おじさんが遊んで暮らす十ケ条
2015 MAY 7 2:02:31 am by 西 牟呂雄
ゴールデンウィークを過ごしてみて、農業の真似事をしたり海で航海していたら『これは遊んでいるのではないか。』と天の声がした(と言いつつ今週は働く気は全然ない)。庭仕事や苗の植え付けなんかは大真面目に働いたつもりになっていたが、資産性は元々ない上に到底生産活動ともいえない代物だ。セーリングそのものの移動コストは限りなくゼロだが、行った先に何かを運んだり観光をしたわけではない。
道楽しながら遊んで暮らす、と言えばなにやら達人風ではあるが中身は全然そんなことは、ない。人生の醍醐味というにはあまりに底が浅い。
これではいかん。と言いつつもっと真面目に色々と準備をしなくては。趣味を持てとか健康に留意する、みたいな話はこの際除く。更に余計なお世話だが若い人はセッセと働きなさい。
しかし遊び人という語感は、古い話で恐縮だが遠山の金さんのセリフが一番しっくりくる。
「オレか。オリャ金さんってぇ遊び人だがよ。」
しかし今時『遊び人』と言ってしまうとどうもイキな感じがしにくいし、なかなかなれそうもない(もう見た目十分なっているとの説もあるにはあるが)。どうやったらなれるか考えて以下列記して見よう、オヤジのための十か条。
1.孤独に耐える。
一週間くらいは誰とも口をきかなくてもどうってことないように暮らす。やってみると結構難しくて、人間というのは意外と喋りまくっていることが分かる。この喋りにはLINEなんかも含められるから、今はケータイ携行がほぼ100%なので根性を入れないと孤独そのものが保てない。寂しいという気持ちを脳から消し去らなきゃいけない。
常に難しい顔しろ、じゃないんですよ。返ってニコニコしているくらいがちょうどいい。
2.安く長い旅をする。
『安い』がキー・ワード。贅沢な旅は飽きがきて早く家に帰りたくなる。時間はたんまりある前提で、国内であれば飛行機・新幹線はなるべく使わず快速くらいで移動する。目的地までいきなりたどり着かないようにする。目的地では安宿に最低でも3泊する。レンタカーがオススメ。豪華旅館のグルメ飯は避けて、お土産屋さんの地元流通品を選んでチマチマ食べる。そもそもあんな御馳走毎日は食べられないでしょ。
一人が最も良く、或いは少人数、とにかく群れるな。ただセーリングの航海は除く。僕の腕では一人で34フィートの船を操れないのだ。下っ端なんです。
自由な旅というものは若者の特権じゃない、我等に自由を!
3.倹しく暮らす。
何もケチケチやれと言っているんじゃない。バブルが来ようが不況になろうが自分のペースを守りなさい、という意味。俄仕込みのカネの掛かる様な趣味を新しく始めるなぞもっての外。第一今から始めても絶対に上達することは無い。特にマズいと思われるのは金のかかる骨董とか。
あのですね、遊んで暮らす話ですから飲みに行くとかおもちゃを買うのはいいんですよ。
使うときは使う、豪華レストランで値引き交渉なんて恥ずかしいことをするな、の意味。旨いもんは食べればいい。
4.物はすぐに人にやる
次に又使える等と思って取っておくのは禁物。いらん物が増えすぎる。思い出に取って置くなぞ全く不要。思い出に耽る時間なんかもう無い。かといって捨てるのも面倒ならかたっぱしから人にあげてしまう。車なんか動かなくなってからじゃどうにもならない。腕時計をいくつも持っている、とかロクに袖を通さない高いコートとか全部無駄。みんな譲ってしまいなさい。
貰ってももらえないのは本!CD!紙袋!食器!家具!それから・・・自分か。
その内気前のいいオジサンという評判になるだろう。
5.先のことを考えない
明鏡止水という結構な境地があるそうだが、破れかぶれとそう違わない。流行語になったけど、先が短いんだから『今でしょ。』の精神です。これはいくつか意味があって、そのうちやろうとしていたら絶対できない。もう一つ妙に義理堅くドロ沼にはまってもいけない。『せっかく~だから~までやらなきゃ損だ。』何てビンボウ根性をだすと粋じゃない、無理すると帝国陸軍みたいに引っ込みがつかなくなってオジャン。
予定に振り回されるのもいけませんね。死ぬスケジュールでも作る気ですか、死ぬのはまだ先だ。
6.嘘をつかれるな、つくな
わかってますね、この年になれば。後妻業みたいな事件があったでしょ。それこそこれから出会う人間と複雑怪奇な感情の縺れなどとんでもない。それで本当のところ大金が動くこともあるから遊んで暮らせなくなる。大体オレオレ詐欺何かにコロッと引っ掛かるなんて脇が甘すぎる。
ハッタリもダメです、ダメ。夢を持つことは構いませんが、それには努力を伴うのでナマケ者は控えるように。イロコイは別に止めません。
7.仕事と言うな
いや、働くなじゃないですよ。働くんですが『仕事』と言わないで『用事』とか『ヤボ用』とか言いましょう。実に粋な感じがする。お江戸の昔の職人は食えなくなってから働いたのです。旗本の次男・三男なんか全然働かない。
尊敬する内田百閒は借金まみれになってから、おもむろに筆を取った。もっともそんなになる前はドイツ語の先生はやりましたけど。
ぼくだってゴルデンウィークが終わればチョイト用事はあるもんで。
8.経験則はダメ
このご時世、通信機器の進化は異常なハイ・スピードだから前述の『用事』の中身も変わるだろう。どうせ進化にはついていけないのだから、ガラパゴスだろうが何だろうが、反流行・反世俗。人間コモド・ドラゴンになってやる。
昔はこうだった的な成功譚は控える方が賢明。それより勝手に進化してしまえばこっちのもんだ。『昔はね~』の話はオジサン同士でも聞き苦しい。
9・こうなったらもう
虎穴に入らずんば虎子を得ず。どうせ失うものは無い。誰も助けてくれっこない。後は野となれ山となれ。これが最期だ文句あるか。行ける所まで行ってやる。どうせ自分は嫌われている。あの世に金は持っていけない。さあ殺せ。ボケが何だ。話がくどいのが何だ。病気が何だ。子供が何だ。孫が何だ。
10・・・はですね。自分は遊んでいる、という自覚をいつも持つこと。だって遊んでるんだもん。人の役にも立たないし。
「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」
Categories:僕の〇〇時代
西室 建
5/8/2015 | Permalink
Harryさん、私もまだ修行中です。
やはり5と9はなかなか達するのが難しい。
共に精進しましょう。
中村 順一
5/8/2015 | Permalink
しぶい味わいですね。小職も今まではなかなかこのような境地に入っていけませんでしたが、今後は大いに考えていきます。精進にまだ自信はありませんが。確かに5と9が最難関。
中島 龍之
5/11/2015 | Permalink
5と9ですか、先のことはどうしても考えてしまいます。難しい。9についても、捨てきれない自分がいるというところでしょうか。
西室 建
5/11/2015 | Permalink
中島さんのライフ・スタイルはかなり達人の域かと思いますよ(笑)。
特に2本目の焼酎が空いた時なんか。
中島 龍之
5/12/2015 | Permalink
ハハハ、確かに。2本目の焼酎がなくなったあとの時間は、確かに「無」でした。存在しない「時間」です。誰も覚えていない。ただ、その時間存在する人がいると厄介なことになりますがね。