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九月大歌舞伎 千穐楽

2014 SEP 28 16:16:00 pm by 西 牟呂雄

千穐楽を見てきました。これ「穐」の字が正式なんですな。
 まず「絵本太閤記」です。播磨屋・中村吉右衛門さん相変わらずの安定感、高麗屋・市川染五郎さん力をつけています。ですがこの芝居、私はいつも女形の『泣き』の声に注目してしまうんですねぇ、これが。今回は『光秀』の母・妻・嫁と三人女形が出ますが、そのうちの嫁をやる播磨屋・中村米吉が抜群に良かった。他の二人もうまいんですが、米吉は(字に書くと難しいが)『ォォォオオオオおおおおおオオオオォォォ』とただでさえ高い声を一旦更に上げていき低く戻る。まるでサイレンが高くなってから低くなるようで絶品の泣きだったですね。

毛振り

毛振り

 

 そして「連獅子」の舞。松嶋屋・片岡仁左衛門・千之助のお爺さんと孫の競演です。仁左衛門さんは確か去年から肩を悪くして今年にやっと復帰したのじゃなかったでしょうか。コミカルな坊主道中では浄土僧の方をやった萬屋・中村錦之助という人、面白いです。
 その後、紅白の獅子が出てきます。今回は花道のすぐ横の席でしたが、14歳の(多分)千之助の凛々しいこと。体がまだ小さいのがご愛嬌だが鮮やかな身のこなしで楽しみです。最期の毛振りは振りの大きさといい間の取り方といい、仁左衛門さんのお疲れ気味な所をカバーしたわけではないでしょうが見事の一言。

 最期に待ってました男伊達、御所の五郎蔵「曽我綉侠御所染(そがもようたてしのごしょぞめ)」でした。設定は京なので「御所」の「五郎蔵」だが科白は全くの江戸回し。僕はこれを十年前に先ほどの舞台の白獅子、仁左衛門さんがまだ片岡孝夫だった頃、坂東玉三郎とのコンビで見て以来です。五郎蔵・染五郎、対する星影土右衛門・音羽屋・尾上松緑の掛け合いは双方譲らず見ごたえ十分。あの科白は江戸弁の駄洒落のオンパレードでいつか全部暗記したいと思っています。
 花道近くでいいのは足捌きが良く見えることですが、染五郎さん日本舞踊の家元ですから腰が座っていました(当たり前か)。それはいいけど今日はちょっと軽かったんじゃないですか・・・。そう言えば千穐楽にしては入りが少し・・。
 傾城、逢州役の市川高麗蔵は梨園の血筋ではなく、松本幸四郎の弟子から高麗屋入りした人ですが綺麗でした。花魁道中を真近で見ましたがあの飾りはスゲー艶やかで、また後姿がいいのです。

 しかし僕は一度でいいからあの獅子の毛を被ってみたい。ザ・グレート・カブキというプロレスラーが時々被っていたからどこかで手に入るのだろうが良く分かりません。幕末に官軍が被った「熊毛頭」というのがありますが、後ろが短か過ぎてダメ。貸してくれ、と頼んでもだめかな。
 それと最後に、本日の『声掛け』フライングが多かった。

荒事の華麗な芸

九月花形歌舞伎

猿之助四十八撰


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Categories:古典

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