の生活安全課に転送する。するとそこには転送されてきた電話専門の受け手となる老人がいて、ボケたフリをしながら振込口座を聞き出す、或いはニセの銀行員・市役所職員・息子の代理人がカードや現ナマを取りに来るようおびき出す。
 どなたかこういうアルゴリズムのソーズを書いて特許を取りませんか。アイデア料は特許料の7%で結構ですから。それでボケ役の老人はやはり『ホワイト闇バイト』で1件5万円。無論オレは応募する。口は軽いが。

 ここまで書いてきてハッとさせられた。維新前には忍の者とか隠密とかそれなりにノウハウはあった。戦前も特高警察とか中野学校のような諜報・防諜はやっていた。だが一億総懺悔の後、スパイは卑しいものと歪められ貶められてその伝統は失われたのだ。確かに共産党に潜入したスパイMとか野坂参三のような後ろ暗いイメージは拭えない。
 だが本来のスパイとはもっと高貴な愛国心とか信念に忠誠を誓う貴族的なものでなければならない。諜報をインテリジェンスと言うではないか。そういった組織が無ければ私がやらざるを得ない。SMC、スパイ・マネジメント・センターで。 

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新種恐竜 クマイドン発見

2024 NOV 24 11:11:34 am by 西 牟呂雄

1,000㎡

 たびたびブログで紹介した喜寿庵の飛び地で冬支度というか,背丈ほども伸びた雑草やススキを刈り込んだ。この2ケ月半、少しづつ刈ってやっとやり終えた。
 こういうところはマメに刈っておかないと笹が出て、そうなると刈り辛くなっていわゆる耕作不適地になってしまう。使い物にならないくせに税金はかかる。といっても千平米もあるが農地であるため年に6千円だけど。

えっ!

 刈り進んで行くと、山裾のあたりで一か所草が生えていない所があって、どうしたことかと覗き込んで腰を抜かした。はじめは人骨かと思った。こんな所に誰かが死体を放置していた?まさか。
 実は後背地の中腹に、朽ち果てた古いお墓がいくつかある。薄気味悪いので近寄ったことはないが、あの古さは土葬だろうから人骨もあっただろう。
 ところが恐る恐るもう一度みると、かなり広範囲に散らばっている。2~3mに渡ってどの部位かはわからないが骨というか化石というか、そして髑髏のようなものはない。つまり人間ではない巨大生物のもののようである。

頭?

 と、ここでいつもの悪い癖であるが、頭の中が喜んでしまい、ひょっとしたらこれは新種の恐竜の全身骨格が地滑りで出土したのではないか、とまで飛躍した。もし新種の発見だったら命名権はぼくになるとすれば何と名付けようか。名前にちなんで『ニシザウルス』はどうかな。待てよ、発見場所の方がいいか、ここの字は熊井戸というから『クマイドン』。オォ、いいではないか。
 そうだ、骨のサンプルを鑑定してみらわなけりゃならんな。だが、草も生えないところだ。なんだかこのクマイドンの妖気が漂っているようで、どうにも手が出ない。採取は次の機会にしよう。
 意気揚々と道具をかたづけ帰ろうとしたら、仲良しのオッチャンが歩いている。この世紀の大発見を言いふらさずにはいられなかった。
『あ~あ、広いから容易じゃないねェ』
『おっちゃん、聞いてくれ。何かの骨が散らばってるよ』
『あ~、骨が折れるよね』
 オッチャンは耳が遠い。
『そうじゃなくて、ホンモノのホネが散らばってるの』
『え~、骨がどーしたって?』
『人間よりも大きな何かの骨なんだよ』
『あ~、そりゃ馬の骨ズラ』
『!』
『昔は飼ってた馬が死んだらそこいらに埋めたダヨ。そこに馬頭観音あるだろ』

不気味 馬頭観音

『あれのこと』
『ほんとはあのあたりに埋めたんだけど面倒になってこっちに埋めたんだろうね』

 人の土地に勝手に馬を埋めるな!
 ただのウマの骨なら遠慮はいらん。ウラの山裾に投げてしまえ!と、思ったが、白骨化したとすればこの辺の土壌と湿度から言って数十年はかかる。ひょっとするとここの地縛霊として馬頭魔王にでもなっていたらコワい。

