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ストゥコ・バクニンスキー 東京滞在記(翻訳)

2015 MAR 13 22:22:09 pm by 西 牟呂雄

 東京に来て3週間経った。物凄くエキサイティングな街だ。
 旅行者にとってこんなに有難い街もない。人のいる至るところにショップがあって、本当に大勢の人が買い物をしている。私のいたダラスの外れでは人の集まる所はボール・パークとかモールに決まっていたのだが、東京は街全体が一つのアミューズメントのようだ。
 特に鉄道網の異常な発達は驚いた。こんなところはアメリカにはまず無い、いや世界中に無いだろう。東京の場合は人口密度が最初から高かった。それでJR・サブウェイ(二種類あるらしいが)にターミナル駅からのシテツ(これも会社が違うらしい)といった数種類のレール・システムが整備されている。更に各大都市を結ぶ有名なシンカンセンがあって日本中どこでも簡単に行ける。ネットワークは完璧に維持・管理されており、ジーザス・クライスト!毎分単位で狂い無く運行する。案内してくれた日本人がアイフォンをいじると何分に着くと言う、そしてピッタリその時間に着く。車で移動して遅れると百種類の言訳を並べるテキサンとは同じシビリアンとは思えない。
 少し電車に乗った辺りーOGIKUBOとKYOUDOUのことだがー駅の廻りはギッシリとショップがあり、バー(IZAKAYAという)があり、レストランが完備している。そして歩いている人の多さ!日本人は働き者と言われ事実忙しそうにしているのに帰りがけにも忙しく食事をし酒を飲む、かどうか知らない。尤もこういったターミナルは独身の若い男女が多いから店が多いのだ、と連れて行ってくれた日本人が言っていたが多分嘘だろう。ダラスにだって独身は大勢いるからだ。ダラスの独身は必死で相手を探す努力をするが、私の見る限りそんな日本人の独身は少ない。一度日本人グループと飲みに行った時に一緒だったある人のことを『アイツは女癖が悪い(crazy for girls)』と言った奴がいたが、その人と話してみると普通のハンサム・ボーイなだけだった。

 東京のバランスは全く絶妙だ。あの込み入った街にJINNJYA(神社)やOTERA(お寺)がある。余程の信仰心があるかというとそんなことはない。日本人とは宗教の話をしても全くかみ合わない。彼らはGodとキリストの関係には興味を持たない。僕の育ったエリアはバイブル・ベルトと言われるくらい教会が一つの社交の場となっているのだが、神社もお寺もそういう場所ではない。普段は大きな神社でも人は少なく、静かな場所だ。年に一度のフェスティバルの時に大騒ぎをするというのでその内連れて行ってもらおう。MIKOSHIという小型の神社のような物をかついで街中を練り歩くカーニバルらしい。

 酒に関してこれ程寛大な人々も珍しいと思う。夜の地下鉄に乗っていると飲み過ぎて座りながら寝てしまった人がたくさんいるが、あれで良く家まで帰れると不思議だ。女性も中にはいて、あんなことをニューヨークでやったらそれは恐ろしいことになるだろう。もっとも私はニューヨークは行ったことがない。ドラッグに関しては非常に厳しい。しかし事件になるのはほとんど『Kakuseizai』といってアメリカでは流行らないスピードの方ばかりでコケインとかヘロインはない。日本人はどうも少し違うようだ。しかし『キャバクラ』というバーの騒がしさは凄い。

 ところで私の名前から多くの日本人はロシア人だと思うらしい。確かにロシア系の名前ではあるがもう六代続いたテキサンでロシア語なんか話せない。不思議な刷り込みだ。確かに日本から一番近い白人国家はロシアだが、そんなに昔からつきあいがあったとは聞いていない。
 
 食事については回転寿司が素晴らしい。あの寿司を握っている(クッキングをニギルという)人は大変なマーケティング感覚の持ち主で、カスタマーの顔を見ただけで何を欲しがっているのか分かるらしい。ハンバーガー・ショップのように名前は色々だが中身は同じというものじゃないのに、私がトロが食べたいと思っているとトロの皿が来る卵が来る。何も言わなくてもいいのがガイジンには便利だと思っていた。
 ところがギンザのオバマが行ったようなハイ・クオリティのスシ・バーはとても高くて凄い所は一人フィフティ・サウザンド!そういうスシを食べるのは余程のお金持ちに決まっている。

 さてガイジンが必ず行くところは有名なアキバだ。従って多くのガイジンがいるので私が一人で行っても問題なく買い物ができる。それはいいのだが、あの天使のようなコスチュームの女の子がいるコーヒー・ショップは奇怪な店だ。バカていねい(らしい)日本語でテーブルに案内され、注文するとそれをリピートしながら『☆☆☆☆MOE、MOE』というアクションをする。他のテーブルでは常連らしい地味な日本人がそれに合わせて『MOE!MOE!』とリピートする。私もやってみたが何のサインか分からない。他の店でみたことはない。
 
 ところで、私は日本には仕事の長期出張でホテル暮らし。仕事は材料の絶縁被覆を塗る技術を買った企業にそのノウハウを教えに来ている。驚いたが日本人の研究ポテンシャルは極めて高く、英語を上手く話さないような連中が図面を見て原理だけを理解するとアッという間に実験に成功してしまう。私が何か新しい特性材料を思いついたら次は日本人と組んでビジネスをするつもりだ。日本人は顔も肌もチャイニーズやコリアンと区別がつかないのだが、まずやってみることから始めて自分で納得するまで質問をしない。これは同じ東洋人とは思えない特質で、私は驚いた。チャイナは初めに『何故だ。』と聞きたがるしコリアンは『自分たちはこうやっている。』と主張するのに、日本人は全く違う。素直でありかつ表情には出さないが貪欲である。時に自分たちの手の内を見せてまで成果を分かち合おうとさえする。チーム・ワークで日本人にかなう国はないだろう。
 逆に善意の日本人が騙されるケースもあるのだろう。『OREORE詐欺』という不思議な犯罪があるそうだが、そんなビジネス・モデルは日本でしか聞いたことが無い。テキサスでそんなことをやれば追跡されて即座に撃たれるからだ。

 あと3週間は日本にいる予定なのだ。

ストゥコ・バクニンスキー 東京滞在記Ⅱ(翻訳)


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