Sonar Members Club No.36

Since July 2013

フ(ホ)ァン・チン 名前考 黄金

2014 MAY 25 11:11:24 am by 西 牟呂雄

 黄金を中国語で読むとファン・チン、大和言葉ではコガネ、満州語ではアイ・シン。清のラスト・エンペラー愛新覚羅溥儀(アイシン・ギョオロ・プーイー)のアイシンですね、黄金を名前にして当て字をしたようです。司馬遼太郎氏の考察によると、この黄金の筋目が南下して半島での金(キム)姓の多さになったかも知れない、となるそうですが。あのあたりは女真族や契丹族が、古くは渤海国・遼といった国を建てて、その後にその名も金が建国されていますね。日本にも金姓はあってコンと読ませます。東北に多く、今東光・日出海の今兄弟の家もかつては金だったはずで、いつ頃からか今になりました。二人は津軽出身です。義経伝説の金売り吉次の流れでしょうか。或いは遠い昔の環日本海経済圏のなごりでしょうか、東北に渡ってきたのかも知れません。その後この勢力は勢い余って『刀伊の入寇』として壱岐・対馬になだれ込んだこともあります。
 ずばり黄金さんという人もいて、こちらは岡山の苗字のようです。想像ですが、小金沢、小金井さんあたりも元をたどれば黄金沢、黄金井さんだったのではないでしょうか。
中国本土では金姓は少ないが、台湾出身の金美麗(チン・メイリン)さん、彼女は本省人ですが地元の高砂系ではないと思われるので、福建省くらいから先祖が来たのかも知れません。
 又、黄姓も中国・韓国ともにポピュラーな苗字なのでズバリ『黄金』というフルネームの人もいないとも限らない。
 
 欧米ではどうかと思っていたら、女子フィギア・スケートのアメリカ代表にグレーシー・ゴールド選手がいます。どうもゴールドさんという人は少なからず居るようで、ゴールドナントカという一連の苗字はユダヤ系と言われていますが、なかなか魅力的な名前ですね。イエローゴールドさんという人がいるかどうかは寡聞にして知りません。

 フアースト・ネームの方では何と言っても『金太郎』坂田公時(金時とも)。そのものですね。源頼光の四天王として大江山の酒呑童子や土蜘蛛退治に活躍しています。この金太郎という語感は格別で、銀太郎という人もいるのでしょうが、やはり銀次郎になるのが不思議と自然です。息子が金平(キンピラ!)となっていますが江戸期の創作です。
 話しは逸れますが、四天王は他に剛力の渡辺綱、碓井貞光、卜部季武と続くのですが、一方の酒呑童子にもちゃんと四天王がいて、熊童子、虎熊童子、星熊童子そして金熊童子。ちゃんと金が入ってます。
 続いて「金さん」遠山景本。こちらは彫り物奉行でお馴染み、金四郎さんです。

 しかし、衝撃的だったのは百歳の双子キンさんギンさんでしたね。どことなくホンワカした二人はCMに出てブレイクした人気者でしたが、私はこの二人が男だったらどんな名前になっただろうかと考えました。金男・銀男とかいった名前をつけられたらイジメにあったかな、弟は鉄男だったろうな、等と下らないことを考えたものです。

名前考つづく

ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/
をクリックして下さい。
 
 
 

Categories:伝奇ショートショート

▲TOPへ戻る

厳選動画のご紹介

SMCはこれからの人達を応援します。
様々な才能を動画にアップするNEXTYLEと提携して紹介しています。

ライフLife Documentary_banner
加地卓
金巻芳俊