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クリミア問題緊急対談 チャーチルVSスターリン 

2014 MAR 19 12:12:56 pm by 西 牟呂雄

3月19日日本時間AM12:00時点

チャーチル(以下”チ”)「まことに、しばらく。葉巻はいかがか。」

スターリン(以下”ス”)「いや、結構。卿からは貰わない。」

チ「相変わらずケチくさいな、グルジア人よ。」

ス「そちらこそ貴族のくせにブルドック面は変わっていませんな。」

チ「ところで君の後継者に当たるプーチン君はどうするつもりなんだ。あの半島はお互いに平和のために会談したところでもある。はっきり言って不愉快だが。」

ス「ウラジミール・プーチン同志は領土拡大とは言っていない。クリミア半島住民の意思を尊重して編入しただけだ。」

チ「そう言う君は国民の意思を全く尊重していなかったようだが。」

ス「フフ、チャーチル卿よ、クリミアに関してだけ言えば、しゃしゃり出てきてドロドロの戦に持ち込んだのは歴史上あなたの国も含まれている。クリミアくんだりまで大陸に部隊を送ったのはナポレオン戦争以来だろう。こちらはトルコ相手に何回も戦っていたのだ。ウクライナなぞ国であったことの方が短い。しかもプーチン同志はウクライナに手を付けた訳ではない。あくまでクリミアだ。」

チ「あの時はフランスやらあちこちからああ頼まれては仕方があるまい。当時の世界の警察は我が大英帝国であったからな。」

ス「そう言って旨い汁を吸っただけではないですか。おまけにあのでしゃばり女の事をプロパガンダのカヴァー・ストーリーに仕立て上げおって。なにが赤十字だ。こちらだって赤軍だ。」

チ「ナイチンゲール女史を侮辱することは許されないぞ。ロシア人も随分助けているから。おっとグルジア人もだがね。それに当時は赤軍ではない。」

ス「例によって英国風のつまらんユーモアにしか聞こえませんな。いずれにせよEUと称する輩が、卿の名づけた”鉄のカーテン”をこじ開けて取り込もうとしているのはミエミエだ。EUに露骨にやるなといっておいて頂きたい。」

チ「アングロ・サクソンは記録する。クリミアを安定させなければ黒海の向こう側、トルコや君の故郷グルジアが騒ぐ。その向こうにはイスラム世界で今日では色々な火種が転がっている。イスラム世界に噛み付かれては困るのは君の後継者も同じだ。アフガンに出て行ってソビエトが崩壊したことも忘れたのかね。チェチェンにも手こずっただろう。オット失礼。」

ス「卿の言うアングロ・サクソンは海洋覇権を持っていれば見事なもんだが陸上にコミットした時は大したことはない。シンガポール要塞のモロさは何だったのか。」

チ「フオッホッホ、日本軍の話か。直接やった時は大負けしたくせに良く言えるな。この前だって日本がヘトヘトになったところをドサクサまぎれに襲いかかってもたったの四島しかとれなかったぞ。それもアメリカが痛めつけた後にだ。実態は猛烈な砲撃を受けてビビッたことも分かっている。」

ス「満州を解放したではないか。しかしそんなことはどうでもいい。それまでヒットラーで頭が一杯だったじゃないか、お互いに。松岡なんかチョロかったから案外手を組めそうだったが、共産革命の看板を背負っていたから無理だったな。一方中国の毛(マオ)は共産主義者とは言っていたが煮ても焼いても食えない奴だった。」

チ「満州は結局毛(マオ)に掠め取られた。ヒットラーは気違いだ。中国で言えば毛(マオ)の前の蒋(シャン)の方がひどいタカりっぷりだった。それはとにかく住民投票までやらせたのはプーチン君のミスのように思われるが。」

ス「ほう、民主的な手続きではないですか住民投票は。」

チ「民主主義は効率も結果も最低だが他に取り得る体制は今のところない。まさか共産主義とは君も今更言うまい。」

ス「首都で暴動が起きているのを黙って見ている訳にもいかない。ウクライナは中東ではないからな。プーチン同志だって領土的な野心があるはずもない。このご時勢に領土を増やしたところで税金がたんまり入ってくるわけではない。卿の国のかつてのように搾り取ることもない。散々インドと中国をカモにしていたではないか。」

チ「話をずらさないで頂きたい。まぁここで引いたらモルドバもグルジアもEUに行くかもしれんから気持ちは分かるが。グルジアも!ですぞ。うまいこと手を引く算段を立てないと面倒ですぞ。銃撃戦も一部始まったと報道されだした。うまくやったつもりでも、戦争となると穏やかじゃない。」

ス「それこそ大きなお世話ですな。面倒をアメリカに全部押し付けておいて、自分はタックス・ヘイヴンの上がりを食い物にしていることぐらいお見通しだ。だからここにルーズベルトを呼ばなくて正解だったが、卿の計らいか。」

チ「あいつもまさか原爆まで使うとは思わなかった。君が脅かしすぎたからだ。君達を一緒にするとまとまる話もまとまらん。」

ス「今更何を、初めにあの国をあまやかしたのは卿ではないか。そもそもヤルタで会った時から気に食わなかった。」

チ「それは違う。君の国もアメリカも共に革命政権から始まっていて歴史も浅い。ナントカ主義、と唱えなければ国家を維持できないから意地の張り合いになる。だから直接会わない方が良いのだ。もっと言えば女王陛下が健在であれば、揺るぎない国家のバックボーンがある我が国が間に入っているのだ。」

ス「それはご大層なことだ。うまく使うのはそちらの勝手だが、あのオバマじゃ手に負えないのではないか。卿の得意の諜報もあまり役に立っていないようだし、MI6も落ち目ですな。」

チ「人目に付くようじゃインテリジェンスとは言えない。そちらのよくやる暗殺などもってののほかです。君は言い負かされた腹いせにトロッキーもやった。一つクリミア独立くらいで手打ちでも考えたらいかがか。」

ス「ほう、早速アングロ・サクソン伝統のゴリ押しですか。ジブラルタルも独立させて北アイルランドを返すなら考えておきましょうか。くどいようだが編入ですぞ、編入。手続きは平和的に民主的に行われた。」

チ「冷戦は終わったのだ。黒海艦隊自体が無用の長物だと思わんかね。」

ス「今回は実に役に立っている。卿もお気づきだろうがウクライナにはチェルノブイリもある。武器もある。危なくてしょうがない。まず米国第六艦隊を引っ込めてからの話ですな。冷戦が終わったのではなく、新たなパワー・ゲームが始まったところだ。」

チ「確かにオバマ君には荷が重いかも知れん。だがあんまりやりすぎて怒らせるとアメリカが強硬になって反動があるぞ。EUなんかはビビったら泣きつくかもしれん。彼が大統領のうちに一端花を持たせてやるのが得策だ。」

ス「卿がルーズベルトを使った様に、ド・ゴールをおだてあげた様に、か。アメリカがやる時は国連安保理決議も何もなくても誰も制裁だ包囲網だとは言わずに進行させているではないか。クリミアはそんな火種になる話しじゃない。」

チ「ド・ゴールはいやな奴だったがね。それでは物別れじゃな。この後あなたの嫌いなルーズベルトも待っている。失敬。」

ス「ブラフは結構だ。ロシアにもギャンブルの伝統はある。フッフ、本当ならそれは宜しく伝えていただきたい。ダスビダーニャ。」

 
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Categories:架空対談

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