 話は変わるが、いきなり冬になりそうなので秋口に蒔いた大根や人参を掘り出さねばならない。
 毎年、どういうわけか突然変異のような奇怪な姿で収穫されるのだが、今年はどうか。

 せっせと掘り出してみると、こりゃなんじゃ!
 大根は、むかし大根足とかいう太目の女性にたいする蔑称があったがまさにそういった風情の短足。
 人参に至ってはとても食材になりそうもないヒョロヒョロ。洗って齧ってみたら甘かった。また挑戦しようっと。

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大名行列と僕

2024 NOV 18 17:17:51 pm by 西 牟呂雄

 喜寿庵のあるところの中心部は、江戸初期は藩が置かれていたために藩主の屋形が構えられていた。その後は天領で韮山代官の管轄となり、陣屋と改められそれなりの行政府として機能していた。その場所は今は小学校と裁判所である。
 藩主が改易になった際、参勤交代の必要が無くなったために道具一式を地元に残していったため、秋祭りの際に大名行列を真似たのが始まりと伝わる『時代まつり』を伝承している。
 また、これも以前に書きましたが将軍家献上の宇治茶を夏の間保存するお茶蔵があったため、お茶壷道中も再現した。

喜寿庵でお茶壺道中


 ところが、今年は台風や雨に祟られて本来別々にやっていたイベントが一緒になって行われるこに。
 某日、イベントを見に街に出てみた、ヨッコラショッと。残念なことに小雨模様である。地元の学校や商店、団体のブースが並び即売会も行われて近隣の人が大勢来ている。ステージも設営されて子供達のダンスなんかもやっていた。

お茶壺道中

 僕はこういう手作り感が大好きで、自然にニコニコしてしまうほどだ。あっちを見たりこっちを見たり、小学生向けの工作教室の前に立ってジッと見入ったり。だが、そのうち別の感情がこみ上げてくるのも分かっている。それは後述するとして、ドン・ドドンと太鼓の音が聞こえてきた。まずはお茶壷道中の一行だ。

 時間を置いて今度は反対側から大名行列だ。若殿様のお国入りである。『したにー、したに』と体を左右に揺らしながら先払いが角を曲がって来た。毛槍が続く。この毛槍組は先払いとは別の『ヨイヤマッカセー』と掛け声をかける。そして時々鮮やかに毛槍を放り投げて別の持ち手と代わる。続いて小さい子供たちの弓組、鉄砲組が来る。お嬢さんが剥製を持った鷹匠まで。いいぞいいぞ!

殿様と姫君

 さあ、若殿様が馬に乗っての登場、馬がデカい!後から聞いた話だがこの馬、もとはばんえい競馬で走っていたそうです。使い物にならなくなって今はこう言った催しに出てくるそうだけど、サラブレッドのような細くて長い脚ではなく、極太の短足。パカポコではなくゴトゴトと歩く。
 若殿様は正に『馬上豊かな美少年』がぴったりの武者振りで思わず見とれた。
 長い行列は総勢120人。お姫様はあの姿のまま全工程を歩きだから結構きついだろうに。
 
 そして見入っているうちに前述の別の感情が湧き上がって来た。見ているのは楽しい。歩いて付いていくのだが、僕は一人なのだ。
 祭りの喧騒はやはり演者のものだし、見物する側も家族だったり仲間と見ているが僕は一人。大勢の中で沸き立つように孤独感が押し寄せて来る。この感じ、なぜか昔から僕につきまとっていて、以前に単身赴任していた小倉の祇園太鼓の時にもフッと襲い掛かって来た。

小倉記 盛夏慕情編


 寂しい訳じゃない。あの時は『天の声』のせいにしたが、今はおぼろげながら言語化できるような気になった。自由と孤独の狭間にいる不安なのだ。祭りの狂騒に入りたいが演者にはなれない。その代わり一気に立去ることも自由なのである。
 僕は人込みをかき分けて先に行ってしまった行列を走るように抜いて行った。

