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国境を考える Ⅴ

2015 APR 2 0:00:59 am by 西牟呂 憲

 映画『大脱走』のクライマックスでスティーヴ・マックイーンがかっぱらったバイクで逃げるシーン。追い詰められて鉄条網を飛び越えるものの、結局引っかかって傷だらけになりながら手を挙げる。これを初めて見たのは小学生だったが『国境を越えるのは難しい上に迫力があるな。』と刷り込まれた。
 もう一つ。名作サウンド・オブ・ミュージックのフィナーレで、ナチから逃れる為にトラップ大佐一家がスイスに亡命するためにアルプスを登っていくシーン。
 これ等は70年前の話で、ヨーロッパというのは長年領土の取り合いをしているから国境というとピンと来るものと思われる。
 しかしあんな鉄条網で区切られたら、野生の鹿といった大型動物はさぞ迷惑だったことだろう。いつもの縄張りに水でも飲もうと進んだら突如触れると痛いロープの壁ができてしまった。国境を認識するのは人間しかいないのだから。
 そういう意味では無くなったベルリンの壁とか38度線は(他にもあるが)いかにも人間的ではある、いや政治的か。ハードな感じ。
250px-Border_Security_of_the_50th_parallel_of_north[1]
 右の写真を見てどこだか分かる方はいるだろうか。
 実は南樺太が日本だった頃の国境警察隊員(帝国陸軍ではない)の雄姿である。
 話が満州国だの半島に飛ぶとややこしくなるのでここではちょっと外して考えると、当時の日本最北端の国境だ。樺太のことは語る人も少ないが大横綱の大鵬が生まれたところ、他にボクシングの輪島功一や作家の綱淵謙錠等、一時は40万人の日本人(アイヌ系ロシア系含む)がいた。樺太庁が廃止された後は大日本帝国の内地が接していた唯一の陸上の国境だった。現在日経の『私の履歴書』執筆中のニトリホールディング会長も樺太生まれだそうである。そして団塊の世代であるタレントの〝せんだみつお″も出生地はサハリンとなっている。
 しかしこの国境警察もチョロいと言えばチョロくて、女優の岡田嘉子が演出家杉本良吉とソ連に亡命する時には簡単に越境されている。逃避行そのものは吹雪の中大変だったろうが易々と越えられるのもどうかと思う。戦争がなければ平和共存していたのじゃなかろうか。

 グリーンランドとカナダの国境係争問題で知られるハンス島は1.3平方キロの小さな島だ。もう何年も領有権を争っているが、無人島でもあるため殺気だったことにはならないそうだ。カナダ・デンマーク両国が代わるがわる陸上部隊を上陸させている。真偽の程はわからないが、誠に平和なことに撤退する際は自国産のビールをたんまり残しておく慣わしで、互いに『我が領土にようこそ。留守の間の警備をよろしく。』と書き置くとか。
 これ中々粋なものだと思いませんか。しかしもし日本が〇島でそうしよう、と提案したらアノ国の大統領と国民は激高するだろうな。

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