若殿

 すると、あの若殿様が馬を降りて休憩していた。いやなかなかの凛々しいたたずまいに感心してパチリ。
 ん?どこかで見たような。
 あっ、この方昨年の信玄公祭りの際に山本勘助役をやっていた女優さんじゃないか。話してみるとやはりそうで、冨永愛さんの信玄と一緒にパレードしていた。映画やテレビにも出ていた白須慶子さんだった。ふーん。どうりでキマっている訳だ。

 そして、我に還ると先ほどの『不安』を抱えたまま喜寿庵に走って帰った。ふーっ。

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慟哭のリア 俳優座

2024 NOV 10 0:00:58 am by 西 牟呂雄

 言わずと知れたシェークスピアの名作『リア王』の舞台を見てきました。
 それが一捻りした脚本で、舞台を明治の筑豊炭鉱に置き換えて、女主人と3人の息子の物語に仕立てました。この手は以前にもあって、黒澤明が戦国時代の話に焼き直した映画がありましたが、さて筑豊を舞台にするとどうなるのか興味の湧くところです。
 筆者は北九州に赴任したことがあり、住んだことはありませんが筑豊と呼ばれる田川・飯塚といった旧産炭地にはよく出かけていました。一言で言って激ヤバのエリアであることを肌で感じたものです(人はいいのですがね)。そんな雰囲気を脚本に込められるものかどうか、楽しみに観劇しました。
 リア王の筋立ては周知のストーリーで、それを台本・演出の東憲司さんがいかなる味付けをするか。無論悲劇なのだが、例えばどこに『笑い』を入れるのか、どこから急展開させるのか、が見物です。

岩崎加根子さん

 ところで、リアを演ずるのは岩崎加根子さん御年92才!劇団俳優座養成所の第1期生の舞台歴70年という大ベテラン。そういえば俳優座劇場が今年創立70年ですから、劇場と共に歩まれたことになります。劇場は老朽化に伴い来年閉鎖されますから、将にフィナーレを飾るにふさわしい。
 主人公は亡き夫の後を継ぎ荒々しい環境で炭鉱を経営した女性。片脚に障害のある長男、放蕩息子で粗暴な次男、東京で被れたマルクス・ボーイの三男、というお膳立てには唸らされました。

 さて幕が開くと、なるほど重厚なテーマだけあって硬派な演出、息をつかせぬ展開で、笑いも挟まずセンチメンタルな泣きも入らず、ものすごいテンポで一気呵成にフィナーレまで観客を引っ張っていきました。岩崎加根子さんは背筋も伸びて声も通る。凄い貫録で炭鉱の女主人が滲み出る熱演です。
 そして脚本は元々の本筋を一度バラして組み立てなおすように展開していきます。両眼を失うグロスター伯爵は忠実な下僕である与平に、グロスター伯の私生児エドマンドは何と女主人の亭主が妾に産ませた善治として狂言回しとなり、尚且つ3人の息子を反目させる。
 息子達は年の若い順に死んでいき、善治も最期は死ぬ。その死に囲まれた女主人の慟哭。この『慟哭』がクゼ者で、大声を上げて泣き喚くことはせず、岩崎さんの表情で、うーむ。お見事!
 
 ところで、僕は前述の勤務した経緯からあのあたりの炭鉱弁はネイティヴで使えますが、役者さん達は見事にこなしました。単なる九州弁でないところがミソで、同じ福岡でもタモリや武田鉄矢が喋る博多弁とビミョーに違うのです。遠賀川をはさんで西と東ですね。でもって、東側の言葉の方が荒い、キ・タ・ナ・イのですな。おまけに落盤事故のエピソードがあるなど臨場感満載。感心してパンフレットを読むと演出の東憲司さんは福岡県出身とのこと、ははあ成程ねぇ。

渡辺聡さん

 読者諸兄諸姉に観劇を勧めたいところですが昨日が千穐楽、又の機会になるのは残念。善治役の渡辺聡さんという男優さん、上手いですよ。この人イチオシです。

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